二胡工房 光舜堂

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店主Web対談☆4 【 話は、琵琶まで俎上に載せ、、、】

2020-08-19 16:19:16 | 光・弦・堂☆店主対談
【 二胡絹弦 - 弦堂 → 】

それぞれの工房で型が違うのですか。

大きさが大体同じだからという基準で型を共用すると多少なりとも違うものになってしまうでしょうね。
そうしますと、木部の方をそのままコピーすれば同じものができそうですが、そうでないのは不思議ですね。

例えば、王根興の柔らかくも厳しい響きは弟子らの作品からは出ていません。手作業での彫りが重要になってくるということなんでしょうね。

お母様のお持ちだった二胡に、蛇皮と棹の間ぐらいに仕切りがありますよね。真ん中に穴が開いた仕切りです。これについて西野さんは以前に、中国の古い楽器はこれが入っていたと中国の専門家に聞いたと言われていましたが、大陸ではそういう古楽器は全く見つかっていないのです。

1つを除いて。ですからその専門家がどうしてそういうことを言ったのかわからないですね。この構造は日本人が入れたのではないかと思ったのですが。

【 西野 → 】
王さんの楽器は、確かに皮の技術なのでしょうね。特に裏の削りは、個人技術としか言いようがないですね。そういう点でも、皮張りは奥が深いです。

専門家というのは、中国屋楽器店の故ショウホウさんなのですが、私の持っていた古いニ胡を見せたときに、ショウホウさんも、古い物で、同じように中に板の入っている物を見たことがあるとの話でした。

もしかしたら、弦堂さんの、見た物と同じ物なのかもしれません。もし、その、大本が日本製だとすると、大変興味深いですね。

日本には、昔の中国の楽器が、比較的古い形のまま残っていることが多いように思うのですが、例えば、琵琶のように、筑前と、薩摩とありますが、あれはどちらが原型に近いのでしょうか?

少し話が飛びますが、以前私の工房に、筑前琵琶を作ったり修理したりしている方が見えたことがありました。桑材の良いものを探しに木場までいらして、そこで、私の工房を紹介されたのだそうです。その方は、なんとイタリア人でした。もうその方が最後のお弟子だと訊きました。余談です。


【 二胡絹弦 - 弦堂 → 】
そのイタリア人はドリアーノ・スリスさんですね。外国人が継承している伝統文化は他にも結構あるようですね。継承されなければ、日本の古い二胡も分からなくなっていますし、難しい問題です。


【 西野 → 】
話をちょっと戻しますね。二胡は、各工房で大きさの違いがありますね。特に違う部分は、6角の角のところの処理が違いますね。かなり削って丸くしてあるところもあれば、角が、ほとんど削られていないところもあります。

皮を張るときに、あまりピン角だと、皮が切れやすくなります。また、皮を、張るところの傾斜角度も違います。これ等によっても、張り具合は、変わると思います。


【 二胡絹弦 - 弦堂 → 】
木材の皮に接触するあたりはかなり重要なんでしょうね。日本で見つかった古楽器、日本製とは確定していませんが、そういうものが和風の音を奏でるのであれば、その工作も研究する価値がありそうですね。


【 二胡絹弦 - 弦堂 → 】
琵琶は雅楽で使うものが奈良時代から変わっていないそうです。筑前や薩摩のものは江戸以降の比較的新しいものだそうです。

日本の場合は古いものを残す一方、発展もして、それらに明確な区別をつけている特徴があります。より良いものを求めて改良するのですが、古いものもそのまま残す傾向があります。そこへ二胡となると、日本の楽器として定着しなかったためにほとんど分からなくなっています。

大きな流れがなかったので、胴の中の板の仕切りについても日本の二胡がそうだったとは一律に言えず、ある個人、あるいはある地域の製作家がそういう工作をしていただけだったのかもしれません。

このことを広く知っていただくと、現物をお持ちの方が結構見つかるかもしれず、その由来も明らかになるかもしれません。そして昔のまま復刻できると素晴らしいでしょうね。日本の音楽に合うかもしれません。


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