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店主Web対談☆2 【 皮の張り替えについて 】

2020-08-14 09:11:59 | 光・弦・堂☆店主対談
二胡絹弦 - 弦堂→】
ショウホウさんは古い珍しい二胡をコレクションしておられますよね。博物館が収蔵しそうなタイプのお宝がお好きな印象ですので、西野さんの最初の楽器はまだ秘蔵しておられるかもしれません。もし最初に持ち込んだのが中国屋楽器店でなければ消息不明になっていそうです。

前に西野さんが「皮の張り替えで楽器の音は変わらない」と言われた時はかなり驚きました。「そんなはずはない」と。

その直後にお客さんが来店され、その方は皮張り替え済の二胡をお持ちでした。リサイクルシュップで買った後、皮を張り替えておられましたが、その二胡そのものがどういうものかわからず悩んでおられました。

それで「上海の二胡です」とお答えしました。そして楽器の特徴のお話を少しさせていただいて、お借りして音を確認すると確かに上海の独特の音でした。

「張り替えてあるのに上海の音が出ますね。もしかしてこれは西野さんが張り替えられたのですか」と伺いますと西野さんはそうだと答えられました。

西野さんはあれが上海二胡だとご存知なかった筈なのに何で楽器の音をそのまま引き出せたのか、そういうことなのか、とかなり衝撃を受けたのを憶えています。

これは中国では「できない」と言われます。名工は例えば蘇州人であれば、上海や北京の二胡は扱えないと断ります。

そこで「どんな風に悪くなるのか」といった興味も湧いてきます。
工房に押しかけ無理やりやってもらうと確かに良くないのです。おそらく自分たちが古くからやってきたやり方からブレないことで、対象に合わせるということをやらないということなのかもしれません。

受注依頼も「はいはい」と言って実際にはその通りにやらなかったりするぐらいですから。こういう過程を経てですから、西野さんの皮には驚きましたね。それまでの概念が根底から変わりました。中国に送って皮を張り替える面倒が要らないと思いましたね。

ですからこれは大変な技術だと思います。また一方で、一定の水準に達している蛇皮張りは楽器の個性に影響を与えないということになるのでしょうか。木部の工作で個性が決まるのでしょうか。


【西野→】 
蛇皮は、基本的に木の型で成形していきます。同じように見える蘇州系でも、それぞれの工房で、型が違いますから、違う形の二胡には張れないでしょうね。形が変わってしまいますから。

私の場合は、お預かりした二胡と同じ形を木で作って、それで成形していきますから、同じものが出来上がります。ですから元の二胡と音は変わりません。

多少皮の厚みがそれぞれの皮で違いますから、多少は倍音の変化はあるでしょうし、張り替えたばかりは皮が硬いですから、それで違うという方もいらっしゃいますが、半年も弾き込むと、前の音と変わりないと言ってくれる方が多いです。

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