二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

店主Web対談☆3 【 西野二胡の構造は 】

2020-08-17 15:55:43 | 光・弦・堂☆店主対談
【二胡絹弦 - 弦堂 →】
もしかすると、西野さんのお母さまの楽器は日本製という可能性もあります。もう江戸あたりから二胡と月琴など人気の唐物は国内生産していたらしいので。

輸入はあまりにもコスト高だったようですので。もし日本製なら、それも博物館級は間違いないでしょう。正倉院の楽器はもっと古いですが、中国の古い音が残ったものですので日中の研究者が合同で調査しています。レプリカを作って研究を進めるのですが、そのレプリカが現在、奈良国立博物館で公開されています。
https://www.narahaku.go.jp/exhibition/2020toku/homotsu/homotsu_index.html

正倉院に二胡はありません。しかし同じ意味で江戸の二胡にも同様の研究価値がある筈です。時代が違っても。

ところで、西野さんの二胡は中に仕切りがありますね。そしてこれはお母様の二胡に付いていたと言われていました。

この構造はこれまで大陸で一度だけ見たことがあります。しかしその二胡は皮ではなく薄い板で共鳴させていました。手間のかかることなので安価な楽器ではなかった筈です。かなり凝った構造でした。

古楽器は結構な数を見てきましたが、そのようなものは他に見たことがありません。ですので、その珍しい楽器は民国期に日本人が持ち込んだものである可能性があります。

それは北京・新街口のある楽器店の軒先に看板代わりに釣ってあってもうボロボロ、無残な姿を晒しています。今でもある筈です。弦堂のどこかに写真を貼ったような記憶があります。
演奏は無理です。

日本人は蛇皮の音が嫌いなのかもしれません。琉球三線は蛇皮ですが、三味線はそれを猫に変えましたから。それでその個体は板だったのではないかと推測しています。中国の二胡はたくさんあるので研究対象にはなりませんが、日本の二胡であればそれはかなり研究価値がある筈です。



【 西野 → 】
先日の、私が譲り受けた母の二胡が日本製の二胡かもしれない、という弦堂さんのご推察に対するお返事ですが。
それもあり得るかもしれませんね。
父も祖父も仏像を彫っていましたし、特に父は、音楽が大好きでしたから。それに二胡なら技術的に作れたかもしれません。ちょっと確認しておきます。

私の作る西野二胡の構造は、母の持っていた二胡とかなり近いですが、更に進めて、アフリカのジャンベに近くしてあります。
普通の二胡の木の、倍の厚みの木から削り出していき、棹より前がお椀状態になっています。そのためでしょう、全音きれいに音になりやすいです。

蘇州系や上海系の棹の前の部分の削り込みというのは、その意味もあるのではないでしょうか?それを更に進めた形と言えると思います。
Comment (1)    この記事についてブログを書く
« 店主Web対談☆2 【 皮の張... | TOP | 店主Web対談☆4 【 話は、... »
最新の画像もっと見る

1 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
北京にある特殊な二胡 (弦堂)
2020-08-21 15:20:56
本文中にあります胴の中に仕切り板がある特殊な構造の楽器は、まだ破棄されていなければ、世纪雅韵琴行 北京市西城区新街口南大街91号にあります。入り口付近に吊ってあります。演奏はおろか、修理も不可能というぐらい劣化しています。見に行く価値はありませんが、付近を通る機会があれば覗いてみて下さい。
返信する

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | 光・弦・堂☆店主対談