二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

弓毛と松脂の関り。

2021-11-16 10:07:48 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
昨日のブログで、光舜堂の松脂を付けて、滑る感じがした弓という話がありました。

以前からお勧めしている眼鏡拭きで一度洗浄して松脂を付けたところ、滑る感じはなくなくなりました。

しかし、もう一方の持っていらした、R氏の制作の弓に比べるとどうしても、松脂の付きが悪いのです。というよりすぐに松脂が落ちてしまったのです。これは今まで試してみた二胡の弓でも大変珍しくはあったのですが、
結局はお預かりして光舜堂の西風の馬毛に替えることにしました。

松脂の付きが良い弓毛と付きの悪い弓毛があります。

ヴァイオリンの方達は早ければ半年長くとも1年くらいで弓毛を張り替えます。

その時に以前使っていた松脂の乗りが悪かったり、あるいは反対に付きすぎて、引っ掛かり過ぎるなどという事もあります。

それは馬毛の種類が変わってしまうからです、種類というより脱色の度合いが違うからでしょう。

脱色が強い弓毛は、松脂の乗りが悪いです。

それは薬品によって弓毛の表面が傷んでいるからです。

馬毛はもともとそれほど真っ白な馬毛というのはほとんどありません。

それが真っ白になるまで、薬品に漬けたとしたら、毛は傷みます。

流石にヴァイオリンの弓毛に使う馬毛には、松脂を付けているだけで弓毛が切れてしまうようなことはありませんが、

二胡の弓にはそれが大変多くあります。

皆さんにも経験はあるでしょう年間に20本も30本も切れてしまう弓。

勿論、すべての馬毛が同じ質なわけではありませんから、福音弓に使う弓毛でも年に数本切れるようなことはあります。

にしても松脂を付けているだけで切れてしまうというのは、相当脱色が強いのだと思います。

かといって、無脱色の馬毛は、またこれも松脂の乗りがとても悪く、10分以上松脂をこすりつけていないと、乗らなかったなどい.という経験のある方もいらっしゃるでしょう。

馬毛は相当油分を含んでいますし、洗浄しなければもうべたべたです。

10年以上も髪の毛を洗わなかったとしたら、(失礼しました汚い話ですね)でも、馬毛は最初はそうなのです。

それも加工の初期に、お湯で洗い、多少とも櫛が通るようにします。それから脱色するのですが、その程度は業者さんによって相当違いがあるようです。

強く脱色した馬毛はさらさらとしていて弓毛に束ねるのにとても楽です。

ですからでしょう、比較的安い弓ほど脱色が強い馬毛を使っているようです。

松脂にはライトとダークと二つある場合が多いです、一つのメーカーで両方ある場合もありますし、各社独自の引っ掛かりを実現しようとしています。

それは原料のガムロジン(木肌に傷をつけて樹液を集めるタイプ)を一度蒸留して、テレピン油を抜きます。その残ったものが松脂の原料になります。
それを再度溶かしてそこに引っかかる要素をつけ足します、カーボンであったり,糖分であったり、中には割れやすいのを防ぐためひまし油を入れたりもします。

市販されている松脂は多かれ少なかれ油分がふくまれていますので、べたつきがあります、そのべたつきの多いものほど弦を弾いた時に引っかかりがとても強いのです。

ある二胡演奏家が、そのダークの松脂を使ってみて、引っ掛かりが強すぎて嫌だとおっしゃっていましたが、ご自身の持つ他の弓に同じ松脂をつかったところ、とても良い引っかかり具合とおっしゃったことがあります。

これは、弓毛の脱色の違いによるものです、強く脱色された弓毛は、ダークを使うほうが引っ掛かりが良く、

例えば、黒毛などの様に脱色されていないものは、ライトの松脂が合うという事も言われます。

また、無脱色の弓毛にもライトの方が合うようです。

ところが、みなさんがご自身のの弓毛をみて、脱色が強いか弱いかはとても分かりにくいと思います。

また弓を買い替える度に、弓毛の質も変わりますから、そこで、次々と皆さん松脂を購入していろいろ試してみるようです。

このように、脱色の具合によっても松脂と弓毛の相性というのはあるようです。

工房光舜堂西野和宏&ほぉ

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