二胡工房 光舜堂

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二胡の裏返り音の原因、様々!解説とお願い!

2022-11-08 08:58:17 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
よく鳴る二胡に限って、第二ポジション以降に裏返り音(ウルフ音)の出ることが多いです。
原因はいくつかあります。
一番簡単にわかるのは、弓です。
弓毛が、、くるくるとカールしていたり、縮れているのが何本か入っていたりすると、裏返り音が出ることが多いです。
中国製の弓の中には、毛を整えるのに、ヘアアイロンなど使っているところもありあります。新品の内は分からなくとも、使っているうちにカールが出てきたりもします。ですから、弓を変える以前は裏返り音などなかったのに、弓を変えたら裏返り音が出てきたなどということもありますので、その時にはその縮れた毛や、カールした毛を切ってしまってください。

それから、弦の新しいうちは裏返り音の出る場合も、これはかなりあります。
特にトマステークやゴールデンライオンなど、強い弦を使ったときに出ることも多いです。これは引き込んでいくうちに収まります。
またもっと多いのが低音二胡ですね。
どこの会社の物であっても、GD弦を張ると音が裏返るものはたくさんあるのです。
その時には、AE弦に変えて、それをGDに調弦するようにすると収まることもあります。ただし、千斤の一があまりにも低いと(36センチや37センチくらい)とてもAE弦をGDに調弦するのは難しいです。
線て千斤の一は39センチくらいまで上げてください。低音楽器は別の物だとかんがえてください。ヴァイオリンとヴィオラでは運指の位置も幅も変わるのですから。二胡と低音二胡(中胡)は違う楽器委です。
もし皆さんが、老紅木の楽器を持っていて、それが、蘇州式あるいは上海式だとして、裏返り音が出ることも多いと思います。多分とても良い音に大きくなる楽器なのでしょう。
その場合、棹の通るあたりが凹型に削り込まれています。その削り込みが大きすぎる場合も裏返り音が出やすいのです。
本来は胴のその部分に木を足して厚みを付けると、重量が増して裏返り音はなくなります。
これは蘇州系や上海系であれば同じようにすると裏返り音は無くなります。
最近の北京系の楽器、この10年数年くらいの物は比較的裏返り音が出にくいです。
以前の8角形などは、裏返り音の出る楽器も多くみられました。
以前の北京系は音を大きくするために、とても薄く皮が削り込まれていたものが多く、よく鳴る代わりに音の裏返り音が出やすくもありました。
それらは皮を張り替えることで、安定した楽器に変わります。
二胡は、皮の振動の強さと、それを受け止める胴の木の重さによって、よく鳴る楽器でなおかつ安定したものが作られます。
しかし一台一台そのことを考慮して、皮の厚みや加工などを考えて作らないと、安定してなおかつ大きく鳴る楽器というのが出来きにくいものなのです。
これは洋楽器に関しても同じ事が言えます。表板の厚みとそれを受ける、裏板の質量と厚みのバランスで良く鳴る楽器というのは出来上がりますが、制作者としてはついつい表板をなるべく薄く良く振動するように作りたいものなのです。また楽器としては低音の楽器チェロやコントラバスなどに、ウルフ音の出る楽器が多いです。
二胡にはありませんが、弦の駒の下の部分に重さのあるものを取り付けて裏返り音が出にくくするウルフ音キラーなどというものもあります。
まさか全てのウルフ音の出る二胡の皮を取り換えるわけにもいきません。
そこで今、二胡用のウルフ音キラーというのはできないのかと、様々試行錯誤していますが、問題は私の手元には西野二胡がほとんどで、中国製の物でウルフ音の出る楽器がとても少ないのです。
どなたかその様な楽器でお困りで、光舜堂にしばらく貸してもよいという方いらっしゃったら教えてください。
楽器そのものに手を付けず、取り付け部品で何とかならないかの実験は今後も積み重ねてみたいのです。
どうぞよろしくお願い致します。

工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ
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