二胡工房 光舜堂

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駒の安定。

2022-11-12 09:51:06 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
弦の振動を皮に伝えるというのが駒の役割です。
駒そのものが木でできていますから、木の種類によってはそれぞれ固有の振動も持っています。
ですから、木の種類が変わると音色も変わるのですね。
駒の形状、特に高さ、そして重さによっては振動の大きさが変わってきます。
軽いほど弦の振動を強く皮に伝えます、木が弦の振動を吸収してしまうのが少くなるからでしょう。
そして駒は皮に(振動板)に密着すればするほど弦の振動のあらゆる音を皮に伝えるようになります。
ところが、蛇皮の表面というのはこの通り凸凹しています。

ですから駒を置いた時に駒の底面と皮は多少隙間が出来ている部分があるのです。

ヴァイオリンなどの駒は、この接触部分を作るのにとても気を使います。
ヴァイオリンの表板は多少湾曲していますので、その湾曲に合わせて駒の底面を削り込むのです。

これが、ぴったりとできあがった時に初めてヴァイオリンはその音色をすべて表現されるようになります。
ヴァイオリンは、まだ、振動板との接触する部分をぴったり合わせやすいです。丹念に削り込んでいけばよいのですから。
ところが蛇皮はその点では相当難しいですね。なにしろ鱗そのものが四角の連なりでその間に柔らかい溝が通っていますから、どうしてもぴったりとはいかないのです。
駒の底面の形状を皮に合わせて彫る以外なさそうです。
ただし、完全にではなくとも駒の底面と皮の表が、多少とも密着するようにはなります。
それは、弾き込みです。
時間ですね。
いくらなんでも皮の表面より木の方が硬いですから、弾き込んでいくうちに駒の底面の形が皮を押して、密着に近くなるのです。
駒は一度使い始めたら、最低でも1月くらいはそのまま弾き込んでください。
ぴったりと皮に吸い付くようになると、楽器自体が本当に良い音色になってきます。
ですから弾き込みが、駒も育てるのと同時に皮も育てるのです。
弾き込み大切。
それでも、鱗と鱗の間の溝はあります。ですからそこは隙間が出来ています。
本当は,充填するようなボンドで、皮に駒を張り付けてしまうと、音も大きくなりますし、音色の豊かさというのも出ては来るのですが。
流石に、駒をボンドで皮に張りつけてみたらとは言えないですね。
やってみて何も問題はないのですが、感覚的に、あるいは感情的に、流石にこれは自分でも嫌な気がします。一度はやってみたのですが。
そこでまたいろいろ考えまして、完全な密着というのを、なおかつボンドで張りつけないという方法を考え出しました。
しかしここでは書きません。
方法が難しいので、私が書いたことをまねしてやってみて失敗したら、かなり取り返しがつかないことになりますので。
工房にいらした方の楽器にだけ施工させていただきます。
幾つか条件がありますのでそのことにご納得いただいた方にのみです。
音がとても豊かになるのと、鳴り自体も相当大きく鳴ります、御自信の楽器がこんなに良い音色になるのだとビックリされるはずです。
新しい楽器が数年弾き込まないと実現できない鳴りと音色に近く鳴る感じです。
ご希望の方はおっしゃってください。
多分考えればご自身でもできる簡単な方法ではあるのですが、慣れないと難しいかもしれませんね。
等々日々いろいろ実験です。ほぉさんに呆れられています!!が、ネオちゃんは喜んでいます。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ






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