さて大阪2日目。
深夜1時にチェックインして、翌早朝にはチェックアウト。。。
こんなスケジュールなら、次回はもう少し宿のランクを落としてもいいんじゃないかしら。。。
そんなことを考えながらインテリアの打ち合わせを終わらせ、さぁ、また二胡仕事です!
2日目は、午後から鳴尾先生の所で調整会、
の前に、
日本華楽団の練習場へ行って革胡の壊れ具合を診断することになっていたのです。
ご依頼は、昨年の『鳴尾弦楽団1stコンサート』の時にお会いしたOさんとTさん。
出演した重松さんの革胡を修理・調整を西野がしたとの鳴尾先生の舞台上での紹介を聞いて、
我々の座席まで訪ねていらしたのです。 「是非自分達のも診て欲しい」 と。
なかなか時間がとれずタイミングが合わなかったのですが、今回ようやく訪団。
おふたりが所有する革胡と楽団の分1把、の3把の状態を診る、というお約束でした。
ところが、行ってみれば、「これも」「これも」と
次から次へと出てくる、出てくる!!
凄いですね、こんな大きな楽器をいくつも所有していられる環境って、恵まれてますね!
しかし、残念ながら、いっぱい出てきたのに無傷の革胡はゼロ。
そもそもが、革胡と言う楽器、購入してそのまま使える状態の物は皆無なんだそうです!
なんだそりゃ?!な楽器です。 完成度低いにもほどがあるってもんでしょう。
でも、革胡奏者の方々は慣れたもの。 それが革胡のスタンダードなんだそうです。
それでも楽器をメンテナンス出来るお店が日本には無いのが頭痛の種。
今までも民族楽器屋さんや、チェロの工房などに持ち込んでみても、
迷惑そうにされ、嫌な顔をされ、たらい回しにあったそうです。
しかし、幸いにして、二胡医 西野は見ただけで次々に原因を突き止め、修理方法を提示出来ました。
今回は状態の診断と費用の見積もりをする為に訪れたのですが、
そのうちの一番軽症の革胡はその場で直せる箇所もあったので、そこだけ直しました。
それは、チェロの製作者さんが修理のつもりであえて施した処置でしたが、
革胡には、かえってマイナスにする処置でした。
仕方ないと思います、チェロとは全く違う楽器なのですから。チェロ職人さんには解らなかったでしょう。
それから話の流れから、なぜか二胡の調整も1つしました。
それと、講師の先生の二胡修理のご相談が出たりも。
楽器屋さんが有るようで、なかなか修理調整が出来るところは少ないようですね。
その楽団所有の革胡の中に1把、とっても良い木目の物がありました。
一目で「これは違う!」と思ったその樹種は、近くで見たら小葉紫檀でした!
楽団の方々も樹種までは判らないながらも
「この胡は音が良いんです」と音色の良さを実感していらっしゃいました。
ですがその胡も。。。やはり壊れてしまっていました。
店主は「これ解体して二胡作りません?♪」なんて言ってましたが、
せっかくの革胡、この大きさでの小葉紫檀は貴重でしょう。
是非キチンと直して末永く大事にしていただきたいですね~。
あと、ビックリしたのは、その楽団員の中に、
光舜堂にお問合せメールを下さったことででやりとりしていた、
そして、やはり『鳴尾弦楽団1stコンサート』の時にお会いしたIさんがいらしたこと!
思いがけないところで再会できて嬉しかったです。
さて、日本華楽団を後にすると、午後からは いよいよメインイベント(?)、
鳴尾教室の生徒さんの調整会です。
今回で3度目の調整会ですから、もう延べ人数で相当な数の二胡は診たでしょう。
コンディションを維持していれば依頼者はそろそろ少なくなってもいい頃なのに、
毎回調整希望者が一向に減りません。 むしろ、回を重ねるごとに増えている???
どうやら、生徒さんの“お友達”もいらしていたようで。。。
大勢の方に必要としていただけるのは本当に有難いことですね。
出張ついでとはいえ、大阪まで行っての調整ですから、大入り大歓迎です。
とは言え。。。
ひたすら集中しての調整はかなりハードです。
ただでさえ神経を研ぎ澄ませて持ち主さんの弾く音を確認し、そこから原因を聴き別けるのには
相当なエネルギーを必要とします。
あ、これ、光舜堂でもいつもやる事なのですが、
調整でいらした方には、まずご本人に普段通りに弾いていただくのです。
すると、それだけで、大体のその楽器の問題点や、雑音や、問題の原因が西野には解ります。
鳴尾先生は「楽器を手に取る前から原因が解るって、凄いー!!」とビックリされてました。
でも、ちゃらっと聴いているようですが、全神経を集中していますから相当疲れます。
渋谷の光舜堂では、混んでいても「ちょっと休憩」とか言って途中適度にリフレッシュしたりするのですが、
出張の場合、帰りの新幹線の時間と予約人数が決まっていますから、
「もう、やるっきゃない!」なので、ひたすら次々と診ては治して、そして調整していきます。
鳴尾先生の教室の生徒さん達は上手な方が多いので、
皆さん、結構今まで調整無しでも雑音を騙し騙し弾きこなしていらっしゃいました。
ですから、調整後に「本当はこんなに弾くのが楽だったの?!」と、
“健全に鳴る”とはどういう感触なのかを、初めて知った方もいらしたようです。
今回も多かった症状は、木軸のカタツキ。
木軸が痩せてきたり、元々緩く合っていない物だったり、と、グラグラする軸は雑音製造器と化します。
今回お一人、もはや、お預かり修理の域でしょう、という程の重症の胡がいましたっけ。
しかし中には、既にとっても健全なので調整の必要が無い胡、というのも(たまーに)有ります。
そういう場合、こちらは何もすることが有りませんからお代をいただきませんが、
今回の調整会でも、お二人ほど健全優良胡をお持ちの方がいらっしゃいました。
「これは問題、何も無しっ♪」
しかし、最後から2番目の、チェリスト重松さんの二胡は。。。
「あー、これっ、皮が末期症状!(笑)」
「きゃー!!」
重松さん、暫くの間放置していた楽器だったらしく、ご自分でもウスウス感付いていたようですが、
実際、キッパリと宣告されて「ああぁーーー。。。」
しかし、木の本体がキチンと乾いていないので、すぐには張り替え修理には入れません。
今皮を新しく張っても、本体の方がこれからもっと縮むので、皮が無駄になってしまうのです。
最近、巷にはこのような乾燥度の低いまま販売する中国製二胡がどんどん増えてしまっています。
(これについては後日店主が別項目として解説します)
重松さんの二胡は、これから更に縮んでくるのを待つしかありませんでした。
そして最後に、鳴尾先生のシャム柿。
鳴尾先生ほどの演奏家の方でも、調整後「弾きやすくなったー!」と言っていただけて、
調整の大切さを知っていただけて、それだけで西野の疲労は癒されたようです。
今回は全部で18把。
15把目くらいやったところで終わりが見え安心したのか、
ボスは途中クラっと目眩がしたようでテーブルに両手をつきました。
あー、ボスにキョ―レオピン飲ませるの忘れてた。。。と、今更ですがドーピング。
でも、なんとか時間に余裕を持って全二胡を調整終了出来ました。
本当は、折角来て下さった方々に、待っている間にでもDODECAGONで遊んでて頂きかったのですが、
音がデカイので、調整に集中出来なくなる、とケースから出せませんでした。
今度また持って行きますから、その時遊んで下さいね。
でも、皆さんにお会い出来て、数名の方には再会出来て、本当に嬉しかったです。
鳴尾先生にも時間中ずっとお付き合いいただき、ありがとうございました。
新幹線の時間が迫り、鳴尾教室の皆様に別れを告げ、老ガンダムは立ちあがります。
意外と元気そうなのは、どうやらドーピングの効果が出始めたようですね。
逆に、ワタクシの方が疲れてきました。 おなかが減ったのです。
(そういえば、美味しいお好み焼きを食べさせてくれるって釣っての出張だったはずなのに、
エサ、無いですよ?)
口に出さずとも眉間のシワで、ボスはワタクシが何を言いたいか読んだようです。
「ほーら、ほぉさん、タコヤキだよー♪」
と新大阪駅でアツアツのを買い与える部下懐柔術は、お見事!
タコヤキを食した後は車中爆睡。
あっという間の東京駅到着でした。
もちろん、持ってきた ぶ厚い本は読了ならず。。。
FIN
深夜1時にチェックインして、翌早朝にはチェックアウト。。。
こんなスケジュールなら、次回はもう少し宿のランクを落としてもいいんじゃないかしら。。。
そんなことを考えながらインテリアの打ち合わせを終わらせ、さぁ、また二胡仕事です!
2日目は、午後から鳴尾先生の所で調整会、
の前に、
日本華楽団の練習場へ行って革胡の壊れ具合を診断することになっていたのです。
ご依頼は、昨年の『鳴尾弦楽団1stコンサート』の時にお会いしたOさんとTさん。
出演した重松さんの革胡を修理・調整を西野がしたとの鳴尾先生の舞台上での紹介を聞いて、
我々の座席まで訪ねていらしたのです。 「是非自分達のも診て欲しい」 と。
なかなか時間がとれずタイミングが合わなかったのですが、今回ようやく訪団。
おふたりが所有する革胡と楽団の分1把、の3把の状態を診る、というお約束でした。
ところが、行ってみれば、「これも」「これも」と
次から次へと出てくる、出てくる!!
凄いですね、こんな大きな楽器をいくつも所有していられる環境って、恵まれてますね!
しかし、残念ながら、いっぱい出てきたのに無傷の革胡はゼロ。
そもそもが、革胡と言う楽器、購入してそのまま使える状態の物は皆無なんだそうです!
なんだそりゃ?!な楽器です。 完成度低いにもほどがあるってもんでしょう。
でも、革胡奏者の方々は慣れたもの。 それが革胡のスタンダードなんだそうです。
それでも楽器をメンテナンス出来るお店が日本には無いのが頭痛の種。
今までも民族楽器屋さんや、チェロの工房などに持ち込んでみても、
迷惑そうにされ、嫌な顔をされ、たらい回しにあったそうです。
しかし、幸いにして、二胡医 西野は見ただけで次々に原因を突き止め、修理方法を提示出来ました。
今回は状態の診断と費用の見積もりをする為に訪れたのですが、
そのうちの一番軽症の革胡はその場で直せる箇所もあったので、そこだけ直しました。
それは、チェロの製作者さんが修理のつもりであえて施した処置でしたが、
革胡には、かえってマイナスにする処置でした。
仕方ないと思います、チェロとは全く違う楽器なのですから。チェロ職人さんには解らなかったでしょう。
それから話の流れから、なぜか二胡の調整も1つしました。
それと、講師の先生の二胡修理のご相談が出たりも。
楽器屋さんが有るようで、なかなか修理調整が出来るところは少ないようですね。
その楽団所有の革胡の中に1把、とっても良い木目の物がありました。
一目で「これは違う!」と思ったその樹種は、近くで見たら小葉紫檀でした!
楽団の方々も樹種までは判らないながらも
「この胡は音が良いんです」と音色の良さを実感していらっしゃいました。
ですがその胡も。。。やはり壊れてしまっていました。
店主は「これ解体して二胡作りません?♪」なんて言ってましたが、
せっかくの革胡、この大きさでの小葉紫檀は貴重でしょう。
是非キチンと直して末永く大事にしていただきたいですね~。
あと、ビックリしたのは、その楽団員の中に、
光舜堂にお問合せメールを下さったことででやりとりしていた、
そして、やはり『鳴尾弦楽団1stコンサート』の時にお会いしたIさんがいらしたこと!
思いがけないところで再会できて嬉しかったです。
さて、日本華楽団を後にすると、午後からは いよいよメインイベント(?)、
鳴尾教室の生徒さんの調整会です。
今回で3度目の調整会ですから、もう延べ人数で相当な数の二胡は診たでしょう。
コンディションを維持していれば依頼者はそろそろ少なくなってもいい頃なのに、
毎回調整希望者が一向に減りません。 むしろ、回を重ねるごとに増えている???
どうやら、生徒さんの“お友達”もいらしていたようで。。。
大勢の方に必要としていただけるのは本当に有難いことですね。
出張ついでとはいえ、大阪まで行っての調整ですから、大入り大歓迎です。
とは言え。。。
ひたすら集中しての調整はかなりハードです。
ただでさえ神経を研ぎ澄ませて持ち主さんの弾く音を確認し、そこから原因を聴き別けるのには
相当なエネルギーを必要とします。
あ、これ、光舜堂でもいつもやる事なのですが、
調整でいらした方には、まずご本人に普段通りに弾いていただくのです。
すると、それだけで、大体のその楽器の問題点や、雑音や、問題の原因が西野には解ります。
鳴尾先生は「楽器を手に取る前から原因が解るって、凄いー!!」とビックリされてました。
でも、ちゃらっと聴いているようですが、全神経を集中していますから相当疲れます。
渋谷の光舜堂では、混んでいても「ちょっと休憩」とか言って途中適度にリフレッシュしたりするのですが、
出張の場合、帰りの新幹線の時間と予約人数が決まっていますから、
「もう、やるっきゃない!」なので、ひたすら次々と診ては治して、そして調整していきます。
鳴尾先生の教室の生徒さん達は上手な方が多いので、
皆さん、結構今まで調整無しでも雑音を騙し騙し弾きこなしていらっしゃいました。
ですから、調整後に「本当はこんなに弾くのが楽だったの?!」と、
“健全に鳴る”とはどういう感触なのかを、初めて知った方もいらしたようです。
今回も多かった症状は、木軸のカタツキ。
木軸が痩せてきたり、元々緩く合っていない物だったり、と、グラグラする軸は雑音製造器と化します。
今回お一人、もはや、お預かり修理の域でしょう、という程の重症の胡がいましたっけ。
しかし中には、既にとっても健全なので調整の必要が無い胡、というのも(たまーに)有ります。
そういう場合、こちらは何もすることが有りませんからお代をいただきませんが、
今回の調整会でも、お二人ほど健全優良胡をお持ちの方がいらっしゃいました。
「これは問題、何も無しっ♪」
しかし、最後から2番目の、チェリスト重松さんの二胡は。。。
「あー、これっ、皮が末期症状!(笑)」
「きゃー!!」
重松さん、暫くの間放置していた楽器だったらしく、ご自分でもウスウス感付いていたようですが、
実際、キッパリと宣告されて「ああぁーーー。。。」
しかし、木の本体がキチンと乾いていないので、すぐには張り替え修理には入れません。
今皮を新しく張っても、本体の方がこれからもっと縮むので、皮が無駄になってしまうのです。
最近、巷にはこのような乾燥度の低いまま販売する中国製二胡がどんどん増えてしまっています。
(これについては後日店主が別項目として解説します)
重松さんの二胡は、これから更に縮んでくるのを待つしかありませんでした。
そして最後に、鳴尾先生のシャム柿。
鳴尾先生ほどの演奏家の方でも、調整後「弾きやすくなったー!」と言っていただけて、
調整の大切さを知っていただけて、それだけで西野の疲労は癒されたようです。
今回は全部で18把。
15把目くらいやったところで終わりが見え安心したのか、
ボスは途中クラっと目眩がしたようでテーブルに両手をつきました。
あー、ボスにキョ―レオピン飲ませるの忘れてた。。。と、今更ですがドーピング。
でも、なんとか時間に余裕を持って全二胡を調整終了出来ました。
本当は、折角来て下さった方々に、待っている間にでもDODECAGONで遊んでて頂きかったのですが、
音がデカイので、調整に集中出来なくなる、とケースから出せませんでした。
今度また持って行きますから、その時遊んで下さいね。
でも、皆さんにお会い出来て、数名の方には再会出来て、本当に嬉しかったです。
鳴尾先生にも時間中ずっとお付き合いいただき、ありがとうございました。
新幹線の時間が迫り、鳴尾教室の皆様に別れを告げ、老ガンダムは立ちあがります。
意外と元気そうなのは、どうやらドーピングの効果が出始めたようですね。
逆に、ワタクシの方が疲れてきました。 おなかが減ったのです。
(そういえば、美味しいお好み焼きを食べさせてくれるって釣っての出張だったはずなのに、
エサ、無いですよ?)
口に出さずとも眉間のシワで、ボスはワタクシが何を言いたいか読んだようです。
「ほーら、ほぉさん、タコヤキだよー♪」
と新大阪駅でアツアツのを買い与える部下懐柔術は、お見事!
タコヤキを食した後は車中爆睡。
あっという間の東京駅到着でした。
もちろん、持ってきた ぶ厚い本は読了ならず。。。
FIN