新型コロナ 国内5つ目の治療薬候補
東大、週内にも投与
(2020/3/17付 日本経済新聞)
新型コロナウイルスの治療薬候補として、膵炎(すいえん)などの治療薬「ナファモスタット」が患者に試験投与されることが16日、分かった。東京大学医科学研究所が週内にも投与し効果を調べる見通し。国内では5つ目の治療薬の候補になる。今回はウイルス感染が広がり、影響の長期化も懸念されており、治療薬やワクチンの開発が急務となっている。
厚生労働省への取材で分かった。ウイルスの増殖を抑える別の薬とあわせて使用すると有効性が高まるとみられている。
ナファモスタットは日本で膵炎の治療薬として使うことが承認されている。日本製で後発薬もある。この薬については東大医科研と日本医療研究開発機構(AMED)が2016年、中東呼吸器症候群(MERS)の原因となったコロナウイルスが細胞に感染するのを防ぐ効果があることを発見したと発表していた。
新型コロナによる肺炎の治療薬の開発を巡っては、日本は抗ウイルス薬「レムデシビル」の国際共同治験に参加。このほか新型インフルエンザ治療薬の「アビガン」、抗エイズウイルス(HIV)薬の「カレトラ」、ぜんそく治療薬の「シクレソニド」も有効性が期待され、研究が進められている。正式な治療薬はまだ存在していない。