「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

(アゼルバイジャンVSアルメニア)ナゴルノ・カラバフ問題から見えてくる様々なゴタゴタ<2023年10月

2023-10-08 08:46:44 | ヨーロッパ

時事問題には、キーワードがあります。そのキーワードからこれまで興味もなく知ろうともしなかった事が色々見えてくることがあります。
ニジェールの軍事クーデターでは、フランスの旧植民地国家を巡る問題点が分かりました。

ナゴルノ・カラバフ問題は、相当根が深くて様々な事が複雑に絡み合っています。

『ウクライナに支援継続 「欧州政治共同体」が首脳会合』
2023年10月05日22時33分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023100500663&g=int

実はこの会合でアゼルバイジャンとアルメニアのトップが事件後、会談して話し合う予定でした。例によってアルメニアに好意的なメデイアは、アゼルバイジャンが一方的に会談をキャンセルしたと報道していました。
この記事を読むとアゼルバイジャンが会談をキャンセルした理由が書いてあります。
「欧州政治共同体」の会合にトルコの出席を認めませんでした。それでアゼルバイジャンが、カチン!と来て会談をキャンセルした訳です。

EUのトルコ差別の実態が見えてきます。トルコはNATOの一員として東西冷戦時代からロシアの南下を防ぐ南の砦です。この部分ではトルコを利用するのにEUへの加盟申請はアレコレと理由をつけて認めようとはしません。「欧州政治共同体」の会合でも同じことをしました。

そしてナゴルノ・カラバフ問題には、南カフカス(コーカサス)を巡る大国同士の思惑が絡んでいます。ここに以前から関与しているのが、ロシア・トルコ・イランです。イランがここに関与する理由は、ロシアとの交通路の確保です。
『カフカス地方の「地政学的変更」に反対表明 イラン』
2023年10月3日 12:00 発信地:テヘラン/イラン [ イラン アゼルバイジャン アルメニア ロシア・CIS トルコ 中東・北アフリカ ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3484467?cx_part=top_category&cx_position=3

イランのドローンをロシアに運んだのは、アルメニア経由の陸路だと思います。今回、アゼルバイジャンは西の飛び地との交通路を確保して広げようとしています。これは東西の交通路ですから、もしこれが実現するとイランとアルメニアの南北の交通路が遮断される恐れがあります。イランの言い分は、自分のロシアとの交通路を妨害するな・と言うことです。

このエリアに全く関与できないフランスとアメリカは、アルメニアを取り込もうとしています。

長年アルメニアを支援してきたロシアは、2020年戦争でも今回のアゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ地区への武力行使でも全然アルメニアの期待とは違い、介入しませんでした。
ロシアも相当、アルメニア支援が負担になっているのだと思います。ナゴルノ・カラバフ地区への関与を止めたと言うことです。アルメニア系武装勢力の武装解除と希望者の安全なアルメニア領への移動をバーターして問題を終わらせました。

このことがアルメニアの首相やアルメニア国民には、ロシアの裏切りと解釈されて断交にまで発展しそうな気配です。そしてその代わりにアルメニアは、アメリカやフランスを頼ろうとしてます。

フランスとアメリカにとっては、「渡りに船」のような話で秋波を送っています。

『仏、アルメニアに軍事支援へ 外相が訪問』
John Irish、Charlotte Van Campenhout
2023年10月4日午前 5:46 GMT+918分前更新
https://jp.reuters.com/world/us/ACD3PDLEB5PX3OV6MO2H7NUAEE-2023-10-03/

すぐ、このようなことを始めます。
そして、アメリカは?
『米はアゼルバイジャンへの安全保障支援中止を=上院外交委員長』
2023年10月5日午後 1:32 GMT+91時間前更新
https://jp.reuters.com/world/us/UI4MA6MI2NLXHE3RKM4FI32E3E-2023-10-05/
記事を読むと驚きますが、ほぼ立場に公平な部分はなく、全面的にアルメニアのプロパガンダをそのまま根拠にしています。
そもそもナゴルノ・カラバフ地区は、アゼルバイジャンの領土だという認識は全然なく、おまけに『アゼルバイジャンによる「民族浄化」活動を踏まえ‥』?
そんなの、どこにあったんだ?
更に言うなら?アルメニアの「民族浄化活動」は無視するのか❓

驚きの認識と言うべきか、事実を捻じ曲げて捏造しています。ロシアのプーチン氏のウクライナ侵略の根拠と同じくらいに酷いと思います。
正に!
「ダブル・スタンダード」そのものです!

アメリカは、これまで関与できなかった南カフカスに影響力を持てるチャンスに飛びつきました。フランスもグルです。それ自体は、アルメニアも望んでいることですからいいと思います。
しかし、やればトルコ・ロシア・イランと摩擦が起きるのは、必然です。特にトルコとの摩擦は酷いことになると思います。
トルコがロシア寄りになっても、全然不思議ではない話です。ユーロでのトルコの差別的な取り扱いと言い、ウクライナのゴタゴタが済んだらトルコが、どのような立場をとるのか分からないと思います。

トルコがNATOの南の要だという認識があれば、このようなアメリカとフランスの態度は、有り得ないと思います。ロシアが、もう少しまともな国になればトルコがロシアと組んでも全然おかしくありません。当然ながら経済的に中央アジアを制覇していると言える中国も接近して来るでしょう。

トルコが、ロシアや中国と組んだら?
どのような勢力図が出来上がるか?
更にはイランまで加わる可能性すらあります・・・

ユーラシア大陸の中央から、アメリカもユーロも完全に排除されると言うことです。ロシアは積年の夢である南の海へのアクセスを得ることが出来ます。「ロシア~アゼルバイジャン~イラン」これが望ましいと思うのは、アホ!でしょう。

アメリカやフランスがご機嫌を取るべき相手はアルメニアではなくて、トルコ(=アゼルバイジャン)であることは普通に考えればすぐにわかると思います。

何を考えているんだか❓



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