「北の山・じろう」日記

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主要な戦場と副次的な戦場(ドネツク戦線とハルキウ北部戦線)<ウクライナ紛争2024.07.10

2024-07-10 19:57:24 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

ウクライナ紛争に関してニュースや情報を判断するのに、そもそも双方が何を目的として戦闘を繰り広げているかを理解する必要があります。
今回は、ロシアの立場から見ます。
(ウクライナは、ウクライナ領の全土奪還です。)

ロシア軍の現在の戦闘状況から判断するとロシア軍の第1の戦争目的は、ドネツク州の全土制圧です。
当然、ここに大きな戦力を投入して戦闘を続けています。
主要な戦場です。

副次的な戦場は・・・
①ハルキウ北部戦線
②ハルキウ・クピャンスク戦線
③南部ザポリージャ戦線
などがあります。
この中に陽動作戦的戦線と現在は主要でないが将来主要な戦場になる可能性のある戦線があります。

①のハルキウ北部戦線はロシア軍にとっては陽動作戦的戦線です。ここにウクライナ軍を引き寄せて消耗戦に持ち込み、他の戦場でのウクライナ軍を減らし、あるいはここから増援部隊を他の戦場に送らせないことを目的としています。ほぼ現状維持でOKな戦場です。
最悪、負けても構いません。
優先度は、一番低い戦場です。

③の南部ザポリージャ戦線も似たような戦場です。
ここを攻めていたのはウクライナ軍です。
だからウクライナ軍の南方への突破を許さず防御できれば、それで構いません。
多少、押し返してゼレンスキーをイラつかせていますが特段急いでロシア軍が進撃する必要はありません。ドネツク州の次に問題になる戦場です。

②のハルキウ・クピャンスク戦線。
ここは、ハルキウ州東部制圧をロシア軍が考えているならハルキウ州東部の最大の軍事的要衝であり、目的により優先度が高くなります。しかし無理をして攻撃する必要は、現在のところはありません。
クピャンスクは要塞化されており攻めるには、大きな兵力と大きな犠牲が伴います。
そこまでして今、攻撃する必要があるかどうかの問題です。
普通に考えるなら、今はないでしょうね❓
しかし、ドネツク州が終われば次の最も重要な戦場になると思います。

と考えてくるとロシア軍の現在の主要目標は、ドネツク州全域制圧であり、これに関連する作戦と各戦場の優劣がロシア軍にとり重要です。
ドネツク州の戦場でも優先度は、違います。
現在ロシア軍が最も積極的に軍事行動をしているのは・・・
「アウデイーイウカ戦線」
「ゴルロフカ~トレツク戦線」
この2か所です。このエリアの占領地の拡大と全域制圧を目標にしているように見えます。

あれ、あれ❓と思いませんか❓
春先からロシア軍が激しく攻撃し常に話題の中心になってきたチャシブ・ヤールの戦場。
ロシアの情報戦と陽動作戦の勝利と言えます。
ここを攻めるぞ!と散々ウクライナ軍を脅し上げておいて、まだチンタラ攻めています。
ウクライナ軍を引き付けて消耗させる、ハルキウ北部戦線と似たような戦場であったことが、結果として分かります。

つまりドネツク州を、南部・中部・北部と分けるなら、ロシア軍が現在最大兵力を投入して攻撃しているのは、中部の「アウデイーイウカ戦線」と「ゴルロフカ~トレツク戦線」です。
北部に当たる「チャシブ・ヤールの戦場」は現在は副次的な戦場です。
マリンカ戦線や南ドネツク戦線も現在は副次的な戦場です。

これが傾向として出てきたのが、6月20日前後からのロシア軍の「ゴルロフカ~トレツク戦線」での攻撃開始です。

ドネツク州でロシアの占領地の凹んでいるバフムト南勢方面とゴルロフカ西方面=アウデイーウカ北部の制圧のための攻撃を開始したので、当面の優先的な戦場が判明しました。

アウデイーイウカ市街北西のオチェレティネOcheretyneの更に北西のノヴォオレクサンドリウカNovooleksandrivkaから、更に北西に進撃してヴォズドヴィジェンカVozdvyzhenkaから主要補給路のT-0504の遮断を目指す方向。

そうしておいて補給の苦しくなったニューヨークNiu-York~アルテーモヴェЗалізне~トレツクТорецьк方面を、現在激しく攻撃中です。
ここまで来るとアウデイーイウカ市街攻略後、ロシア軍が何を狙っていたのかが、やっと分かります。

アウデイーイウカ市街~コンスタンチノフカКостянтинівка方向の制圧を狙っていました。
チャシブ・ヤールからコンスタンチノフカКостянтинівкаを狙うと見せかけて、本当の攻撃路は南のアウデイーイウカからコンスタンチノフカを目指して現在、攻撃中です。

相当、手の込んだ気の長い騙し方です。

とこのように書いてくると、どこでウクライナ軍が負けると最大の被害があるか分かります。
ニューヨークNiu-York~アルテーモヴェЗалізне~トレツクТорецьк方面です。
ここで負けるとロシア軍のコンスタンチノフカが始まります。こうなるとウクライナ軍は北部ドネツクが一気に苦しくなります。

同時にロシア軍は、アウデイーイウカ戦線で西部の補給の大拠点であるポクロウシクPokrovskを目指して進撃を開始すると思います。

ポクロウシクPokrovskとコンスタンチノフカКостянтинівкаをロシア軍が制圧する事に成功したならば、ドネツク州の他の戦場は補給不足から自然に立ち枯れます。
やっと私にもロシア軍の現在の優先目標が理解できました。
そうなると注目するべき戦場も分かります。
その戦場での優劣がどうなるか❓が、今後のドネツク州での両軍の優劣を決めると思います。


※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑤
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



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