十二月五日聖護院門跡に於いて
修験の服装問題
藤井
修験の服装と天狗の服装が同一なので一寸困りますね、法螺を吹くといふことも世間では悪い意味に用ゐられてゐるし、とにかく修験道は服装について考へ直さねばならぬと思う。
宮城
修験の装束は凛々しくて私共は非常にすきですが天狗の姿に似てゐたり、芝居の勘定帳などに、禍されて尊厳味が失われてゐる点もあるやうです。
草分
修験の装束をつけて乞食をする者のあることは迷惑至極です。
藤井
乞食修験は警察で取締つて貰つたらいゝんですよ。
草分
聖護院一には派乞食修験はほとんどゐないのですが世間では見分けがつかないので同一視されて困ります。それはともかくとして服装問題も大いに研究の余地があります。第一法議を執行する場合と労務に携はる場合とは服装を変へねばいかんと思つてゐます。
宮城
青年団の団服のやうなものを労務服として制定してはどうかね。
藤井
それは面白いでせう。一つ考案することですね。
宮城
しかし、大分時間がたちましたからこの辺で打切ることに致しませう。
原門主謝辞
省略