古の土地の為、やはり落ち武者や侍の怖い話が非常に多い。芸大バスの
ロータリーには落ち武者の切られた首だけが飛びながら追いかけてくる。
美術学科の裏の池の水面に立つ侍はこちらを怨めしそうに睨んでいる。
ある号館のトイレの鏡は、映った自分の後ろから落ち武者が近づいて来る。
大学周辺の恐怖体験を入れると一夜で話せないほどの数。手をふる地蔵、
生首の飛ぶ竹薮、おばけ灯籠、平家三代の墓、皆殺しの家、どんづる…。
学生に一番身近な下宿やマンションが一番最悪。そこに住むと病死して
しまう部屋。連なった部屋を鎧武者が通り過ぎる下宿。かならず毎年に
1人焼身自殺する音楽学科の女性。ボーガンで撃ち殺された学生が出る駅。
夜中に166号線を白い車で通ると、車の屋根に白い着物の女性が乗る。
窓に手首だけが這うある下宿のトイレ。こんな感じがひんぱんに起こる
この地の学生達は引っ越しを余儀なくされたり、頭がおかしくなって大学を
辞めたり、行方不明になったり、自殺したりする。この辺の地名の由来は、
都市伝説に近いものから正式なものがある。芸大バスが芸大と繋ぐ駅の
「喜志」は「鬼死」。「台ヶ塚」は「首切り台ヶ塚」、「富田林」は
「首が飛んだ林」から訛ったもの。「河南町」は大阪弁で「かなんな~」
と言う、怖くてたまらない町と言う意味の「かなん町」など。。。
日本各地、否、世界中には死体が埋まっている。当然その上で誰もが
生活をしている。そして、古墳や古戦場跡という後世に伝える目的の場所
での芸に関係することをするのなら、覚悟や供養がいる。天岩戸で踊り、
歌い、演奏する意味は隠れた者を出すこと。それと同じで、何かが潜んで
いる場所で芸事をすれば、古の眠りを呼び覚まし、肉体を探しだす物の怪
共が這い出てくる。そこできゃつらの依代(よりしろ)となるものは、
自称シャーマンだったり、心に隙間がある者だったり、霊的なものに
ふざけた対応をする者。物の怪達に許可無く、もしくは一方的に強引に
許可を得て立てた古墳の上の巨大なコンクリートの墓石。大阪○大内の
芸大生は正にきゃつらの生け贄なのだ。古墳の周辺や古戦場跡での芸事や
祭りを何も解っていない素人がすると当然危険。自ら生け贄を志願する
ようなもの。古の地では自分自身を守るのは自分だけ。残るひとつの
選択は、戦いを放棄して、ひたすら逃げまくるしか無いのである。
宴会の最中、幾度もラップ音やポルターガイスト現象が起こり、私達は
恐怖夜話を辞めざるをえなかった。朝8時頃に解散して、各自大学に
行ったり、バイトに行ったりした。私は恐怖夜話の中のある話のことが
気になりつつ、授業に出た。その話を後々、ダースから聞くはめになる。
聞きました。 ボスヒコ

