kirekoの末路

すこし気をぬくと、すぐ更新をおこたるブロガーたちにおくる

流星の11月9日(最終回)

2008年11月10日 22時06分57秒 | 小説の感想と批評
遙かな時に、全てを掛けて。@kirekoです。

>今日の感想と批評

皆さんここまでお疲れ様でした。
ついに最終回です。

■企画の意図は、こちら
http://blog.goo.ne.jp/kireko1564213/e/7e03a0212eb392c37028780a1c7f63d9

*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:読める判定(kireko個人が読めるか読めないか)
:好き嫌い判定(kireko個人が好きか嫌いか)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

会議室で生まれし恋 ジャンル 学園 作:にゃおや

:あらすじ
昔から知り合いだった委員長の那覇と主人公が、会議室をきっかけに付き合いはじめる、恋のストーリーです。

:感想
学生たちの恋愛話。
再三このブログで言ってきたことだが、恋をするという事に理由も、これといった経緯もない(または描写不足がたたって納得できない)恋愛というのは、読んでいて旨味が無く、ストーリーに一つでもアクセントが無ければ面白くないのは当たり前だ。この作品は、そういった恋愛作品での問題点が、全て結集している作品だろう。浮き足立った表現、書き方による読み詰まり、理由や心理を描写せずキャラクターだけが一人歩きする設定、ストーリーの平坦さ、どれをとっても気になることだらけだ。ケータイで投稿していることから、こういう風になってしまっていると思いたいが、変なところで改行したり、または改行しなかったりというのは、読んでいて拷問だ。何故会議室で委員長は泣いていたのか、何故主人公は告白したのか、どうやって二人は付き合っていったのか、七年間の合間に何も無かったのか、そういう描写が一つでもあれば、少しは理解できるものの、その経過も何もすっ飛ばして、ただキャラクターの感情だけ(といっても肝心の心理の描写が一つとしてないのが)が、物語にポンと置いてあるだけでは、読者の感動もくそもない。告白からキスまでの早すぎる展開は、まるで中身の無いインスタント食品のように、無価値で、無残だ。かといって読者の想像を促すぐらい文章に余韻があるかといえば、その余韻すらないのがまた……。駄作!読む価値なし!

:読める判定 悪い意味で気になることだらけ :好き嫌い判定 内容が無いよう



丁半草履 ジャンル その他 作:yoichi

:あらすじ
小さな宿場町を訪れた旅人は、荷物持ちの子供と博打をすることとなった。あっけなく決した勝負には実は裏があり……。一風変った博打を扱った時代物です。

:感想
ここはおまえらが 後人生を賭け死力を尽くしている
言うなら 戦場だ・・・・・・
戦場で後ろから撃たれた後ろから・・・・・・と 騒ぎたてる兵士がどこにいる・・・・?
いたら物笑いの種にされるだけだろう
戦場では だまし打ち 不意打ちが日常・・・・・・
皆・・・・・・・・ なんとか相手の寝首を掻こうと・・・・ 後ろに回ろうと・・・・・・
策を巡らしている それが真剣勝負というものだ
おまえは今 ただ・・・・後ろから刺された それだけだ・・・・! 散れっ・・・・!


という黒服の言葉が聞こえてきそうなオチは、やっぱりギャンブル物の面白味だと思う。
というわけで話がズレたが、博打が好きな旅人(商人?)と荷物持ちを買って出る悪童との博打の話。
本作品は小説というより、どちらかというと滑稽を主観とした落語に近い雰囲気だ。その時代の文化、時代考証など細かい部分を知らなくても、台詞主体の問答が続くので、全体的に文章が軽く読みやすいのではないだろうか。さて、というわけで感想に入っていこう。珍道中、というまでには至らないものの、悪童と主人公の話が想像しやすく、トントンと一定のリズムで本文が進んでいくため、そういう流れが面白いと感じる人も中には居るだろう。時代的には江戸時代中期あたりを想像しているのだが、その時代の博打というと、時代劇などで見る丁半博打が有名だが、今作品では札付きの悪童と草履の裏表で博打をする。このギャンブルの方法を見た時、ちょっと既読感を感じたのだが、それがなんだったか思い出せない。「博打うちの千切れ草履」ということわざもあるが、あれは博打なんかに興じるとその内草履も買えなくなっちゃうよって意味だったしな。さて、話を戻そう。ギャンブル小説や漫画には、ギャンブルに熱を入れてのめりこむ敗北者の心理や姿が印象的に書かれる場合が多い。この小説もギャンブルに熱を入れた男が隙を見せた途端一転して敗北する話なのだが、作品全体の軽さも相まってか、「全てを失った主人公の悔しさ」の描写や、それを表す台詞が今一描ききれていない感じがした。こういう作品だから、そういう描写になってしまうのは仕方ないと思うのだが、話の流れは簡単であり、読者も素直に飲み込めるのだからこそ、そこでグッとギャンブル作品の旨味である「負け様」「勝ち様」の心理を徹底的に印象付けしたほうが、読者の眼を惹く事も出来るし、作品全体が締まって良いのではないだろうか。あと、悪童の使うイカサマの理屈が少しわかりにくい気がした。草履に詳しくない人が「鼻緒がとれるようになっている」だけで、そのイカサマを理解できるだろうか。その辺が気になった。
全然関係ない話だが、個人的には童子と旅籠がグルになっているオチを期待してしまった。というより、金子を何処に隠していたのかは知らないが、肌を離れる手荷物の中に隠すのは流石に無用心過ぎるのでは。まあそんな人間の甘さが、こういうゆるい話の面白いところではあるのだが。とにかく、ギャンブルに関しての小説は珍しいので、個人的には頑張って欲しいと思う。よく聞く話で「ギャンブルに勝つ一番の方法はギャンブルしないこと」という言葉があるが、やはり人間、特に男というのは、金銭のかかった博打ともなると興奮してしまい、賭け事が好きなのだと思う。一度目の前に大量の金銭と勝利の熱が入れば、止めようとしても止まらないほど熱中してしまうのが、ギャンブルの恐ろしさであり、魅力でもあるということか。

:読める判定 軽く読める :好き嫌い判定 軽すぎる気が



ナガラ ジャンル ファンタジー 作:荒也

:あらすじ
生まれなおしながら絶えず生きていく清魔。長良はそんな種族の一人だった。旅の途中ふと辿りついた村にはかつて恋人だった女性が宿を営んでいた。

:感想
長命種と、それに関わる人たちを描いた和風ファンタジー作品。
最終回でも手は抜けないなと思う本作品の長さ、16439文字、読了時間約33分。目に悪い背景色を使っていることもあり、かなりkirekoの神経をすり減らしてくれた。さて、じゃあその長大な内容を、あえてkirekoが無駄の無い一言で表すと何かというと、独りよがりだ。kirekoの趣味に合わないっていうのもあるが、とにかく書き手の癖が出てしまっているのか、文章から一般読者、しいては誰かに伝えようという意思が感じられない。世界観が異質であったり、設定が独りよがりになりがちなファンタジー作品でも、描写や理屈が整っていて「読ませてくれる」面白い物は色々あるが、これはそれら良作とは別の独りよがり。気持ち悪さばかりが目に付く話だった。気持ち悪いと感じた理由の一つとして、作者は自分の作品が長大だと認識しているのにも関わらず、文章の「読みやすさ」を捨てて、「自分の世界」にお熱になり、読者への配慮をしなかった事だ。以前にも言ったかもしれないが、作品が長大であるからこそ、読みやすい構成、理解しやすい文章表現、そういった読者への配慮が必要なのに、描写は綺麗さばかりが目立って読みにくいわ、ファンタジー作品で一番重要な人物や世界観の設定は常時説明不足で回りくどくて飲み込みにくいわ、唯一面白いと思った戦闘シーンも、なんだか中途半端に片付けられているわ、とかく長さの割に言いたい事がまとまっておらず、展開も話自体の設定が理解できてないから想像するのも難しく、文章の長さの分だけ頭を痛くしてくれる。それについて端的な例題をあげるなら寝過ごした時間が勿体無いと、こう考えてしまうわけだ。傭兵稼業でそこそこ貯めたので良いかと思っていたのに、妙なところで野武士なのだなと、一転して苦笑。こういうところ。大して時代背景の説明もしてないのに野武士なんて単語が出てくるあたりいけ好かないが、野武士という存在がこれこれこうだったから、とか知らないと、なんでこいつ笑ってんの?意味不明ーって一般読者は感じる部分なんじゃなかろうか。こういった、作者は知っているから説明しないという不備のある描写が、読者の知らない「作者オリジナルの設定」にまで食い込んでくるから、読んでいて不快極まりない。話の面白さ云々の前に、まず説明しろと言いたい。例えば何も知らないズブの素人が、真っ更な状態からファンタジー作品を読むのだから、説明や描写は、理解を促せるぐらい丁寧でなければいけない。想像し難い無駄な表現や回りくどい描写をするぐらいなら、それを削って、理解しやすい、ちゃんとした説明を書き込んで欲しい。基本的な文章作法を守っている点は評価できるが、こういう説得力も無ければ納得もできない書き方で構成されたファンタジー作品は総じて読みにくく、はっきり言ってしまえば文字の拷問だ。この場を借りて言っておきたいのは、小説において作品が長大になるというのは、決して「作者が語りたい事を語って無駄が多い」のではなく「ストーリーや設定について丁寧に描写をしたから必然的に長くなる」のである。確かに設定やキャラクターの存在は面白いが、読者が飲み込めなければ只の文字の羅列だと思う。担当→短刀なんて誤字もそこらじゅうにあるし、ズブの素人が読むものと仮定して、もう一度第三者視点から自分の作品を読み返してみるのが良いんじゃないだろうか。

:読める判定 読者は作者ではない :好き嫌い判定 最も嫌いな書き方のファンタジー作品



Spirited away ジャンル ファンタジー 作:光差す海

:あらすじ
厳しいIT業界で働いた吉永祐輔は心の病に苦しんでいる。ある日、ゲームを買いに行ったアキハバラで易者の水晶玉を覗き込むと・・・。

:感想
過酷な仕事で、鬱病に悩まされる主人公が異世界に行くという話。
どうやら最終回ということで、神か誰かがkirekoを殺そうとしているようだ。面白い、俺は神にだって従わない!というわけで、文字総数35914文字、読了時間約72分という長編顔負けの短編作品だ。と、意気込みは強く言うものの、内容は至って簡単だ。非常に一本気なストーリーで読みやすく、巻き込まれた異世界に存在する、生きとし生ける万物が擬人化した登場人物の魅力や、やや変な改行については疑問が残る物の、どんな読者でも想像しやすいほど簡単な文章、入りやすいように工夫された世界観そのものの書き方、そのものの説明は、非常に読者に配慮した作品だと思う。だから、短編とは言いがたい長編とはいえ、最期まで緊張せず、コメディー調の表現もあり、スラスラ読めたと思う。現代に生きる人間を主役に置いているため、メタな発言が本文中に多いが、物の描写を簡単にしているという工夫として読めば、決して気になるところではないだろう。とにかく、その世界観がとても魅力的だ。「希望なき世界」と本文中では書いているが、その異世界の内容は娯楽が少ない以外、「生きる」という感覚で言えば希望に満ち溢れている気がする。とにかく異世界に存在する(つれてこられた)キャラクター達が、色とりどりで良い。口の軽い管理者であるタツノオトシゴ、パワフルな用心棒ゾウ、人間大のカブト虫のカブスなどといった、どこまで擬人化されているかはわからないが、その外見と中身のキャラクターは千差万別であること、それは本作品の魅力であると思う。本文中で気に入ったシーンが幾つかあるのだが、その中でも新入りのキツネがゾウに「削除」された時に、
見れば紙に「ユウ用。」と書いて貼ってある。見れば、下のベッドには「ネキ用」とある。
と思った瞬間、タツノがそれをひっぺがした。

という、少々の描写がこの世界の厳しさと、タツノというキャラクターの性格を同時に現していると思う。他の部分では擬人化なすびが風呂場で主人公に
「あと、中には石鹸とかシャンプーは備え付けてあるよ。持ってないんだろう。
俺には入浴の習慣はなかったけどね。風呂は好きになったな。」
と、ナスススと笑った。

なんていう、笑い声にまで拘る描写もあり、何度も言うが、登場するキャラクターが愛くるしい。該当となっている生き物が身近な存在であり、擬人化と一言で片付けてられてはいるが、その実、見てくれが想像しやすいからこそ、読者が愉快と感じられるという、無駄の無さと旨味を同時に伝えてくれるところが凄い。ファンタジー作品とは思えないほど、現実と密接している描写は、本作品の読みやすさである、その特徴的でユーモラスな一面と世界観を伝えるのに、実に上手く演出していると思う。ただ、そういう擬人化された生物や、同じ人間でも口の聞けない軍人上がりの青年のほうが目立ってしまうので、ややテンプレじみたヒロインの影の薄さは否めない。
しかし、kirekoが特筆したいのは、やはりこの不思議な世界での骨組みというか、世界観設定の説明が簡単で、緻密なところだろう。特に食べ物の話。生きとし生ける万物が働いているため、食事の時間は、生物同士の自然界の弱肉強食、食物連鎖がどうしても発生してしまう。そういった種族間の食事問題を解決する描写が、今作品は良く出来ている。食事をする時間や部屋の違い、食べる物品も、植物は光合成とジュース、肉食獣は青色の肉、草食獣などは四角い木の実(何の肉とか、何の植物とか、その他の種族にわからせないための工夫は、とても上手いと思った)、虫類は黄色いビスケットと、世界観のリアリティを裏づけする描写、その発想力の豊かさには驚かされるし、納得できるところが凄いと思う。擬人化ニシキヘビのラジオ体操の様子が気になったりもしたが、基本的に引き込まれる世界観と、その描写だった。
後半、主人公とアヤのデートシーンについては、ちょっと現代に引きずり出された感覚が残されるものの、二人が世界を脱出するための答えに気付き、最期の試練を受けるところなんかは、展開自体は安直だが、それまで長い間描写してきた事も相まって、まるでヒーローものの最終回でも見ているような印象を受けた。どうでもいい話だが、どうしても最初のシーンと世界観の構造の部分で、映画千と千尋の神隠しを彷彿とさせる描写があって、ああ、ああいう感じなのかと想像を膨らませていた事が、作品を読む上で良かったのかもしれない。
しかし、総じてこの作品の凄味であり、旨味であるところは、ファンタジー作品として何よりも一番大事な、作者の描くファンタジーな世界観に、読者がすんなりのめりこめる話であるということだろう。秀作!

:読める判定 変な改行の具合さえ直せば :好き嫌い判定 素直に面白い



給食のツンデレ。 ジャンル コメディー 作:にーとん

:あらすじ
もはや萌えシリーズと化した給食シリーズ。俺の作品は全部読んどいた方が良いかもよ?

:感想
             __-- 、,. -‐;z.__
           `> `    ′ <     言わなければ言われる‥‥
          ∠..           ヽ      言わなければ言われる‥‥
           ∠,.  , ./`ヘ. i. 、    l        言わなければ言われる‥‥
            /  ,ィ_l/ u ヽl>,ゝ、 :|
         イ ィ.‐-ニjl  l'∠-‐; |n |     言わなければ言われる‥‥‥!
.          j fl|`u゜‐/ v゛ゝ゜~'u|fリ |
          / lj| v / _ 、 U v lレ'  ゝ          ‥‥‥‥
         / .ハ にニニ二} ,イ  ハ.、_\
        _∠イ |0ヽ. ー u/│ l ヽ `T!'ー- 、._    けど‥‥‥‥‥‥
   , -‐'''´ || / │ |::\./ O .|. j   \||     `ゝ、
   ハ    |レ'   lル'::::: u   ,.イルi  /o >    /  i  言わないっ‥‥‥!
  / l   ∠o_o_/c| `::ー-‐0´:::::lyト、<o ,.イ!    ,'   l
  〉  |    ||.  〈ヽ| :::::::::::::::::::::::l0| ` ´ .||    i     l  言わない‥‥‥‥
. /   l__o_.||__,∨:::::::::::::::::::::::::|. L___」|_o___」   /|   言わない‥‥‥‥
 ハ.   |T¨「 ̄|. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ̄「 ̄「|  ./ |
 ! ヽ.  | | |  |  , ‐┐   , ──‐ 、   |  | │|     ハ 言わないんだっ‥‥!
∧     | L⊥._|  ┐│    l ┌┐ |   L.⊥._」 |    / l

感想を言うとかそういうレベルじゃないってことは作者が一番わかってそうだ。
最後の最後にこれがくるとは、くっ、感想には魔物がついているな。

:読める判定 \(^o^)/ :好き嫌い判定 \(^o^)/



============終了===============

>お疲れ様でした。

これにて約半年間長らくやっていた当日感想企画は終了です。
突然に感じる方も居るでしょうが、とりあえずボトムズの予告を掲載前に入れ始めた頃から、この予告が全て終わったら、感想も終わらせるという決まりが自分にもあったので、ここで企画の終了を宣言したいと思います。
幸い、新しい感想ブログや、コブラ君の感想ブログポータル構想も実現に向けて邁進していることもあり、そういった感想に携わる人たちが徐々にではありますが、増えてきているので、kirekoの感想が無くても、毎日の刺激や感想に事欠く事は無いと思います。

こんな自己満足に関わってくれた、感想仲間のふうらい屋さんや、kanameさん、
良くコメントなどで応援してくれた一読者さんや、その他諸々の感想について
拍手で感想をくれたり、助言をしてくれた百戦錬磨の勇者たち、
そして、ここを覗く全ての読者に、感謝と労いの言葉を送ります。

長らくの間、おつかれさまでした。
kirekoの感想にお付き合い頂き、ありがとうございました。

■最期の最期のWEB拍手(何か一言あったらどうぞ)


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修羅の11月8日

2008年11月10日 02時27分21秒 | 小説の感想と批評
全てを得るか、地獄に落ちるか。@kirekoです。

>今日の感想と批評

出会って別れて。
また出会って消えて。

感想文の改行、行頭一字あけやめました。
理由はこのブログの仕様にあわないと感じたのと、kirekoが飽きたからです。

■企画の意図は、こちら
http://blog.goo.ne.jp/kireko1564213/e/7e03a0212eb392c37028780a1c7f63d9

*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:読める判定(kireko個人が読めるか読めないか)
:好き嫌い判定(kireko個人が好きか嫌いか)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

マイラブリーボーイ~異説源氏物語・彼女がもしも彼だったら? ジャンル 恋愛 作:秋鹿 柚玖

:あらすじ
もし源氏物語の紫の上が男の子だったら?そんなパラレルで、お馬鹿なコメディです!源氏物語が好きな方は読まないことをお勧めします^^;

:感想
あの古文でやった長編小説、源氏物語の一部の内容を、ちょっとパラレルに解釈してみた意欲的な作品。
BL物と、少し厄介なネタだなと思いつつも、原作で超がつくほどスケこましであった光源氏君が幼少時から付け狙っていた紫の上が、もしも男だったらという面白い観点で出来ているところは、なかなか評価できる点ではないだろうか。なぜ面白い観点であるかというと、紫の上は源氏の正妻(その間に紆余曲折あり)でありながら、養女はあっても、その間には実子が出来なかった。では何故子が出来なかったのか?と、そういう疑問の部分を紫の上が「男性」と捉えるところによって解消するというのは、なかなか目新しい解釈なのではと感じたからだ。源氏物語はFF(二次創作)作品に入るのか?という理由もあり、どうしようか迷っていたが、意外と面白そうな内容だったので、読んでみた。源氏物語というと、雅な世界が好きな人ならともかく、気だるく眠たいという印象があるが、この作品に関しては、ストーリーの桃尻語訳がなされていて、全体を通して非常に軽い話だ。それに準じて登場するキャラクターも、噛み砕いた性格で書かれており、台詞が主であり、使用する表現も簡単なので、若干源氏物語とは違った印象を受ける。理屈はどうあれ、歴史物を扱うのに重要な歴史観の説明などは省かれているのが気になるが、実際kirekoのような原作に興味を持っていない人でも、少しは読める作品に仕上がっていると感じさせる、わかりやすい文章だった。話は変わるが、中途半端にシリアスな色恋沙汰や、女々しく気持ち悪い心情描写が入るBL物を、大がつくほど嫌いなkirekoが、なぜこのBL物と銘打った作品を最期まで読めたのか。その理由の一つに、コメディー色を残す友愛に近い関係で物語を完結させている部分がある。もちろん、男同士の一晩の夜伽なんてのは、まったく興味が無いが、終盤似つかわしい若干の弱さを見せる雄々しい紫の上の快活なキャラクターが良かったのか、源氏との会話がシーンとして良かったのか、なんとなく面白いと感じられる部分はあったのと、下手に行為に及ばず、変な男同士の友情物として見れる物語の余裕が、作品の最期まで読める事を可能にしてくれたのが、個人的にありがたかった。ただ、問題としてあるのは、「しょうこにもなく」などの誤表記(おそらく「性懲りもなく」と考えられる)や、前述の通り、物語全体の軽さを重視したために源氏物語に描かれる、その時代の風俗や文化、風習に関して、もう少し簡単な説明をしておけば、一般読者がより想像しやすくなって良かったんじゃないだろうか。
 
:読める判定 簡単に読める :好き嫌い判定 風俗、文化についてもう少し描写を



哀れなドラゴン ジャンル 童話 作:無色

:あらすじ
昔々、今は存在しない国の一匹のドラゴンの話

:感想
人に利用された悲しきドラゴンの話。
誤字、脱字、句読点の無さ、改行のしすぎととにかく読みにくい上に、完成度が低い作品だ。童話だから、と言ってしまえば簡単かもしれないが、それにしたって、もう少し理由があってもいいんじゃなかろうか。海底の国が他国との戦争のために、今作品ではそれなりに自我や思考をもったドラゴンという生き物を利用し、全部捕獲するならまだしも、絶滅寸前まで血みどろの争いをするのは、とても非効率的だと思った。狩られた側である優しいドラゴンの誰かの役に立ちたいという理由や、苦しむ人間たちを見て葛藤するシーンなども短く、「壊れた」という表現も読者にとっては何が起きているのか非常に理解し辛いと思う。ジャンル:童話として、全てを細かにちゃんと書くのは難しいが、この書き方ではオチも投げっぱなしと思われて仕方ないのではないだろうか。

:読める判定 \(^o^)/ :好き嫌い判定 まずは、とりあえず推敲を。



カフェオレの君 ジャンル 恋愛 作:シーダイメイ

:あらすじ
私がバイトしていたカフェに、彼はやって来た。初めて言葉を交わした日、彼は言った。「今日で最後なんです。遠くに、行かなくちゃ、いけなくなってしまって……」

:感想
カフェにいつもいる美少年が、主人公と交わした最初で最期の言葉。という話。
とても想像させる話なのだが、やはり恋愛要素と云々よりも、何故彼が遠くに行ったのか、その理屈がないことに目が行ってしまう。遠いところというのが、何処をさしているのかわからないが、後半出てくる彼の兄と言う人の口ぶりからすると、たぶん「自主的に上の世界」に行ってしまったと思うのが妥当だ。しかし、少なくとも主人公に恋をしている人間が、最期に会話しただけで満足し、そんなことをするだろうか。描写を端折って、読者に想像させたいのだとしても、少し動機の面が、おざなりになりすぎているのではないだろうか。とにかく、遠くへ行った彼の心が謎だ。確かに終盤の表現は小説的で、含みがあって良いのだが、そこを打開しないと納得できる話ではなかったと思える。

:読める判定 読めるが :好き嫌い判定 いったい何が彼をそうさせた



こころの折り方 ジャンル 恋愛 作:餅煎餅

:あらすじ
彼の折り方を教えてもらって一ヶ月間。なかなか上達しない彼女が折り方を教えてもらう理由とは……。

:感想
男女が折り紙を折る話。
折り紙の折り方について書かれているので、kirekoも実際に話と平行して紙を折ってみた。……kirekoは手先が非常に不器用なので、折り紙で鶴なんて出来ねえよ馬鹿野郎ー!と、思わず彼女の心とシンクロしてしまった。と、そんな感じで始まる話なのだが、恋愛を感じさせる作品としては意外とベタベタな内容なのではないかと感じる。中盤から終盤にかけて、恋愛作品にしては、要素を匂わせる肝心の話の進行具合が早すぎると感じたので、全体のバランスを考えつつ、二人の関係についてもっと描写してくれると良かったと思う。中盤以降のデレデレぶりには、流石のkirekoも顔から火が出るかと思ったが、その辺は読める人と読めない人が限られてくるだろう。ただ、個人的な好みでいうと、この主人公である彼女が最期にとった行動は、なんとなくニヤニヤしてしまう。前半でこれでもかと言うほど「不器用」というイメージを植えつけられたので、不器用なのに徹夜しての折る彼女の姿を思うと、健気で良いじゃないと感じさせてくれる。

:読める判定 序盤に比べて中盤以降が早すぎる :好き嫌い判定 不器用が一転して健気を演出するオチは好き



虹色サンゴ ジャンル 恋愛 作:紙原孝養

:あらすじ
少年は泳ぐ。島の海を。ただがむしゃらに。

:感想
島で起こった悲劇、人魚の呪いと言われる不治の奇病に感染した母親を救うために珊瑚を探す主人公と、同じく奇病に侵されながらも主人公を支える少女の話。
なんだか今日は恋愛作品が多い気がする。kirekoの日ごろの行いが悪いからだろうか。しかしもっと驚くべきは、この作品の総文字数30567文字、読了時間約62分という圧倒的なプレッシャー。これといって読みやすいという感じでもないので、読むのには相当の覚悟が必要だ。是非、読む時は覚悟を決めて読んで欲しい。というわけで、感想に入っていこう。序盤の話の筋立ては時間軸通りに進まない、やけに次の展開まで長ったらしい描写が来て、少々イラッと来るものはあるものの、全編を通して見ると、非常に展開の起伏があって面白い。ネタバレになってしまうので、そういうのが嫌いな読者は読み飛ばすか、先に本編を見て欲しいのだが、読者に判りやすいように噛み砕いて本編の流れを点々と解説すると、人魚の呪いと称される謎の風土病、主人公の母親の危機、おとぎ話を信じて突き進む主人公の前に現れる奇病を患うパートナーの登場、いつの間にか主人公はパートナーと恋仲になりサーカスでデートを敢行、すれ違いが見えた二人を他所に主人公の母親の死が舞い込む、そして意気消沈する主人公の元に同じく病気が発病したパートナーの姿、その後死期迫る彼女のために賢明に珊瑚を探す主人公は、ついに最期の最期激流の潮が流れる海域へと飛び込んでいく、という風に見せ場や展開は、よく出来ていたと思う。長文ゆえに、三箇所ほど誤字脱字が見えたところが惜しいが、後半の主人公が抱く焦燥の描き方は、書き手の熱が入ってしまったのか若干荒々しい表現や、勢いで済ませる描写も多いが、展開でつけた文章の勢いもあり、主人公の切迫している感じが伝わってきた。告白や恋愛パートは、少しご都合的な感じもするが、話をドラマ仕立てにするには必要だったろうし、最期の演出に関しても納得できる感覚だった。個人的に一番好きだったのは、母親が死んでから意気消沈する主人公の元に現れる彼女の姿が、どんどんやつれて変わっていくところ。それに応じて終盤の焦燥も勢いのある描写になっているのだが、悲劇の展開をドラマティックに演出していると思う。一番想像できたのは、突然の交際宣言の次の日、病魔に冒される彼女と行ったサーカスの描写の細かさ。この辺は、空間を想像しながら読めたと思う。
ただ、問題点としてあるのは、描写に拘る部分が見えるのに、何故最期の最期で一番大事なシーンを台詞描写でまとめてしまったのか、という点と、やはり表現が似たり寄ったりになる部分が多いので、読者が「文章が長過ぎる」と感じてしまう事だろう。展開面の面白さはあると思うだけに、この二点に関しては改良の余地があると思った。文章の長さを感じるのは、地の文がやや回りくどく、――線や、台詞文に「……」といった表現が多用されて、やや平坦になってしまっているからだと思う。物事が展開する1パートは、それほど長いとは思えないのだが、主人公達の視点や感情にばかり書き手の表現が集中して、その他の描写や表現、読者が読むのを飽きさせない一歩身を引いた書き方、それを比喩などを使って滑らかに表現すること、それを使うタイミングなど、色々な原因があると思う。後者の問題に関しては、少なくとも本文中で描写を端折っている感じは無いのに、なぜか最後の最後に陳腐な台詞描写で済ませているのが気に食わなかった。この辺は作者の間合いだと思うのだが、どうしても不思議と感じてしまう。

:読める判定 細かい部分がまだまだ気になる :好き嫌い判定 展開は面白い


==========終了===========

>ふう

あまりの恋愛ラッシュ、そして最後の作品の長さ。
開始したのが23時00分くらいだったので、予定よりかなり時間をかけてしまった。
決して意地で読んでるわけじゃないが、
そういう意地みたいのが見えちゃう感想になってないか、心配だ。
さて、最期の更新も頑張ろう。


■記事に置くと何故か拍手が増えるWEB拍手(何か一言あったらどうぞ)


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