kirekoの末路

すこし気をぬくと、すぐ更新をおこたるブロガーたちにおくる

シナリオ【異変】-5

2005年10月31日 18時29分51秒 | バイオハザード・OB・FILE『K』完結
PM8時23分 奥の席

トイレの付近で悲鳴が聞こえる。
ドアには、べったりと鈍く赤い血液が滴りおちる。
トイレ付近の客が騒ぎ出し、悲鳴が店内中にこだまする。

「お、おい。あれは・・血じゃないのか?」
岩田は震える声でトイレのドアに指を指した。
指した方向には確実に正気を失った男がうつろにこちらを眺めている。

「な、なんだありゃ・・・」
健二が声を上げる。まるでスプラッター映画の描写のような血飛沫が
トイレを中心として客席に向かいゆるゆると流れだしている。

「と、とにかく逃げよう!非常口に向かうんだ!」
智弘は恐怖の顔を浮かべながら席を立ち、その場にいた皆に言い放つ。
健二は綾香の手をつかみ非常口を確認すると走りだす。
健二を追うように智弘や岩田、他の二人も上着と荷物を持つと走り出した。


座敷

「一体なんだって言うんだ!」
座敷にいた恵の部下が声を上げ、フスマを開けると
そこには恐怖の顔に歪んだ客が逃げまどっている。

「うっ、な、なんだ・・」
ピシャッと部下の顔に液体がつく。
何かと顔を触ってみると、独特の匂いとツーッと広がる赤い色が
手についている。ヒッ!と思わず座敷のほうへしり込みしてしまう。

「血・・・部長!血・・血です!!」
悲鳴を上げる部下は、思わずフスマを閉じる。
フスマの外では恐ろしい悲鳴の数々が聞こえる。

「何が起きている?おいオマエとオマエ。様子を見て来い」
部下の驚きようを目の当たりにした恵だが、意外と冷静だったのか
余裕そうな面持ちで部下に命令する。

「は、はい」
二人の部下は立ち上がり、フスマの前にたち開けようとする。

ドンッ!!ズズ・・・

「うわっ!」
次の瞬間、部下二人はフスマから出てきた何本もの腕に
体ごとフスマをぶち破り引き摺り出されてしまった。

「うわああああああああ!!」
血飛沫がフスマに当たり恐ろしい悲鳴と共に
どよめきに似たうめき声と再度部下の悲鳴がフスマを通して伝わってくる。
貫かれて穴が開いているフスマを恵が覗くと、奥にいた光りを失った恐ろしい男二人が部下に襲いかかっている。

「な、なんだこれは・・・ひぃぃ!」
さっき腰を抜かしていた部下が、立ち上がりながら後ずさりをする。

「これは・・・とにかく逃げるぞ!ついてこい!」
恵は隣の座敷のフスマを大急ぎで開け、ホールへ出た。

「うっ!!」
ホールへ出た恵が自分達の居た座敷のあたりに目をやると、
うめき声と共に部下ではない男が体を引き摺りながらこちらを見ている。
全身から血が出ているようだ。


「う、う・・たすけ・・・グワッ!」
全身から血を流す男の足には顔色が変色したさっきの男達が、
男のふくらはぎ部分からかかとにかけての足の部分に食いついていた。

「うわああああ!!」
恐怖に耐え切れなかったのか悲鳴を上げて大急ぎでその場から走り出す部下。
入り口に向かって走り出した部下を追おうとするが、近くにあったトイレのドアが勢い良く開き、さっきの男達と同じような正気を失った顔の女が出てくる。

「くそっ・・!」
退路を二つ塞がれて恵は周りを見渡し、緑色の蛍光色を放つ機材を目にすると、
冷静な顔に少し焦りの色を浮かべ、トイレ近くの曲がり角を急いで通過し
非常口に向かって走り出した。



非常口
入り口の惨劇に気づいた何人かの客やトイレ付近での惨劇を目の当たりにした客。それら異変に気づいた客が非常口に列を作り、ドアを開けようとしている。
非常口は逃げようとする人で、ごった返していた。

「くそっ、なんで開かないんだ!」
重い金属で出来ている非常口の大きなドアは、
なぜか鍵もかかっていないのに開かない。
何人もの男性客がとっかえひっかえドアをあけようとするが
ドアとドアノブは重い金属音を立てるだけでまったく開きそうにない。

舌打ちと悲鳴が入り交ざる中、携帯に必死電話する女性客や
その場にへたりこむ男性客。その中には怪我を負ったものもいる。


「くそっ・・・なんでこんな時に・・・」
「なんなんだよう・・あの男は・・」
その中に居た健二や智弘は開かないドアに苛立ちを覚えつつ常に周りを
つぶさに見まわしていた。

岩田はドア近くの前列に行ったようだ・・・。
マルさんと茂子はイラツク健二たちの周辺に固まっている。

「な、なんで・・なんでなの・・・」
綾香は、携帯電話で警察に電話をしているが、なぜか繋がらない。
リダイヤルボタンを押す綾香の手は震えている。

「おい早く開けろ!」
前列のほうに居た飛鳥は、怒声とも思える声をあげてドアの前の客に言い放つ。

そうこうしている内に、
さっきまでドアを開けるのに必死だったサラリーマン風の男が言い放つ。

「誰か!この中で力の強いの!手伝ってくれ!五、六人一斉にタックルしてドアにぶち当たれば、その力で開くはずだ!」
群集の中から一人、また一人と屈強そうな男が出てくる。
そして岩田も手を上げ、その中に加わったようだ。



「よしいくぞ・・・せーのッ!!」
ガタイのいい男達がドアから少し助走距離をとり
息を吸い込み一気に力を溜める姿勢になる。
男の掛け声と共に一斉にドアに突っ込む男達。


ドーンッ!  ガンッ!


重圧に耐え切れなくなった重い金属製のドアが開く。
ドアを開けた勢いで男達は体ごと外へ出た。
一気に外の冷たくなった空気が入ってくる。

「よし!皆逃げろーッ!」
先頭の男が声を上げると前列の客達がゾロゾロと駆け足で出てゆく。


だが、走り出した客達を待っていたのは、正気を失った緑色の化け物だった。


先にドアから出て行った客は次々と襲われていく。
逃げようとする客も恐ろしい力で引きずり出されていく。
悲鳴を上げてその場に倒れる客の中に岩田もいた。

「うわああ・・!」
走ろうとしていた飛鳥が非常ドアのノブに手をかける。
重い金属のドアがゆっくりとしまりはじめる。

「い、岩田ーーッ!」
健二が大声で襲われている岩田に叫ぶ。
岩田の元へ走ろうとするが急いで非常ドアに逃げかえる客に止められて
身動きが取れない。

「くそっ!け、健二・・うわああ!!」
襲い掛かってくる化け物を払いのけようとする岩田だが、
肩口を噛み付かれ、ぐったりとする岩田の体が見える。


ズゥン・・


「岩田ーーーーッ!!!」
健二の叫びと共にドアが大きな音を立てて閉まる。
その場に崩れ落ちる健二を見て、智弘が叫ぶ。

「くそ!なんでドアを閉めた!」
ドアを閉めた飛鳥に摑みかかり、悲鳴の聞こえるドアの前で
怒号を浴びせる智弘。

「し、しかたねえだろ!化け物が中に入ったら俺達もやられちまう!」
胸倉をつかまれながら、必死に弁解する飛鳥。
ドアノブから離れた手は震え、顔には恐怖の表情が浮かんでいる。

智弘は飛鳥の胸倉から手を離し、ドアの前で崩れた。
マルさんと茂子が智弘の近くに寄ってくる。

「なんてことに・・・なんてことになってしまったの」
綾香が恐怖と悲しい顔を浮かべて肩を落とす二人と同じ気持ちに襲われながら
ポツリとつぶやいた。




非常口の外は悲鳴とうめき声が聞こえる・・・。



この記事を評価する


シナリオ【異変】-6へ

ウインクキラー

2005年10月30日 11時39分38秒 | 末路話
この支配からの卒業@kirekoです。

>ウインクキラー
昨夜のRO集会にてやりました。
このゲームなぜか周りにはローカルなゲームとして記憶されているんですが
どうやらインディアンポーカー並にマイナーな模様。
けど案外白熱して面白いですぞ!

>kireko式ウインクキラールール
8~15人の人数で、まず最初にトランプ同じマークのK、Q、J、他数字を人数分用意します。職業は犯人、共犯、警察、民間人の四タイプありまして
それぞれの特殊効果があります。

【トランプのキング】犯人
⇒ウインクキラーの黒幕。ウインクで他人を殺すことができる。
(実は隠しルールで共犯も殺せる)
共犯のウインクでは死なない、警察が身分を明かして逮捕するか
裁判でつるし上げを食らったりしないかぎりは死なない。
共犯以外の全員を殺せれば勝ち。
この人が捕まると警察の勝ち、裁判で殺されると民間人サイドの勝ち。
裁判参加可。一人限定。

【トランプのクイーン】共犯
⇒ウインクキラーのストーリーテラー。ウインクで殺すことができる。
トランプを配り見た時点では、犯人が誰だかわからないが
ウインクして死ななかった人間が犯人なので、まずは身内の犯人探しが
優先となる(犯人同士の自滅を避けるため)。それがわかったら速攻
他人をウインクキラーにかかる。裁判参加可。だいたい1~3人

【トランプのジャック】警察
⇒ウインクキラーのヒーロー。普段は民間人の格好をしている覆面警官。
自分の持っているトランプを裏から表へひっくり返して
自分が警察であることを皆に見せて、他人一人を強制逮捕できる。
身分がばれた警官と、強制逮捕された人は犯人共犯民間人かかわらず
その場で退場になる。
初っ端ウインクで殺されると俄然犯人の有利を引き出す要素を持っている。
たまに民間人と刺し違えることも・・・。
裁判参加可。だいたい2~3人。

【トランプの絵柄がついていない数字】民間人
⇒ウインクキラーの被害者。殺されることを前提に考えているので
民間人同士が結束して裁判メインの戦いになるだろう。
犯人が利口な奴だと、民間人の裁判に参加して
ジャマな警察や民間人をどしどし死刑にできる。裁判参加可。
他の職業の人が裁判を1回しか行えない設定だが、民間人は裁判三回、同意も
三回まで参加できる。人数が一番多い。


【裁判】
「起訴!」と大きな声を上げて二人以上が「同意」と声をあげれば裁判が成立する。「いっせーの」と声をそろえて一斉に容疑者を指さし、揃っていればその人は
強制死刑となる。ただし、一人でも間違えばその裁判は不起訴となる。
犯人、共犯、警察は同意1起訴1しか出来ないが民間人は同意3起訴3できる。



このゲームの面白さは【共犯】が【犯人】を知らなかったり
【警察】があやしいと思って逮捕したら【民間人】だったなどの
心の探りあいがおもしろいです。一種の推理ゲームと洞察力の勝負。
だから犯人が共犯を殺したり、裁判で民間人が警察殺したりできるわけです。

まあ今度人数が集まったらやりましょう。

シナリオ【異変】-4

2005年10月28日 17時01分24秒 | バイオハザード・OB・FILE『K』完結
PM8時15分 虚無僧入り口


目の前に力なく倒れる店員の体から広がる赤い液体。
液体は入り口を赤く染め、ドア付近は今まで嗅いだ事の無い悪臭に包まれている。
血飛沫は会計のレジスターまで飛び、重さに耐え切れなくなった大量の血が
メニューが貼ってあるポスターから滴り落ちる。

「・・・お、おい嘘だろ?うわ・・これ血・・まじかよ!!」
床にへたり込んでいた飛鳥がヨタヨタと後ろに下がりながら叫ぶ
目の前に広がる信じられない光景。飛鳥の顔は恐怖で引きつっている。
さっきまで少し赤い顔だった飛鳥の顔面は青ざめ
自分の側には、おびただしいほどの生暖かい店員の血飛沫が
顔にも服にもべったりとついている。

ボタッ・・・ボタボタッ!

「ア”ア”・・・ア”!ア”!ア”!!」


店員の喉下を咥えていた男が人間とは思えない奇怪な声をあげる。
口に咥えていたそのモノが口を開けることによって音を立てて
黒塗りの床におちる。ライトに照らされて、より鈍い赤に
恐怖を引き立てるには申し分のない光沢が出る。

男が店内に入ってくる。入り口からの逆光であまりよく見ていなかった
姿が、飛鳥の目視に入ってくる。

明らかに生気を失った目。口は血で汚れ。汚れたスーツのシミから赤い液体がポツポツとおちる。肌は老人のような斑点が無数に広がり、口の周りの肉は剥がれ落ち、歯茎など内部がむき出しの状態だ。

「うわ・・・あああ!ば、ばけものだーーーーッ!」
後ろを向いたまま立ち上がり、悲鳴を上げながら勢い良く駆け出す飛鳥。


飛鳥の悲鳴に気づいた店員たちが入り口に駆け寄ってくる。

「あ、あれを・・・」
飛鳥が恐怖の表情で指を指した。
入り口のドアは開いたままで外からの冷たい風が店内に少し入ってくる。
何かが腐敗したような不快な匂い、血の匂いと共に。

「どうしましたお客様!・・・うっ!」
飛鳥の指が示す方向に目をやると店員は絶句してしまった。
それまで注文に追われ、笑顔を絶やさなかった店員が
血まみれの入り口と壁の異様に目を疑う。

さっきまで一緒に仕事をこなしていた店員はおびただしいほどの血を流し倒れ
倒れた店員の近くにいるの男は荒く辛そうなうめき声をあげながら、口からだらしない唾液をたらすように血を流し、こちらを見つめている。


「ウ・・ウゥ・・ア"ア”ア”ア”!!」


男はもう一度うめき声を上げると、倒れていた店員の体に覆いかぶさるように
自らの膝をつき、血がドクドクと流れる店員の首筋に噛み付きだす。

ガリ・・ピチャ・・ガリ・・カリ・・ザシュ!・・カツカツ

一噛みで首の血管繊維を食いちぎり
脊髄の辺りで一瞬噛むのをやめ、エグるように皮膚のついた
血まみれの内部組織を夢中で食っている。

「け、警察をよんでくれ!」
目の前の悪夢におびえながら、我に返った店員は大声で集まってきた
他の従業員に、無意識に手のひらを従業員に向けて広げ、
後ろに下がるように指示する。さっきまで仕事でかいていた汗とは
違う汗が、額から流れる。嫌な汗だ。

後から集まった従業員は、その光景を目の当たりにすると
顔から笑顔が消えて、悲鳴にかわる。

「な、なにをしているんだ!はやく警察に電話するんだ!」
少し冷静さを取り戻しつつあった店員は、後ろで棒立ちする
他の従業員を見て声を大にして再度言い放つ。

それの気づいた従業員達は厨房のほうへ走り出したようだ。



「くそっ!は、はなせ!」
いまだ倒れた店員の体に噛み付いて離れない男をどけようと
恐怖に引きつりながらも、男の肩に両手をかけ思いっきり力を込めて
倒れた店員の体から引き剥がそうとする。



ドォン!!!



次の瞬間、ものすごい力で店員が吹っ飛ばされた。
血飛沫で赤く染まった壁に、もの凄い音を立ててぶち当たり
店員は大きな音を立てて、その場に崩れ落ちる。
音は店内中に振動と共に伝わった。


「な、なんだどうしたんだ?」
何人かが異変に気づき、こちらを不思議そうに見る
だが、数秒後にはその顔も恐怖で一杯になった。

悲鳴を上げる女性客、その悲鳴に気づくように周りの
女性客が席を立ち、その場から逃げようと厨房のほうへ向かう。
テーブルにおいてあったジョッキやグラスが倒れ、床に勢いよく落ちた。

ガシャンガシャンと破裂するような連続音が店内中に悲鳴とともに響く。
何人かの勇気ある男性客が、席から立ち上がり入り口の方へ走る。


男達が入り口に着くと、壁に叩きつけられ倒れていた店員の体には
血染めのスーツの男とは違うジャンパーの男が噛み付いていた。
やはり目には黒い部分が無く、顔面の肌はただれ、緑色に変色している。

噛み付かれている店員は肩口から血を流しながら
必死にジャンパーの男を引き剥がそうと抵抗している。
だがジャンパーの男が再度口を離し、店員の首筋に噛み付くと

「ギャアアア!!」
周りに悲鳴を撒き散らしたあと動かなくなり、その場に静かにぐったりする店員。

その光景を見ていた客の男達に、さっきまでの覇気は無く
顔面には恐怖の表情を浮かべ、その場から立ち去ろうと後ずさりしている。


だがその時、入り口からまたゾロゾロと人が入ってくる。
ジャンパーの男と同じような肌の色をし、また目からは黒い部分を失っている。


「ア”ア”ア”ア”ア・・」


悲鳴と共に襲われる男性客の声が店内に響いた。



それらの声や音は健二たちが座るホール席にも、恵がいる座敷にも聞こえた。



店内奥の席

「なんだなんだ?」
不思議そうに席と席の仕切りから顔を出す智弘。
そこには人だかりが出来ており、何か事件があったのだろうかと
智弘が言うと、岩田まで席を立ち上がり、その光景をまじまじと見つめる。

「すごい音がしたけど・・・何があったか見える?」
綾香が立ち上がってのぞいている智弘に問いかける
少しワインのせいで顔が赤い。

「何かがぶつかった音みたいだったけど・・・」
酒を余り飲んでなかった健二は、ほろ酔い気味の皆とは違い
音をわりと冷静に聞けた一人であった。
不思議そうな顔で智弘や岩田に問いかけたが、良く見えないらしい。

健二が不思議な顔をするのも無理はない、
ジョッキやグラスが割れる音は居酒屋ではよく起こりうる音だが
重い何かがぶつかって響く音や、常軌を逸した客の悲鳴に似た音は
日常居酒屋で聞くような音では無かった。



ドタン!バタバタ!



その時、物凄い勢いで走ってきた飛鳥が、健二たちのテーブルの横で
思いっきり前のめりに転倒する。

「大丈夫ですか!」
マルさんが床に倒れた飛鳥を心配して席を立ち、飛鳥の側に立ち寄って起こす。

「い、入り口に化け物がいるんだ!あんた達も早く逃げるんだ!」
飛鳥は恐怖に震え、転んだ痛みなど感じる暇さえないほど必死な顔をしている。
さっき男に殴られた箇所がうっすら青みがかっている。

「あんた酔ってるんじゃないか?いくらなんでも、そんな冗談受けないぜ」
冷静な健二が飛鳥に少し怪訝そうな顔をして言い放つ。

「う、嘘じゃねえ!もう俺は逃げるぜ!」
マルさんを押しのけ、カウンター席に向かって走り出す飛鳥。

「なんなんだあいつ。これだからヨッパライは困るぜ」
健二は飛鳥に弾き飛ばされた倒れたマルさんの体を起こし、つぶやくように言った。





カウンター席に向かう途中のトイレから、
さっきまで寝ていた飛鳥の連れの中国人が出てきた。

「お!バイト!起きたか!大変なことになってるぜ」

「・・・」
中国人は顔をうつむいたまま何も言わない。
不思議そうに再度声をかける飛鳥。

「おいどうしたんだ?とにかく早くここから出ようぜ!」

「・・・ァ・・ス・・・カ・・サ・・ン・・ボク・・・」
中国人はカタコトな日本語を少し辛そうに喋る。

「は、はやいとこ逃げようぜバイト!」
せかす飛鳥は中国人の肩をつかみ、早くその場から立ち去ろうとする
だが中国人の体は、やけに重く、動く気配すらない。

中国人は顔を上げると飛鳥に向けてこういった。

「・・ア・・・ス・・カ・・サ・・・・・ン・・・ニ・・ニクッ・・」

飛鳥が驚いて摑んでいた手を肩から離すと、中国人の顔をよくみる。
肌には斑点が見られ、やけに緑がかっている。
そして、口からはおびただしい血。

トイレのドアの内側からうめくような声が聞こえる。

「た・・たすけ・・てくれ・・・いきなり噛まれ・・て・・血が・・・」
肩口から血を流した男性客がトイレのドアを這いずりながら出てきた。

「ニク・・・!!」

「うわあああ!!た、たすけてく・・れーっ!」
倒れた男に中国人が覆いかぶさるように噛み付きだした。




「・・・くそ!!おまえもかよ!!」
飛鳥は絶叫を上げると非常口に向かって走り始めた。

厨房内


カウンター席は妙にあわただしく、調理をする者もオーナーの万田も手を止めて
恐怖と焦りの顔で一杯の従業員と話している。

「とにかくお客に被害が及ぶとまずい、事件の後の対応の悪さでガイドブックに叩かれるのは店のイメージにも関わる。とにかくお客を裏口から逃がすんだ」
万田はガスレンジのスイッチを切り、従業員にどうするべきかを伝える。
顔は苦々しい表情に曇り、少し怒気を含んだ言葉調で会話を続ける。

「チッ。警察に電話は、まだ繋がらないのか!?」

「今かけているんですが・・・繋がらなくて・・・」
おびえて受話器の前に立つ従業員に
やれやれと言った感じでエプロンを脱ぎ捨て、厨房の奥へ向かう万田。

「これで三日は営業できないな・・まったく大損害だ!」
ステンレスの冷蔵庫をコブシで思いっきり叩き、




万田は従業員用のロッカールームへ消えていった。



この記事を評価する



シナリオ【異変】-5へ

シナリオ【異変】-3

2005年10月27日 22時45分43秒 | バイオハザード・OB・FILE『K』完結
事件当日S市居酒屋【虚無僧】店内PM6時27分

店内には、すでにもうどのくらい飲んだか
わからなくなるぐらい出来上がっている人や
静かに楽しく酒を交わし会話を楽しむ老夫婦
何か嫌なことがあったのだろうか、一人で自棄酒を煽る男などがいる。
店の入り口正面突き当りのカウンター席の横には木製のウェスタンドアがあり
ウェスタンドアの上には仕切り板がある。
ガチャガチャと食器音が鳴り響き、ガタンといい音を立てて置かれる器の数々。
そこに出来上がった料理などを置いてゆくのだ。

仕切り板の上には日本酒のボトルや洋酒を注ぐためのグラス、ビールのジョッキ
美味そうな湯気を立てて並ぶつまみの乗った皿がトレイに乗っている。
客からの下げ皿や空のジョッキはすぐに厨房内のシンクの泡の中に放り込まれる。
ホールの店員が注文の紙を持ち、仕切り板上の壁に貼り付けていく。
店員は動きを止めることなくホールと厨房を往復し、
威勢のいい声を上げながら、専用のトレイに乗ったメニューを運んでいる。


健二たちが居酒屋に入ると、賑やかなホールで手の空いた店員が
「いらっしゃいませ」と満面の笑みとともに声をかけてくる。

「予約されたお客様ですか?」

少々焦ったように店内を智弘が口を開く。
「予約はしてないんですが、席はあいてますか?」

少し困ったような表情見せる店員。
さすが人気の居酒屋店だ、ホールは客で一杯で、座敷は全席予約貸切であった。

「ただいま店内大変混み合っておりますので、少々お待ちいただきますがよろしいでしょうか?」

苦笑いで智弘に話しかける店員。

「はい」
納得するように入り口付近に居た健二達に事情を説明し
入り口手前に設置されている椅子に座る仲間達。

その時ホールの客が立ち上がり財布を出して何か相談している。
どうやら退店するようだ。

「お勘定おねがいしますよ」
「はいありがとうございましたー!」

店員の威勢のいい声と共に、ぞろぞろと男女の団体が入り口から出てゆく。
深深とお辞儀をし、体勢を戻すと健二たちの座っている席のほうを向き

「お待たせいたしましたお客様!席まで案内いたします!」
ぞろぞろと立ち上がり話をしながら店員についてゆく健二たち。

空いた席は他の店員によってすでに片付けられており
ピカピカに光る黒塗りの机には居酒屋のライトに照らされて
趣きのある光沢を演出している。

椅子に座ると店内の充満する店員達の熱気から上着を脱ぐ健二と智弘。

「やれやれ、やっと座れたぜ」
健二が智弘を少し目線で意識して喋る。もちろんジョークだ。

「まったくね。人気の居酒屋なんだから混むなんて私でもわかるわよ。」
健二のジョークに乗る綾香。若干の嫌味くささも古い友人の彼らには日常会話と同じだ。

「ごめんごめん!あやまるから許してよ」
苦笑いで答えつつテーブルの端にあるメニューを取り出す智弘。

「まあまあ、ともかく座れたんだからいいじゃないの?」
マルさんが三人の仲裁に会話の中に入ってくる。

「で、何頼む?俺はうどんがありゃいいな」
岩田がメニューをペラペラめくりながら、写真を見る。

「まったく岩田は空気読めてないわね、とりあえずメニュー独り占めするのはやめようね!」
岩田が会話の流れを切って、メニューを独占しているので注意をする茂子。彼女は元生徒会長なので仕切るのがうまい。


「はいはい、じゃあまず何飲む?俺は生ビールかな」
智弘がメニューを岩田から取りあげる。岩田は唖然といった感じだが気にしない。

「じゃあ俺もそれで」
健二が智弘に向かって手を上げながら言う。岩田と茂子も同意する。

「私は白ワインかな~綾香はどうする?」
マルさんが、もうひとつのメニューを見ながら言う。

「うーんと…じゃあ私は赤ワインたのむー」
メニューを見てちょっと悩みつつ、目に入った赤ワインに惹かれ注文する綾香。

「さて、飲み物は皆決まったことだし。つまみは適当に頼んどきますよ」
智弘がみんなの意見をまとめつつ、息を吸い込み大声で言う

「店員さーん!注文おねがいしまーす!」

ホールから店員が駆け寄ってくる。

PM7時02分 虚無僧 奥座敷一室

ノートパソコンを部屋の隅に置き、
上座に恵、下座に恵の職場の部下が三人座っている。
座敷の中は周りの騒がしさとは別次元で、正座する部下を尻目に
手酌で日本酒を注ぐ恵。
部下は自分たちが何故呼ばれたのかもわからずに来ていたので
恵からのお叱りがあるのかとビクビクしている。

テーブルのつまみや酒は一向に減らない。部下達の前においてある
ビールのグラスも、まだひっくり返っている。

「あ、あの部長。なぜ我々を呼び出したんですか」

部下の一人が痺れをきらしたように言う。

手酌で飲んでいた恵は、いったん飲むのを止めて
グラスをテーブルに置き、ゆっくりと口を開く。

「たまにはお前らと飲むのも・・・いいかと・・思ってだ」
いつも厳しい言葉を浴びせている恵にとっては
少々恥ずかしかったのだろうか、酒のせいだけでは無い顔の赤さ。


「はっ?・・・今なんと?」
部下達はそれぞれ個人個人不思議そうな表情を浮かべる。
職場では【閣下】と恐れられる恵が、こんな言葉を部下に
かけるわけがないと考え、その言葉の裏に何が隠れているのかわからない
怖さが部下達の表情をいっそう曇らせる。

「まあ・・・飲め」
恵が自分の席から立ち上がり、部下に酒を勧める。

「は!?・・・は、はい頂きます!」
部下達は驚いた声を隠せず、自分たちの目の前のまだ使用していないグラスを
慌ててひっくり返すのであった。


PM7時21分 虚無僧 ホール禁煙席

健二たちが飲んでいる場所のちょうど仕切り一枚挟んだ裏で飲んでいる
貴美子とマネージャー。
ものすごいペースで酒を飲んでゆく貴美子。
彼女はどうやら酒豪らしい。

マネージャーは貴美子と同じペースで飲んでいたせいで、少し気分が悪そうだ。

「ちょっと貴美子さん頼みすぎですよ、それにお酒も飲みすぎです・・ウップ」
マネージャーがテーブルに広がる料理と空いたビールの瓶を見て言う。

「男のクセに弱いわねぇ、このくらい楽勝♪楽勝♪」
焼酎のジョッキを片手に持ち上げながら、口元に運び
ゴクゴクと喉を鳴らしながら飲む貴美子。
プハーッと息を吹きだすと、目の前にある鳥の軟骨揚げを一つまみする。

「さあー次はウォッカいってみましょうかー!」
貴美子のテンションは、ますます上がり止まることを知らない。

「明後日は仕事なんですよ、いい加減にしてくださいよ・・・」
頭を抱え、驚くマネージャーを気にすることなくとめどなく注文をする貴美子。

まったく飲む勢いは衰えないようだ。


PM8時12分 虚無僧 カウンター席

飛鳥が一人で飲んでいる。
まだ残っている料理の数々をしかめっつらで見つめる。
生ビールのジョッキの泡が半分くらいになっている。

どうやら相方の中国人は酔って寝てしまったようだ。
暇そうにタバコを口にくわえ、オイルの少なくなったライターを何度もこすり
火をつけようとする飛鳥。一向に火はつかないようだ。

「ちっ、火にも嫌われたってのかよ。おいバイト、ライター買いに・・・
って起きる気配なしかよ。仕方ねえ、外で買って来るか」

席を立ち上がり、入り口に向かおうとする飛鳥。

「お客様、お会計を先におねがいします」
入り口付近で会計を担当していた店員が、
勝手に外に出ようとしている飛鳥に声をかける。

「なんだなんだ?俺はライター買いに行くだけだぜ?」
飛鳥は呼び止められたことに少し不快感を覚えながら
店員に説明する。

「では当店特製のライターはいかがですか?マッチもありますよ」
店員は善意で言ったのだろうが、飛鳥の不快感は増える一方だ。
怪訝そうに少し息を吸い込み、店員に向かって少し怒気を含んだ口を開く飛鳥

「へっ、少しばかりうまい酒と料理で騙して、自家製のライターまで売ろうってのかよ?こりゃあ、お笑いだぜ。ぼろ儲けしようったってそうはいかねえよ。
俺は客だ。俺がココに金を払ってる以上、客の自由を奪う権利はねえよ!」

そう言い放ち店の外へ向かおうとする飛鳥。

「おまちくださいお客様!」
店員がツカツカ歩いて店を出ようとする飛鳥の肩をつかみ、飛鳥を止める。

「ちっ、しつけー店員だな、俺はライター買いにいくって言ってんだよ!」
店員を勢い良く振り払って外へ出た飛鳥。

だが、そこにはスーツ姿のサラリーマンらしき男が立っていた。
妙にスーツのところどころにシミが出来ていて全体的に汚れている。

「おいなんだ、ジャマだぞおっさん」
自分の前をいつまでもどかない男の隣をすり抜けて通ろうとする飛鳥。


ドガッ!!!


通り抜けようとした瞬間、飛鳥の顔めがけて男のコブシが飛んできた!
勢い良く吹っ飛ぶ飛鳥!


ドスン!ガラガラ!


床に思いっきり叩きつけられる飛鳥。
「い、いてえ・・・なにしやがる!」

顔をさすりながら男のほうを向いて言い放つ飛鳥。


それを見て、会計係りの店員が飛び出してくる。
「お客様困ります!店内でのトラブルは警察呼びますよ!」

すかさず男の前に出る店員。だが男は無反応に顔をうつむいている。

「お客さま!」
男の反応がないようなので再度大声で言う店員。


下をうつむいていた男が顔を上げた。

肌は、まるで焼死体のようにただれ堕ちていて、眼は黒い部分を失っている。

「ヒッ!」
普通の人間のそれとは違う表情に一瞬驚いた店員を見た瞬間、
男は口を開き店員の肩を掴んだ。


「お、お客様・・?」
人間とは思えない力で押さえつけられ、人とは思えない悪臭を感じながら
冷静さを保とうとしている店員に
鋭い歯をぎらつかせ、男はこう叫ぶ。

「あ・・・・・ウ・・ガ・・あ゛あ゛あ゛!」

「うわあああああああ!!」

次の瞬間、店員がその場に倒れこみ、重力に負けるように、ぐたっとする・・・。

スーツの男の口元には店員の喉下の『あたり』が、ぷらんとぶら下がっていた。

倒れた店員の首あたりからおびただしい血飛沫がとび
入り口を真っ赤に染める。


店員の『最後の叫び』は店内中に響いた。








・・・悪夢は始まったのだ。



この記事を評価する



シナリオ【異変】-4へ

シナリオ【異変】-2

2005年10月26日 17時36分59秒 | バイオハザード・OB・FILE『K』完結
事件前日PM5時13分S県S市療養所

ビル郡の聳え立つ都市に、ネオンの光りが光り始める。
夜が来るようだ。
夏とは違いめっきり日が沈む速度も速くなり、日が当たらなくなって
冷たくなったコンクリートは、誰に言われるまでも無く
夏から秋の到来を予測させた。

ここは都市部より少し離れた住宅地にある小さな療養所。
白衣の男が表の門の前に立っている。
男は門にかかっている表札をくるりと回転させる。

『診療終了』の文字が見える。どうやら今日の診療はここまでのようだ。

「やれやれ、今日はやけに患者が多かったな・・・」
肩を手でポンポン叩きつつ『疲れた』と言いたげな表情で男は門の中へ入り、門に鍵をかけ、療養所の中へ入ってゆく。

この白衣の男の名前は尾山 紫(オヤマ ムラサキ)。45歳。
父親の小さな療養所を継いでもう何年にもなる開業医。
傲慢で高慢ちきな男で、金儲けが三度の飯より大好きである。

父親が現役のころには、この療養所には毎日患者でごった返していたが
紫の代になると、診療所の医療費の値上げや、患者へのケアが足りないなど
問題点があり。すっかり療養所も寂れてしまったようだ。

だが、ここから都会の病院までは少し距離があるので
仕方なく通う人も多いようだ。

玄関のドアを閉めると『院長室』と書かれた部屋に入る紫。
壁際にある蛍光灯のスイッチをつける。
今まで暗かった室内は明るくなり、蛍光灯に照らされて黒塗りのデスクが鈍く光る。デスクの上にはボールペンや食いかけのスナック菓子、患者のカルテであろうモノが散乱しあまり整理整頓は得意でないようだ。

ドカッと座り心地の良さそうなソファーに座り、デスクにあったリモコンで
テレビをつける紫。

「・・・のようで・・・で・・・早急な対応が・・・」
いつものようにBGM代わりに、お決まりのニュース番組を見る
淡々と語るキャスターの言葉は、いつもと同じテンポ、同じ調子である。

黒いデスクから食べかけのスナック菓子の袋を取り、
資料が入っている棚を開ける。資料の本立てになっていた黒い瓶を取る。
瓶のラベルが微かに蛍光灯に映し出される。
どうやら有名な酒造会社のワインのようだ。
少し横倒しになった資料など目もくれず、
そのまま瓶を取りソファーに深く座り込みコルクの栓を開ける紫。

グラスにはやや黄色がかった透明な液体が注がれた。
紫はグラスを傾け一口グイッ飲むと、間髪入れずにスナック菓子を口に放り込む。

さっきからBGM代わりに聞いているテレビでは
キャスターが次のニュースを読むために、目の前のニュース用紙に目をやっている。

「明日の天気の時間になりました。S県全体は日中までは曇りですが午後からは晴れるようです。前線の関係で今夜から降り出す雨は明日までにはあがりますが、北からくる強い寒波により、今夜は今年一番の冷え込みになるようです。寝るときは厚着をして風邪には十分気をつけてください」

スナック菓子を頬張り、サクサクと小気味いい音をたてながら
何気なく傍にあった新聞のテレビ欄に目をやる紫。

「チッ、ろくな番組やってないな」

軽く舌打ちしつつ、新聞をぱらぱらめくる紫。

「【S市で異常な人身事故続く】ねぇ・・・」

興味の無い記事をぱらぱら単語だけ拾って読んでゆく。
白衣には、こぼれたスナック菓子の破片が付いている。

「そうだ、そろそろ六時か」
ふと何か思ったのかイキナリ立ち上がり散らかっているデスクの奥にある電話を取り出す。この時代には珍しいアナログな黒電話だ。

デスクの引き出しからメモを取り出し、
そこに書いてある番号を電話に打ち込んでいく。
電話をかける間も受話器の線を肩にかけ
ワインを飲み、スナック菓子をほうばる。

ブツッ。

どうやら繋がったらしい、散らかったカルテを時々手に取り見ながら
電話口で応答している。

「じゃあ薬の引き取りは明日の午後9時だな?くれぐれも遅れるなよ」

ガタンッチーンッ

勢い良く受話器を置くと、デスクの引き出しから白い紙包みに入った
プラスチックの箱を確認する紫。

「町医者に作らす薬じゃないと思うが・・・金になるからいいか」

そのままソファーにまた座りかけ、テレビのリモコンを持ち、
スナック菓子を頬張る紫。
外には、いつの間にか雨が降っている。
窓に若干の結露が見える、寒くなってきたらしい・・・。




事件当日PM5時32分S市S駅前

会社から電車に乗って帰る人たちがまばらに出始め、道には
たくさんの車と週末の夜を楽しむために集まった若者やOLが
ごった返している。

雑踏の中、灰色の自転車が人の中を掻き分け疾走する。
ぶつかりそうになりながらも、なんとかバランスを保ち走り続ける自転車。
相当危なげな走行をしつつ、鼻歌まじりにかっ飛ばす人影・・・
それは健二だった。

「このままだったら一番乗りできるんじゃね?」
携帯のデジタル時計を見てニンマリと笑みを浮かべる。
鳴神が言った集合時間は6時だ。まだ30分弱ほど時間に余裕がある。

集合場所に着きそうになると急に携帯の着信がかかってくる。
少し古い歌謡曲のインストゥロメンタルが辺りに響く。

「おっ、この音は綾香か」

着信メロディごとに着信相手を分けているのは珍しくない。
相手がわかるとすかさず通話ボタンを押す健二。

「もしもし?健二?早めに集合場所着いちゃって暇してるんだけど今何処?」
電話口で若い女性の声が聞こえる。

綾香と呼ばれた女性は本名夢乃 綾香(ユメノ アヤカ)
健二と同じ高校に通い、今日集まる鳴神たちの友人でもある。
高校卒業後はウエイトレスとしてバイトする至って健全な女性である。
ちなみに健二の現彼女でもある。

「あー俺もそろそろつくから。そこでちょっと待っといてよ・・・プッ。ってか姿見えたわ」
自転車の速度を少し落とし、姿を確認できたことから片手をハンドルから離し
思いっきり手を振る。若干その情景にお互い噴出しそうになるが、
周りの人間もいるためそこは我慢した。

自転車を止め、携帯電話をポケットにしまい綾香の近くに寄る健二。

「いやー久々。ってかチョットばかし早すぎじゃね?」

「バイトが早く終わっちゃってね、用事も無いから早めに来ちゃったんだけど
まあ健二も早く来たし結果オーライってことで良いんじゃないの?」

「ちげぇーねえ」

二人とも屈託のない笑顔で会話を続ける。
雑踏の音が二人を包む中、自然体で続く話は途切れることは無い。

10分ほどたっただろうか、二人が話してる柱の陰からヒョッコリ
小柄の男が二人の前に飛び出してきた。

「いよーう、この寒いのにお暑いねお二人さん」
今回の発案者で幹事でもある智弘だ。
軽いジョークと共に高校時代と変わらない、そのヒョウキンなキャラクターは
変わっていない。

「遅刻常習犯の智弘が珍しいじゃん」
「おひさー元気してた?」

健二や綾香の弾む声が聞こえる。2、3会話を繰り返すうちに
少し会ってなかっただけなのだが、なんとも言えない懐かしさで一杯になる三人。

時間を忘れて話していると懐かしい高校時代のメンツが
どんどん集まってきた。

うどん好きの岩田 武(イワタ タケシ)に
話好きの相模原 茂子(サガミハラ シゲコ)に
大人で常識人の丸山 空(マルヤマ ソラ)さん。

みんな懐かしいメンツだ。変わってない。

全員が集まると智弘が声を少し張り上げてこう言う
「さあ、懐かしい話も積もる話も【虚無僧】で一杯やりながら話そう!」

合意して足取りも軽く動きだす団体。
向かうは今S市で人気の居酒屋【虚無僧】。

同日PM6時00分駅前交番

一人の警官がパトロールを終えて派出所に戻ってくる。
交番の自転車を手前に止め、鍵を閉める警官。
左胸のプレートには、テカテカ光る正義五郎という字が見える。
「・・・パトロール終わりました」

「おお、そうか。では報告書の続きを頼むぞ」
小太りの警官が五郎に帳簿を渡す

「はい・・・」
無愛想に受け取り、自分のデスクに座り込みペンを持つ五郎。

ズササ・・・ドン!
隣のデスクで大きな音がした。
先日風邪を引いていた巡査がデスクに体を突っ伏している。

「大丈夫か?!巡査!」
「は、はぁ。大丈夫で、すよ。昨日から・・熱がさがら・・なくて」

心配して体をゆらす小太りの警官。
どうやら巡査は休み中に咳は直ったが、発熱の症状が出ていたようだ。
無理して派出所まで来たわいいが、朦朧としていたらしい。

「奥の休憩室に運ぶぞ、手を貸せ五郎!」
「・・・はい」

巡査の足を持って奥の休憩室に運ぶ五郎。
巡査は凄い熱のようだ・・・。

同日PM6時02分居酒屋虚無僧

居酒屋虚無僧の店内は独特で洋式のホールと和風の座敷が壁を挟んで
渾然一体としている。
壁や天井には若者には分からない昭和の映画ポスターが貼ってある。
店長の趣味だろうか・・・。

奥の座敷から女性の声がする・・。
ノート型パソコンを机に置き、対面に座っている茶色のスーツを着た初老の男性と会話する女性。

少しあきらめたという笑いの入った表情で初老の男性が口を開く。
「美和恵さんといったかね?あんたには負けたよ。
この企画、うちでやらせてもらうよ」

「ありがとうございます。では早急に正式な企画書を作りますので、少々ココで、お待ちください」

恵は喜びの表情など一切見せず、いつもの顔で淡々と語る。

「企画書は明日・・部下に届けさせてくれい」

「わかりました。では後日おくらせていただきます」

初老の男性が立ち上がると、自らフスマを開け靴を履いて
その場から立ち去る用意をする。
恵も後を追い、居酒屋を出ようとすると、いきなり初老の男性が話しかけてきた。

「あんた・・その性格だと部下に相当嫌われてないかい?」

「はい。たぶん嫌われていますね」

「たまには、酒の席で部下の話を聞いてやってもいいんじゃないかい?まあココはワシの顔の利く店でな。ゆっくりしていきなさい」

「まあ考えておきます」
恵にしては珍しくあやふやな受け答えだったが、初老の男性は納得したように居酒屋虚無僧を出て行った。




「ふう・・・たまには部下と飲んでみるか・・・」
手元の携帯の電話帳を開く恵であった。

同日PM6時15分S駅周辺道路

S駅の高架下から青い乗用車が出てくる。
中に乗っているのは貴美子とそのマネージャーだ。

夜のネオンに包まれる街を見ながら
車は虚無僧とデカデカとかかれた看板を見ると
手前の有料駐車場に駐車する。

「久々のお休み~嬉しいなったら~嬉しいな~」
鼻歌まじりに車から降りてくる貴美子を尻目に不安を隠せないマネージャー。

「まったく、みだりに騒がないでくださいよ?またゴタゴタに巻き込まれるのは勘弁ですからね」

「はいはーい」
聞いているのか聞いていないのか不安なマネージャーをよそに
貴美子はズンズン居酒屋に近づいていく

「あ、まってください!ちょっと!」
車に鍵をかけると、走り出すマネージャーであった。







同日PM6時23分居酒屋虚無僧店内

「でよー・・・そいつがよ」
すでにアルコールの回っている二人組がカウンターごしに会話している。

「アスカさん、ノミスギですヨ。ホドホドにしてくださいヨォ」
ずいぶん前から飲んでいる風の飛鳥と横にいるカタコトな日本語を喋る
外国人。カウンター席とは思えないほど料理と酒が並んでいる。

「うるせーよキレコ。バイトの分際で社員の俺様の話を黙って聞きやがれ」
飛鳥は相当酔っている様だ。アルコールとタバコをやりながら
いつまでも閉じない軽口を叩いている。

少し話を聞くフリをして料理をついばむキレコと呼ばれた男性。

「マッタク。ボクオサケ弱いの知ってるクセニ。モグモグ。ウン!こりゃウマイですネー!」

二人の会話はどことなく繋がっているようで、繋がっていない・・・。




カランカラン!




その時、この店独特のドアの音が鳴った

カウンターごしに、厨房で頑張っている店主らしき男が大声で・・・

「らっしゃーい!居酒屋虚無僧へようこそ!お客様!」





「いやぁ、迷ったけどここか!居酒屋虚無僧は!」





それは健二たち一行だった。






この記事を評価する



シナリオ【異変】-3へ

シナリオ【異変】-1

2005年10月25日 19時19分49秒 | バイオハザード・OB・FILE『K』完結
事件三日前PM9時49分S県S市

住宅地から都市部へと続く長い道路。
辺りの暗さにまばらに走る車やバイクのライトが夜道を照らす。
道中あるコンビニエンスストアや有料駐車場の電気が煌々と光る中
スーッと灰色の車体を街頭に光らす自転車が通る。

今日は少々風が吹いており、道路の横に植えてある木々の枝が
かすかに揺れている。
夏の時はうだる熱風に過ぎない風も、打って変わって
涼しいほどになった。今年は猛暑で、しかも夏が長かったせいか
いつもより秋を新鮮に感じれる。

灰色の自転車に乗る青年。名前を瀬敏健二(セビンケンジ)21歳。
職業はプログラマー。今仕事も終わり、仕事場から自宅へ戻るようだ。
新品の自転車は彼の自慢であり、毎日整備を欠かさない。

新品の自転車をズンズン進ませ、何か良い事でもあったのだろうか
鼻歌まじりに自転車のサドルから腰を浮かせ立ち、ペダルを思いっきり
踏み始める。今日は仕事の締め日だったのだ。

立った時、健二の持っているジーパンのポケットから
妙に違和感を感じる。携帯のバイブレーションだ。

たいがい仕事場から帰る際に携帯をマナーモードから
着信音をONにする健二は、どうやら設定するのを忘れてしまったようだ。

携帯電話の着信を確認すると液晶部分の名前を見る

『鳴神智弘(ナルミトモヒロ)』

彼の高校時代の友人だ。

ビックリしたように電話に出ると高校時代と変わらない明るい声で
智弘は話しかけてきた。

「いよーう健二。久々~元気してる?」
「ああ元気だけど、今頃どうした」
古い友人にあった気分。少々の喜びをかみ締めつつ自然体で応対する健二。

「昔の仲間が集まって馬鹿騒ぎしたいらしいんだが」
「へぇ・・・いつやんの?」

「今週の金曜日の夜6時集合かな。三日後ね」
「場所は?」

「最近流行ってる居酒屋『虚無僧』ってとこなんだけど知ってる?」
「ああ、それなら知ってる。最近雑誌に取り上げられて有名らしいな」

「そこでやろうと思っているんだけどさ」
「ふーん。で、メンツは?」

「アポとれたのは岩田と茂子とマルさんかな」
「懐かしいメンツばっかりだな、わかった行くよ」

「良かった。で、そっちのツテで綾香も連れてきてよ」
「あいよ。あ、ちなみにたぶん彼女も金曜日は休みっぽいから大丈夫だぜ」

その後、自転車を脇に止めて、高校時代の懐かしい話を長々とする健二。
よほど仲の良い友人なのか、話もとんとん拍子で進んでゆく。
10分ほど話した後、これではキリがないので当日と電話を切って
パタンと携帯を折りたたみ、またジーパンのポケットに入れる。

「今週の金曜の夜か。楽しみだなぁ・・・」
健二は止めてあった自分の新品の灰色の自転車に乗った。
この先の道路は傾斜が少しきつくなっている。
また鼻歌まじりに立ちこぎし始めた。
さっきより速度を上げたようだ・・・。

事件二日前T都S区テレビスタジオPM1時30分

「…これは首塚の霊が自分の首を切り落とした人を探しているんでしょうね」
「え?見えませんか写真中央の・・・」

さっきまで明るく、スポットライトが当たっていたスタジオの照明が暗くなり
後ろの巨大液晶テレビには如何わしい写真の拡大が映されている。
その巨大液晶テレビの下にはキャスター席に座る一人の女性。
女性が口走った台詞と共に写真がどんどん拡大されていく。

その『何か』にハッと気づく観衆、気づきだしたとたん
どよめきやザワメキを含んだギャラリーの声がスタジオ中に聞こえる。





「はいカットーッ!みんなおつかれさーん!」
元気一杯のADの声がスタジオに響きわたる。
ギャラリー達の顔は安堵の表情に変わり、中央の女性も明るく笑みを浮かべる。

そんなところへディレクターらしき男が近づいてくる
「河野さん~今回も良い語りと表情してましたね~ゾクゾクしちゃいましたよ
まるでそこに本物の霊が居るみたいでしたよ~」

髪を軽くかきあげ、満面の笑みでこういう女性。
「ありがとうございます。でも本当に霊ってのはこの世にいるのよ」

その言葉を聞くと、ディレクターは少し焦ったようなそぶりを見せて
「またまた~そんなことあるわけないじゃないですか・・・」

「でも、居るのよね。あなたの後ろに。カタナを持った首無しの侍が・・・」

「へっ?そ、そんなことあるわけないじゃないですか」

「最近、首に痛みを感じない?もしかしたらだけど霊に取り付かれてるかもよ」

「ま、まあまあ。そういう話は今度の打ち上げで話しましょうよ」
不安にかられたディレクターが首の辺りを確認し、ドキッとする。
その時、ADがすかさず止めにはいる。

フッと笑みを浮かべるとその場をツカツカと立ち去る女性。

この女性の名前は河野貴美子(コウノキミコ)。26歳。
心霊マニアがたたって、業界入りし、斬新な語りと
そのエキゾチックな顔立ちからくる表情で
最近めきめきと頭角を現してきた新進気鋭の女性タレント。


テレビ局の用意した楽屋に入るとマネージャーらしき男がいる。

「お疲れ様です貴美子さん。次はK県でプロモーションビデオ撮影です」
「まったくやになるわ。最近お仕事続きでお休みもないじゃない?」

スケジュール張を黒い鞄から取り出しながら貴美子の仕事のスケジュールを
確認するマネージャー。ワガママな貴美子のマネージャーは気苦労が絶えない。
「今週の金曜日までは我慢ですよ。金曜日の午後から土曜日まではフリーですから」

「ふーん。あ、そうだ。最近美味しいお酒飲んでないんだけど。何処か美味しい店知ってる?」

またか。と言いたそうな顔でスケジュール張を鞄にしまうマネージャー。

「ちゃんと顔隠して行ってくださいよ、この前S区の居酒屋に行って
河野貴美子ってばれて大変だったじゃないですか」

「はーい。わかってますよ。ちゃんと変装していきまーす」

「やれやれ・・・わかってるんだか心配だ・・・」

またやらかすんだろうなと思いながら渋々次の場所へ移動する支度をするマネージャー。
だがそこで貴美子が思い出したようにこう言う

「で、美味しい店どこか知ってる?」

ちょっと悩んだが、味に五月蝿い貴美子に変な店を紹介すると怒られるので
少し間をおいて話し出すマネージャー。
「そうですね・・・あ、そうだ最近雑誌やテレビに取り上げられてる、ちょっと独特な雰囲気の居酒屋が、S市にありますよ」

「S市かぁ・・遠いなぁ。車で送ってくんない?」
「はいはい、わかりましたよ・・・じゃあ次の仕事場行きますよ」

楽屋から荷物を持ち、移動するために車が止めてある
地下駐車場へ向かう貴美子とマネージャーであった。

事件二日前PM4時19分S県S市内パチンコ屋【Bフィーバー】

「いらっしゃいませーいらっしゃいませージャンジャンバリバリ、ジャンジャンバリバリ!ジャンジャンバリバリ!出します出せます出させます!はりきっていきましょー!」
常時流れる電子音、銀玉がクギにぶつかり合う音、銀玉が大量に入ったドル箱を
積み上げる音、ドル箱が空になり客が台を叩く音、当たりを出した歓喜の声、
店内にかかっている店員のマイク音、ありとあらゆる音が
この場所を支配していた。

タバコの煙が充満し、定期的に空気清浄機がそれを換気していく。

「先輩交代の時間です」
奥の業務員専用ドアから一人の男が出てきて、出玉交換所の
カウンター越しから先輩と呼ばれた男に向かって交代時間が来たことを告げる。

「ああ、そうか悪い。じゃあ頑張れよ」
先輩と呼ばれた男は席を立ち、業務員用ドアに入ってゆく。

けだるそうにカウンターで携帯をいじり始める男。
ネームプレートが見える。
この男の名前は寺丹 飛鳥(テラジ アスカ)。22歳。
パチンコ屋に勤務して半年。会話は得意だが仕事意欲があまりなく
勤務態度も悪いので、オーナーから目をつけられている。

「あーあ。世の中つまんねえことばっかだな」
携帯のメールを打ちながら店内を見回す飛鳥。

「まったくどっかに楽しいこと落ちてねえかなぁ」
そう言いながらカウンターの引き出しをゴソゴソと漁り始める

「へへっこりゃいいぜ、幸先コウチョ~」
タバコがあったようだ。見回る店員も少ないし
客はパチンコに夢中なので、気にせずタバコの箱を取り
自前のライターに火をともし、タバコをつけてスパスパとすい始める。

「・・・さーてこれでオサツの一枚でもありゃめっけもんだけど・・」
タバコを片手に持ち、また引き出しをゴソゴソ漁っているようだ。

「おっこりゃあいいね、居酒屋の割引券じゃん」
引き出しの奥にあった割引券を手に取り、じっくりと眺める飛鳥。
まだ誰も気づいてないみたいだ。

「なになに…?居酒屋【虚無僧】・・・かぁ。イカス名前じゃん。そういやこれ雑誌で取り上げられてたな。今度の休みにいってみっかなぁ」
ブツブツと独り言で盛り上がりながら、またタバコを咥え一服していると
客席の奥からドル箱を5,6個抱えた客がこちらへ向かってくる。

「はいはい、集計ね~入れますよー」
彼の仕事は、まだ始まったばかりだ。

事件二日前PM6時00分S県S市S駅前交番前

駅前は丁度仕事の終わったサラリーマンやOLでごった返していた。
ここは特に人の集まる地域。これから大人の時間だろうか、喜び勇む声や
客引きする店員の呼び声が聞こえる。

そんな駅前にポツンと光る小さな交番。
そこには、座って記録を書いている警官と少し小太りの警官と
痩せ型の警官がいた。

中から大きな声が聞こえる。
「今日からこの派出所で頑張ってもらう正義君だ。」
小太りの男が警察帽をかぶりながら手招きで記録を書いている男に
痩せ型の男を紹介する。

「本日付けで本派出所に配属されました正義五郎であります…どうぞよろしくお願いいたします」
敬礼と共に挨拶する若い痩せ型の刑事。
名前を正義 五郎(マサギ ゴロウ)。19歳。
去年第二公務員試験合格。警務試験に受かり、本日付でこの交番に配属された。

「よろしく頼むよ・・・ゴホッ」
「風邪か?巡査」
軽く咳き込む巡査と言われた男。
どうやら原因があるようだ。ゆっくりと口をあけ話し始める。

「ええ、昨日パトロール中に挙動不審な男を見かけまして、職務質問しようと
声をかけたら、いきなり走り出すもんなんで追跡したんですが、見失ってしまいまして…それで少し汗をかいて体を冷やしてしまって…コホッ」
今まで記録を書いていた巡査と呼ばれた男の息が
すこしあがっている。喋るのが若干、辛いようだ。

「そうか。まあ明日君は非番だ。ゆっくり休むといい」
「コホッケホッ・・・ええ、そうします」

そんな二人を尻目に敬礼を解かずに待つ五郎。
「・・・」

「ああ、すまんすまん。ここでは堅苦しいことは言うつもりは無い姿勢直せ」
小太りの男が敬礼したままの五郎へ、そう言うと

「・・・はい」
緊張の糸が切れたようにデスクの椅子に座り込む五郎。

「とにかく。今日から頑張ってくれたまえ、わからないことがあったら私か、そこにいる巡査に話してくれ」

「・・・・はい」
小太りの男の話を聞きながらデスクの周りに自分の荷物を置いてゆく…。

ゴホッ!ゲホッ!
巡査の咳はひどくなる一方だ・・・。


事件前日AM9時10分S県S市高層ビル8Fオフィス


「はぁはぁ、遅れました!」
勢いよく『企画部』の部屋に入るスーツ姿の男。

「おい、何分遅刻したかわかるか」
企画部部長と書かれた席に座る一人の女性が涼しい顔で言う。

「はっ、10分でありますが・・・」
焦りを隠せないスーツの男が鞄をデスクの上に置く。
手は震えている。

「そうか、じゃああと5分以内に部署転属願いを出せ」
「へっ?!」

「転属希望は聞いてやる。後4分45秒だ」
「どういうことですか、美和部長!」

この涼しい顔の女性。名前は美和 恵(ミワ メグミ)。25歳。
この若さで最優良企業の企画部長として出世する裏には
厳しい努力や、画一的な発想をしたからに違いない。

声を少し荒げたようだが、恵は表情を崩さず部下に言い放つ
「キサマの質問は聞いていない。書くのか書かないのか?」

「ちょっと待ってください課長、そんな高々遅刻で・・・」

「おい、キサマ今『高々遅刻』と言ったな。その遅刻のおかげで
作業能率はいくつ下がる。会社の利益はどの程度あがる?
お前と同じかそれ以上の社員など、ここには掃いて捨てるほど居る。
いいな。企画部(ここ)のルールは私だ。わかったな。あと二分だ」

淡々と語る恵に何も言い返せない部下。
後ろのデスクからヒソヒソ声が聞こえる。
どうやら企画部に長年いる社員達のようだ。

(・・・また閣下がうるさいこと言ってるな)
(ああ、こりゃまたもめるぞ。あの新人、使えると思ったんだがな)

(しかし閣下もひどいな、今朝の人身事故見ててああいうこというんだぜ)
(実力があるからな・・・閣下は。自分がルールなんてよくいうよ)

「そこのデスク二人。手が止まっているようだが。オマエたちも転属するか?」
凍るような視線をデスクで陰口を言う二人に浴びせ言い放つ恵。

「いえ、滅相も無い!」
あたふたと自分の仕事に専念する部下二人。
キーボードを叩く音が仕事場にこだまする。

「まったく、使えん部下どもだ・・・」
恵はそういうとデスクを立ち、別の部署との会議をするため歩き出した。






企画部室には、ただただキーボードを撃つ音だけが聞こえた。




この記事を評価する




シナリオ【異変】-2へ

バイオハザードOBファイルK序章

2005年10月24日 18時04分02秒 | バイオハザード・OB・FILE『K』完結
西暦2008年日本、秋。
依然不況に煽られ、不安の続く国家経済。
それは県や府、市や街も例外ではなく県財政を圧迫し
一地方団体として成り立たなくなった、街や市が統廃合化が急速になされていた。

都市は名前を変え煌びやかに栄え、街や村は名前を変え衰退していく。

豊かに暮らす人々、貧しく生きる人々。

それぞれが様々な日常を毎日生き続けている。

そんな何処にでもいる人間が存在する、この都市で
誰も予想することの出来ない悪夢は始まってしまうのだった。


事件七日前K県Y市PM4時21分

都市部からは少し離れた場所で、チャイナタウンと呼ばれる
アジア料理店などが軒を連ねている街。
名所をめぐる為に来た観光客や美味しい料理を求めるため
料理店の前に行列を作る人、ショッピングモールに買い物を
しに来たのだろうか?大きな買い物袋とセカンドバックを
抱えたまま走る熟年の女性。


賑わいを見せるその街で一際大きなトランクを運ぶ男性。
カツカツと小気味いい音をたてながら鳴る革靴の音は
観光客の話し声にかき消されてしまう。

男は、黒い帽子を深く被り、サングラスをつけた、トランクに似合わない
ほどの高長身に黒いスーツを着て歩いている。

溢れかえる人間を掻き分け
チャイナタウンの出口である大きな門にたどり着いた。

男は辺りを見回す。どうやら誰かと待ち合わせのようだ。
少しすると次第に男はイラつきだし、腕時計に逐一目をやったり、
しきりに携帯電話を気にだし始めた。

そこへ美しいブロンドを棚引かせて全身に赤いスーツを着た女性が現れる。
胸の辺りにはバッチが付いている。この街ではそんなに
珍しくもない、どうやら外国人のようだ。

「He doesn't come even if you wait so much(そんなに待っていても彼は来ないわよ)」
ブロンドの女が英語で男性に語りかける。

「Are you those who undertake it?(オマエが引き取り人か?)」
男は携帯電話を閉じ、ポケットにしまう。
そして指を女の方へ挿しながら彼女の胸のバッジに目をやる。

何かに気づく男。

その瞬間、信じられないといった表情を浮かべながら
男はスーツの内側の胸ポケットに手をやる。

「Fuck you!!(くそっ!)」
男はポケットから拳銃を出し女に向かっていきなり発砲した!
女は瞬間的に身を翻し、銃弾を避けた!

だが、どうやら後ろを歩いていたカップルの旅行客に避けた弾が当たったらしい
血を流して倒れる男性と、それを見ていきなり悲鳴を上げる女性。
駆け寄ってくる人々。

銃声は旅行客の会話を一瞬にして止め、行き交う人々の顔を引きつらせた。

どよめきの中、黒いスーツの男は人が集まり始めたのを見ると即座に門をくぐり、
門の外に停めてあった、自分の黒塗りの外国車に飛び乗った。

ブロンドの女はそれを見ると、即座に走りだしたが
人ごみの中に捉われてなかなか移動できない!

「Please retreat!(どいてちょうだい!」
という彼女の台詞も悲鳴とどよめきによってかき消されていた。

大きなトランクを助手席に置き、ポケットから出したキーを回し、
アクセルを思いっきり踏む男。
爆音をあげ車は猛スピードで走りだした。




うなる爆音を尻目にやっと人ゴミから抜けだせたブロンドの女性は
自分の車に向かいながら携帯を取り出し、即座に電話をかけ始めた。
サイドドアをあけると勢いよく車内へ飛び込み、エンジンをかける女性
目の前を走るスーツの男の車を目視で確認しアクセルを踏み出す!

そこへ、電話が繋がったらしい彼女が電話口で大声を上げる

「The criminal ran away!Run after!(犯人が逃げたわ!追いかけて!)」

日本の公道に似合わない赤いスポーツカーが爆音を上げて車道を走る。


公道を恐ろしい爆音を出しながら進む車二台。
車の追い抜きはもちろん、信号など無視して進んでいる。
男の車は、途中軽自動車との接触したのだろうか車後部のバンパーが外れている。

5分ほどのカーチェイスが続き、男は公道からのびる妙な坂道の道路を
発見する。

高速道路だ。
料金所を破壊し、坂道を登っていく黒い外国車。


それを見て、赤い車の女は少し笑みを浮かべ黒い車と同じく料金所を突破する。
片腕でハンドルを操作しながら、助手席においてあった日本製パトランプを車の上部に設置し光らせる。

そしてまた電話をかける女。携帯電話の音声をフリーにして、
普通に喋れるように充電器のような場所に
携帯を置き、両手でハンドルを握る。

電話が繋がり大声で何かやりとりしたようだ。
その間もアクセルは踏みっぱなしだ。



一時間ほど追跡を繰り返しただろうか
辺りはさっきまでとは違い若干暗くなり、女の車は男の車より少し離れたところを
走って追跡しているようだ。
電光掲示板には【S県S市入口まで後200m】とある

「…slowness…(そろそろね)」
女の笑みが今度はハッキリとわかる。




前を行く男の車の前には大型装甲車両によってバリケードが築かれていたのだ。

「WhatThat?…Fucking off!」
男は周りに目をやり、出口が存在するかどうか回りを見る。
非常時に公道に下りるために作られた脱出道路のようなものが対向車線に見える。
男は、ハンドルを大きく動かし、タイヤの向きを変えた
一気にUターンする車。
男は一か八か高速道路から公道へアクセルを全快にする!
煙を上げて悲鳴をあげるタイヤをよそに女の車に突っ込む!

「What?!」
予想もしてなかった男の行動に思わず怯みブレーキを踏み
ハンドルを右に切った。一気にスピンする車。

それをよそに男の車は脱出道路を進んでいく・・・。



完全に見失ったようだ。車の中でがっくりと肩を落とす女性。

「To the town that ..the nightmare it if it is distributed..
(あれが街にばら撒かれたら、とんだ悪夢になるわ…)」

女はそう言い残し、どこかに携帯電話をかけだした・・・。

事件六日前AM6時56分K県Y米軍基地
「S県S市郊外で事故が発生しました。中に乗っていた外国人男性は死亡
男性の所持品から拳銃など出てくるところから犯人はマフィアの一員では
ないかと警察は発表しています。なお所持品のトランクが空いており
中身が空だったことから、麻薬か大麻の取引による暴力団同士の抗争では
ないかと警察では捜査が続いている模様です。では次のニュースを…」

テレビの日本人アナウンサーがいつものトーンでいつもの何気ないニュースを
淡々と言い放ってゆく。まるでBGMでも聞くかのように聞き流す職員をよそに
あのブロンドの女性は一人、顔を真っ青にしていた。


「...the start of the nightmare..(悪夢は始まってしまったわ)」



シナリオ【異変】へ

他、脇役など

2005年10月24日 01時44分20秒 | 末路話
■万田 功(54歳)
居酒屋『虚無僧』を経営する男主人。
雑誌に取り上げられて有頂天になっている。
瀬敏達が最初に飲んでる居酒屋が虚無僧。そしてそこで・・・

■喜 連胡(21歳)
鳴神の学校に通う中国人留学生。瀬敏の宴会に呼ばれる。
食べることが好きで、話すことより食うことを好む。
宴会に呼ばれて深酒を食らい、寝込んでしまう。

■栗木 具志(40歳)
繁華街でガンショップ【千手】を営む男。
穏やかな口調で、性格も温和。ショップ【千手】は
その品数の多さから全国から熱狂的なガンマニアが通う店。

■エンジェルキャット主人(37歳)
繁華街で薬局(ドラッグショップ)【エンジェルキャット】を営む女主人。
尾山療養所に勤めていたが、低給金のため自力で薬局を開いた。
尾山の秘密を知っているようだが・・

■賀居 歩(30歳)
エリート警察官で、アメリカでの研修経験もあるが
警視庁の秘密を知ってしまい、エリート職から警察署の一警官に左遷される。
性格は熱血漢。最後まで希望を捨てない男。

■エージェント(??歳)
アメリカ政府から派遣された女性エージェント。
謎な部分が多いが、銃の扱いやナイフの扱いは一流。
どうやら黒い部分がありそうだ。







さあて、本編はどうなるやら。

設定項

2005年10月24日 01時06分22秒 | 末路話
なんだか大変なことになっちまったみたいだぜ@kirekoです。

>バイオハザードOBファイルkireko(仮)
主人公たちの設定を頭の中で考えたのをいちおメモっておきます。

■主人公1 瀬敏 健二 (21歳)
職業:プログラマー
プログラマーで生計を立てる若者。
めんどくさがり屋で、性格は平和主義。
プログラミングの腕はそこそこ。夢乃とは現在恋仲。

■主人公2 鳴神 智弘 (21歳)
職業:国文科学生
国文科に通う学生。瀬敏とは友人。河野貴美子の大ファン!
怖がりで潔癖症。毎日をレポートに追われている。
最近は古文学にも興味があるようだ。性格は温和。

■主人公3 夢乃 綾香 (20歳) 
職業:ウエイトレス
高校時代、瀬敏と同じ学校に通っていた女性。
高校卒業後、ウエイトレスとして働く。
少々怒りっぽいところがある。キレると怖い。

■主人公4 正義 五郎 (19歳)
職業:新任警官
高校卒業後、警官になって都市部の交番に派遣される。
正義感は強いが、根っからのアウトローで
人付き合いはあまり得意ではないようだ。

■主人公5 尾山 紫  (45歳) 
職業:医者
父親から継いだ尾山総合療養所という病院を営んでる開業医。
父親は一流だったが、ハッタリ屋で医者としては二流。
だが薬の知識だけは高い。彼が病院を継いでから悪い噂が立たないという。

■主人公6 河野 貴美子(26歳)
職業:タレント
根っからの心霊マニアで、自身も心霊タレントとして売り出している女性。
オカルトな話題やホラー映画を熟知している。
ちなみに実家は漁師。昔は漁の手伝いもしてたらしい。

■主人公7 寺丹 飛鳥 (22歳)
職業:パチンコ屋勤務
パチンコ屋に勤務する男。お調子ものでおしゃべり好き。
たまに空気を読めなさすぎて、周りから煙たがられることも。
パチンコ屋の前はガソリンスタンドで働いてたようだが・・。

■主人公8 美和 恵 (25歳)
職業:サラリーマン管理職
一流企業のエリートキャリアウーマン。性格は厳格で強気。
協調性はそこそこあるが、基本的に毒舌で口ばっかの奴が嫌い。
部下に対する仕打ちがひどい事から、仕事では部下から【閣下】と呼ばれている。








ふぅ、元ネタの皆さん。
いい話がかけそうだ。

バイオハザードOBファイル俺んち

2005年10月23日 21時30分09秒 | 末路話
┣¨カンと一発!やってみよォ~ォォオ@kirekoです。

>バイオハザードアウトブレイクファイルkireko
いや設定考えてたら、まじ燃えるんですがバイオハザード。
今の所、発生地は【東京】で繁華街としてみますか。
で、ステージのさわりあたりを考えてたところ・・・

ステージ1【異変】【繁華街のとある居酒屋】
久々に仲間で飲み会をする中。居酒屋の店員に異変が!
バーテンダーの持っているガラスが割れ、客の悲鳴がこだまする!
飲んでいた仲間の一人が変貌し悪夢はスタートする・・。

ステージ2【慟哭】【繁華街地上】
居酒屋から逃げ出した後、ゾンビ化した町の人を払いのけ
必死で無人と化したタクシーに乗り込み逃げる。
乗車し安心したのもつかの間、後ろから猛スピードで追いかける影が・・・。

ステージ3【変化】【ガソリンスタンド】
命からがら逃げ出したが、タクシーがガス欠しストップしてしまう
幸い人気の少ない場所でゾンビは居ないようだ。
近くのガソリンスタンドからガソリンを持ってくるのだが・・・。

ステージ4【絶句】【警察署】
ガソリンスタンドで出会った警官と共に生き残った人たちが居るという
警察署へ行くことに。これで一安心と、肩の力を抜く仲間達。
だが戻ってきた警官を待ち受ける警察署は地獄だった。

ステージ5【脱出】【陸上自衛隊の補給基地】
警察署から武器を持って逃げ出し、パトカーで逃げる仲間達。
そこで無線が入る。どうやら自衛隊が救出に来ているらしい。
パトカーはアクセルを吹かし、自衛隊の基地へと向かっていく・・。


いやー書いてるのが楽しいですわw
クリーチャーのデザインとか頭の中で湧き出てくるんですが
絵心が無いのでかけませぬwもうしわけないw

>で現状妄想してる武器とか
バイオでおなじみの銃はもちろん日本には特殊なトコいかないかぎり
無いので、かぎりなくゾンビは倒せそうにないですので
やっぱ手じかな武器は【包丁】【フライパン】【ナイフ】【スプレー】
【ライター】【椅子】【鉄材】とかですかねえ。
ステージ2の繁華街地上とかの薬局とかで【劇薬】とか、ガンショップの
ところで【改造エアガン】なんてのも面白いかもしれませんね。

なんか一人でヒートアップしてまいりましたよ!ドゥフフ

>更新とか
妄想突っ走ってますが、もしかしたら書き続けるかもよ・・?!
被害者はそこのあなたかもしれない!
| ゜Θ゜) < そうでもないかもよ。

別れの歌

2005年10月23日 20時35分55秒 | 末路話
それでも僕は歩いてゆく@kirekoです


大事なモノを失いました。
今は、それだけしか言えません。
自分の行いの悪さが憎たらしいです。
全部不甲斐無い自分のせいですわ。

二人での思い出。
振り返ったら辛いことも悲しいことばっかりじゃないです
楽しい思い出もありました。

また時間が経ったらどこかで会いましょう。
そしてあのコロの話をしましょう。

さようなら、そしてこんな男に付き合ってくれてありがとう…。

泣きませんよ。明日からね。
だから今日はゆっくり泣かせてください・・・。

べイオハザードアウトブレイク

2005年10月22日 16時20分25秒 | 末路話
とろけるほどあまいぜーっ!!@kirekoです。

>昨日のRO集会
なんか自分の周りでバイオハザードが起きたらどうなるかを
妄想する集会にいつのまにかなってました。

いやでも考えてみると面白いですよね
ほら、バイオハザードって外国が舞台じゃん
やっぱそこらへんに銃とか武器とか転がってますが
日本はそういう銃刀法にひっかかる系の武器は
そういう専門店いかないと無いと思うので
たぶん警察署とか自衛隊の補給基地とか行かないと
まずゾンビ対策の基本装備である銃がない。

あと救急スプレーとかも病院いかないと無いから(しかも仲間に医師がいないとキツイよな)結構危険ですよね日本のバイオハザードって。

なんか聞いた話だと、駅とか病院とかの場所が一番あぶないと聞くんですが
kireko亭を挟んで病院2つと駅があるんですよね





うおおお絶対絶命じゃねえかYO!!
とりあえずバイオハザードみたいになったら
携帯電話で仲間に連絡とってエアガンとリュック背負って
フライパンもって外出てゾンビに対抗します。


蟲系に、きくかもしれないので殺虫スプレーとマッチも持っていきたいと
思います!












OK、身内の奴らを登場させたバイオの小説書きたくなってきた。
        まあ、八割ゾンビになってるが!

わかめスープ+ビビンバ=究極

2005年10月22日 16時09分25秒 | 末路話
祝うことの真髄はここにありか@kirekoです。

>プレゼント大作戦
結果から申し上げましょう
大成功でした!

人の誕生日でこんなに盛り上がれる会は久々だぜ・・・
もうお前ら最高の強敵(とも)だぜ!

>でプレゼントをあげたときの○○先輩の反応
受け取ったときのリアクションの数値化してみました。

■音楽CD リアクション度★★★☆☆
まず第一発目音楽CDですが、○○先輩のプレゼントを
最初隠しててビックリさせてやろう作戦を慣行して
見事披露して先輩のテンションもヒートアップしてきたところで
音楽CDのラインナップを見せてさらに拍車をかけることに!

ジャネットジャクソンとマイケルジャクソンの兄弟アルバムはかなり
HITしたようで、その後のとんねるずのCDにも興味を示された模様です
ただ、井上陽水と歌謡曲アルバムはジャケットを見てくれなかせいか
そこでの盛り上がりは、なかったようですが
序盤の盛り上がりとしては上場でした。

■インリンオブジョイトイDVD リアクション度★☆☆☆☆
なんかしらんけど不評でしたw
いやたしかにパッケージに映ってるインリンの顔が怖いとか言う理由もありますが
「どこでみりゃいいんですか」っていう台詞がもっともな理由かと思いましたわ。

■ガレージSFC+攻略本 リアクション度★★★★☆
ドンキーコングを一生楽しむ本には、かなりウケてたようです!
しかもカップリングしたSFCソフトがドンキーコングじゃなくて
スーファミのパチンコ体験ソフト
だったことも総じて良い方向に持っていけてよかったです!

■うまい棒120本チョコバット44本 リアクション度★★★★★
まず第一声が「ありえねー!なんだこれーっ!」でしたが
ホムーランチョコバットが超ウケたらしく、うまい棒もおすそ分けなぞ
しつつ、かなりテンションがオーバーヒート!


■おもしろタイトル本 リアクション度★★★★☆
カップリングした本のタイトルが【上司】ネタだったのが
相当ウケたようですね、本人のテンションがMAXにたっしたので
落ち着けようとしたんですが、またそこでテンションが上がったようです
本のタイトルはちなみに【馬鹿な上司には部下がよってくる!】だったかなw
ちなみにとんねるずの本も買ってて、笑いが倍増しました。

その後、焼肉屋でおめでとうパーティを開き
わかめスープをビビンバにかけると目茶うまいという
究極のメニューを開発しつつ
㌧トロとカルビのうまさに幸せをかみ締めてましたとさ。

>最後に
いやー大成功のうちに終わってよかった良かった。
こんなに人を喜ばせることのできる漢達はすごいとおもったぜ!
やっぱ感動は演出によってきまるんだなと思いました。

トール!ブロンド!ダークエンドリーン!

2005年10月20日 21時24分16秒 | 末路話
近況をUPし続けると暗くなりそうなのでハレルヤハリケーンを1時間くらい聞いてやっとテンションがあがったぜゲットレディ!@kirekoです。

>プレゼントフォー!
というわけで、先輩の誕生日があったので買い物に出かけました
最初はガレージセールされてる音楽cdを買いあさってそれをラッピングして
「はい誕生日プレゼント」ドンッ!みたいな感じで渡すつもりだったんですが
これまた天性のシュールな笑いを求める体質(素質か?)が発動して
クオリティの高いラインナップでお送りいたしました候。

■買ったCD
マイケルジャクソンアルバム
ジャネットジャクソンアルバム
ボサノバミュージックアルバム
日本の歌謡曲ベストアルバム(サトウキビ畑とか入ってて噴いた)
とんねるずベストアルバム(ふつうにほしかった)
井上陽水ベストアルバム(パッケージが面白すぎ)

てなわけで、これでいいかなって思ってたら
「もっとプレゼントらしい量がほしいよね?」

「うっ!?」

たしかにアルバムばっかで時間拘束的ボリュームは高いが
いかんせん目視して多いか?という疑問はぬぐいきれず
そのまま「じゃあ買いたしますか」という感じで安売りSHOPへ
足を切り返す男三人。

どうでもいいが

こいつら(俺も含め)馬鹿だ!

で、なぜか18禁アダルトDVDコーナーへ歩を進める漢三人

「プレゼントにAVって斬新だよな」という会話をしつつ
「でも○○さんが、興奮したら興ざめだよな」などと扱き下ろしつつ

来ました。










あいつが・・・!!!











エロテロリストとして悪名高いあのグラビア女優!!!













その名は・・!!!













インリン・オブ・ジョイトイ(グラビアDVD)




さっきも言いましたがこいつら漢でとてつもない馬鹿です。

しかもそのDVDの内容を裏パッケージに書いてあるメッセージを見て、ふきだしました。


===DVDパッケージ裏文章===

エロス、タナトス・・・・
生と死。人は生まれ、人は死ぬ。
そして地球は新たな性の問題を抱え始めていたのだ。
人口の爆発、新種ウイルスの蔓延、食糧危機、完璧な原理主義の出現。
21世紀半ば、人類は体液の交換による生殖を中止し、その一切の権限を
強大な国に任せることとなった。
つまり、エロの死である。

インリン・オブ・ジョイトイは地下に潜り、エロのために戦い続けるのだった。

=====終了=====

なんかグラビアDVDなのにストーリーがハード+ダークでカッコイイ!つーかおかしい!

インリンの表パッケージがダークな配色で最高でしたw


その後、電車で移動
おもしろTシャツを買いあさり、なぜかそのあと三冊で200円のタイトルで笑わせる書物を買いあさり完全な物量作戦に切り替えた。

自分はこの後帰ったが、なんと残った二人で
ウマイ棒120本とチョコバット44本を買ったらしい。


おまえら漢すぎるぜ・・w



>家に帰ると
で、なんかわからんけど気づいたら5000円くらい使ってるとかまじ
セルのちくしょぉぉぉお!って雄たけびが聞こえてきそうな財布の悲鳴ですが

まあ全体的にクオリティ高かったので、後悔はしてませんねw
いやー明日渡すのが楽しみだーぜ!

こんなに悲しいのなら愛などいらぬ!

2005年10月20日 15時03分50秒 | 末路話
だめだサウザーの台詞が心に響く@kirekoです。

>近況
メールを2、3通送る⇒帰ってこない
電話を1、2回する⇒伝言メッセージ行き
メールボックス開く⇒相手からのメールはない
もう一度電話をかける⇒切られる
時間を置いてメールを送る⇒反応なし


てなわけで一睡もできませんでした。
・・・それから今までなんの反応も無し


これは、もうだめかっ。('A`)