kirekoの末路

すこし気をぬくと、すぐ更新をおこたるブロガーたちにおくる

大人読者の集い場プレ企画感想編

2009年08月20日 16時13分37秒 | 企画感想物
見えない宿命を抱え、立ち止まって蹲る@kirekoです。

>今日の感想と批評

どうも、お久しぶりです。
というわけで久々の更新+感想記事となるわけですが、
今回は、気持ちの整理とブランクに対してのリハビリもかねて
自分も参加させてもらってる企画の感想をやろうと思います。

■大人読者の集い場 WEB小説愛好会
http://events0etc.nobody.jp/adult-novels/index.html

※今回は「小説家になろう」企画の作品ではないため、感想テンプレがいつもと違うのをご了承ください。

*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

アイスミルクな午後 ジャンル 恋愛 作:文樹妃

:感想
京都に取材をしにいった三十路女(職業はライターか?小説家?)が、お洒落なカフェで体験する安息のひと時を描いた作品。個人的に感じた本作品の印象を一言で表すと、のほほんとした薄味。どこにでもありそうな日常的な雰囲気と、題材とした物が物だけに、オチまでの流れは非常に爽やかで、一定の落ち着いたテンポでスラスラ読めるところは、とても良かった。気の利く京都弁の若い店長の行動と、その存在感は、一読者として「見知らない一人客を見て、そこまで察せれるものなのか?」と素直な疑問を抱いてしまったが、それまで描写されなかった主人公側の背景設定が良いタイミングで出てきたので、その疑問もうやむやになったカタチ。こういうのは、書き手としてズルイと思った。要素としての恋愛は最後の最後に仄めかす程度に描写してあるが、本当に仄めかす程度であり、全体を見ても、そういう雰囲気はあまり感じられなかったので、「人の感情が交錯する」などの刺激を求めて読むkirekoのような人間には、前にも言ったように薄味に感じられてしまった。ただ、そういう濃い恋愛を読み飽きた、日常的な話が好きな人は好きなんじゃないんだろうか。


この青空に花束を ジャンル 恋愛 作:早浪討矢

:感想
奇妙な女の子と同居している男が体験した話。複数の男と肉体関係をもち、感情を知らない女の子、そんな人となぜ主人公が同居しているのかという部分など、謎が多い作品ではあるが、そういう内容云々は別にして、持ち出してくる作者の言葉と、その引き出しの数は、素直にすごいと思う。トリッキーとも思える個々の表現、現実とリンクしている事を思わせるメタで、同時に少し幻想を含み隠すようなモノの言い方、それに準じた描写は、作者のインテリジェンスを感じさせ、文章の美しさを十分に保っている。ただ、kireko個人の感想としては、一般読者に読ませるには少々難解であり、全体的に文章に落ち着きがないように感じられた。彼女が見る夢の部分や、明確な流れを読ませない浮ついた言い方は、確かに作者のセンスを感じさせるものの、非常にわかりにくい。確かに場景も具体的で、説明を怠っている雰囲気はないが、なぜだか一番大事な部分が隠れてしまい、イマイチわからない。これもおそらく、主人公達の心理的な側面が理解できないという部分に関わってくるのだと思うが、個人的にはもう少し簡素な状況の説明と、事の顛末を書いて欲しかった。


でも、恋してる。 ジャンル 恋愛 作:愛田美月

:感想
二年付き合った彼氏と別れた27歳の主人公と、昔からの付き合いである8歳年下の青年の話。まず、恋愛作品としての位置づけ、その要素は十分にあると思う。恋愛感情にはよくありがちな、誤解や愛憎というパーツがそこら中にちりばめられて、いわゆるベタな少女漫画的展開なのだが、恋愛作品として読者がニヤニヤしてしまうような演出に富み、キャラクターの内面が完璧な三人称ではなく、情感のこもった一人称交じりでまとめられており、登場人物が想像しやすいという点は、特筆に値すると思う。個人的な読後感としては、エンターテイメント性に溢れた面白い恋愛小説の部類に入ると思う。恋愛として必要な、主人公の葛藤や感情の動きなどは簡素にまとめられており、描写の説明不足は感じられず、止まらずスラスラ読めるという点や、ベタだが読む人を飽きさせない展開は、一般読者の目を広くとらえることが出来るのではないだろうか。この作品で、特にkirekoが面白いと思ったのは、純情な純が主人公の元彼の行動を見て、激怒するシーン。決別の指輪を投げつける主人公も良いのだが、運んできたコーヒーをおくなりテーブルを蹴り上げる純の行動には、「若さ」を印象付ける演出だとしても、その後の誤解を解くシーンに繋がる、なかなか熱いドラマがあったと思う。秀作!


願い、叶い。 ジャンル 恋愛 作:光太朗

:感想
大学を出て、勤続三十年を経た部長にくる一通の電話。相手は数年前に死んだ姉だった……と、いうミステリータッチな感じで始まる話。答えが見つかりそうで見つからない内容も、割とミステリーに近い内容なのではないかと思う。連れ添った夫婦間での恋愛という枠で考えるよりも先に、夫婦二人の浮気観がどうだ、という邪念が読んでいて入ってしまった気がする。印象的だったのは、浮気された側である妻が覚えていた夫の言葉。そしてそれを言った後に続く、
「馬鹿言わないでよ。愛して? そんな言葉で、ここまでの何十年、片づけられたらたまらない。――あたしたち、家族でしょう。一緒にやっていこうって、約束したでしょう。その上での戦友、同志、ライバル、敵、障害――ひっくるめて、旦那様よ」
という台詞は、妻の許容の寛大さと同時に、後の展開でみせるホラーテイストの伏線のような気がして、とても気に入っている。しかし、読者としてどうしても気になるのは、やはり最後の1シーン。妻はもうこの世に居ないと思わせる演出(減る事のないウィークティーなど)や、「眼を開いた。」という文の後に続く、まるで妻が居るように思わせる、謎の文章に散りばめられた逆説的なパラドックス。はたしてそこにある答えは?場を掻っ攫うようなこのオチは、とてもミステリアスであり、ホラーだと思える。


新美愛夜(アラビアン・ナイト) ジャンル 恋愛 作:藤夜要

:感想
通いつめるカフェにいる源氏名しか知らない給仕の女性を追う、書生の話。恋愛要素という雰囲気よりも、互いに感想をぶつけあう若い書生たちという印象が強く感じられてしまうが、それも時代背景の硬いイメージからくるものだからかもしれない。大人向けであることが前面に出ているためか、場景や周辺説明において詳しく語られ、説明不足の感はない。が、やはり、詳しく書きすぎて物語の登場人物の中に入れないというか、全体的にスキマがない気がした。書生の心理、芙蓉の存在においても、だいたいは伝わってはいるが、明確なものが今ひとつ読者としてつかみきれず、再度読んで確認することが多かった。大人向けといえども、あまり堅苦しいのが嫌いなkirekoとしては、読みにくい作品だったと言える。もう少しスキマのあるライトな描写の仕方でも良いのではないだろうか。
(で、実は、プレ企画の前に作者から事前に依頼された作品であり、今回読むのは二度目となる。なので、その時に作者に言った感想も↓につけておく。)

(07/24の感想内容)
読み終わって、とりあえずひっかかるようなところはないと思いました。
時代物(?)だから、こういう語り口は仕方ないと思うし、難しい語句の配置も、読者側の年齢層を考えての事だと思いました。
ただ、キャラクターの設定がそうさせると思うのですが、こういうジャンルとしては若干心情描写がドライかなと感じてしまった点がありますね。
あとは読者個人の想像力の話かなと思います。
でウェブ拍手のほうに入ってた疑問点(?)についてですが、
・人物像のブレは感じなかった。が、全体的にキャラクターの設定が薄味
・学友達の記号化という意味がよくわからない(空気のようになってないかということか?)
・芙蓉の源氏名=本名という演出については特に文句はなし。ただ、話の中の主人公の驚きと読者としての反応は、温度差がある気がする。
・水煙草の必要、不必要については、演出として必要だと思ったので残したほうが良い気がする。



==========終了==========


>ふう

大人向けって漠然と言われても、何が大人なのかわからない今日この頃。
そういうところを選んで書いていくっていうのは難しいと思うけど、
結論、小説として面白いか面白くないかっていうのは、
やっぱり好きか嫌いかっていうのがかなり関わってきてる気がする。
モチモチシットリ派と、ザックリサクサク派だったら
kirekoはザックリサクサクのほうが好きだってことよ。


■そしてWEB拍手を設置する(何か一言あったらどうぞ)


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犯罪が出てこないミステリー大賞編

2009年06月12日 08時19分37秒 | 企画感想物
疲れ目には、文字が鋭く刺さる@kirekoです。

>今日の感想と批評

五月のブログ月間更新目標も達成できなくて、血が滲むような悔しさで六月を迎えたkirekoですが、皆様お久しぶりです。
というわけで、依頼されていた企画作品の感想をちょろちょろ書いていきます。
企画依頼を受けた今さら、言い訳になるかどうかはわかりませんが、kirekoはジャンルとして『ミステリー』や『推理』というものが、はっきり言って得意ではありません。
毛嫌いというわけではないですが、読む回数が少なく、読み手としての興味も薄いため、作品によっては、感想自体の量が少なかったり、かなり辛口になってしまうかもしれません。
あと、前回のリハビリ感想編から相当時間が経っているので、kirekoの的外れな感想が、さらに的外れになるかもしれません。
が、もし覗いてくださっている参加者がいても、「何いってやがるこいつ」程度の、特に気にしないぐらい大きな気持ちで覗いてくれれば幸いかと。

今回は企画ページ
http://nekocorone.web.fc2.com/sakuhin.html
に記載されているものを、↓から昇順で追っていこうと思います。

つーわけで。
テケトーな感想をテケトーに受け取ることこそ、長命の秘訣ってことでひとつおねげーします。


*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============


揺れて、揺れる  ジャンル 推理 作:イボヤギ

:あらすじ
隣で眠っている彼の口から漏れた、マリという名前。誰なんだろう……気が気でない私だった。※『犯罪が出てこないミステリー企画』参加作品です。

:感想
人生を大きく変えるほどの出会いをし、目下その彼氏にゾッコン続行中な女子大生が聞いてしまった、彼氏の寝言から始まるミステリー。企画のメインテーマでもある『犯罪が出てこないミステリー』という枠内での話の筋立ては、書き手に発想力が求められると思う。小説全般、あるいは書き物全般、何にでも言えることだと思うが、特に刺激的展開に欠ける推理物は、刺激がないからこそ、読み手を飽きさせない簡潔構造が必要となってくる。この話にそういう工夫がなされているかというと、個人差はあるだろうが、kireko個人は読みやすい種類だなと思った。前フリで語られた、想いの大きさ(人生を変えるほど)の割には必要以上に猜疑心旺盛な主人公の、わかりやすい行動(名前を調べる、携帯を覗くなど)と話の展開は、設定と状況を飲みやすくさせるし、主人公と彼氏の合間に『彼氏と同じ高校出身』の女性の友人を登場させるあたりは、推理物にありがちなキナ臭さがあって良いと思う。そういった「わかりやすさ重視」の簡潔構造であるので、基本的に手に取りやすく、難しくないというのが売りの話だと思う。ただ、個人的に感じたのは謎解き特有の「読者に思考させる」のシーンがあるのに、読者の思考に対して「答え」がなかったように感じた。だから、やや断定の形で終わってしまっている最後のシーンには少々のクエッションマークが浮かんだ。主人公が追い詰めて、そこまで言ったなら、主人公の推理が当たってるにしろ外れているにしろ、読者に対する答えが是非欲しかった。この答えが出ていないせいで、話のオチとしてすっきりせず、どうも話全体が煮え切らない感じに終わってしまっている気がする。話のニ転三転を好むkirekoとしては、もう少しひねりが欲しかった。


犯罪は絡んでいません/六百文字 ジャンル その他 作:近藤義一

:あらすじ
犯罪が出てこないミステリー企画参加作品。

:感想
一つ一つの話がバラバラになっている、単発ミステリーの目録と言ったところだろうか。読者へ不確かさを提供するミステリー小説の雰囲気が伝わる不明瞭な文章、その不明瞭さを吹っ飛ばす強いオチ、あまり他人の作品と比べてはいけないと思うが、↑で感想を言った作品とは、非常に対照的な話だった。感想という感想ではないが、ミステリー小説独特の雰囲気の造り方が非常に上手かった。謎の書籍群あたりで使われたカギカッコと繰り返すような物言いといい、読者の思考を「謎」に集中させるという手法は非常に上手いなと感じた。それ以外の文章でも、不明瞭な部分を不明瞭に伝えて、読者に考えさせ、考えさせて読ませているうちに、灰汁の強いオチで話の全てをかっさらっていくというやり方は、文章自体は短いものの、二度、三度と見返したくなる話の作り方だ。ただ、やはり↑で紹介した作品と違って、ミステリーの本質である「謎」について強く本文中に語りかけてしまい、一般読者には、その「狙った不明瞭さが」少々退屈を感じさせてしまうかもしれない。その一点以外は、テーマにそったいい作品だと思った。
個人的な話なのだが、この作品の序文を読んで驚いてしまったことがある。それは、この企画の感想に取り組むにあたって、kirekoにも「犯罪の出てこないミステリー」というメインテーマに言いたいことがあり、もしこの作品の序文がなければ、その辺の話を書こうと思っていた。つまり、この作品の序文が、kirekoがこの企画に感じた殆どを解説してくれているということだ。


イチゴ大福隠滅大作戦 ジャンル その他 作:黒燕

:あらすじ
姉に頼まれ買ってきたイチゴ大福「夢いちご」。しかしこのイチゴ大福がとんでもない代物で……。『犯罪が出ないミステリー企画出展』作品です。

:感想
姉の命令で、評判のイチゴ大福を買いにいく弟の話。どうも推理とか、ミステリーとかいうと、読み手が身構えてしまう堅苦しい雰囲気が漂うが、この作品は『イチゴ大福』をメインにした算数の文章題のような話であり、読者にわかりやすい仕組みになっている。「店側からのサービスで値下げをしてもらった」「サービスしてもらった金銭をちょろまかして自分に儲けをだす」などは、とてもミステリーとは思えないような庶民的な感覚だし、その後に続く「イチゴ大福が美味しかったので、数をちょろまかす」という人間的な欲が絡んだ主人公の思考は面白いと思った。個人的には、おつりを誤魔化した主人公が、食べた途端にもう一つ欲しいと思えるほど美味しいイチゴ大福の、味覚的美味しさや視覚的外観についてもう少し方って欲しかった。そういう本筋には関係ない、脱線をミステリーに求めるのはkireko本人としてもナンセンスだと思うが、どうしても平坦になりがちな文章題には刺激が欲しくなるものだ。


六花、舞い落ちなくなり ジャンル 文学 作:広江 七横

:あらすじ
私の住む街に珍しく雪が降ったあの日の夜、私はお母さんと喧嘩をした。そして翌日、朝から様子が変だったお母さんは私に何も告げず家から居なくなった。【犯罪が出てこないミステリー企画】参加作品です。

:感想
些細な事で母娘が喧嘩をし、家を飛び出した娘が体験する、その次の日からのミステリー。どうも今まで謎や推理という固定観念で、企画作品を読み進めてしまったせいか、この話を途中まで読んで「謎かけにしては中途半端だな」と感じてしまった節がある。が、この話のオチまで読み終えたとき、それは読み手であるkirekoの、ミステリーに対する固定観念が悪かったと思わせる作品だった。ようするに、楽しみ方が違ったのだ。そういう意味で、この作品にはkirekoの目を覚ますような効果があった。メインテーマの解釈の仕方が書き手によって変わる、それを再認識させてくれたのだ。と、個人的な驚きはこの辺にして、感想に入っていこう。携帯電話の料金を巡って喧嘩をする母と娘という構図は、読み手にとって決して難しい話ではないし、最後のオチまで話を引っ張っていく、書き手の構成力は十分にあった。オチに向かうまでの台詞や伏線の立て方も、やや足早ではあるが申し分なく、理屈もちゃんとしている。ただ、話の展開としては一本調子というか、ありがちであり、もう少し展開にオリジナリティがあったほうが良いかもと個人的に感じたのと、文章内の細々としたミス(推敲不足による脱字)や、やや変な言い回しが目立つ。本文中でいうところの
 私が黙って母の後ろ姿を見つめ、声を掛けるタイミングを見計らっていると、失礼な事に私の気配に気付いた母は振り向きビックリした表情で、我が子へお化けを見るような眼差しをむけてきたのだった。
この「失礼な事に」という言葉の使い方(意味合いはわかるが、果たしてこの場面で一番適切な言葉だろうか?)と、母の「ビックリした表情」と「お化けを見るような眼差し」という表現は、何となく意味合いの重複を含んでおり、読んでいて変だなと感じた。部分部分、そういった気になる箇所が存在するので、細かいところで読者を読み詰まらせない工夫がなされていれば、話としてもっと読みやすくなったのではないだろうか。


占い師アルシオネ ジャンル その他 作:羽村奈留

:あらすじ
登場人物、占い師アルシオネ、本日の占い希望者:加納。『犯罪が出てこないミステリー企画』投稿作品です。

:感想
事業に失敗し、家族からの信頼を失いつつある男が、占い師と対面し、その占いの結果を聞くという話。良くも悪くも読者に想像(推理)させる話だと思う。文章中にヒントを出すが、決して答えはしない。このあたりが答えを求める人の感性を刺激する、ということだろうか。こういう話は、語り合える第三者が居て初めて面白いと思える作品だと思う。1つのテーマにそって第三者たちが考え、答えを導きだす、そのための問題提起と、ヒントのばら撒き方、という推理物の旨味に当てはまる書き方は上手いと思う。そういう意味で、個人的に推理しながら引っかかったのは、1話で加納が語った「確かに今の家族は事業に失敗した自分に対して冷たい。」の「今の家族」という部分。この辺のわざとらしいヒントを手繰っていくのも推理要素として楽しいのではないだろうか。ただ、文章全体に本企画のメインテーマであるミステリー的な旨味が入っているかというと、占い師アルシオネの容姿と、その存在ぐらいしか感じられなかった。答えのない問題文という終わり方も、人によっては投げっぱなしに見えてしまい、オチとして、どうも煮え切らない気がする。


===========終了============


>ミステリー

推理物もミステリーも、あまり感想をやらないジャンルなので、感想もかなり大雑把になってしまった気がする。
書き手としての気持ちを考えると、この企画の意図として存在する縛りプレイにかなり苦労されたのではないだろうか。
やはり小説なのだから、読者の眼を惹くような刺激が必要だ。
だけどそこに犯罪(刺激)が入る事は許されない。
となると、話の展開や設定、またはそこからくる雰囲気で奇をてらうしかないわけだ。
感想をいう側としては「工夫」と一口に言ってしまうがが、これは難しい話だと思う。
「ミステリー」に固執するのもいいが、話として面白くなければ読まないという、読み手の心理を掴みながら物を書くというのは、とても難しい。
企画の中で、まだ読んでいない作品も多いが、素直に万人が面白いと思えるようなミステリー作品は、果たして存在するのだろうか。
その辺を発掘するのも、感想人としての楽しみ。

あと、読みながら感じたが、ミステリーの定義というのは結局なんなのだろうか。
謎が出てくりゃミステリーなのか?
読み物としての感想の判断基準が曖昧なのも、その辺が関わってきている気がする。


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リハビリ感想(春・花小説企画)編1,5

2009年05月05日 06時09分21秒 | 企画感想物
黄金の脳髄が脈動する@kirekoです。

>リハビリ感想編1,5

http://blog.goo.ne.jp/kireko1564213/e/94ac67a1ee3345ea76ae4a66f60044b3
4月中旬にやったっきり、やや放置プレイ気味だった前回に引き続き、ちょっと時間があいてしまったがリハビリ感想やろうと思う。
なあに、時間なんてものは、おはようとおやすみを何回か繰り返せば、そのうち気にならないうちに流れてしまうのさ。


という、イイワケ。



*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

ふじだな ジャンル 恋愛 作:黒い夢

:あらすじ
小さな『私』は美しい妖精に出合った。そして、その後、私たちは……。『春・花小説企画』参加作品。表紙イラストは工藤流優空さまの作品です。

:感想
花いじりの得意な祖父の家に毎年呼ばれ、そこにある見事な藤棚を見に行く主人公の話。ややモヤのかかった主人公の回想に近い序盤の語り口から、藤棚を通り、再会の最後に至るまで、悪い意味で特に引っかかるところはなかった。元来、花が嫌いというわけではないが、それほど興味が無いkirekoのような読者に、この短編一つで藤という植物に興味を惹かせるには演出不足だと思ったし、妖精という幻想的で、話が広がりそうな種を用いている割には、視覚に訴えるものはないし、そのものが綺麗だと想像できるような表現が足りなかった。物語全体を捉えると、話の平坦さ、表現力の弱さもあり、内容の薄さばかりが目立ってしまった作品だった。ただ、本文中の
ところかまわず咲き誇る背の高い花々が幼かった私の視界を隠し、庭の一角に不思議な空間を作り出していた。
もちろん今では視界を隠すほどの花なんて滅多に見たい。あの頃の気持ちを思い出させてくれる場所は、もうあそこしかない。

この主人公の成長を思わせる表現は、個人的に良かったと思う。



風車蓮 ジャンル ファンタジー 作:鋼玉

:あらすじ
一輪の花に宿る二つの絆、戦場を駆けた彼女はそれを信じていた。春・花小説企画参加作品。4/3少し加筆修正&少し読みやすく

:感想
戦場で異民族相手に戟をふる女性の主人公が、戦いの中、胸に抱く過去を描いた作品。国の内乱⇒その隙を見て異民族が襲来する、戟や石弓、投石器(射手が強いであろう異民族が、どちらかというと科学的な投石器を使う設定はなぜか笑ってしまった)などの部分部分から読み取れる設定は、古代中国の歴史に似ているなと思った。そういう世界観の設定は興味をそそられるのだが、どうも人物の書き方があやふやで、やたらと長く、読み辛い。人物を読者に想像させるというのは、格好や素振りなどで見える外面、思考性格といった内面、その両面を簡素にまとめつつ物語を進めながら、どれだけ丁寧に書き込むかで決まると思うのだが、この作品は目新しい人物描写もなく(特に感情的部分がお決まりのテンプレートのように平坦)、丁寧とはかけ離れた展開の遅さ(読者にスローモーションを感じさせる)もあり、文章の書き方からは、途中で読み飽きてしまう読者も多いのではないだろうか。これは、構成的な面での問題があるのではないだろうか。戦闘シーンの熱の入ったテンポの良さ、その展開の速さに比べ、中盤後半にかけての過去の話、それに関する人物描写がとても長く感じられてしまう。作者がこの話のメインを何処においているかというのがわからないので、なんとも言えないが、文章の書き方、やたらカチコチとした漢字の使い方、展開の仕方などを見ても、個人的には文章内の緩急の付け方が、あまり良くないなと思った。花言葉という視点からしても、「用意した感」が否めず、こじつけに感じる。


花形見―Forget-me-not ジャンル 恋愛 作:桂まゆ

:あらすじ
毎年、春になると庭に咲く青い花。その花と思い出に包まれて生きて来た女のちょっと悲しい物語。「春・花小説企画」参加作品です。

:感想
青い花に因縁をもつ主人公の話。うーん、なんというか、全体的にしっくりこない。まず、設定が見えてこない。これは致命的だと思ったことなのだが、主人公の存在が最後まで読んで「メンタル面に弱さを抱える、ヒステリックな女性」としか見えてこなかった(会話の途中でいきなり花をゴミ箱にぶちこむなど)。妹との会話でも見え隠れしていたが、家族の間では主人公が「腫れ物」なのではないかと思えるような会話の仕方など、設定的に不透明な部分が多く、読んでいてとても疑問が沸く。そして、この辺の疑問に深く関わってくる話題だと思うのだが、時間の経過と連動する主人公の人物像がわかりにくいと感じた。花との関連性も謎が多く、結局何が言いたかったのか、kirekoには見えてこなかった。


=========終わり===========


>どうも

花や、花言葉そのものが持つ意味に、興味をそそられないというのは致命的なのではないかと感じ始めた。
うーん、次回に期待するか。


■記事に置くと何故か拍手が増えるWEB拍手(何か一言あったらどうぞ)


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リハビリ感想(春・花小説企画)編

2009年04月14日 03時21分00秒 | 企画感想物
懐かしやこの匂い、この痛み。我はまた生きてあり。@kirekoです。

>リハビリ感想編

というわけで、四月も相当進んでしまって、更新も先年と比べるとまばらになってきた末路なわけですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
(意訳:元気にしてたか小僧ども)

で、近藤さん経由でるうねさん主催の企画依頼を受けたものの、HPを見る限り、企画作品が仕上がるまでは少々時間がありそう。
となると、何か違う作品の感想の一つでも唱えておかないと読む力がなまる。

=(イコール)

いっちょ手ならしに他の企画作品の感想でもやってみようじゃねえか

というわけで、今回のkirekoリハビリ感想編のターゲットになるのは……


■春・花小説企画
http://juhee.web.fc2.com/hanasyousetsu.html

これだ!!

ちょうど、今唯一感想ブログ活動されてる一読者さんも、企画の感想してることだし……

そして、

花にまったく興味のないkirekoだからこそ、この企画を読む価値がある!(断言)

ただし、kirekoも日常生活の時間がタイムなので、企画内で読むのは短編のみとする。
また、選考は、
http://juhee.web.fc2.com/tanpen2.html
に乗っている↓からの投稿順とする。

ええい、世の中は花より団子なんだ!わかってくれ!
んじゃ、いっちょ、いってみっか!


*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり


============はい開始==============

ライラック ジャンル 恋愛 作:尚文産商堂

:あらすじ
美術部とは、美術にほれた人たちの集まり…では無い。だが、それでも私は好き。

:感想
休日返上の部活動で、時間を絵に費やす高校二年生の主人公、その主人公の周辺でグースカ寝てる美術部二人の話。一人称で進む話というのは、いかに主人公の視点で想像できるか、それを読者に伝えられるか、という難しい部分が焦点になってくるが、簡潔に説明されている設定部分以外の事を想像するには、今作品は本文の短さもあり、やや中途半端で、薄い印象を受ける。男側が『どうして好きになったのか』なんていう動機の部分もしっくりこないし、告白のタイミングとしては唐突過ぎる気もする。油絵、美術用具などに関する説明も少ないし、あと、全体的に周囲の環境が描写されていないため、背景、場景の動きなども淡白で、物足りない人には物足りないと言える。ただ、本文を読むのは難しくない。個人的には、恋愛想像入門編と言ったところ。ようするにシーンを想像し、いわゆるそのシーンに「ニヤニヤできるか?」というのが本小説の旨味ではないだろうか。だが、企画の概要にもある花言葉に関しては、少々蛇足というか、こじつけに感じてしまったのが残念な一因だ。


アムネジア/アルストロメリア ジャンル 文学 作:chap.

:あらすじ
白昼の教室で目覚めた“彼”。目覚めない“彼女”。何が起きて、何が起きなかったのか?――『花言葉企画』出展作品。

:感想

SF的な語り口で書かれた、ホラーとでも言えばいいのだろうか。「何が起きて、何が起きなかったのか」それは読者が一番言いたいことなのでは、と読後に思ってしまった。こういう事を言いたくはないが、書き手のイメージがダイレクトに書かれ過ぎててしまっていて、せっかく統制のとれた文章体が台無しな気がする。内容はクエッションマークだらけなので言ってもしょうがないが、文章に関する質問があるとすれば文章中の「/」と後半の意図的に改行しない台詞の意味。地の文をナレーション的に脳内再生しながら読むkirekoとしては、テンポを重要にする台詞劇という印象を受けた。だが、その旨味たる台詞の意味が読者にわからなければ何の意味もない。読者が想像し、理解するには、もう少し説明らしい説明が必要だったのではないだろうか。


寧日 ジャンル 文学 作:イリ

:あらすじ
雪がとけ暖かな日差しが私たちに降りそそぐ。幼少の頃の思い出が、ほんの僅かな事で素晴らしい思い出に変わるなんて私は知る由もなかった、今日までは――。

:感想
父と母の墓参りをするために出かけた主人公と、その主人公の娘の話。描写が丁寧で、均整がとれている文章もそうだが、全編通して説明に不足なく、最後はドラマ的であり、とても綺麗な話だと思った。テーマ小説というのは、どうしても主要にやりたいことが作者の中で固まってしまい、そのテーマ性が失われる事が多い。だが、この作品は主人公が育った生家に対する懐かしさと同時に、負のイメージとして刷り込まれたハルジオンという花を読者に印象付けさせて、なおかつ物語の主軸、オチにまでその要点を欠かさずに、最後まで書ききった、そういうブレない物の書き方が素晴らしいと思った。個人的に気に入ったのは、やはり娘と主人公の対話と、話している間にすかさず入ってくる周辺の描写だろう。話の導入部ですでにズバズバ直感的にものを言う主人公の娘と、それを苦々しく思いながら納得してしまう主人公。二人が会話をしつつも農道を走り騒音を耳に入れるトラックの描写や、主人公の母校のセーラー服が、いつの間にか洒落たブレザーに変わっていた事など、過去とは違う周辺の風景、主人公が感じた時の移り変わりなどの描写は、読んでいて想像するに容易いものであり、読みやすかった。一番良いシーンだなとおもったのは、墓参りの前に主人公たちが訪ねた八重子の家を出るとき、娘がハルジオンを摘みだすシーン。そしてそれに続く本文中の
「何してるの実穂! おじいちゃんの花は駅で買うって言ったでしょう!」
 窓を全開に私は声を大にして叫んだが、実穂は私の言葉を無視し作業をする手を止める事をせずにまた一本、とハルジオンを摘むのだ。頼むからこれ以上、私を苛々させないでほしい、と車から降り、花壇に入ろうとしたその時に実穂は振り向きハルジオンを私に見せつけた。
「お母さん! どうしておばあちゃんとおじいちゃんがハルジオンを大切にしてたかわかったの」

気に入りのスニーカーを汚しながら、摘む作業をやめない娘と、摘むのをやめろという主人公の掛け合いは、読んでいて凄くドラマティックだなと思った。これは、主人公がすでに子持ちの大人であることを考えると、どうしてそこまで言わなければならなかったのか、なかばトラウマ的に植えつけられた花に対する苦い思い、それに対する強い拒絶感が見えてくる気がする。その拒絶感が、娘の行動と、八重子の語りによって解消されて、主人公が本当の意味でハルジオンを摘まなかった両親の気持ちを知るシーンは、本文の一番の旨味だと思う。一点、主人公がやや納得するのが早すぎる気もしたが、前述した通り、文章全体は綺麗に纏まっているし、描写が丁寧であることは、読んでみればわかることだろう。秀作!


春、浅き春 ジャンル 文学 作:古都ノ葉

:あらすじ
お久しぶりです。僕を覚えていますか。今、迎えにゆきます。

:感想
大病を負った末期患者たちが集まり、延命よりも自然死を目的とした病院に入院した癌を患う祖母。そんな祖母が入院以来とても元気だった理由とは……という話。話の導入部が祖母に宛てられた手紙であり、中盤に孫の会話があるが、後半も手紙で締めくくられているカタチで、本文の内容も目的に向かって一本調子であるためサクサク読める。ただし、やはりサクサク読めてしまうのが災いしてか、読後感は「ありがちな話だな」だった。疑問に思ったというか、想像した点は、手紙の相手が実際祖母を迎えにいったのか(相手=祖父)だったのかどうか?というぐらいで、その他疑問に思う点は無かった。おそらく作者は、必要以上を書かないことで、物語のエピローグを読者の想像の範疇に任すという手法をとったと思うが、伝える情報量というか、小説全体のボリュームが少なく、手紙の内容が殆どであるため、もう少し情感を揺さぶるような演出、味付けというか、ドラマがあっても良かったかなと思った。桃のツボミを食う少女時代を想像するところに若干の面白さは感じたものの、花言葉に関しても、やはりまだ蛇足の粋を抜けていない印象を受けた。もう少しこの小説のテーマにあった花が、他にあったのではないかと思える部分も感じてしまったのは否めない。


カクマの子 ジャンル ファンタジー 作:光太朗

:あらすじ
とある願いを叶えることができると伝えられる、カクマの子。二人の男が、彼に出会う。それぞれ罪を犯した二人が、カクマの子に何を願うのか……──☆★☆「春・花小説企画」参加作です☆★☆

:感想
カクマの子と呼ばれた少年に、人を殺したと訴え出る二人の男。毛色というか、タイプは違うと思うが、読後すぐに感じたのは、善玉悪玉の出る童話とか、まんが日本昔話に近い雰囲気だった(一方と一方で、仕置きの沙汰が違うという手法)。伝承のような詩風の文章をはさんでいるため、本文はとても短い。が、その短い文章の中にも、カクマの子、それが為す「うつろい」の表現方法など、若干不透明な部分があるが、十分にファンタジー作品としての雰囲気、本質はある気がする。ただ、kirekoがファンタジー作品で重要視する世界観に関するものは、全体のボリューム不足もあり、さして感じられなかったのが残念だ。カクマの子がこの世界においてどういう存在であるのか?なんてのも、読者想像に任せるには、余りにも広大すぎる設定だと思った。視点を変えて、企画の概要である花という捉え方で、この小説を読むとするにしても、やはり言葉の意味よりも、カクマの子という設定に追随し過ぎてしまっている気がする。


========終わり==========

>リハビリを終えて

ふう。
昔言ったことかもしれないが、テーマというのは基本、縛りプレイをしていることと同じだと思う。
テーマ一つ絞っても、それだけ制限がついてまわるのだから、書き手がどこまで機転を利かせて、テーマに沿ったオリジナリティある作品を書くか、という部分が、面白い、面白くないという感想にも反映されている気がする。
ジャンルとテーマの相性、それに対する書き手の相性、読者の相性なんて考えてると、とても難しいものを感じた。


■ついに復活するWEB拍手(何か一言あったらどうぞ)


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SF企画、空想科学祭を読む(4)

2008年09月10日 20時42分18秒 | 企画感想物
だから一応今日で一区切りにします@kirekoです。


>拍手レス

1:08 どうも初めまして。2作目、の作者です。ここで企画が取り上げられていると聞き、やってきました。ありがとうございます!! 拙作を二度も読み返して頂き、恐縮です。 実は現在、この設定、この世界観を再び使い、次作を執筆しています。 まあ……kireko様の鋭い指摘(感想?)の通り、やはりこの作品、即バック率5割です笑

どうも、こんちわ。ジャンルとか作風で煙たがられる感じってありますよね。
二度読み返したというか、読み返さないとちょっと理解できなかったっていうのが本音なんですけど、話のパーツを忘れっぽいので前情報の確認してたってのが一番ベストな答えかもしれません。次回作の執筆頑張ってください。

1:14 中吉ですか。眠いので拍手しますwww
1:14 今日は凶になったwww
1:15 再び中吉へw


以前、確立に関して明言してなかったと思うので今言うんですが、基本的に配置したのは吉5、凶5(捏造運勢有)のランダム10パターンなので、吉凶の確立は2分の1です。と、自分も気になったので押してみたんですが、何故だか凶率が多いです。WEB拍手の仕組みはよくわからないのですが、なんだか仕組まれてる感じもしますね。

1:20 大吉かぁ……鬱になるなorz気が凹む。
1:20 吉か。やっぱ凹むorz
1:21 また大吉かorz鬱だ(×49)
1:21 小吉でも凹むorz
1:22 わーい、中凶だ♪


なぜ大吉で凹む……!?
運勢占いの凶で喜ぶとか、どんなマゾだ。
あっ、ある意味凶事を事前に知らせる的な発想か。

6:08 いつぞや斬ってもらった、天崎です。kirekoさんの斬り具合はものすごくシャープなので、私はかなり嬉しかったです。中だるみですね~、気をつけます。(自覚症状はあり)ボツボツとSF企画にもご感想ありがとうございます。自作がまだ完成していないので、どんな塩梅かなァとお邪魔してみました。これからも頑張ってください! では。

どうも、こんちわ。今企画の主催さんだそうで、何かとご苦労様です。
中だるみって何にでもありますけど、短編じゃなくて連載だと特に感じますね。
話は変わるんですが、人様の小説を読んで「斬る」というと、何だか語弊が生じてしまいそうで怖いですね。kirekoの感想理念としては、「斬る」というよりも、肉を柔らかくするために鉄の棒で丁寧に叩き伸ばすっていう感じですね。たまに叩きすぎて肉がペシャンコになったりしますが、それでも書いてる作者さんには頑張って欲しいですよ。シャープな感想といわれると何だか嬉しかったりします。企画作品、企画の牽引、ともども頑張ってください。


>今日の感想と批評

( ゜д゜ )皆ーー安心しろーー!
( ゜д゜ )今日でSF企画読みは一時中断だーーー!
( ゜д゜ )だが明日から何をすればいいかわからない。
( ゜д゜ )……
( ゜д゜ )……歴史特集かな(果てしなく拷問の予感)

■企画の意図は、こちら
http://blog.goo.ne.jp/kireko1564213/e/7e03a0212eb392c37028780a1c7f63d9

*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:読める判定(kireko個人が読めるか読めないか)
:好き嫌い判定(kireko個人が好きか嫌いか)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============


レヴィアタン ジャンル SF 作:小田中 慎

:あらすじ
ソレはどのくらい前からそこにいたのか、分からない。ソレは幸せだった。ヒトがやって来るまでは・・・5分で示す世界の終焉。【空想科学祭参加作品】

:感想
長い年月海中に住み、気に入りの島を覗き見守る、高度な知能をもった存在が見た、島に関わるものの歴史。というわけで、実際読んでみた人にはわかると思うが、サイエンスフィクションとしての味付けは薄めで、ちょっとファンタジックな内容だ。しかし、現在の地球環境への警鐘としてのメッセージ性、人類世界が地球に及ぼしてきた歴史と、これから及ぼすであろう未来の行く末、そして海の中のこの杞憂の存在が最期にもたらした答えなど、汲み取っていけばSFとしての可能性を含んでいると思われる。なにより、簡素な描写の割に話の見せ方が上手く、ちゃんと話の流れが伝わってくるというのが一つの魅力だ。さて、ここでネタバレじみたことをするが、どうしても言っておきたい事がある。環礁に住み、世界の海を覗き、そしてラストの終末を意味する仕掛けと、レビィアタンという名前を見てピンと来る人も多いだろう。そう、レヴィアタンとは旧約聖書に登場する伝説の海の怪物。別名リヴァイアサンだ。そうなると世界を洗い流す豪雨の仕掛けは……皮肉にもノアの箱舟で有名な創生期の追随にも見えてくる。穢れた世界を粛清するのは天上の人ではなく、海物レビィアタンの怒りだった。そして最期の繁殖とは……そうやって想像してみると、何だか背筋がゾクゾクする。小説としての話の面白みもあるのだが、神話スキーのkirekoにとっては、なかなか想像力を試される作品だった。

:読める判定 読める :好き嫌い判定 話として面白い



朽ちていく三つ ジャンル SF 作:小坂戒

:あらすじ
空想科学祭参加作品。人形を巡る三つの者のお話です。

:感想
人間が機械という存在に生命の価値観を奪われた世界。そんな世界にある、人形を巡る三タイプの人間が存在するという街の話。今作品はSF的な設定を用いて人間の欲の一つ、性欲や色欲にスポットを当てた意欲的な作品だ。生物的な性欲を人形に求めて肉体的なセックスを生業とする客(人間)、人形の調整をするために脳と肉体の一部を機械化した人間である竿師、そして人形を操り客から対価(本編で金銭や物品による交換などの描写はないが、おそらく情報が対価だと推測)をもらい人形を作る人形師が、それぞれ些細な問題が生じて死んでゆくという話の流れなのだが、上記のこれは殆どkirekoが要約し、推測を加味した本作品の内容であり、本文中の言い回しを見ればわかるが、とても回りくどい描写になっている。と、いうより、理屈があわない。たしかに情欲、性欲といった人間的思考を捨てた人形師と人形の精神の同化、自分の作った人形が汚されることにより、精神的背徳を覚えるという人間感情の帰化と高揚(芥川の地獄変で娘焼き殺されながら屏風描いた絵師みたいな感じと思ってくれ)というのは、なかなか面白い設定だと思うのだが、なぜ、人形と精神を同化せねばならなかったのか。kirekoは上記で「情報交換の対価を得るため」と書いたが、本文中でそれが明確に表されていないので、真相はわからない。同じく脳を機械化し、性欲を捨てた竿師の最期に関しても描写されておらず、明確な答えが出ているのは「人形とのセックスに狂った人間の死」だけだった。こういう細々した描写不足があることと、とてもクセのある書き方(おそらく第三者視点の語り主が、上目線気味の立ち位置であるため回りくどさが口調に集中しているのではないかと考える)なので、もしかしたら本文中に明確な答えがあったのかもしれないが、kirekoには見つけられなかった。SF読者という観念よりも、本を読みなれない一般読者なら、もっとわからない内容なのではないだろうか。人間世界における、単純な性的欲求の湾曲した世界を表したいのなら、もっと描写を素直にというか、作者の小手先のインテリジェンスを排除したほうが、読者にもっと伝わりやすい内容なのではないだろうか。内容や世界観自体は嫌いじゃないだけに、なんだか残念な話だった。

:読める判定 読みやすさに拘るか、自己満足で終わるか :好き嫌い判定 好き



棺桶みたいな ジャンル SF 作:売国有罪

:あらすじ
棺桶みたいな研究所で、密室殺人が起こるわけでもないお話。~空想科学祭参加作品~

:感想
密室の実験室で行われていたある研究がもたらした結果は……という作品。王道SFとまではいかないが、基本的な話の流れの緩慢さを一気に快感かえるという手法は、実に読んでいて面白い。実際王道過ぎるオチなので、読者によってはすぐに想像できてしまう人もいて、それがわかってしまうと面白くないと思える流れなのだが、伏線回収のための二段オチが、実に巧妙に仕掛けられて、読後感を爽快にさせている。特殊な吸収線を持ち、あるスペクトルだけを透過する鉄の箱、ウラシマ効果、核シェルターあたりの伏線は、一度読み終わってオチを知った後に、見返して読むとパズルを解いているような感じがして面白いと思う。ただ、最期の演出が王道なだけに、なんだかもう一ひねり欲しい気もする。
ネタバレになってしまうのだが、個人的に思い出したのは、藤子A氏の笑ゥせぇるすまんに出てきた「不眠症の男が喪黒の誘いに乗り、長い長い安息の眠りから冷めたら、世界は滅亡していた」という話を思い出した。喪黒の「たとえどんなことがあっても安全です」という台詞が、まんま今作の「核シェルター」の伏線に似ていたので、ついネタバレ気味になってしまった。作者には申し訳ないことをした。

:読める判定 最期の一文まで我慢我慢 :好き嫌い判定 もう一捻り



終末(さいご)の記憶(長編) ジャンル SF 作:山田鞠子

:あらすじ
優二は、夢を見る。見も知らぬ国と、もう1人の自分、そして謎めいた傾国の女王。真実に近づいたとき、終末の記憶は解き放たれる。※空想科学祭参加作品です。

:感想
書き方は簡潔で読者に優しそうなのに、内容は酷く難解。というより、全般的に幻想的ファンタジーに偏り過ぎといえばいいのか、とにかく作者独特の構成の俯瞰が開き過ぎて、読み手を引き付ける「これ」という描写が少ないというか、もっと鋭く、もっと判りやすく読者に伝えられないのか。そういう描写できる部分が存在するというのに、その世界観を表す重要な存在を全て感情で表すというのはどうなんだ。これでは読んでる側のスタミナが続かないと思う。本文中の全てが間延びしてしまったようにも感じられ、何をやってるのかわからない、またはわかり難いっていうのが第一の感想だった。本筋である『話の面白さ』よりも、そういう面が目立ってしまって、とても悪印象を受けた。たぶん、また好き嫌いの話になってくると思うのだが、SF特有の「空想でありながら写実的に描写する手法」を好むkirekoが、一番読むのを苦手とするタイプの作品だろう。たしかに言葉は綺麗で、幻想的な表現の仕方は上手だと思えるのだが、幻想というものにも現実はあると思うkirekoにとって、それを伝えようとする説得力の無い小説というのは、えてして拷問になってしまうものだ。

:読める判定 構成力に難あり  :好き嫌い判定 共感はできない




機巧乙女之手妻顛末(長編) ジャンル SF 作:閉伊琢司

:あらすじ
江戸時代を舞台にしたSF時代劇。深川佐賀町にある水油仲買問屋の吉屋では、毎年のように奉公人が謎の死をとげていた。事件の解明に乗り出したのは、富岡八幡門前町で見世物小屋を営む美人手妻師、松江太夫とその仲間たち……。◆◆◆『空想科学祭2008』連載第2弾◆◆◆

:感想
SF時代劇……っていうとなんだかレトロな雰囲気を残しつつ、やってることは相当ぶっ飛びサイエンスなトッピンシャンだったりするんだが、この作品はどちらかというと時代小説より。江戸時代を題材としているだけに、登場人物の容姿、仕事、仕草の描写や、その日常の文化や風景を細かく書いているところなんかは、SFっていうよりも、時代劇のドラマっていったほうが正確かもしれない。ああ、なんていうのかな、NHKでやってた『お江戸でござる』の雰囲気をシリアスにした感じ。まあとにかく時代劇のパートのが多いって事だ。「じゃあ時代劇的な面白みのほうが強いのか?」と聞かれると、そうでもない。台詞の語り口が知ってる人には面白かったりするが、4章あたりからちょっと展開も変わってくるんだよねこれが、SF的な意味合いで。そんで、このままハイパー時代劇的な感じになるのかなーって思ったら、5章で雰囲気が戻るっていう変化球の使い方ね。そういうのが面白いと思わない人だと、この小説は読みにくいかもしれない。人間とか風景、いわゆる時代劇の雰囲気にスポットを当てているため、時代劇の醍醐味であるチャンバラみたいに展開的な刺激はとても少ないし、ドラマ性が見込める変化が起きているといっても元々の起伏が少ないので、読んでる人によっては退屈かもしれない。「ならなんで読んでるの?」って聞かれりゃ、ここからどうやってSFにつなげるのか、気になるからだよね。なんていうか、kirekoが勝手に思ってることなんだけど、今現在までは「焦らし」のパートで、今後まだまだ度肝を抜くようなトリッキーな面白さが出てきそうっていう期待値があると思うんだよ。

:読める判定 読める :好き嫌い判定 どこで変化するか楽しみではある


=======終わり==============


>\(^o^)/SF企画作品感想中断のお知らせ

( ゜д゜ )というわけで、ここ数日間連続でSF作品の感想を述べてきましたが
( ゜д゜ )ここを読んでいる皆さんが、少しでもSF作品に興味を示して
( ゜д゜ )いただければ、結構毛だらけ猫灰だらけでございやす。
( ゜д゜ )まだまだ読みきれなかった企画作品もありますが、
( ゜д゜ )今後の状況を見て、随時読んでいこうかと思ってます。
( ゜д゜ )そして皆さんが読んで、面白そうな作品あったら教えてください。
( ゜д゜ )それ読みます。
( ゜д゜ )というわけで、連日の拙い感想にお付き合い頂き
( ゜д゜ )ありがとうございました。


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SF企画、空想科学祭を読む(3)

2008年09月09日 22時50分06秒 | 企画感想物
そろそろSFに何か面白みを感じてくる読者がいると信じて第三弾@kirekoです。


>拍手レス

17:11 ゜+.(・∀・)゜+.゜ <大吉。だが、断わる。
17:12 (>ω<) <いつか10回にチャレンジしたい 末吉です


うむうむ、良かった良かった。
というより正直自分で最初にやった時も凶率が高かったぐらい、
確率が変なので、おそらく運勢拍手に関しては連打推奨。
良いのがでるまでやるのも一つだよね。
二度引くことによって良いこともある。悪いこともある。
納得できる良いのを引いた時にやめるのが大人。
最高まで出そうと思うのがギャンブラー。
やらないのは、恥ずかしがりや。

21:18 わあい!いつのまにか感想復活してるぅ♪うれしいうれしい♪うれしいので中凶でも気にしないぃ♪

うむうむ、喜んでくれて朕は嬉しいぞ。何より笑う門には福来る。
人生、そういう楽しいことを見つけることが大事じゃて。

22:10 大吉が出たので、これからSFを書くことにします。

運勢一つでやる気を出されるとは、造った側としては、なんとも嬉しい話じゃのう。
うむうむ、なさるがよい、なさるがよい。
大吉だろうが、大凶だろうが、ようは小説を書くキッカケになれば良いでござるよ。

0:25 感想書くって、時間かかんですね。
0:26 更新お疲れさんです。
0:26 SFも古典にいくとファンタジーとどうちがうのかようわからん領域になりますね。ほとんど古典は読んだこと無いですけど。
0:27 まあともかく懐がどうしようもなく深いジャンルなんでおそろしいくらいにピンキリありそうですが、がんばってください。
0:27 ちなみに
0:29 自分は藤子不二雄のSF、SukosiFusigi ga
0:29 が一番好きな訳です。 キリヒトでした。
0:29 さあて 凶以外が出るまで 拍手するか
0:29 割合どんだけなんだろう


またおまえk…。というのも飽きてきたので、とりあえずありがとう。
SFとファンタジーって、どっちも空想だからジャンルの世界に仕切りというか、分かれ目というか、実際ファンタジーの定義が広すぎて、SFが取り込まれてる感じにも見えるよね。まあSFには空想の中の物証みたいのがあるから、まだ完全にファンタジーとは言い切れないけど、中には……。うーん、難しいね、ジャンルの細分化というのは。

12:03 最後の最後に当たったと言っていただいた小説を書いた者です(名乗るの長い)。ありがとうございます。真面目なレスは本サイトの方でお返事するとして、レビュー面白かったですよ(^^)。わたしもケータイ小説文化? にはあまり親しみがなく。ちょっと驚いたりしていたのでした(ナイショですよ)わたしも含め、これからもいろいろとバサバサ斬ってやってください。

どうも、こんちわ。良い小説をありがとうございました。
誰よりも好き嫌いのでる切り口で切り込んでますが、今後ともお手柔らかにお願いします。
と、話は変わって、ケータイ小説風味作品の感想について。
流行なのかどうかはわかりませんが、ケータイ小説文化っていうのは、本来の小説の表現形態とは違いますからね。面白い面白くないっていうのも、育ってきた環境にもよるんだと思いますよ。だから、簡単に斬って捨てることも出来ますが、実はその中には拾うことも出来る素材が眠っているのかもしれません。手軽という点と、展開に関しては、ある意味拾える素材なのかもしれません。使おうとは思わないですけど。


>今日の感想と批評

( ゜д゜ )一度消えた文章を再度書き出すというのは、実につらい。
( ゜д゜ )が、やらねばならぬが俺の定めよ。
( ゜д゜ )今日はノンネタバレでいくぜ!!

■企画の意図は、こちら
http://blog.goo.ne.jp/kireko1564213/e/7e03a0212eb392c37028780a1c7f63d9

*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:読める判定(kireko個人が読めるか読めないか)
:好き嫌い判定(kireko個人が好きか嫌いか)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

オールドロマンサー(長編) ジャンル SF 作:木野目理兵衛

:あらすじ
記憶を失くした老人ハールは、超蒸気技術が生活の根幹を成す巨大地下都市イザヴェルにて、幼き妻イドゥナと共に平穏な日々を過ごしていた。だが、そんな彼の暮らしを脅かす影が視界をちらつき、やがてハールは世界に対する疑問を抱き始める。

:感想
超記憶喪失の老人が、蒸気機関が超発達した世界で、自分と比べて超若い娘(精神的には大人)を嫁にもらって、超平凡な一日を、超平凡に過ごすというお話。と、ここまで嫌味に「超超」言ってればわかると思うが、展開的にも演出的にも求めるところが違うというか、端的に言うならばkireko好みではない、とても回りくどい作品だということだ。書き手の創りだした雰囲気と設定は悪くないと思うだけに、眼の覚めるような演出や、「ここぞ見るところ!」という見栄えのするシーンがないのが残念だった。まだまだ長編の1話なので、この後に演出が光る展開に期待は出来るのだが、どうも話の流れに起伏が無くてダメだ。kirekoとしては、無駄に感じてしまう描写文が多いと思うぐらい、とても回りくどい一話だった。文章校正、いわゆる常用外漢字(聊か、然様で)などの表記に関しても、読者年齢層を高めているのか、それともSFを読む人用に工夫しているのか、何も知らない一般読者に読ませるには、少し敷居を高くし過ぎな気がする。また好き好きの話になってくるのだが、読ませるのに必要なのは、読者が読もうと思える話の面白みや、読みやすい書き方であって、書き手の自己満足だけに捉われるのは、どうかと思う。そういう部分での疑問が、文章にも伝わり、kirekoが一番知りたかった、この世界観の雰囲気を知るために必要な、蒸気機関の存在、その周辺設定の説明について、なぜこういう風に回りくどく書いているのか、とても疑問だった。「退廃的」と言葉で言うのは簡単だが、文中で表現できてないと読み手が感じれば、それは滑稽にも似たものにも見えるもの。切れ味の悪い包丁で魚の鱗を剥いでるんじゃないんだから、サクッと伝わる言葉で表現して欲しいところだ。あと、本作品の回りくどい書き方の原因となっている、地の文に関してなのだが、これだけ面白い素材を持つ主人公の人間性にスポットを当てるでもなく、主人公の視界に入る脇役達の描写にこだわりを見せるでもなく、ただ長々と情感を含めて書くのは、二時間ものの旅番組を見ているようで余り好きじゃなかった。なんていうのかな。勢いの無い小説をクドクドクドクド読んでいる時って、正直眠たい。日常を描くなら、登場人物達の人間性が面白いと思うkirekoにとって、これは「読める」だけに拷問だった。ただこれはkirekoの感性なので、落ち着いた雰囲気とか、そういう書き方が好きな人は、他の読者の中に多くいるかもしれない。

:読める判定 構成的には上手いと思う :好き嫌い判定 書き方が嫌い


ジャム・カレット・タイマ(長編) ジャンル SF 作:ハジメ マコト

:あらすじ
「一年か一万年前に、僕の住んでいた都市は、滅びた」鮮明な夢か、朦朧とした現実か。赤いウサギがあなたを誘う、終末的世界の寓話。*空想科学祭出展作品*

:感想
ファンタジーとSFの中間にあるような雰囲気。というより、SFというよりジャンルでいえばある意味ナンセンスに近く、kireko流に言うなら空想純文学だ。順不同のオムニバスとして、1、2、3話まで読んで「疑問」を感じなかった人や、「答え」を探したい好奇心旺盛な人以外には、向いてない小説だと思う。おそらく作者の描く世界観に浸かれるかどうか、「なぜ!?」「どうして!?」が気になっちゃって眠れない人向け。ちなみに本文を読んで思ったのは、この作品を読む時は、どうか軽い気持ちで読んで欲しいと思う。いわゆる不文律で不条理なナンセンス作品を読む気持ちで、何かの作業の片手間に読む事を勧める。とても不可解で不思議な内容に感じられる人もいるだろうが、キーパーツとして存在するウサギ、進行時間の合間に語られる時間逆行(世界の創生?)に関してのトリックなど、話の中で色々なヒントが隠されているので、そういうのを想像しながら読み進めると面白いかもしれない。勘のいい人なら1度読めばわかるが、勘の鈍いkirekoは2回読んでやっと理解した(理解した気になってるだけかもしれないが)。うーん、でもこりゃ読み手を選ぶなぁ。


:読める判定 無理な人は無理かもしれん。 :好き嫌い判定 ←に同じ。



==============終了===============


>実質2作品しか紹介してないが、正直10作品紹介したのと同じぐらい疲れた。

( ゜д゜ )なんていうか、読むの疲れるとかじゃなくて
( ゜д゜ )色んな選択肢を考えるのが疲れた。
( ゜д゜ )いやー、2作品目に関しては本当に考えるのと理解するのが難しい。
( ゜д゜ )ただでさえ解析癖があるだけに、とても体力をつかったアルネ!

■今日のあなたの運勢もわかるWEB拍手(何か一言あったらどうぞ)


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SF企画、空想科学祭を読む(2)

2008年09月08日 20時10分13秒 | 企画感想物
好評かどうかはわからないが、企画物読みの続き@kirekoです。

>拍手レス

3:37 取り敢えず、今現在唯一更新してらっしゃる簡素スblogに拍手!

感想仲間の皆が元気を取り戻したら休憩をとり、そちらが休めば更新する。
これこそが、人々により深く印象をつける方法でございまする。
(ようは24時間営業をフルタイム出勤の何人かで回してる感じです)

3:38 拍手送ったのに…大凶でつか…orzそして簡素スblogってなんだ自分(ミスタイプした)

ミスは誰にでもあることでござる。そう、気にするなかれ。
それに物事は表裏一体でござるから、大凶とて決して凶兆にはござらんぞ。
大凶は明日の大吉を産む一時の昇り坂のようなものでござるよ、はっはっは。

3:39 「感想blog」と書きたかった、と書き忘れて送信した挙句、大凶の次には落とし穴に気をつけろって何なんですか、それ!

思わぬ落とし穴というのは存在するということですよ。
気をつけるに越したことはないってことですな。

3:41 今度は「確実に悪い事が起きる」といわれ、再び「凶」なので、10連打を諦め寝る事にします。応援拍手のお礼がこれとは、流石kirekoさんと申しましょうか…。orz

ほっほっほ、私は差別主義と言っていますが、本来は差別をしない主義です。
一方的な感想を苦い思いで見ている誰かにも、こうやって応援してくれる人にも、
決して贔屓したり甘い顔を見せたりはしない平等主義者、それが私なのですよ。
まあ世間ではそれを傲慢というらしいですがねぇ……!
と、言っちょりますが、おいどんもマシーンじゃありやせんから、
完全にそうとまでは行きません。
応援拍手ありがとうございます><

3:42 また凶だーっっっ!もうマジで寝る!いつもお疲れサマです!>感想文

( ゜д゜ )拍手も程ほどにというが、
( ゜д゜ )このブログに限ってそれはないので安心して押すがよろしかろう。
( ゜д゜ )しかし、発言が正直でなかなか好感がもてる人物だのう。


>今日の感想と批評

( ゜д゜ )コメントでの追伸もあったので、SF企画を読む第二段やります。
( ゜д゜ )ネタバレしないと言っておきながら、ネタバレする可能性もあるので
( ゜д゜ )まだ読んでいない人は、感想のところを隠しつつ
( ゜д゜ )読んでみるのもいいんじゃなかろうかい!?

■企画の意図は、こちら
http://blog.goo.ne.jp/kireko1564213/e/7e03a0212eb392c37028780a1c7f63d9

*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:読める判定(kireko個人が読めるか読めないか)
:好き嫌い判定(kireko個人が好きか嫌いか)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

閉ざされた虚構の不協和音(長編) ジャンル SF 作:早村友裕

:あらすじ
繁栄を極めた電脳都市は「情報危機」によって壊滅的な打撃を受けた。それから10年、残骸の中で過去の罪を清算するため、閉ざされた虚構(タチェット)を整理する組織があった。◆空想科学祭2008出展作品です◆

:感想
科学の発達した未来、宇宙への可能性を否定した人類が、電脳世界への癒着を広げ、自らの精神を情報化し、多くの人が電脳世界に安定を求めた結果、ある障害が起きたので、それによって生じたものを始末するために主人公が活躍する。と、長々と語ったが、読み返してみれば、だいたいあらすじ通りだった。ようは、人類の未来の話を描いた作品。わかりやすく説明するなら、オンラインゲームのような楽しい仮想空間の世界に人間が入れるようになったのはいいけど、多すぎてサーバーがパンクすっから、サバの負荷減らすために、変なバグ削除すっぞーみたいな話。とっても無粋で、偏見な話なんだけど、どうしても読んでて漫画版攻殻機動隊と、ゼーガペインを思い出しちゃったな。さてさて、それは無かったことにして、今作品の魅力を語っていこう。まずSF要素の旨味である設定(ユニゾン・システム)などの説明に関して、読んでて小難しさは無い。ただ、電脳世界に取り残された迷子情報体(原文中ではトリル)の存在や、作者の描く世界観に関する「答え」についての描写にもう少し手を加えて欲しかった。一応、伝わるは伝わるのだが、まだ各所疑問は残るところ。今後解決するのかもしれないな。kirekoとしては、昨日散々ヒーローものを見せられた反動なのかもしれないが、人類が宇宙の可能性を捨てて、電脳世界に逃げ込むという世界観の構築と丁寧な描写は、空想の中のリアリティがあって好きだなあ。でも、読み手としてよりも書き手としての不安なのだが、ちょいと一般読者が読むには、この設定が飲み込めるか心配だ。読者に共感を得させる説得力を生み出すには、もう少し、噛み砕いた説明が必要かなと思った。ただ、これ以上長く設定を言うとクドくなるってのもあると思う。うーん、構成的な問題も入ってくると難しいな。あと、登場人物に関しても、どっかで見たような平凡さなんかが感じられて、ユニークなキャラクターを見たい人には、好き嫌いは否めない作品なのかもしれない。話の進行も、展開も、ややゆったりしているというか、この流れで勢いをつけるのは難しそうだ。

:読める判定 サクサク読める…が :好き嫌い判定 設定は良いが進行…が


ラプラスの魔女 ジャンル SF 作:葛城 炯

:あらすじ
オレの宇宙船が壊れやがった。軌道は……地球へ一直線。その時、モニターに顕れたのが……自分の命と地球、どっちを選ぶ?

:感想
映画アポロ13とかでもあったけど、探求にとらわれた科学の犠牲者は、いつもこんな究極を迫られているのかもしれないなぁ、と感心してしまった作品。今まで長編で、宇宙的じゃないSFを見てきたせいもあったのか、ストレートに面白い話だなと思ってしまった。殆どの描写は簡潔で、一般読者には引っかかってしまうんじゃなかろうかと思う部分もあるのだが、小説としての構成がそれをカバーしてると思う。なにより、自分が読んでいて楽しいと思えた。そういう面も加味してか、一人称の語りはスッキリハッキリしており、随所に小難しい要素が入ってる割には読み手を選ばない作品だと感じた。今作品の見所は、やはり主人公とラプラスの魔女との出会い、そしてその問答の答えだろう。台詞の中で度々行われるハッピーエンドとバッドエンド、全ての確立が二分の一の可能性という言い回しに含まれたトリックは、SF的というより小説的に特筆すべき物があり、オチを読んだ後だとパズルが解けたような読後感があるのでオススメ。まあ、ちょっと台詞や心理、読者が読みたいSF演出的には「臭過ぎるなぁ」とも思えるのだが、そこが良いとkirekoは思う。

:読める判定 読める :好き嫌い判定 面白い発想!


ぼくの発明日記 ジャンル SF 作:荻輿亜聡(ストーリーテラー)

:あらすじ
【空想科学祭参加作品】引き出しの中に広がるもう一つの時空―アナザーユニバース―SukoshiFushigiな物語

:感想
S(すこし)F(ふしぎ)の定義を唱えられて、この書き方となりゃ「創世日記」を思い出すほかあるまいて。と、藤子F先生信者のkirekoが食いつく書き出し。だが、それゆえに作品に対する目が強くなるのもまた然りだなぁ。というわけで、何のとりえも無い主人公が、夏休みの自由研究に世界を造っちまおうぜっていう話。うーん、発想はもとより、途中からのメール形式の文体について行けるかどうかが、読む読まないのキーとなるところか。どうでもいいけど、この書き方だと主人公が一方的にメール送ってる嫌な男みたいに見えてくる。一応返しの描写も文中にあるからアレだけどさ、そういうの気になっちゃうよね、小説だと。ちょっと疑問に思ったんだが、引き出しの中に天体世界をつくるキットが発売されてるのは飲み込めたんだが、それを発明と表記するのはどうなんだ。発明じゃなくて製作じゃ?いや、まてよ、キットというのはあくまでも部品で、それをくみ上げて主人公が違うものを作り上げたと考えるべきか?うーん、発想が発想だけに、その辺気になるねえ。どこまでも続く合わせ鏡のように、極少になりながらも永遠に続く、パラレルな世界とパラレルな時間を覗けるというのは、ある意味夢のある話だと思うんだけど、それが本来現実世界で起こった歴史、人物などの追随になるという確証は、どこから来たのだろうか。パラレル世界はある程度の差異が発生するからこそパラレルだと思うし、現実世界とまったく殆ど同じでは、パラレルではない気もする。あっ、そうか差異か。だから主人公は、異世界の自分と彼女を覗いて、パラレル世界に干渉することで、異世界であることを解消したわけだ。でも覗いてる世界は、確実にパラレル世界であるんだし……。うーん、とっても逆説的ー。

:読める判定 メールがウザイと感じたら読めない。  :好き嫌い判定 F先生は好き。


ファーストアース ジャンル SF 作:尚文産商堂

:あらすじ
未来の世界。太陽系やその周辺の宇宙空間が、謎の事故によって封鎖されている世界。ある夫婦が1週間の恒星間旅行に当たった…空想科学祭参加作品です。

:感想
旅行者たちが巻き込まれた(誰かに仕組まれたのか?)第一の星、母なる星への帰還と、その状況の打破を描いたSF作品。確かにSFだと思えるのは、まず未来的な発想力とスケールの変貌ぶりだろう。最初は町内会で旅行が当たったぐらいの話だったのに、いつの間にか主人公たちは星の再生者になっていたことや、恒星間航行、活動する二次世界に溢れるAIのオリジナル、地球のそれまでの歴史、奇跡の種の存在理由など、kirekoが設定的にそそられるものが多かった。おそらく、SF的要素で言えば、話の旨味の殆どが4章の語りにあるといっても過言ではない。それが気に入るか気に入らないかで、その先の読み方が大分変わってくると思う。地球という存在が過酷な状況に陥った理由の影、侵略者の存在と世界の変動の話は、大いに想像させてくれて面白かった。ただ侵略スライムに火は効かなくなったんじゃ…?あれ?という部分はあるが、まあそこは無粋なので割愛。と、設定的に面白い今作なのだが、致命的な欠点もある。それは何かというと、小説の文章校正的な問題だ。いきなり台詞間で強調のための改行があったり、段落分けがなかったり、とにかく読んでいて辛い人には辛いと思う。そこさえクリアできれば、なんとか読めるが、読みやすいとは言い難い校正の仕方だった。

:読める判定 変な改行の理由が知りたい。 :好き嫌い判定 好き


ラスト・メッセージ ジャンル SF 作:冬城カナエ

:あらすじ
「遥か未来の寂れた星で。彼は、ある男を探す。」枯渇した鉱山しかない星の場末のバー。現れた旅人はバーテンダーに問いかける。ある男を探しているという、彼の目的は……?【スペース・オペラ風、会話劇:空想科学祭、参加作品】

:感想
最後の最後に当たりを引いたぜ!!
背景暗くて文字色も見にくいけど、それさえ気にならなければ十分面白い作品。端的に言ってしまえば、いわゆる宇宙SF人情劇。初っ端から随所にハードボイルド特有の「初心者お断り」みたいな雰囲気が漂うが、その雰囲気の書き方が丁寧で、無駄が無いのが良い。構成的にも文句なしに面白い。本文中の宇宙人が集う酒場の描写や、主人公がそれに対して思うところ、宇宙人そのものの外観の描き方も上手いし、時間の経過も緊張感があっていいし、しかもSF的な要素はかなり噛み砕かれて書かれており、一般人にも非常にわかりやすい内容なんじゃないだろうか。正直背景色と文字色以外に、問題が無いというのが問題という感じだ。基本的に台詞は洋画のような「臭い」ものばかりだが、どれもカッコよく聞こえてしまうのは、登場人物の書き方が上手いからだろう。「カミカゼ」「S&W」「30年」の演出も判りやすくて良いと思う。一定のリズムで流れる話なのにダレないし、それでいて読み手の好奇心を煽り、読ませる工夫が随所になされているところなんかは、正直言って書き手として脱帽だ。うううう!これ以上言うと、ネタバレになってしまうので言わないが、とにかく読んで損する小説じゃない!と、あのkirekoが声高に叫ぶ一品だった。サビついてたのは足じゃなくて心だったわけですね、わかります。というわけで秀作!

:読める判定 無駄が無く、読みやすい :好き嫌い判定 とても好き


===========終了============

>好きなだけに、半端に終われない。

( ゜д゜ )全所要時間5時間ちょい。
( ゜д゜ )SFって濃い描写とか、綿密なトリックとかが旨味だから
( ゜д゜ )とにかく読むことに関しては、力のいるジャンルだと思う。
( ゜д゜ )だからこそ読み応えがあっていいと思うのだが、
( ゜д゜ )全読者層の全ジャンルを集めて、読むという視点に限ったら
( ゜д゜ )話としての好き嫌いは、たぶんファンタジーと
( ゜д゜ )タメはれるんじゃないかなぁ。

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コメント (2)
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SF企画、空想科学祭を読む

2008年09月07日 19時31分23秒 | 企画感想物
ある意味サイエンスフィクション特集に近いね@kirekoです。


>拍手レス

0:28 拍手でSF依頼した者です。短編・掌編全部のレビューが見てみたいなぁ、と思ったもので…。迷惑でなければよろしくお願いします。

へい、おまちどう。
オイラもまだまだ若い衆には負けちゃいねえ。
だとすると誰よりも貪欲に読まなきゃなるめえよ!
はい。全部は難しいので、今日は小手調べのとりあえず触りだけ
読んでみることにします。

14:10 (*`・ω・´*) <小吉だが文句はねぇぞ。寂しがり屋の相手なんざしてられねぇ。

ふふ、嫌いじゃないですよその受け答え方はね。
でも、もうちょっとゾクゾクする感じがいいわね。

14:11 ヽ(`Д´)ノ ウワァァァァァァン <送信したら末吉になったあああぁぁぁぁぁぁあぁあ 謝罪と賠償!

( ゜д゜ )二度も送るからそういうことに……
(^д^)だから10回やればいいんだよ。


>今日の感想と批評

※今日の感想は、すべてここの中の、ここの掲示板に載せられたものです。なんでかっていうと、感想を言われる覚悟が少しでもあると感じたからです。

( ゜д゜ )長編、短編問わず読んでいきます。
( ゜д゜ )長編の場合は、タイトルの後に(長編)とつけます。
( ゜д゜ )長編作品は今現在進行中のところまでの感想を言いますから
( ゜д゜ )作者さん的には「これから面白くなるんだよ」的な
( ゜д゜ )不快と思われる部分もあると思いますが、
( ゜д゜ )そこはご了承ください。
( ゜д゜ )あと、今回ネタバレはできるだけ控えます……
( ゜д゜ )SFものはネタバレが一番怖いところなので。
( ゜д゜ )それではまいる。
( ゜д゜ )いざいざ!尋常に!

■企画の意図は、こちら
http://blog.goo.ne.jp/kireko1564213/e/7e03a0212eb392c37028780a1c7f63d9

*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:読める判定(kireko個人が読めるか読めないか)
:好き嫌い判定(kireko個人が好きか嫌いか)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり


============はい開始==============

Dusk of Paradise ~黄昏時に捕まえて(長編) ジャンル SF 作:小田中 慎

:あらすじ
[空想科学祭参加作品]38回目のドゥームズデイ(第3次大戦開戦記念日)のその日、新都心大宮の気温は25度を超え、記録的猛暑の一日だった。美しい夕焼け空が広がる多摩川を一人の青年がバイクを押して行く。その視線の先に黒い制服姿の女がいた・・・ディストピアなもうひとつの日本で、サイとリバーサーの刹那的な愛の結末は?RE;BIRTH外伝マスターの青春編登場!

:感想
まず予備知識なしで、外伝的作品を初見で読もうと思ったのが間違いだったかもしれない。はっきりいって設定資料集の一つでも抱えて読まなきゃいかんぐらい、本編の流れが理解不能のまま書かれていた。台詞や動作の合間に行間が空いてるのはかまわないんだが、それよりも作者の書き方が抽象的で読みにくい。話している内容の情報量が足りてるわけでもないのに、無駄な言い回しが多いというかなんというか。うーん、一般読者がこれを読もうとするならば、おそらく原作(?)を読んでからのほうが理解しやすいんじゃないだろうか。読みにくさの問題に関してkirekoが一つ言いたいのは、ちょいと素人読者に対しての説明がおざなり過ぎるんじゃないだろうか。作者の描く世界観を作者が一番良く知っているというのは理解できるが、それを読者に伝えようとする試みが文章で現れてなかった事は残念だ。本編3章あたりで細々した情報や、世界観に関しての設定が色々書かれているんだが、どうも作者の中でしか咀嚼できてないというか、説明が一々歯切れが悪く、読者に親切ではなかった。全てはそこにあると思う。本文中の興味を惹かれる設定や、心理や、動作を読ませようという意思が見え隠れするのに、なぜこんなに本文は回りくどく書かれているのか。感想というより小説の読み方的な話だとは思うが、残念ながら今現在までのパートで、小説として展開や文章が面白いと感じる部分はなかった。

:読める判定 工夫が欲しい :好き嫌い判定 設定は美味しいと思うが独りよがり



REV(長編) ジャンル SF 作:神宮寺飛鳥

:あらすじ
どこか遠く、いつかの未来。滅んだ地球の中で生きて行く為、人類はドーム型の人工都市の中で暮らしていた。長い年月が過ぎ去り、滅びの理由も世界への疑問も薄れ、誰もがその世界を当たり前だと考えるようになったある日、スラム街で暮らす少年、ウラの身に劇的な変化が起こる。空から降ってきた棺から現れたのは、美しい少女だった。少女の言葉は少年の世界を、大きく変える切欠となる。「あなたが、私を『人間』にしてくれるのですか――?」秋SF企画、空想科学祭参加作品です。企画共々宜しくお願い致します。

:感想
あらすじだけ読むと、映画のキャシャーンを思い出すな。おそらく1章を読んで、大分感想がわかれる作品だと思う。kirekoが面白いと思ったのは2章からなので、ある意味1章だけだったら読み詰んでたかもしれない。さて、本編は一人称視点で物語が進行していくため、主人公のモノローグが大量に入ってくるので、それを「無駄」と感じてしまう人はオススメしない小説だと思う。ただ、小説としての見せ方は、さっきの小説より、似非リアリティ(浪漫)のある味付けがしてあって良心的だ。シーンとして一押しなのは2章の主人公とレビィが出会った後の戦闘シーン。突然出てきた蒼髪ボブカットのアンドロイドが「えいっ」って言いながら、重火器を搭載したマシーンにトドメを刺すというのは、ありふれてメジャーなシーンだと思ってしまいがちだが、想像するとドキドキするのが男の子だ。そんな子に「マスター」なんていわれたら、まともな仕事についてない主人公なんてイチコロ!そういう属性がある人は、読んでみて損は無いのではないだろうか。と、ここまで言えば勘付く人も居るかもしれないが、つまりこの作品はSF的な要素で好き嫌いというより、展開演出や1シーンとして読ませる部分が多くて、文章の勢いを殺さないエンターテイメント性に優れた小説だということだ。ただ快活な部分と倦怠の部分の落差が激しい。とにかくモノローグが一々長かったり短かったりするのは、なんだか疲れる感じだ。序章の中盤あたりで気付いたんだが、単純な「AはBをした」という文章に感情が入ると、結構ゴテゴテしてしまうものなんだなと感じてしまった。あと、書き方的な問題もある。やはりこれも横読み読者用に作られているのか、改行の仕方、縦書きだと違和感を感じる(台詞パート時は結構鬼門)空行部分があり、そういう基本的なところが気になる人は読めないかもしれない。とは言うものの、荒削りな部分さえ追々工夫していけば、メジャーな書き出しだし、読める類だと思う。ただ、メカ好きのkirekoとしては、ロボットの描写を事細かく見せて欲しかった。

:読める判定 改行が気にならないなら :好き嫌い判定 エンタメ性◎



【BLACKBOX ~Being Saya Nestorm~】(長編) ジャンル SF 作:かわい洋ヘイ

:あらすじ
時代は23世紀。太陽系に住みかを広げた未来社会。少年少女は夢を見る。少年少女は現実を知る。少年少女は悪夢に狂う。少年少女は恋してく。空想科学祭長編SF作品ただいま公開。【9/4】文字色変更しました~。

:感想
とりあえず目がいてえ。なんかSWAT(ブックマーク参照)が書いたみたいな小説だな。銃弾の雨を浴びせられようが、砲弾の集中砲火を食らおうが、まったくダメージがないトンデモ黒装束少女が襲い掛かる兵隊をばったばったとなぎ倒し、俺はてめえらのおとぎ話の語り草の世界から生きてんだよと啖呵をきる。とりあえず1章(序章は序章でしかないので割愛)の面白い部分をkireko流に抜粋してみたのだが、ここで面白いと思うと思わないとで、大分意見がわかれる。まず書き方は、とにかく小説的というより漫画的だ。ある意味一般人が興味を惹かれそうなメジャーさで良いと思うのだが、それはマイナー肌であるkirekoとしては忌むべき手法なので、余り触れないでおく。うーん、とりあえず地の文の言い回しに含みがありすぎるというか、こりゃクドいと言っていい書き方だ。印象付けをするための反復や、強調のための倒置法というのは、kirekoも小説の中で良く使用する手段なのだが、これはちょっとやりすぎってか、どこが強調したいのかわからない。全部と言われりゃそれまでだが、こうやり過ぎると、なんだか「そういうのうるせーからはよ話を進めや!」と思う読者の嫌悪の声が聞こえてきそうというか、小説で大事なのは何なのかなって思う。こういう書き方だから仕方ないんだけどさ、描写に関して簡潔ならまだしも、都合で端折ったりするのは、あまり感心しないな。うーん、SF小説ってこんなんだっけ……?なんだか腑に落ちないな。カッコよさげな物言いや、特殊な読み方が気にならない人は、読めるんじゃないかな。

:読める判定 えっ、SF小説…?  :好き嫌い判定 書き方が嫌い 



アスクレピオスの種(長編) ジャンル SF 作:癒得

:あらすじ
人々を助けるために作られた物が悪に利用され汚されてしまう。

:感想
壊死や破損などで失われ、二度と修復不可能な人体の部位を修復する機械が発明され、それが悪用され、人体を超人的に変貌させる肉体改造の臨床実験に使われることとなり、悪は被体験者である人間達の心理を巧みに操り…。と、なかなかハードな設定の割には王道テイストな話。人間の心理面の弱さを突くというのは、なかなかリアルな話で、利用されるのを承知で悪に加担(被験者を無差別にさらってくるとかマジ鬼畜)する主人公の姿は、ダークヒーローというより、どちらかというと悪の組織の名脇役って感じだ。とはいうものの、2章を超えるとなんだか影が薄い。うーん、次が最終回らしいが、どうオチをつけるんだろうか。まだ少ししか語られていない主人公の復讐の理由が明確に出てくるんだろうか。とにかく謎は深まるばかり……と、ここまでが感想。まあ最近の流行っていうのかね、雰囲気を書き出す暇がないというか、とにかく設定は良いんだが、それに対する深い描写力や、地の文の文章力に欠けている気がする。主人公たちや、植え付けられる種に関してだって、もうちょっとエピソードに拘ったり、詳しく描写することが出来たはずなのに、なんだかあと一歩演出的に訴えるものがないというか、踏み込めてない気がする。展開が速いってのは良いことかもしれないが、なんだか方向性が定まってない纏め方だよなと感じてしまった。うーん、登場人物が増えすぎて話自体が薄味というか、もうちょっとSFテイストを捻じ込んでもいいような。うーん……。

:読める判定 気になるところは気になる :好き嫌い判定 好きだが、練り込みが足りない


さんすうリズム ジャンル SF 作:あゆみかん

:あらすじ
天才ゆえに理解してもらえず苛立ちながら過ごしてきた幼少。年月をかけて得たものは弟子。忘れかけて諦めかけていた時間が、今再び動きだす――『空想科学祭』企画参加作品です■■■■【SF/週1連載・金曜前後くらいで追加更新のつもり】

:感想
ロックマンエグゼ…?グリッドマン…?藤竜のサイコプラスのオマケについてた短編…?
正直なところ、SFというジャンルはファンタジー並に懐が広いんじゃないだろうか。ううううううう!ネタバレせずに感想言うというのは難しい!ようするに前述の三種+学園物の雰囲気を織り交ぜたような話。とにかく感想殺しとしか言いようの無い内容だ。(まだ感想をいえるような段階まで話が進んでいないという話でした)

:読める判定 よ、よめ… :好き嫌い判定 なんだかなぁ。



========終わり===========

>先に調べてなかったのが悪かった。

( ゜д゜ )掲示板の順とはいえ、気がついてみれば長編だらけだった。
( ゜д゜ )いやでも、いつもの短編感想でも同じぐらいの文章の奴あるし
( ゜д゜ )苦ではないんだけども。
( ゜д゜ )ちょっと愚痴をいうなら……
( ゜д゜ )大人でニヒルなSF読みたいと思って読んでみたら、
( ゜д゜ )どっかで見たようなヒーロー色の強い話が多くて、
( ゜д゜ )なんだか面食らったというか、食傷気味なんだぜ。
( ゜д゜ )ちょっと面白いと思った作品もあっただけに残念というか、
( ゜д゜ )もっと生真面目にSFSFした小説ってないのかな。
( ゜д゜ )今度は短編限定で読んでみるか…。

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