こだわりみんなすてたら@kirekoです。
>今日の感想と批評
こまごまとやりたい事があるが、やろうとすると手に付かない。
なんやかやしてるそのうちに時間が過ぎていくというのが、
kirekoとしては、とても悔しいわけでして。
うーん、一日が108時間あればいいのに。
というわけで今回は、チョット前から感想を頼まれていた(?)
近藤さんの六百文字小説の感想をやろうじゃないかという話。
*感想テンプレ
■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)
*感想テンプレ終わり
============はい開始==============
■六百文字小説集 ジャンル その他 作:近藤義一
:あらすじ
六百文字の小説です。長く繋がったお話を期待されていた方ごめんなさい。文字数はワードで数えています。ほかの表示では差異があるかもしれません。常用するもの以外の記号はなるべく使いません。
:感想
一つ一つが連作ではない、一話600文字の短編集。kirekoも体験したことなのだが、文字表現、しかも他者に伝える情報が、他の書き物より多分に多くなってしまいがちな小説という類になると、作者が意図して文字数縛りを行うというのは非常に難しいものだと思う。例えばオチが30文字あったら、本文は570文字しか使えない。その間に、話の大本、前説からネタふりまでやらなくてはならないと考えると、どんなに話を短くまとめることが得意な人でも、万人が理解でき、納得できるような明瞭簡潔な話を書くのは難しい。普段長い文章を書きなれている人、またはそれを読む読者からすると、文章を構成する力とは、また違う力が必要になってくることがわかるだろう。書き手は全体の構成への目配せ、読者には読んでいる部分以外での書き手が伝えたかった事を汲み取る力が必要になってくると思う。
長々と前説したが、一本一本別々の短編を連ねた短編集のような作品であるため、今回は分割感想でいく。
①「六百文字」について
600文字という制限をこれからするぞという意気込みのような、読者への軽い説明のような、そういうものを「感情」「字幕スーパー」「五十音表」など、判りやすいたとえを用いて捉えた話。テレビなどで多用されるようになった字幕スーパーの氾濫などは、読み物だとしてもわかりやすい例えであると思うし、個人的に好きだった「この五十音表十二枚以上のことは何もない。」という、ちょっとぶっきらぼうな読者へのメッセージは気に入った。
②「遠距離攻撃」について
600文字の小話にしては、いきなり難解な設定だ。この制限の中で読者に飲み込ませるには、少々内容が突拍子過ぎる。話の面白さは、個人的にかなり薄い。状況の説明なども、文字制限プレイがあるため、余りにも詰め込みすぎで、想像できない。おそらくこれは、話の内容云々より、普通ならば使うであろう部位に、文章の区分である句点「。」を使わず、全ての描写を読点「、」で続けた事に意図がありそうだ。時間経過をリアルタイムで読者に読ませたいのか?と最初は思った。
③「景色など眺めても退屈」について
電車に乗って目的地までつく時間(コスト)について書かれた小話。話の中の山と谷、その高低を楽しむ、そういった小説内のギャップの付け方については、作者お得意の手法だと思う。文字、文章をあえて難しく読者に捉えさせ、印象付けて、最期の最期は、拍子抜けさせるように簡単にオトす。こういうギャップは、読者がハマるかどうかで感想は違う物だが、個人的には好きだ。やや中盤の数的捉え方「生命活動は本質的に無駄なコストを嫌うものである」の一文について、しっくりこなかったというのはあるものの、ギャップに弱い人は面白いのではないだろうか。
④「恩師からの言葉」について
以前このブログでやった、テーマ付き描写「毒」の話。前文に2つほど説明の描写が加えられているから、以前より設定が明確になっている。ただ、読者が教授の存在、そして主人公の存在を汲み取るには、まだまだ描写が足りない気がする。文字制限の中でそれをやれというのも無理な話だが。
⑤「愛情表現」について
話としては難しくないし、伝えたい事もわかる。ただ、やはり使うネタが制限に対し重過ぎるし、全体的に綺麗過ぎる。その人の今居る場所、そしてその感情を考えると、余りにも落ち着きすぎているという疑問が浮かぶ。一人称であることもそうだが、読者の眼を惹くには、余りにも一本道であるというか、話の大本が通俗的過ぎる気がした。似たり寄ったりの設定が氾濫してしまっている現在において、この既知感と制限プレイの同居は、読者に詰め込みと作者の余裕のなさを窺わせてしまうだろう。幾つかの描写を削って、他の作品との差別化をはかるためにも、もっとこの話のオリジナリティを持ち出しても良かったのではないだろうか。
⑥「修羅場」について
切羽詰った野球物。一つ一つ、その場その場で思う主人公達の感情も想像できるものなのだが、どうしても説明臭くなってしまうのは否めない。六百文字という中で設定を紹介出来た事は確かにすごい事ではあるのだが、読み手にとって一番大事な話の面白さというのは、実際感じられなかった。どうも個人のモノローグや状況の説明にばかり目がいってしまって、肝心の魅せる表現が置き去りになってしまっている気がした。
以上。
============終わり============
>縛りプレイについて
書く人のタイプや魅せる部分にもよると思うが、おそらく600文字は、それだけで一つの話、ドラマにするにはかなり難しい部類だと思う。続き物ならまだ話は変わっただろうが、600文字という制限に気がいってしまっている事が、読者にわかってしまうと、書き手としては二重の損になるのでは?と感じた。
一話600文字の続編なら、更新も感想も楽に出来そうだとは思うのだが……。
自己鍛錬以外の文字制限プレイは、精神衛生的に悪そうと感じたkirekoであった。
■記事に置くと何故か拍手が増えるWEB拍手(何か一言あったらどうぞ)
web拍手を送る
>今日の感想と批評
こまごまとやりたい事があるが、やろうとすると手に付かない。
なんやかやしてるそのうちに時間が過ぎていくというのが、
kirekoとしては、とても悔しいわけでして。
うーん、一日が108時間あればいいのに。
というわけで今回は、チョット前から感想を頼まれていた(?)
近藤さんの六百文字小説の感想をやろうじゃないかという話。
*感想テンプレ
■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)
*感想テンプレ終わり
============はい開始==============
■六百文字小説集 ジャンル その他 作:近藤義一
:あらすじ
六百文字の小説です。長く繋がったお話を期待されていた方ごめんなさい。文字数はワードで数えています。ほかの表示では差異があるかもしれません。常用するもの以外の記号はなるべく使いません。
:感想
一つ一つが連作ではない、一話600文字の短編集。kirekoも体験したことなのだが、文字表現、しかも他者に伝える情報が、他の書き物より多分に多くなってしまいがちな小説という類になると、作者が意図して文字数縛りを行うというのは非常に難しいものだと思う。例えばオチが30文字あったら、本文は570文字しか使えない。その間に、話の大本、前説からネタふりまでやらなくてはならないと考えると、どんなに話を短くまとめることが得意な人でも、万人が理解でき、納得できるような明瞭簡潔な話を書くのは難しい。普段長い文章を書きなれている人、またはそれを読む読者からすると、文章を構成する力とは、また違う力が必要になってくることがわかるだろう。書き手は全体の構成への目配せ、読者には読んでいる部分以外での書き手が伝えたかった事を汲み取る力が必要になってくると思う。
長々と前説したが、一本一本別々の短編を連ねた短編集のような作品であるため、今回は分割感想でいく。
①「六百文字」について
600文字という制限をこれからするぞという意気込みのような、読者への軽い説明のような、そういうものを「感情」「字幕スーパー」「五十音表」など、判りやすいたとえを用いて捉えた話。テレビなどで多用されるようになった字幕スーパーの氾濫などは、読み物だとしてもわかりやすい例えであると思うし、個人的に好きだった「この五十音表十二枚以上のことは何もない。」という、ちょっとぶっきらぼうな読者へのメッセージは気に入った。
②「遠距離攻撃」について
600文字の小話にしては、いきなり難解な設定だ。この制限の中で読者に飲み込ませるには、少々内容が突拍子過ぎる。話の面白さは、個人的にかなり薄い。状況の説明なども、文字制限プレイがあるため、余りにも詰め込みすぎで、想像できない。おそらくこれは、話の内容云々より、普通ならば使うであろう部位に、文章の区分である句点「。」を使わず、全ての描写を読点「、」で続けた事に意図がありそうだ。時間経過をリアルタイムで読者に読ませたいのか?と最初は思った。
③「景色など眺めても退屈」について
電車に乗って目的地までつく時間(コスト)について書かれた小話。話の中の山と谷、その高低を楽しむ、そういった小説内のギャップの付け方については、作者お得意の手法だと思う。文字、文章をあえて難しく読者に捉えさせ、印象付けて、最期の最期は、拍子抜けさせるように簡単にオトす。こういうギャップは、読者がハマるかどうかで感想は違う物だが、個人的には好きだ。やや中盤の数的捉え方「生命活動は本質的に無駄なコストを嫌うものである」の一文について、しっくりこなかったというのはあるものの、ギャップに弱い人は面白いのではないだろうか。
④「恩師からの言葉」について
以前このブログでやった、テーマ付き描写「毒」の話。前文に2つほど説明の描写が加えられているから、以前より設定が明確になっている。ただ、読者が教授の存在、そして主人公の存在を汲み取るには、まだまだ描写が足りない気がする。文字制限の中でそれをやれというのも無理な話だが。
⑤「愛情表現」について
話としては難しくないし、伝えたい事もわかる。ただ、やはり使うネタが制限に対し重過ぎるし、全体的に綺麗過ぎる。その人の今居る場所、そしてその感情を考えると、余りにも落ち着きすぎているという疑問が浮かぶ。一人称であることもそうだが、読者の眼を惹くには、余りにも一本道であるというか、話の大本が通俗的過ぎる気がした。似たり寄ったりの設定が氾濫してしまっている現在において、この既知感と制限プレイの同居は、読者に詰め込みと作者の余裕のなさを窺わせてしまうだろう。幾つかの描写を削って、他の作品との差別化をはかるためにも、もっとこの話のオリジナリティを持ち出しても良かったのではないだろうか。
⑥「修羅場」について
切羽詰った野球物。一つ一つ、その場その場で思う主人公達の感情も想像できるものなのだが、どうしても説明臭くなってしまうのは否めない。六百文字という中で設定を紹介出来た事は確かにすごい事ではあるのだが、読み手にとって一番大事な話の面白さというのは、実際感じられなかった。どうも個人のモノローグや状況の説明にばかり目がいってしまって、肝心の魅せる表現が置き去りになってしまっている気がした。
以上。
============終わり============
>縛りプレイについて
書く人のタイプや魅せる部分にもよると思うが、おそらく600文字は、それだけで一つの話、ドラマにするにはかなり難しい部類だと思う。続き物ならまだ話は変わっただろうが、600文字という制限に気がいってしまっている事が、読者にわかってしまうと、書き手としては二重の損になるのでは?と感じた。
一話600文字の続編なら、更新も感想も楽に出来そうだとは思うのだが……。
自己鍛錬以外の文字制限プレイは、精神衛生的に悪そうと感じたkirekoであった。
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