kirekoの末路

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貴重な体験をした7月15日

2008年07月15日 17時24分33秒 | 小説の感想と批評
俺が求めていたのは、こういうことなんだよ!@kirekoです。

>今日の感想と批評

夜遅くにあだ名で呼び合うというのは、小学校以来だったので
かなり衝撃的で、また、甘美な響きでした。
しかし、友人の一人のあだ名である『ヨッシー』が
これでもかと、はまったのには正直脱帽だったぜ!

( ゜д゜ )で、関係ないけど、
( ゜д゜ ;)最近、いざ寝るときに限って汗がむちゃくちゃでるんですが
( ゜д゜ ;)アイスノン必須の時機到来かこれは…


■企画の意図は、こちら
http://blog.goo.ne.jp/kireko1564213/e/7e03a0212eb392c37028780a1c7f63d9

*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

バイバイ ジャンル 文学 作:真浦塚真也

:あらすじ
『あなた』に対する私の短いお話

:感想
時間という無機質な概念に、去る思いと出会う思いという人間的な感情を込めた作品。ちょっとクドい部分もあるが、主観の置き方を『誰』と決めなければ読めると思う。やや感情的すぎる部分の共感は、おそらく得られる人と得られない人が居ると感じたが、一応文学というジャンルには適している作品だと思う。文章力としての評価よりも、作者に少なからず見える発想力というのを評価したい。無から有を生み出し、より人間的な思考で伝えたいという考え方は、作家として悪くないと思う。ただ、話として纏まっているかと言うと疑問だ。


蝿狩り【三語即興文】 ジャンル SF 作:和波知淳

:あらすじ
制限時間30分のはずが、やっぱり4時間以上かかってしまった三語即興文です。お題は「脳みそ」「信頼」「跳梁跋扈」。

:感想
面白い事を考えた、でもその面白さを他人に伝える時に、どう伝えたらいいかわからない。そんな文章の羅列が読者をひきつけるに足らない作品。なぜ、このネタで、わざわざ回りくどくなるような一人称を用いたのか理解できない。登場人物も科学的要素に満ちたSFというより妖怪的オカルトに近いし。そういうネタがやりたいのはわかるが、「それがどうした?」「で、その話は面白いの?」と少々問い詰めてやりたくなるというのが、率直な感想だった。室内の雰囲気、背景の描写は簡潔で理解しやすいのに、SFには似つかわない、いちいちスケールの小さい地の文と、それに追随する台詞描写が、読みながら凡庸以下に感じられてしまうのは何故だろうか。演出も構成もなんだか気の抜けた感じだ。そういう面で、非常に気に食わない作品だった。


心の音 ジャンル 恋愛 作:日向葵

:あらすじ
野地のなにげない言葉に、晶子の心が「おと」をたてる―。「失恋」の続きものです。

:感想
続きものらしい。あらすじの固有名詞の誤字に関しては、あとで作者が書き直すと思う。言葉や素振りで優しさを投げかける相手、それに勘違いをしながらも安らぎを得てしまう主人公、相手はそう思っていないのに、そう思ってしまう…と、ネタバレし過ぎた、そんな作品。個人的に三人称視点の部分は、導入から展開まで綺麗に纏められていると思う。オチもやや爽やかに終わっているし、奇妙な台詞改行以外は、読みやすい文章だった。終盤の主人公のモノローグ部分で語られているが、個人的には、抱いた誤解を誤解だと自覚している主人公像というのが、良いなと感じた。


短編「人面疽(じんめんそ)」 ジャンル コメディー 作:鳥海ドゥンガ

:あらすじ
体に人の顔のような形のおできができる奇病、人面疽(じんめんそ)。その奇病にあるサラリーマンの男がかかってしまった!治療方法がなく、次第に病気と闘う気力が失せていく男だったが・・。

:感想
非常に面白かった。まあコメディーと銘打っているのもわかるが、基本的にブラックジョークホラーに近いでしょ、これ。個人的には、かなり好きな作品の類。不治の気味悪い病気にかかり、常人としての憔悴ぶりの果て、治ると飛び込んだ病院で、病気に陶酔したあげく、現実の中へ取り込んでしまう。こういう現実の中で出会う非現実を現実に戻すという手法を難なく読ませてしまうのは、ちょっと『狂ってる』作品が好きな自分としては手放しで褒めたい気分だった。雰囲気を壊さず、理解できる部分も大衆的で良い作品なのではないだろうか。
どうでもいい余談だが、kirekoが敬読する漫画家の一人、諸星大二郎氏の作品の中の『肉色の誕生』という話に雰囲気が似ていて、頭の中で氏のキャラクターの動きを妄想し、創作して読んでいたのも、好きな理由の一つなのかもしれない。


Caution Tag ジャンル SF 作:壇 敬

:あらすじ
恋人アンドロイドが売り出される!売り出す前に恋人アンドロイドをモニタリングした男の様子を見ていた僕。あんな事になるとは!注意書きさえ見ていれば・・・。

:感想
非常に感性を刺激される興味深い作品。扱うネタとしては大衆的な感じで受け入れやすいが、実際はかなり理解しやすく噛み砕かれたSF要素に、作者独自の語り口が加えられて面白いと思った。ロボット…いや、ここではアンドロイドか。その製品として全てが完璧なのではなく、人間感情を理解し過ぎる複雑なプログラムの虚弱性に基づく事件、また感情衝動に対して敏感すぎるエラー要素(これはモニタリングした人物にも問題があるようにも思えるが)などなどの、作者の想像の中で創造が、決して独りよがりではなく、リアルなディティールに拘って書く節が読んでいてとても良かった。その中でも特に良かったのは、嫉妬という傍から見たら複雑な概念のプログラムだけが完璧なアンドロイドが、人間的な行動をとってしまうという部分。原文中の

彼はボソリと呟いた。
「恋人ってこんなに大変なものなのかぁ…」
彼はしばらく考えていたが、やがてキッとして僕を見た。
「俺、怜子と別れるよ」
僕は慌てて、彼に言った。
「え? そ、それはちょっと違うだろ?! 返却じゃないのかぁ?」
もはや、彼には僕の言葉は届かなかった。


このくだり以降の、あくまでもアンドロイド的な無機質さ、その簡潔な情報だけを伝える作者の心意気には、恐れ入った。秀作!



==========終わり=============


>全然関係ないけど
kirekoの末路マニアの人には、もうバレているとは思うが、ふうらい屋さん伝いで密かに藤夜 要さんのブログ(ブックマーク参照)と業務提携をした。自分とは、かなり文章感想の味が違うので、もしkirekoの切れ味の悪いナタ包丁に心を痛めたら、そちらのほうへ行くのも良いことだと思う。