花追い放浪記

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シロテンマ コウの花図鑑

2021-07-25 | コウの花図鑑

7月に見つけた野草の花(九州北部)

 

シロテンマ(白天麻) 
  Gastrodia elata Blume var. pallens Kitag.


 ラン科 オニノヤガラ属

 花 期 : 6~7月

 生育地 : 広葉樹林の林床、林縁

 分 布 : 北海道~九州

 RL指定 : 環境省絶滅危惧ⅠA類

 
この図鑑に掲載した画像は、福岡、佐賀、大分で活動しているヤマッパーのカヲルさん了承の上、お借りしたものです

本年はことのほか開花が早く、連絡をいただいた時は調整がつかず、現地に出向くことができなかったのです

 

シロテンマはオニノヤガラの白花品種かと思いきや、学名を確認すると、オニノヤガラの変種扱いとなっている

pallensとは【淡い色】という意味で、オニノヤガラの淡い色変種という意味になる

 

変種というからには、色味の他にも生態的、形質的、分布的な差異があるはずである

調べてみると、花の数が、オニノヤガラの20~50個に対して、シロテンマは多くても20個以下のようだ

 

花の色は、基本的に白だが、やや緑色を帯びる場合もあるとの事

花期は、オニノヤガラよりやや遅いとの情報も確認した

分布的には、オニノヤガラと同様、北海道~九州となっている


 

シロテンマ(オニノヤガラ)は、ナラタケから炭素供給を受けている事が知られているが、実生の初期の段階までは、クヌギタケ属の菌と共生する

光環境により繁殖様式に影響を受け、暗い環境ではアポミクシスによる種子の生産を行うが、明るい環境では、コハナバチによる他殖を行う事が多い

繁殖を自殖に頼る菌従属栄養植物は、適応進化に劣り、環境変化に脆弱で絶滅の危機がより深刻となる

よってシロテンマ(オニノヤガラ)のように自殖と他殖を併せ持つ事が重要なのだろう

 

草丈は、参照する資料によりまちまちだが、オニノヤガラより小さい事は間違いないようだ

下図のごとく、小さくて、花穂の花が少ない