きもブログ

 「いやどみ☆こ~せい」のブログ。
後悔と、
希望。
これまでも、これからも、今を刻むブログです。

大冒険のおわり

2012年01月30日 01時29分21秒 | Weblog
アビーが夕方に倒れ、そのまま旅に出てしまいました。

これまでも色々と旅をしてきました。

10年以上前の無職時代、毎日毎日がアビーとの生活。株のデイトレードを終えたらいつも相手をしてもらいました。

仕事が忙しくなると、実家にも戻らなくなりました。たまに戻ると、縁側のすりガラス越しに「あけてよー」とぐずりました。でも、忙しさを理由に開けない日もありました。

躾が悪いこともあり、僕を見ると、とにかくびょんこぴょんこ跳ねていたのですが、最近はそれもなくなり、お手もお座りもせず、息も荒くなってきました。

ゴハンを食べなくなり、病院からもらった薬をなんとかして口に入れようと試みました。でもうまくいきません。
そこで、昨日の午前中、薬局でスポイドやらミルクやらを買いました。

久々に晴れた、とても穏やかな日。アビーはポカポカとした陽射しの下で日光浴。だけど僕はそういうのもお構いなしに、よかれと思ってスポイドで薬を強引に口へ流し込みました。

それがいけなかったのかもしれません。ちょっと疲れたような感じで立ち上がり、庭から家の中をじっと見ていました。視線の先にでは母が料理をしていました。ずっと世話をしてくれた母に別れを告げ、僕をじっと見て庭の奥に歩き出し、そこでパタリと横になり、動かなくなりました。

前日まで、僕の手のひらにアゴをのせて寝ていました。まだ何となく、吐息が手のひらにかかる感触が残っています。この手が、スポイドで薬を飲ませるために口をこじあけていたかと思うと、悔しくなります。


母は、もうこんな歳になる僕を色々なことばで慰めていました。

でも、明日から本当に寂しくなるのは母のほうでしょう。


公園で瀕死の状態だったのを拾われてから、アビーはたくさんの冒険をしました。僕も時折、その冒険をブログや日記に記していました。劇の台本にも二度、登場させました。

この12年間で、アビーを大事にしてくれていた人たちも亡くなりました。お葬式から帰ったとき、いつもアビーは察してくれているようだったので、そんな夜は「置いてけぼりくったね」と、一緒に空を見上げたものでした。

「仲のいい犬」をつくってあげれなかったこと、それは残念ですが、そのぶん、親しい人間たちの愛情にあふれた冒険でした。

波乱の多い僕の人生に付き合ってくれましたから、それはそれは大冒険だったでしょう。

ごめんね。ちと、疲れたね。

今はあったかいタオルにくるまれて、穏やかに眠っています。

おやすみ、アビー。