きもブログ

 「いやどみ☆こ~せい」のブログ。
後悔と、
希望。
これまでも、これからも、今を刻むブログです。

三人

2010年01月03日 23時28分21秒 | Weblog
元旦の朝。

庭でアビーと新年の挨拶を交わしたあと、母が嬉しそうに何かを持ってきた。

「覚えとんね。」

「靴下?いつの?」

「あんたが産まれた時んと」


覚えてるわけない。

でも、虫喰いもなく、立派に残してあった。
僕が誕生する前から編んでいた靴下だという。

今でも、母にとっては大事なものなのだろう。


世間体を気にせねばならない家に嫁ぎ、厳格な家での生活を強いられた母にとっては、しばらく孤独だったに違いない。

でも、もうすぐ誕生する我が子の未来を想い、「もう孤独ではない」と信じたという。

そして僕を、
自分と同じ誕生日に産む。
23時58分。
命懸けで。


手のひらに乗った二つの小さな足を握りしめる。

この靴下を笑顔で編んでいた母の顔が目に浮かんだ。


「保管しとってよ。」

声を少し詰まらせたかもしれない。
でも母は気付かなかったようだ。


病気と闘っている母。
少しずつ弱ってきている祖母。

必死の思いをして産んだ息子は、まだまだそれに見合う恩返しをできずにいる。

ただ、去年と同じ「三人」で元旦を迎えることができたことは、嬉しい。

感謝だ。


神様がいるかどうか、たまに疑わしくなるけれど、

一年のはじめはいつも、
この感謝からはじまる。