☆ 欧州“鉄道ビッグ3”に挑む日立
見本市で注目を集めていたのが2月に発表されたフランス アルストム社の次世代高速列車「AGV」だ。
同社は、ドイツのシーメンス、カナダのボンバルディアと並ぶ“鉄道ビッグ3”のひとつ。
3社で世界の鉄道市場の55%以上を占めていて、ヨーロッパ市場は3社の牙城である。
AGVは世界最速の営業速度360km/hを目指し、ヨーロッパだけではなくアジア・ブラジルへの進出も見込んでいる。
AGVの投入によってアルストム社の昨年度受注は40%増となった。日本での受注も可能性はあるという。
このヨーロッパの厚い壁に挑んでいる日立は、日本勢で初めてイギリスで高速鉄道“クラス395”を受注した。
イギリス南東部アシュフォードにある「日立レールメンテナンス」の車庫では、来年12月運行に向け“クラス395”の走行試験が夜間続けられている。
走行実験で最高速度225km/hを出し、ヨーロッパで注目を集めた。
1990年代ヨーロッパに鉄道事業の進出をしかけた当初、日立は家電メーカーというイメージが先行したうえ、イギリスの規格や制度の違いから受注には結びつかなかった。
ヨーロッパでの実績がないペーパートレインは売れないといわれた。
そこで、同社では環境が違うところで日立の列車が動くことを証明することにした。
2003年、イギリスの古い車両に日立製のシステムを搭載して走行試験を行った結果、遅れや電波障害などが起こらず、“クラス395”の受注を獲得することができた。
そして、日立が今力を入れているのがディーゼルの“ハイブリットシステム”だ。
ブレーキ時に発生する熱をエネルギーとして充電し発車や加速に使うもので、環境に厳しいヨーロッパでの受注を目指す。
参入が難しいヨーロッパで受注したことから、日立に注目が集まり、同社は新たな受注に期待をかけている。
イギリスでは1000両規模の車両購入計画が2件あり、日立は“ビッグ3”と競い合うことになる。
需要が拡大する鉄道市場、日本はヨーロッパを足がかりに世界への進出を目指している。