☆ 三菱製MRJにかかる期待
一度は世界の競争に破れた国産航空機、新たに国産航空機復活を目指すプロジェクトが動き始めている。
先日横浜で開催された“国際航空宇宙展2008”には、三菱航空機MRJ(Mitsubishi Regional Jet)の室内模型に注目が集まった。
MRJ最大の特徴は主翼や尾翼にアルミより軽い炭素繊維複合材を採用、燃費を従来の2~3割削減できることだ。
5億円ほど割高になるが新しい基準になることを目指しており、印象に残る特徴を示して売っていくのが重要という。
既に全日空が25機を注文、世界で年間100機の受注を目指す。
40年振りとなる国産の翼は、2013年就航を目指しそのプロジェクトが動き始めた。
戦後初の旅客機YS-11は販売網の弱さなどから期待に反して世界で売れなかった。結局生産は182機で打ち切られた。
三菱重工飛島工場は約30年にわたってボーイングの部品を中心に製造してきた。その技術の評価も高く、胴体主翼尾翼と様々な部分を製造、MRJもここで生産される。
新たな国産旅客機生産へ機体は高まるが、三菱重工 大宮社長から出る言葉は航空機産業への危機感だった。
航空機部品の下請け事業は技術進歩した新興国の追い上げが厳しく、ボーイング社やエアバス社も中国へ下請け注文を出している状況。
完成機の生産は、同社下請け事業の将来が厳しいという背景もあるのだ。
事実エアバス社は、年内に中国で航空機の生産を開始、部品調達も5年以内に2倍に増やす計画だ。
さらに、中国やロシアも自国でリージョナル・ジェットの開発に乗り出している。
一方、国産機の復活に向け、国内航空機産業の技術も集まり始めた。
兵庫県尼崎市の「住友精密工業」は離着陸装置つまり飛行機の脚を作っている。
今は海外メーカーのモノを受注しているが、MRJ専用ラインを立ち上げる予定。脚に使う部品も海外調達の比率をさげなるべく国内調達していくという。
航空機の一機の生産には数百万点の部品が必要となり、そのほか中小の製造業でも期待が高まっている。
技術立国を目指す日本にとって、国産航空機製造は広範な部門で技術育成できる効果的な産業となるだろう。