実際、おれはまだ、判断しかねている。
一つにはおれの中には、仮におれを含めた日本人全員が指紋押捺されても、相当な条件のもとで、犯罪防止、暮らしの安全のためならいいんじゃないの?という意識がある。ちょっと政府を安易に信頼しすぎか?
いくつかの問題がある。
憲法上の問題として、
憲法13条の問題、プライバシー権を侵害しないか?
憲法14条の問題、平等条項に違反しないか?
で、ごくごくおおざっぱにいうと、これらは、立法目的の合理性と規制手段の相当性によって判断されるから、決着がつきにくい。過去の判例はあるが、事情も違ってきている。裁判所はどちらかというと合憲に傾くのではないか?
なお、
Nick Wood氏は(国際法上の)再入国の自由を侵害しないか、も問題にされている。
Nick Wood氏が引用する
国連人権委員の own country の解釈は多少極端なきらいがあるのではないか?再入国に際して、再入国者の日本での生活基盤を考慮はすべきだが、無条件に認められる権利とは言い難い。
アムネスティーが、これは、「「テロリストは外国人である」という先入観に基づくもの」と言っているが、そうではなくて、居所が特定できない外国人入国者と日本国民および特別永住者を同等に扱えというのも無理がある。
もっとも、立法の準備が不十分のため、指紋採取の手続きや使用要件など曖昧、という批判は妥当かもしれない。とすれば、指紋押捺の可否というよりも、指紋押捺方法の可否、あるいは、その運用の可否ということになるが、施行前の段階のせいか、そこらへんに関する具体的な反対内容がまだ出ていないように思う。
空港での待ち時間が長くなるというのは説得的な議論ではあるが、それだけならば、その点を改善すればよい、ということになる。
また、sanitationって本当にそんなに
問題になるのだろうか?
effective も問題にされているが、しかし、逆に犯罪捜査における指紋の有用性も指摘できないわけではない。
この法律に対して、総論賛成、各論に多少異議あり、とはっきりきめたわけではない。
が、これまで私が見た反対論はいまいち具体性現実性が欠けるようにも思える。もう少し様子をみてみたい。例の如く例の人が「外国人差別だ!!」「こんな法律作ったら日本のイメージ悪くなりますよおおお」というだけでは、それだけで、眉につばをつけたくもなるのである。