iPadを購入して2カ月経ってみての感想
わたしがiPadを地元のドコモショップで手に入れたのが、確か6月11日。今日でだいたい2カ月くらいになるのですが、
それまでにiPadに対し自分なりに感じてきたこと、全盲の視覚障害者であるわたしが、一体どのようにしてiPadの操作方法を習熟していったのかなどを記してみようと思います。
■全くの初心者が本当に独力でiPadを触り始めることができるのか
iPhoneやiPad、ちょっと興味はあるんだけど、全盲の視覚障害者である自分に本当に使いこなせるんだろうか?
もし使いこなせたとして、それはやっぱりどこかの訓練施設などである程度捜査方法を学んだことが前提なんじゃないだろうか?-。これまでスマフォやタブレット端末を使ったことのない、
全盲、あるいはそれに近い視覚障害を抱える人たちがスマフォやタブレット端末に対して抱くのは、まずこのようなことではないのかなと、わたしは考えています。
何よりわたし自身が割とこれに近い感じのことを思っていましたし。で、これに対する回答なのですが、
わたし個人の感触としては「(条件はある程限定されるけど)どうにもならないということはない」と思っております。
わたしもほとんど事前の知識を入れないままiPadを購入してしまったのですが(^^;
そんなわたしも購入先のドコモショップで教えてもらったことといえばiPadの電源の入れ方と切り方、電源スイッチの場所、iPadの正しい順方向について(とホームボタンの場所)、
その他端末本体の周りに付随している接続端子などの説明、そして「ボイスオーバー」と呼ばれるiOSの読み上げ機能をSiri(iOSの音声入力機能)でオンオフさせるための練習をほんの少し-。
わたしがお店で受けたレクチャーといえば、ざっと挙げていけばまぁこんなところ。後は自宅で一人、iPadをプチプチいじっていて
あーでもないこーでもない、と1カ月くらいは週末がくる度にそれこそiPadのためのミニ合宿を張っていたりもしたのですが(笑)
それでも自身のやりたいこと(といってもそんなに数多くはないですけど(^^;)は、どうにか(ある程度は)スムーズにできるようになりました。
なので、上記込み出しのような質問を受けたとしたなら、わたしは「ま、何とかなりますよ(^-^)」とお答えすることにしております。
■わたしはこんな方法でiPadの操作方法を習得していきました
じゃあ、ほとんど予備知識のない全盲の視覚障害者が「何となく」iPhoneやiPadを購入し、
自宅で「何となく」プチプチといじっていたらこれらの端末はそのうち使えるようになるのか?-。と続けて質問されたとしたら、わたしの答えは「いくら何でもそれはちょっとキツい」とお答えすることでしょう。
別に自宅で一人黙々と「iPhoneやiPadを触って使い方を研究する」のは全然構わないと思いますし、むしろそういう努力の道は必ず通らなければならないと思うのですが、
だからといって「めくらめっぽう」iPhoneやiPadを触っていても、その使い方を習熟していくのはちょっと難しいのかなと、わたしは考えています。
じゃあ、どうすればいいのか?-。わたしは日本ライトハウスの
見えなくても使えるiPhoneというサイトを参考にしながら、iPadの操作を少しずつ覚えていきました。
このサイトがだいたい95%くらいで、後はSPAN(特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク)が作成した
VoiceOver(ボイスオーバー)を使用した全盲者でも使えるスマートフォンの簡易マニュアルというサイトが5%くらい。
あとiPhoneやiPadを「ボイスオーバーの読み上げの音声」で使用する場合、数多くあるジェスチャーが非常に重要になってきます。
(例えば何か音楽やラジオの音声を聴いている際、2本指で画面のどこでもいいから2回「トントン」とタッチすると、その時再生していた音楽やラジオの音声が一時停止する)
PCでいえばジェスチャーはショートカットキーのようなものでしょうか?個人的な感覚としては、このジェスチャーをどれだけ数多く、スムーズに使いこなせるかが
全盲の視覚障害者がiPhoneやiPadなどのスマート端末を使いこなす、重要なカギを握っていると思っています。
ちなみにiOSのジェスチャーは、上記で紹介しているサイトでも数多く紹介されていますが、わたしはそれでもちょっと不十分だと思ったので
自身でEXCELを用い
こんな表を作って覚えました。それにこういう表を作れば、ある意味「書いて覚える」ということにもなるので、ジェスチャー自体を覚えるのを早くする助けにもなるのかなと。
というわけでわたしは上記2つのサイトを主に用い、ジェスチャーを重点的に覚えながら、ボイスオーバー使用時のiPadの操作を覚えていきました。
ただこの方法には「目の前にあるPCの画面で上記サイトを見ながら」という注釈がどうしてもついてしまうのですが。
ただPCがある程度自由に使いこなせるのであれば、上記の方法でiPhoneやiPadの捜査方法を習熟していくという方法は、
中々有効な手かと思います。個人的にはかなりオススメの方法ですね(^O^)
■わたしが主に使っているアプリ
iPadのようなiOS端末に限らず、スマフォやタブレットは数多くあるアプリをダウンロード、インストールすることが欠かせません。
ただ正直、ボイスオーバーを利用して「読み上げの音声」でiPadを使用していると、どうしても利用が困難なアプリというものはあります。
特に自分が試した範囲ではあるのですが、ゲームアプリはほとんど×ですね(TT)ちなみにわたしがまともにプレイすることができたゲームアプリは、
サウンドノベル(ようするに小説を読み進めていくようなゲーム。途中表示される選択肢をどうするかで物語の展開が変化していく)の「かまいたちの夜」だけでした。
ただ、ボイスオーバーでも使えるアプリを有効利用すれば、全盲の視覚障害者にとって、
iPhoneやiPadは生活の幅を広げることができることも事実です。
ちなみにわたしはkindle本を読むことができるkindleアプリを恐らく最も利用しているのですが、
全盲の視覚障害者であるわたしは、これまでamazonなどで売っている新刊本を発売日当日に読むということは正直あきらめていました。
サピエ図書館などで公開されている音声化されたDaigy図書以外では読書を愉しむことはちょっと厳しいのかなと。
でも、上記kindleアプリを利用すれば(当然有料ですが)amazonでkindle本を購入し、
新刊本やまだDaigy図書化されていない本も「読書」することができるというわけです。
実際、わたしはこのkindleアプリを利用することでかなり生活スタイルが変わりましたね。実は最近、Daigy図書はほとんど読まなくなってしまいました(^^;;
いやぁ、正直サピエ図書館には「ゆる~い感じのライトノベル」「割とマニアックなスポーツやサブカルチャー本」というのはあんまりラインナップされていないので…m(_ _)m
ま、まぁそれはともかく(^^;ボイスオーバーを利用しながら利用できるアプリというのも実は結構たくさんあります。
そんな種類のアプリを一番てっとり早く見つける方法としては
このようなサイトを利用することだとは思いますが、
ここではわたしがよく利用してる、上記kindleアプリ以外のアプリを紹介してみようと思います。
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radikker
radikkerは非公式のラジコあぷり。実は公式のradicoアプリは、ボイスオーバーの音声がラジオ局のチャンネルを読み上げてくれないという(2014年7月1日確認)、
全盲の視覚障害者にとっては致命傷の弱点を抱えているので、iPhoneやiPadのようなiOS端末でラジコやNHKのらじるらじるを聴くつもりであれば
こちらのアプリがオススメ(^-^)ただこのradikkerは関東のAM・FMのラジオ局しか聴くことができないという、これもある意味致命傷の弱点がありますorz
ただその点だけに目をつぶれば(つまり関東に住む全盲の人間が利用するのであれば)、このradikkerはとても使いやすいラジコアプリだと思います。
AM・FMのラジオをよく聴く全盲の視覚障害者であれば、かなりオススメのアプリですね(^O^)
※14/9/11追記
この日の時点で、公式のラジコアプリでもボイスオーバーがちゃんとチャンネル選択の画面を読み上げてくれることを確認しました\(^o^)/
なのでこの日以降、この記事を見た方は↑で書いてあるraddikkerのことは忘れてしまってください(^^;
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スポナビ プロ野球速報
こちらはプロ野球が好きな全盲の視覚障害者にオススメのアプリ。
セールスポイントは「とにかく使いやすい」ということだと思います。特に試合のスコアを確認するだけであれば、
読み上げの音声では一番分かりやすいのではないかなと、個人的には思っております。利用するために面倒な会員登録などがないのも、個人的にはかなり好感が持てるポイントですね(^-^)
■結論
これまでiPhoneやiPadの魅力をツラツラと書いてきましたが、
まぁ正直、これらiOS端末を使うのが大変じゃないのか?と問われれば「いやぁそれなりには大変です実は(^^;」とたぶん本音が出てしまうと思います。
これまであえて触れてこなかったのですが(^^;文字入力は正直ハードボタン(いわゆる形のあるボタン)がある普通の携帯電話の方がかなり楽だと思いますし。
ただそれでも、iPhoneやiPadを買おうかどうか迷っているのであれば、わたしは「買い!」だと思っております。
iPhoneやiPadに搭載されているiOSは、実はとてもアクセシビリティ的には配慮されていると思いますし(正直読み上げの音声が聴きとりにくい部分もあるのですが)
これらの端末は上述しているように全盲の視覚障害者にとって、色々と「幅」を広げてくれる可能性が大いにあります。
まずは誰かiOS端末を持っている知人にiPhoneやiPadを触らせてもらうか、
何か視覚障害関係のイベントで触れるようなところから始めてみてもいいのかもしれないですね(^O^)