視覚障害者きうっちの自立への道

視覚障害者きうっち(S52年生)が気の向くままに日々の生活をツラツラとつづるブログ

地獄の入院生活(04年7月)

2011-12-17 12:00:23 | 闘病日記
今月分の記事も一応、この入院生活を記した記事のバックナンバーはこちらに目次形式で記してあるので、ご希望の方はどうぞ。

■足を、下半身を徹底的に鍛える!鍛える!鍛える!
 先月(04年6月)の時点で自分の足が、下半身がようやく動き始めてくれました。
なのでこの頃くらいから足に関しては、本当に色々と、考えられうることをやりましたね。
先月の段階ではベッドの上にあお向けに寝転がって足をズリズリ引きずって足の伸縮運動、というようなことくらいまでしかできませんでしたけど
今月の段階ではもうちょっと動くようになっていたので、例えば同じようにベッドにあお向けに寝転がった状態で
足を上下に動かして上げ下げの運動をしてみたりだとか、それもある程度できるようになってきたら
足首に重り(リストバンドのような形をしたもの)を付けて少し負荷を与えた状態で同じ足の上げ下げの運動をしてみたりだとか、
他にも色々やっていたような気はするのですが……忘れました(汗)(何しろこれを書いているのが7年半後のことですからねぇ…さすがに記憶が…)。まぁ、ともかく色々とやっていました。足に関しては。それも自分で課したノルマを毎日毎日。

 ただ、この時点では正直立つのはまだちょっと難しかったですね。
自分のすぐ後ろに何か、例えばベッドサイドに密着した状態で立つことは、実は結構楽だったりするんです。
でもこの時点での自分はまだ、それすらもできませんでした。その原因は単純。
この頃の自分はまだ、自身の両足で自分の全体重を支えられるだけの筋力や膝の耐久力が無かったから。
何しろこの頃の自分は太腿なんかも相当細くなっていましたからね。自身のどちらかの手で掴めるんじゃないのか?というくらいの細さでしたし。
だから足に関しては『動きの改善』よりもむしろ『自身の全体重を支えられるだけの筋力や力強さ』を身に着けることの方が大切でしたね。
それに足がある程度動いてくれるんなら、やっぱり『自分の足』で歩けるようになりたかったですから。ま、そのためにはまず『自分の足で立つ』ことができるようにならないとお話になりませんからね。

■腹筋や拝金も鍛える
 また、ここまで特には触れてこなかったのですが、自分はついこの頃(04年7月)くらいまで
実はうつぶせ向きになって寝転がるということができませんでした。何でなのかはいまだに自分もよく分からないのですが
ともかくこの頃くらいから、ようやくうつぶせになることができるようになってきたので
この頃から自分は、ベッドの上で背筋運動をすることにしました。
背筋運動も背筋が全然無いと頭がちっとも上がらなくて、はたから見ると
まな板の上に乗っかっている、まだ生きている魚がピチャピチャ動いているような感じで正直ちょっと間抜けです(苦笑)。

 また先月分(04年6月)の記事にも記した通り、この頃くらいになって
やっと『普通の』腹筋運動ができるようになってきたので、それも合わせて毎日こなしていました。
以前にも少し触れましたけど、この頃くらいには
自分の腕の力や動き、手の握力はもうほとんど戻ってきていたので
(具体的にいうと、両手の握力はこの頃にはだいたい35近くまで戻っていました)
それらの体のブイに関しては、もう意識してリハビリをする必要がないくらいになっていましたからね。
またそれに合わせるように都合良く、ようやく腹筋や背筋、両足を中心とした下半身が『鍛えることができるくらい』まで回復してきましたから、
今後は退院後も含め、腕以外のブイを中心に体を鍛えていました。
…それでもやっぱり一番重点的にリハビリをしていたのは両足でしたね。上で述べていることの繰り返しになりますけど、やっぱり自分の足で歩けるようになりたかったですから。

■約10か月ぶりの実家への帰還
 先月分(04年6月)の記事にも書きましたが、今月(04年7月)に入って仮退院をすることが初めて許されました。
03年9月に倒れ親のクルマに乗せられて実家に帰ったのが03年9月のことだから、実家に戻るのは約10か月ぶりになります。まだ仮退院の段階ではあるのですが……ここまで来るのは本当に長かった…(号泣)。
でもそれだけ感激していた割には、久しぶりに実家に戻って何していたのかと聞かれれば、もう8年も経っているせいもあって全然覚えてない(汗)。
まぁ確か母親に好きな食べ物をたくさん作ってもらったような記憶はありますね。何しろ、病院ではあまり味の濃くない、正直味気のない料理の毎日でしたから(苦笑)。
ただ正直なところ、この頃の自分はそんな料理が毎日続いても実はそれなりに満足はしていましたけどね。
そもそもそれまで半年以上も『口から食べ物が食べられない』状態が続いていましたから。食べることそのものに飢えていたから、あまり味気のない料理が続いてもそんなに気にならなかったのでしょうね、今考えてみると。

 ただ、久しぶりに実家で過ごす上で問題となることが2つほどありました。それは『トイレ』と『入浴』をどうするのか?ということ。
それは次の項で説明する『特殊な車椅子』を使って解決することになるのですが…。

■シャワーチェアーという特殊な車椅子
 実は車椅子には部屋の中や外出中での移動に用いることになるごく一般的な車椅子の他に
シャワーチェアーという特定の目的のために使うことになる車椅子があります。この車椅子は一般的な車椅子と違って座面に柔らかいクッション、緩衝材のようなものがありません。
普段車椅子を利用して生活をしている肢体に障害を負っている人たちは、長時間連続で車椅子に座っていなければならないため
長い時間圧迫されることになる、車椅子利用者のお尻に褥瘡ができてしまわないために
一般的な車椅子には普通、お尻を保護するための柔らかいクッションや緩衝材のようなものを座面に敷いています。

 ただ、このシャワーチェアーの座面にはそれらのものはありません。そもそもそれらを座面に置くことすらできない。
何故か?それは座面の中心に大きな穴(だいたい直径30cm程度の炎上の穴)が開いているから。
実はこのシャワーチェアーという車椅子は、普段車椅子を使って生活をしている、足をまったく動かせない人たちが
トイレや浴室を利用する時に使用するための車椅子なんです。
ではどのように使うことになるのか?-。それをこれから説明していこうと思います。

■シャワーチェアーを使ってトイレを利用する方法
 最初にトイレを利用する場合について。まず、普通の車椅子からシャワーチェアーに乗り換えます。
ちなみに自分はまだ足にほとんど力が入らなかった頃、普通の車椅子からシャワーチェアーへの乗り換えは
2つの車椅子、普通の車椅子とシャワーチェアーをベッドサイドに並べて
一度自分の体をベッドの上に上げてから乗り換えるようにしていました。非常に面倒くさいですが
仕方ありません。車椅子を乗り換える際に床に落ちてしまったら、もう独力ではリカバリーすることはほぼ不可能ですから。
あ、それからトイレや浴室に向かう前にはベッドの上で履いているズボンや下着を脱いでいくことも忘れないようにします。
これは車椅子の人が車椅子の上でズボンやパンツを脱ぐことは大変難しいから。実際に普通の椅子の上でやってみると分かると思うのですが
両足を使わないで自分のお尻を浮かせ、かつその状態のままズボンやパンツを履いたり脱いだりするのはかなり難しいですからね。それこそ腕が4本くらいあればできそうな気もしますけど(苦笑)。

 話が少し脇道に反れてしまったので元に戻すと、まず普通の車椅子からシャワーチェアーに乗り換え
そしてそのシャワーチェアーに乗ったままトイレに向かいます。さらにそのシャワーチェアーを後ろ向きにして、トイレの中にある便器へ向かいます。
イメージ的には一般的な乗用車を後ろ向きに駐車場の駐車スペースへ入れる、いわゆる車庫入れのような感じで
シャワーチェアーを便器の上から覆い被せるように動かします。
これでシャワーチェアーが便器の真上にあるはずなので、あとはその状態で用を足すだけです。
でもそれだと車椅子(シャワーチェアー)がビショビショになるんじゃね?-。と思われそうですが、そうはなりません。
それは上でも述べているように座面の中心部に大きな穴が開いているから。ようはここから
用を足して出てきた排泄物が便器に落ちてくれるので、これで車椅子の人も無理なくトイレを利用することができるんです。
そしてトイレで用を足し終わった後は、最初と同じようにベッドを利用して普段使っている車椅子に乗り換える。
非常に面倒ですが、これが車椅子の人がトイレを利用する方法の一例ですね。

 ただ、このシャワーチェアーを使ってトイレを利用する場合
一つ大前提となることがあります。それはシャワーチェアーがトイレの便器を跨げるということ。
これは当然といえば当然なのですが、実は一般的なトイレにある便器は結構大きさがあって
大概はシャワーチェアーで跨げないんです。自分の実家も改修工事をする前はそうでした。
実家のトイレも自分がシャワーチェアーでトイレを利用することができるように、わざわざトイレの改修工事を行いましたからね。仮退院が決まってから急ピッチで。
また、シャワーチェアーを使ってトイレを利用する場合、当然ながらトイレにはある程度のスペースの余裕が必要となります。
ま、これもよく考えれば当然なんですけどね。家の中のトイレ(特にマンション)は意外と狭いですから。車椅子での生活を一度でも体験したら『そのこと』を嫌というほど感じると思いますよ。

■シャワーチェアーを使って浴室を利用する方法
 続いてシャワーチェアーを使って浴室を利用する方法。これもやることは『トイレを利用する場合』とほとんど変わりません。
ある程度、着ている物をベッドの上で脱いでシャワーチェアーに乗って浴室に向かい、そのまま浴室に入る。
そしてシャワーチェアーに座ったままシャワーを浴びる-。基本はこんな感じですね。
ただ、車椅子の人が浴槽に入ろうと思ったらそれはそれでまた一段と乗り越えなければならない壁が出てくるんでしょうけど、
でも実はわたし自身、車椅子に乗った状態の時、お風呂の浴槽に入ろうとしたことがないので、それについては実はちょっとよく分からないんですよ(汗)。
なのでその話についてここで書くことはちょっとできないのですが…。

 また、シャワーチェアーに座ったままシャワーを浴びて浴室から出てきた後は、濡れた体をバスタオルで拭くと同時に
一緒にシャワーを浴びたシャワーチェアーも拭かなければなりません。でも同じシャワーチェアーを使って
トイレに行ったりもするのだから、そんなことはよくよく考えてみれば当たり前といえば当たり前なのですが。
でもこの浴室から濡れて出てきたシャワーチェアーを拭く作業、実を言うとわたくしはちっともやっておりませんでした(汗)。
浴室から濡れて出てきたシャワーチェアーを拭いていたのは、もっぱら両親でしたね。いや、今更ながら両親にはお世話になりっぱなしです。

~来週に続く
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