おじいちゃんの小さな疑問集(旧:おもりぽ)

「おじいちゃんがふと抱いた小さな疑問」を、載せさせていただきます。答えや共感や異論があればぜひコメントを!

こぉんなバイトがあったぞ!リポート.4

2007年05月17日 | Weblog
 テレビで、メゾン一刻というドラマがはじまりました。1980年代に人気だったアニメのドラマ化です。1980年代はじめは、ばくがさかんにアルバイトをしていた頃。この頃の時代って、昭和レトロと言えるような昔とは思っていなかったのですが、そんなに昔だったっけ?

【業界新聞の配布】 大学生の頃にやった、業界新聞の配布のアルバイトを紹介します。半日だけで、しかもやったのは1回コッキリのため、細部はよく覚えていません。その全容はいまだ不明なのですが、思い出しながらたどり、考えてみたいと思います。

①職種
午後の半日、職員向けの新聞を都内の区役所内で配るという、妙ちくりんなアルバイトであります。

②給料
1980年頃、半日程度で4000円ぐらい?だったような気が…。

③メリット
単発の日払い。というかもっと正確にいうと半日払いで、拘束時間がとても短い。

④デメリット
要領良くやるとオイシイかも知れないけれど、要領をつかめないと結構苦労する。

⑤やったきっかけ
大学を卒業した、先輩に頼まれてやった。

⑥総合判定
大学サークルの仲間で午後バイト、しかも単発のその時払い。バイト代はその場で飲んじゃうに決まっています。ほぼ、無意味なアルバイトですね。

⑦コメント
 いつものようにサークルの溜まり場で、何をするともなくウダウダしていると、卒業して間もない先輩がやってきました。先輩はぼくらに、自分が就職した会社の「アルバイトをしないかい?」と、優しく誘います。何でも、数日後の午後1番ぐらいに、浜松町の駅に行く。そこで、配布する新聞を受け取る。指示された配布場所に行って、新聞を配布する。終了したら再び浜松町に戻り、バイト代を受け取る。それでおしまいの、「半日もかからないバイトだよん」ということです。

 その場にいたのは、ぼくと悪友Nと、あと2人ぐらいの同級生。それからぼくらより2級上の先輩2名ぐらいで、総勢6名程度だったかな? 全員がこの話に乗ることにしました。どうせ暇な学生ばかりだったし、短時間でお気軽そうだったし、「先輩の顔も立てなくちゃ」という思いもあったので。

 指定された数日後、浜松町の駅近くの先輩の会社だったか、駅だったかは忘れましたが、とにかくその辺に集合しました。そして先輩と同僚社員からそれぞれに、配布する新聞を渡され、配布すべき区役所を指定されました。各区役所に1人で行って配るのです。配る新聞は確か「都政新聞」的な名前の、都の行政にまつわる情報ばかりを掲載し、読者は都の職員が主なターゲットといった類の新聞です。そう、先輩はこの「なんちゃら新聞」なる、都職員向け業界(業界っていうのかな?)紙に、就職したんですね。

 先輩達はぼくらに、仕事の要領を説明します。
「区役所についたら、新聞を持ってどんどん中に入っていってちょうだい。区役所の中はいろいろな部課があります。そんで部課ごとに、連絡資料ボックスを設置している場合が大半です。このボックスに新聞を、適当な部数入れて下さい。それだけでは新聞は余ってしまいます。だから、部課の中にどんどん入っていって、席に着いている人を中心に、新聞を机の上に配って歩いて下さい。で、終わったらまたここに集合!バイト代渡しますからね。領収書に押す印鑑持ってきてるよね」と…。

 先輩達の説明は、とてもシンプルでした。ぼくらはそれぞれ、指定された区役所に向かいます。浜松町の駅で経路を確認して後、ぼくはみんなと別れ、単独でぼくが配布すべき区役所に向かったんだと思います。「説明はわかったけど、実際そのとおりになっていて、そのとおりやれるものかな?」と、不安を抱きつつ…。

 どこの区役所かは覚えていません。3階か4階建ての古い建物が足し合わされた、はじめて訪れる人にはわかりにくい、迷路のような構造でした。到着して、部課に入っていく入り口には、資料を投げ入れる郵便物を仕分けるような棚があるのは、すぐにわかりました。そこでその棚の1マスごとに、新聞を1部ずつ入れて行きます。入れ終わると、さらに中に入っていって、机の上に新聞を置いて廻ります。

 区役所とは無関係のぼくが入って行って、新聞なんぞを配ると、「何をしているんだ!」とか叱責され、守衛さんにつまみ出されるのではと、しばらくはビビリながら配布してました。しかし、何箇所目かでは、席に居る人がぼくに向かい「ご苦労様」とか応じてくれたり、いたってのんきなものです。ようやく安心しつつ、新聞配布を継続します。しかしさすがに、奥の方の大きな机の偉そうな席の上にまでは、新聞を置く勇気は出ませんでした。

 見覚えのある所まで戻り、ひと周りしたことに気がついたのですが、新聞はまだ半分以上残ってました。そこで、役所内をもう一周して、未配の部課はないか確認してみました。未配のとこは見つけられません。ようやくぼくは、「棚の各マスには1部ではなく、数部ずつ置くべきだったかな? 席には島ごとに、余分目に置いてきた方がよかったかな?」と思い至りました。

 でも、いまさら席の方には、再び置いて廻ることはできません。すでに手にとって、読み始めてる人もちらほら見うけられ、「もうここはいいよ」なんて言われかねなかったので。でしょうがないので、棚の中に置く作業をもう1周して行いました。それでもまだ全てはハケません。そうこうしているうちに夕方になってしまいました。これ以上区役所内にいても配るあてもなく、手元に数十部残ったまま、ぼくは区役所を後にしました。

 「残った新聞をどうしよう?」と思い悩みましたが、区役所の最寄駅まで戻ったところで、先輩に公衆電話から電話を入れることにしました。電話に出た先輩は、「どうしたんだい?他の連中は全員とっくに戻って、後は君だけだよ?」と心配していくれていました。そこで、新聞が残っちゃった事情を説明します。すると先輩は状況を全部聞いてくれた後、「大きな声じゃ言えないけどね、残ったのは駅構内のゴミ箱にでも捨てておいで。持って帰ってくるのも無駄だから」と、小さな声でアドバイスしてくれました。

 浜松町で待っていてくれた仲間はぼくに向かい、「何してたんだよ、遅すぎだよ」と、非難の嵐です。2級上の先輩に、どうやって新聞をさばいたのかこっそり聞いてみました。すると「棚にバカバカ入れて、部課内の島にボカボカ置いて、1周終えて余ったものは、近所の公園のゴミ箱にポイッと捨てた」との回答。「終わってから時間をつぶして、それでもぼくより2時間も前に戻ってた」とのことでした。

 ぼくは大学卒業後、広告会社に入りました。広告会社では、メディアを担当するセクションに居たこともあります。メディア担当時代には、世の中には、ありとあらゆる業界に、専門の業界新聞や雑誌があるのだということを知りました。例えば、水道関係者向けに、「水道新聞」や「下水道新聞」、「水道産業新聞」というものが3紙もあったりします。あるいは、酒屋さん向けに「酒販ニュース」なる新聞も存在します。電気新聞とか、自動車新聞なんて、相当メジャーな方です…。

 でそれぞれの業界紙・誌は、そのステータスを高めたり、広告料金を少しでも高く設定するために、発行部数がとても大きな影響力を持つわけですね。テレビ番組が、視聴率を取るのにやっきになるように。だから、先輩が就職した「なんちゃら都政新聞」も、よりたくさん配ることは重要で、余っちゃった新聞を、そっと誰かがどこかで捨てちゃうことは、実際に必要な部数が白日にさらされるより、良いことだったわけです、きっと…。ドカドカ配ってポイッと捨てた2級先輩の方が、余ったことに心を痛め、OB先輩に相談したぼくよりも、正しい姿だったことになります。世の中って、ムズカシイね。

 このバイトは1回こっきりで、どのくらいの頻度でどのくらいの部数配布されているのか? 購読の本流は別にあるのか? などは不明のままです。ちなみに先輩はそれから後、彼が住んでいる県の地元の新聞社に、転職いたしました。バイト終了後はぼくの要領の悪さを肴に、居酒屋で飲んだのはいうまでもありません。バイト代は、この酒代に消えました。
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 次回は、「リポート4.商品パッケージのアンケート回答」を紹介しようかな。これも大学時代、サークルの溜り場にいて、誘われました。
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