牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

12月19日(水) 「子どもへのまなざし③」 佐々木正美著

2012-12-19 15:08:37 | 日記

 「子どもへのまなざし」を読み終えた。著者は乳幼児期の基本的信頼感としつけについて書いた後、友達と学び合う少年期と自分探しをする思春期について書いています。


 本からの引用。「保育園、幼稚園を卒園するまでに、やっておかなければならないことというか、卒園の資格というものがあるとすれば、それは仲間と一緒に楽しく遊べること、一人で遊ぶよりは仲間と遊んだ方が何倍も楽しいという習慣、いわば、そういう能力を子どもが身につけることだと思います。そういう感情、感性、機能、能力を身につけること、それが卒園の基本的な資格だと思います。そして、子どもは一人で育つのではなく、仲間と育ち合うということを知ることが、今度は親や家族にとっての卒園の資格です。」

 「エリクソンは、公教育がはじまって最初の数年の間に、その子どもが将来、勤勉に生きていくための基盤ができるということを示唆して、こういうことを言っています。「人間がそれぞれ与えられた社会の中で、勤勉に生きていくということは、それぞれの社会が、長い年月をかけて作り上げてきた文化を、社会の構成員同士で、互いに分かち合うことに誇りをいだき合うということだ、そしてその感情の基盤は、小学校時代に育てられなければならないというのです。」 、、、、、、人間の社会的な勤勉性の基盤は、友達から学ぶこと、友達に教えることによって育つものなのです。そして、さらに重要なことは内容で、それは「質よりは量」が大切だということです。」

 著者は、乳児期と幼児期の前半は両親を通して特に母親を通して基本的信頼感を持つことの大切さを強調し、幼稚園の幼児期後半と小学校の少年期は友人とたくさん遊ぶことを通して健全に育つことを強調しています。


 続いて本からの引用。「人間のライフサイクルのそれぞれの段階で、子どもにとっての課題というか、大切なことは何かについて、繰り返しお話をしてまいりました。それでは、思春期にはどういうことが大事なのかというと、これはよく言われることですが、「アイデンティティ」の確立ということです。、、、、、アイデンティティというのは、どうのようにして確立されるのかと申しますと、これもまた、エリクソンがとても素晴らしい指摘をしているわけです。「自分を、他人の目を通して見つめる」、こういう言い方をしております。、、、、、、、思春期というのは、自分の内面を客観視しようとする時期なのです。その鏡の役割をするのが仲間なのです。仲間の目を通して自分を見るのです。自分が親しくしている仲間の感想とか、評価とか、反応などを見て、自分はこういうふうな人間なのだと、確かめようとするのです。ですから、仲間は自分を認識するための鏡なのです。、、、、、思春期はアイデンティティという、自分探しをする時期なのです。」

 著者は、幼児期は自分を主観的に見ている、と言います。主観的に見ているということは、他人の目があまり気にならないということです。しかし、思春期は逆で自分を客観的に見ようとして他人の目が気になります。人の目を気にし過ぎるのは大きな問題だと私は思うのですが。


 <終わりに>でこのように著者は書いています。
 「子どもというのは、自分が望んだことを望んだとおりに、どのくらいしてもらえるかということが自立への基盤です。」

 子育てのゴールは子どもの自立にあると思います。自分たちに(親に)依存させるのではなく、自分たちから(親から)自立へと導くことができればと願います。とても難しいことだと思いますが、、、