牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

10月31日(水) 「葛藤のない信仰」 ラジャン・ティアガラジャ著

2012-10-31 15:13:19 | 日記

 この本は「信仰」について書かれている。テーマ聖句になっている聖書のことばは、ヘブル人への手紙11章1節です。「信仰は望んでいる事がらを保証し(別訳:信仰は望んでいる事がらの実体であり)、目に見えないものを確信させるものです。」 

 著者は、「信仰は超自然的な実体であり、神が行うと言った事がらは必ず行われ、成就されると強く確信するものである。信仰は事実(存在する真実・現実)であり、信仰に従って行動する時に、信仰は目に見える結果を生み出す。信仰が祈りによって声で言い表される時、自然界を変える力を持つ。信仰は神から出た行動(行為)で、不動のものを動かす力を持つ。」と説明しています。
 

 目に見えない超自然的な世界をもっと理解し、信仰に満ちた生活を送りたいものです。

10月30日(火) 「生きた供え物」 ウォッチマン・ニー著  生きる水の川

2012-10-30 14:18:45 | 日記

 ウォッチマン・ニー(1903-1972)は、20世紀中国の教会指導者。最後の20年間を中国共産党の迫害によって牢獄で過ごした。  
 
 この本には実際的なキリスト者生活についての基本的な教えが書かれている。
 テーマ聖句にしている聖書のことばは、ローマ人への手紙12章1節。 「あなたがたのからだを、神に受け入れられる、聖い、生きた供え物としてささげなさい。」

 本からの引用。「早起き」の章から。 「早朝はマナ(聖書のことば)を集める最上の時です。祈りと賛美と交わりを、神のことばに融合することを学びなさい。、、、、、、、早朝には交わり、賛美、マナ、それに祈りがあるようにしましょう。、、、、、早朝は祈りのための時間です。神と交わりマナで養われた後、人はすべてのものを神の御前に置き、それらのために注意深く祈るように力づけられます。祈りは力を要します。弱い人は祈れません。交わりとマナでの養いから、集められた新しい力をもって、人は祈ること(自分自身のため、教会のため、そして全世界のため)ができるのです。、、、、毎朝神の御前で注意してなすべき四つの事柄を知っておく必要があります。交わり、賛美、聖書朗読、それに祈りです。」

 次に「聖書研究」の章からの引用。 「聖書は日々、とぎれなく連続して読まれねばなりません。旧約と新約聖書が一緒に読まれるならば最善です。読むのはあまり早過ぎないように、しかし毎日系統的にすべきです。」

 最後に「祈り」の章からの引用。 「祈りは二つの部分に分けられるでしょう。最初の部分は何の約束もなしで約束が与えられるまで祈ること、神のみことばなしで、みことばを受けるまで祈ることです。すべての祈りはこの方法で始まります。、、、、この部分は祈りの部分です。第二の部分は約束が与えられた点から約束の成就まで、神のことばを受けたところからみことばの成就までです。この期間は祈りではなく賛美をすべきです。そうです。最初の部分は祈りであり、第二の部分は賛美です。ことばのないところから神のことばまでの最初の部分では祈りなさい。神の約束を受けたところからその約束が成就するまでの、第二の部分では、賛美しなさい。これが祈りの秘訣です。、、、、、、、人々は熱心に祈らなければなりません。彼らは信仰が与えられるまで祈るべきです。私たちは第一の部分を無信仰から信仰までの祈りということができましょう。第二の部分は信仰から実際の所有までの賛美です。]


  ウォッチマン・ニーの本にはいつも教えられる。霊的な深みがある。早朝というゴールデンタイムに神様と交わりを持つことがとても大切。人間同士もお互いを知り合うには会話を通しての交わりが必要。神との関係も同じで、神を知り、神に知っていただくためには聖書の言葉と祈りを通してのコミュニケーションが必要。祈りつつ聖書を読み、聖書を通して神に語っていただき、神様の御心を知る。神のご計画を理解する。神が喜ばれることと神が憎まれることを覚える。そして神の自分に対する約束を受け取る。信仰を与えていただく。今度は神からの言葉に対する応答として、祈りを通して自分の心を知ってもらう。自分の悩みを訴える。聖書の約束の言葉を用いて祈る。最後に祈りを賛美に変えていく。約束が成就することを覚えて、祈りが答えられることを信じて、神様を賛美する。祈りと賛美の関係が分かりやすく説明してあると思う。多くのクリスチャンは祈りで終わってしまって、賛美へいかないので祈りが答えられないケースが多いのではないだろうか。これは本当に答えられる祈りの秘訣だと思う。聖書の言葉と祈りと賛美が融合した神様との交わりを一日のはじまりに持つことができれば、持たない時とは全く違う一日になるであろう。そのような神との交わりを積み重ねた一生を過ごすことができれば、そのような習慣を持たない一生とは全く異なった人生となるであろう。

10月29日(月) 「牧会学 ③」 トゥルナイゼン著  日本基督教団出版部

2012-10-29 09:30:09 | 日記

 牧会学の第三部「牧会の完成」を読み終えた。一週間かけてじっくりと「牧会学」全部を読むことができた。

 本からの引用。「牧会の具体的な完成は、福音と律法、義認と聖化の確立にある。福音の恵みに満ちた慰めの言葉は、人間を主のものとするために、これをとらえる要求とならなければならない。、、、、、、真正の牧会は、われわれにとって、その形態からいうと対話、内容からいうと赦し、その受け取り手からいうと、罪に病む人間への使信として述べられてきた。今われわれは、そうした牧会の本来の完成に向かう。牧会の完成とは、牧会的な会話における、赦しの伝達の行為そのものと理解される。」

 「罪人を、神の前に、恵みによってのみ義とすることが、赦罪の使信の内容である。だが、いつでも、義認に結びついて現われるのが聖化である。、、、、、、われわれの聖化とは、そこで、われわれの生活の所有権が、こうして神の御手の中へ、完全に移されることを意味する。義認において告げられる、キリストによるわれわれの生の所有が、完全に行われることを意味するのである。」

 「戒めという形で行われる福音の伝達は、悔い改めに至る。この悔い改めは、赦罪によって、人間の生活が具体的に、転向させられることと理解される。」
 「われわれはすでに、牧会の対話が、悔い改めの対話であることを確定した。その意味するところは、牧会においては、きわめて具体的に、人間の罪について語られなければならないということである。」

 「キリストの勝利と慈愛の伝達を伝えなければならない、牧会的な対話にとって、ここから、最後の局面がひらかれてくる。対話は戦いの対話となる。すなわち、牧会のすべてが、今は、キリストの力によって、きわめて具体的に、下からの諸力(悪霊)に対して戦われる戦場と、みなされなければならないのである。」

 「牧会者は、赦罪の福音の、にない手であり、伝達者である。彼が行為するのは、自分自身の力や理性によるのではなく、召命による。、、、、、、、牧会をなす者は、そのことによって、自分が、ひとつの特別な場所に立つに至ることを知らなければならない。それは、聖書的に言うならば、神の言葉と、罪の人間の間にある場所である。言葉が一方にあり、罪人がもう一方にある。今は、罪人に語りかけるために、言葉が移行しようとしている。そのために必要なのは、そのない手であり、伝達者である。このような、言葉を伝達する、にない手、伝達者が牧会者なのである。」



 牧師の働きである牧会に、完成というものはないと思うが、少しでも完成に近づけるように日々神からの「召命」(任命)を確信していたい。昨日の礼拝説教で語られた聖書の言葉は、ローマ人への手紙11章29節 「神の賜物と召命は変わることがありません。」でした。

10月28日(日) インド宣教

2012-10-28 16:34:41 | 日記
 
 今日は、知り合いの牧師が牧会をしている教会の礼拝に出席した。私が埼玉で牧師をしている時に、何度か説教していただいたことがある。この牧師はインド宣教に重荷があり、1年に4度ぐらい行っている。まさにイエス・キリストが言われた命令「全世界に出て行き、すべての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい」(マルコの福音書16章15節)に従っている方だ。インドで最も貧しい方々にイエス・キリストにある希望の福音を伝え、祈り、実際的にも多くの援助をしている。

 私も約6年前に一度だけインド宣教旅行へ行ったことがある。インド宣教旅行へ行く2ヶ月前くらいにこの牧師の通訳としてスリランカ宣教旅行へ同行したことがある。この牧師の働きに接し、また会話を通して心構えなど大事なことを学ばせていただいた。それが自分のインド宣教旅行に生かされ、とても祝福され、たくさんのインドの方々がイエス・キリストの福音の力によって救われ、癒されたのをこの目で見ることができた。非常な驚きだった。この経験が私の牧師としての働きにとって今大きな財産になっているのは間違いない。そのきっかけを作ってくれた牧師と再会でき感謝だった。久しぶりに一緒に昼食を食べながら話したのが、教えられることが多かった。やはり一番は全世界へ福音を伝える情熱だ。私ももっと世界宣教に貢献できる人物になりたいものだ。

10月27日(土) 「100年予測」 ジョージ・フリードマン著  早川書房

2012-10-27 08:52:15 | 日記
 
 100年予測の副題は、「世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図」。
 著者のジョージ・フリードマンは、地政学を用いて21世紀の100年を予測している。国家の性格や国家間の関係が「地理」に大きく左右される、としている。

 著者の大まかな予測はまとめると次の通りである。

 ①アメリカの時代の幕開け
   本からの引用。「アメリカの支配はまだ始まったばかりであり、21世紀はアメリカの世紀になる
  「国際システムの中心は、過去500年の間、ヨーロッパにあった。ヨーロッパの帝国が、人類史上初めて地球規模の体制を作り上げた。そのヨーロッパへの主な交通路が、北大西洋だった。北大西洋を制する国が、ヨーロッパへの航路を、そしてヨーロッパから世界に向かう航路を制した。国際政治が根ざしていた地理は不変だった。1980年代初めに、注目に値することが起きた。史上初めて、太平洋貿易額が大西洋貿易額に並んだのだ。第二次世界大戦後にヨーロッパが二級の大国の寄せ集めに成り下がり、また貿易パターンが変化したために、北大西洋が何かのカギを握るということはなくなった。今や北大西洋と太平洋の二つの大洋を制する国こそが、望みとあらば世界貿易体制と、ひいては世界経済を制するようになった。二一世紀にはこの二つの大洋に面する国が、計り知れない強みを持つのである。」

 「アメリカとソ連の対立、いわゆる冷戦は、本当の意味での地球規模の紛争だった。端的に言えば冷戦は、荒廃したヨーロッパ帝国の継承者を決める戦いだった。米ソのどちらもが強大な軍事力を有していたが、アメリカには本質的な強みがあった。ソ連は巨大ではあるが事実上の内陸国だったのに対し、アメリカはほぼ同等の規模を持ちながら、世界中の海洋に容易に出ることができた。ソ連は相手を封じ込めることはできなかったが、アメリカには当然それができた。」
 
 「数千キロ離れた海域を管理するには、膨大なコストがかかる。、、、、、大西洋あるいは太平洋を、どちらの海にも面していない国から支配することは、いかなる国の経済力をもってしても不可能なのだ。大西洋と太平洋に同時に権力を誇示できる大陸横断国家の拠点たり得る大陸は、北米をおいて他にない。だからこそ、北米が国際システムの重心だというのだ。北米の時代が幕を開けた今、アメリカは北米の中ですば抜けて有力な強国である。、、、、、本書では、北米が今後数百年にわたって世界システムの重心を占め、その北米が今後少なくとも100年間はアメリカの支配を受けると予測する。」

 大航海時代からはじまった過去500年間はヨーロッパ時代(スペインやイギリス)だったが、北米大陸が世界の重心の座をヨーロッパから奪い、北米大陸を支配する国が世界を制する、という訳だ。今後100年間はアメリカが北米を支配し、世界を支配するだろうとのことだ。


 ②2020年頃  2020年という文脈では、中国とロシアが最重要となるが、しかし両国とも力を失う。
 ・イスラムとの戦いは終わる。イスラム世界は世界の大きな流れでは小さいものだ。
 ・大方の予想に反して、中国が世界を支配する国とはならない。理由は、中国が物理的に著しく孤立していること、過去何世紀も前から海軍国でないこと、本質的に国が不安定であることを挙げている。
 ・再びアメリカとロシアの冷戦が起こるが、今度の冷戦は前回と比べれば小規模であり、前回同様ロシアの自壊で幕を閉じるであろうとしている。


 ③2030ー2040年頃 3つの国が力をつける。すなわち日本、トルコ、ポーランド。
 本からの引用。「2010年代の中国の分裂と、2020年代のロシア崩壊は、太平洋沿岸からカルパチア山脈にまでおよぶ、広大な真空地帯を生み出す。この真空地帯を取り囲むようにして、弱小国がかじり取り、かぶりつき、口いっぱい頬張ることのできる、さまざまな機会が生じる、、、、、、、しかし思い切った措置を講じる能力と必要性を併せ持つ国は、三国しかない。日本はロシア沿岸部や中国の一部にまで勢力を拡大する。トルコはコーカサスのみならず、北西と南方の全域に向かって勢力を拡大する。そしてポーランドは東欧諸国同盟の盟主として、ベラルーシとウクライナの奥深くまで東進するだろう。」


 ④21世紀半ば  第三次世界大戦。 日本とトルコの連合軍 VS アメリカ
 本からの引用。「わたしの考えを方向づけている、基本的な地政学的原則がある。第二次世界大戦では二つの新興国、ドイツと日本が世界秩序を塗り替えようとした。二一世紀半ばにも、この終わりなき地政学的周期が繰り返されるだろう。」 違いは日本がドイツではなく、トルコと連合を組むことであるとしている。
 本からの引用。「二〇世紀半ばの第二次世界大戦は、5000万人を超える犠牲者を出した。その100年後に起こった最初の宇宙戦争で失われた人命は、5万人ほどだった。そのほとんどが、トルコ・ドイツを相手にヨーロッパで戦われた地上戦や、中国における戦闘での犠牲者である。」  宇宙偵察システムによる情報収集など宇宙を制する者が地上を制するとしている。

 ⑤2060年ー2070年頃  アメリカの黄金時代
  ・戦争被害の最も小さかったアメリカが、第二次世界大戦同様またしても戦争の恩恵を最も大きく受ける。
  ・2060年代、宇宙の商業利用を進めるアメリカは、黄金時代を迎える。
  本からの引用。「大西洋と太平洋を制する者が、世界貿易を制する。そして宇宙を制する者が、世界の海洋を制するのだ。

 ⑥2080年代ー2090年代  メキシコの台頭。
  ・2080年代のアメリカは、過剰な移民という新たな問題を抱え込む。とくにメキシコ系移住民の問題がクローズアップされる。
  ・経済大国の一つに浮上しているメキシコは、アメリカの覇権に挑戦することになるだろう。



  著者は歴史を振り返りながら地政学的に今後を予測しているので、なるほどと思わせるところがある。私としては21世紀に日本がまたアメリカと戦争することは何としても避けてもらいたい。私は聖書の黙示録の預言を参考にしながら、また現状を見据えて勝手に将来を予測(予想)すると、全体的な流れとしては、北米の時代になるのではなく、もう一度ヨーロッパが力を取り戻しヨーロッパの時代が再来するのではないかと考えている。著者が言うようにアメリカは大国としての地位を維持し続けるのであろう。だが私はアメリカこそ力を失う可能性があるように感じている。中国とロシアも波があるのかもしれないが、力を失うことはないと思う。むしろ力を着実につけてくるのではないだろうか。逆に日本は力を失っていくと思う。著者の中国と日本への評価が逆だったので以外だった。いずれにしても私は、中国とロシアに対するバランスとしてアメリカか西ヨーロッパが力を持っておいて欲しいと願っている。トルコとポーランド、そしてメキシコの台頭に関しては素人の私には全く分からないが、著者の予測は興味深い。このような本を読むと国際政治の動向に関心が出てくる。