牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

12月4日(火) 「ビジョナリー・カンパニー⑨」

2012-12-04 09:55:39 | 日記

 ビジョナリー・カンパニーを読み終わった。この本は内容が濃かったのでゆっくり読むようにした。第10章は、今までのまとめだ。本書は、永続する真に卓越した企業、すなわちビジョナリー・カンパニーはどのような組織なのかを調査し、結果を報告し書いている本だ。これはどの企業にもまた企業ではないどの組織にもあてはまるものであり、大いに参考になるものだと思う。

 ビジョナリー・カンパニーの真髄は、基本理念と進歩への意欲を組織のすみずみにまで浸透させ、基本理念と進歩の目標に向けてすべての動きに一貫性をもたせていることである。またビジョンに掲げている言葉と現実の間に差がない。そしてそれを実現させるための方法と仕組みを作っている。その方法は以下の5つである。
 1.社運を賭けた大胆な目標
 2.カルトのような文化
 3.大量のものを試して、うまくいったものを残す
 4.生え抜きの経営陣
 5.決して満足しない


 この10章では一貫性に焦点があてられていて、一貫性を達成するための指針が紹介されている。以下の6つである。
 1.全体像を描く
   本からの引用。「ビジョナリー・カンパニーは基本理念を維持し、進歩を促すために、一つの制度、一つの戦略、一つの戦術、一つの仕組み、一つの文化規範、一つの象徴的な動き、CEOの一回の発言に頼ったりはし   ない。重要なのは、これらすべてを繰り返すことである。」
 2.小さなことにこだわる
 3.下手な鉄砲ではなく、集中砲火を浴びせる
 4.流行に逆らっても、自分自身の流れに従う
   本からの引用。「 正しい問いの立て方は、「これは良い方法なのか」ではなく、「この方法は当社に合っているのか、当社の基本理念と理想に合っているのか」である。 」
 5.矛盾をなくす
 6.一般的な原則を維持しながら、新しい方法を編み出す
   本からの引用。「ビジョナリー・カンパニーになるためには、基本理念がなくてはならない。また、進歩への意欲を常に維持しなければならない。そして、もう1つ、基本理念を維持し、進歩を促すように、すべて   の要素に一貫性がとれた組織でなければならない。以上の3点は、どのビジョナリー・カンパニーにも言える一般的な原則である。この3点は、100年前にもビジョナリー・カンパニーをそれ以外の企業と隔てる要因であ   った。今日でも、ビジョナリー・カンパニーをそれ以外の企業と隔てる要因になっている。21世紀にも、ビジョナリー・カンパニーをそれ以外の企業と隔てる要因になるだろう。私たちが本書を2095年に書き直すこと   になっても、この3つが、特に長期にわたって成功を続けている企業とそれ以外を隔てる基本的要素であることに変わりはないだろう。しかし、ビジョナリー・カンパニーが基本理念を維持し、進歩を促すために使う具体的   な方法は、間違いなく変化し、進歩していくだろう。」
   
  社運を賭けた大胆な目標、カルトのような文化、大量のものを試してうまくいったものを残す、生え抜きの経営陣、決して満足しない、の効果は実証されているが、これは変わる可能性があり今後新しい方法が編み出されるだろう、としている。ただし、基本理念を維持する、進歩を促す、一貫性をとる、の3つは変わらないとしている。


  最後に「終わりに」で著者はこのように書いている。「ここで極めて重要な点がある。基本理念は、「つくりあげる」ことも「設定する」こともできないのだ。基本理念は見つけ出すしかない。内側を見つめることによって、見つけ出すのである。基本理念は本物でなければならない。理念を模造することはできない。あるべき理念を理屈で作り上げることはできない。基本的価値観と目的は心の奥底で信じているものでなければならず、そうでなければ、基本理念にはならない。」

 この著者の言葉は非常に大切であると思う。基本理念は大事であるが、ただの言葉であってはならない。本物でなければならない。自分の内側から沸き上がってこなければならないし、心の底から信じていなければならない。偽物や模造であってはならない。この冬、ますます自分の内側を見つめ、心から信じることのできる教会と農業と人生の基本的価値観と目的を見つけ出したい。何より本物になりたい。