牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

9月30日(月) 埼玉の教会の牧師を辞任してから一年が経過

2013-09-30 06:25:42 | 日記

 昨年の9月30日に埼玉にあるキリスト教会の牧師を辞任した(牧師であることに変わりはないが)。あれから一年が経過した。そして北海道に来て農業を始めている。新しい経験である。全く予期していなかったことであるが、神様の計画であると信じている。

 先週一週間は収穫と販売で忙しかった。緑カボチャの収穫が終わり、今は白皮カボチャの収穫の最中である。この地域で収穫祭があったのでいつもより販売に力を入れたこともあって収穫と重なり忙しかった。今日も収穫の予定だったのだが、雨のため収穫はできない。この雨はしばらく続くようだ。天気に左右されてしまう仕事である。しかし農業は人間によって健康的な仕事であると感じている。暗い時は仕事ができなくなるからだ。もちろん納屋など部屋の中では夜も仕事ができるのだが、畑での農作業は暗いとできなくなる。すなわち仕事の区切りがはっきりとつく。牧師の時は説教の準備で半徹夜のことが多かった(だんだんと慣れてきてからは半徹夜はなくなってきたが)。また農業は心労が少ない。もちろん作物の生長が心配なのだが、でも結局のところどうしようもないということが多い。人間の力というよりは自然の力や種の力に頼るところが大きい。なので良い意味であきらめがつく。牧師の時は人々の祈りの課題(病、手術、会社での仕事、人間関係のトラブル、教会の運営など)が重くのしかかってきて心労がとても大きかった。(私が埼玉の牧師を辞任したのは心労が理由ではなく、小さい子供たちへの放射能の影響と教会開拓のビジョンが与えられたからである。)

 これから白皮カボチャの本格的な収穫なのでとにかく頑張ろう。カボチャが契約先と直売で売れるようにと願う。北海道での教会開拓は来年の春にできたらいいなあと考えている。牧師の仕事を離れたことで改めて牧師職のことや教会形成のことなどをゆっくり考えることができ、また充電できたので良い働きができると思っている。

9月22日(日) ミツバチがやられる

2013-09-22 08:09:41 | 日記

 カボチャの受粉に大活躍したミツバチがスズメバチに攻撃されやられてしまった。ほとんど全滅状態。子供たちがみなしご(みつばち)ハッチのDVDでミツバチがスズメバチに襲撃されていたのを観ていたので、ちょうど私たちの状況と重なりビックリした。ミツバチたちがかわいそうだった。本当に弱肉強食の世界である。

9月17日(火) 「三国志 八」 吉川英治著 新潮文庫

2013-09-17 06:27:30 | 日記

 三国志をしばらく読み進めていなかったが、ここ最近は農作業が落ち着いてきたので、三国志を久しぶりに読み進めることができた。今日からまたカボチャの収穫で忙しくなるのだが。

 ずっと自分の国を持っていなかった劉備が自分の国「蜀」を持つに至った。この頃には彼のもとには優秀な人材がたくさん集まっていた。軍師孔明、五虎大将軍関羽、張飛、趙雲、黄忠、馬超などである。非常に優れた知性を持った孔明が蜀の憲法、民法、刑法を起草して国家の土台を固めていく。非常に優れた力と勇を持った将軍たちが様々な戦いに勝利していく。そして彼らは劉備という人物を中心に堅く心が結ばれていた。

 魏の曹操と呉の孫権もそれぞれに力をつけている。しかし劉備も含めて彼らは年を重ねてきている。死が迫ってきているともいえよう。これから総力戦になっていくであろう。いよいよクライマックスに向かっていく。

9月15日(日) 「海賊とよばれた男 下②」 百田尚樹著

2013-09-15 07:07:55 | 日記

 本書を読み終えた。第四章のタイトルは「玄冬」。国岡商店の店長(社長)国岡の困難に立ち向かう精神力は並大抵ではない。また店員(社員)を家族のように大切にする人間愛にも驚かされる。

 彼は20世紀の文明に欠かすことのできなかった石油にいのちをかけた人物であった。この物語は現実に存在した人物をモデルにしているとのことである。世界的な活躍をした人物であったがこの話は彼の死で終わっている。

 人はどんなに活躍をして名誉を得てもいずれ死ぬ存在である。イエス・キリストが語った言葉が心に浮かんできた。「人は、たとい全世界を手に入れても、まことのいのちを損じたら、何の得がありましょう。そのいのちを買い戻すのには、人はいったい何を差し出せばよいでしょう。」

 この小説は歴史経済小説に分類されているようだ。良い本だったと思うが、正統すぎて小説としてつまらない面があった。同じ経済小説としてはやはり池井戸潤氏の作品の方が断然面白い。

9月12日(木) 「オレたちバブル入行組」 池井戸潤著  文春文庫

2013-09-12 06:38:35 | 日記

 本書の主人公である半沢直樹を主人公にしたシリーズがテレビドラマ化され、高視聴率を出しているようだ。このドラマを一度も見たことはないが、原作本である本書は面白い。そしてこの人の書く経済小説は経済の勉強にもなる。ヘタな経済の本よりもこの小説から経済について学ぶことは多いと言えるだろう。直木賞受賞作である「下町ロケット」も面白かったのでこの人はコンスタントに良作を出す作家と言える。著者は元銀行員ということなので、本書の舞台である銀行の話にリアリティーがあるのも物語を面白くしている要因だと思う。

 物語は一言で言ってしまえば主人公である銀行員半沢直樹が取引先の粉飾決算をしている会社社長や「手柄は自分のもの、ミスは部下のもの」とする上司など、ズルをして銀行のお金を騙し取っている人たちを懲らしめていく話である。すなわち「やられたらやり返す」のだ。私は人間くさくて好きだ。スッキリとする。分かっていて意地悪やズルをする人間は本当に醜い。

 昨日用事があって役場に行ったが、自分の立場を利用して意地悪をするおなじみの人間がいた。醜いあわれな人間である。このような人間が銀行には多いということを著者はリアルに書いている。そのような人間が多い銀行組織は腐っていて変革が必要であると訴えているのではないだろうか。東京電力もそのような組織の代表格であるのは間違いない。このような人間たちがいると気持ちよく仕事ができなくなってしまう。なぜお互いに気持ちよく仕事ができるようにしないのか本当に不思議である。本書は理不尽さが横行する会社社会で働いている人たちへの応援小説とも言えるだろう。