牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

3月11日(火) 「礼拝と教会形成の神学」 近藤勝彦著  ヨルダン社

2014-03-11 07:40:46 | 日記

 今日で東日本大震災と原発事故から丸3年である。多くの人々の尊いいのちが失われ、多くの人々の人生が変更を余儀なくされた。私もその一人で、北海道へ移り住んできた。これからも地震が起こり同じような被害がでる可能性があるにも関わらず、いまだに原発を推進している政府は本当に愚かである。歴史から学ぶことができない人は指導者としてふさわしくない。

 
 さてこの本の著者は日本基督教団に属する牧師である。まだ全部読んでないが、本書は良書であると思う。

 テーマは「教会論」で、主に「礼拝」と「教会形成」を扱っていて、神学的に論じようとしている。著者は教会論には大きく三つの面があるとしている。制度としての教会、信仰共同体としての教会、使命が与えられている教会の3つである。

 そして、教会の使命として明確に把握されるべきものは、礼拝と伝道であるとしている。本からの引用。「つまり、教会の使命は、二重の使命として理解される。礼拝は、教会が神へと向かう働きを示しており、伝道は、教会が世界と人々に向かう働きを示している。」


 礼拝には神の行為と人の行為があるとしている。本からの引用。「あきらかに説教も聖餐も礼拝における一方の面の構成要素、すなわち神の行為の面、あるいは人間の受動性の面の構成要素を表している。しかし礼拝にはもう一つの面の構成要素がある。それは説教や聖餐においては第二義的であった主体としての人間の行為、人間の能動的行為が、そこではむしろ重要な役割を課せられるような構成要素である。、、、、その具体的な礼拝要素を列挙すれば、賛美、祈り、ささげもの、信仰告白といったものである。」

 人間の行為とは、すなわち神に対する応答なのである。神の恵みや神の言葉(説教)に対する応答である。これらの人間の行為をいかに礼拝の中で霊と真心をこめて信仰共同体として一つとなってすることができるかが大事なポイントになってくる。著者が挙げている特に賛美、祈り、ささげもの(献金)、信仰告白についてその内容と順序を吟味する必要がある。何より教会としてまた集まった礼拝者一人ひとりがなぜ今この行為をしているのかを霊的に深く理解することが重要であると思う。そうでないと、それらの人間の行為がただ単なる人間の行為、宗教的な行為、いのちのない退屈な儀式になってしまうであろう。