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上級韓国語 - ちょんげぐりの世界

韓国語の勉強もそろそろビジネスクラスへ乗り換えましょう。上級韓国語をめざして,古狸案先生の授業は随時更新中です。

日本の保険はイヌの保険

2010-03-14 | ことわざ
人の考えは古今東西似ているようで,イヌに関する言葉はだいたい悪い意味で使われていますね。

とくに韓国では,イヌといえば悪口の代表格です。
개새끼や개자식なんて,イヌの権利を無視してますよね。
개만도 못한 놈!なんていうのもあります。

개판이 되다は「めちゃくちゃになる」という意味です。
こんな悪口の応酬をしているとそうなりますね。

ついでに개망신[개亡身]って知ってますか。
개망신을 당하다という言い方で使いますが,「赤っ恥をかく」ことです。

みなさんは개차반という単語を知ってますか。
차반というのはおいしくこしらえた食べ物やおかずのことです。

ということは개차반は개の차반?
そうです。犬の食べ物のことです。

何でしょう?
개차반とは똥のことなのです。

それが転じて개차반というと「性格の悪い人間」のことを指すのです。
「ろくでなし」,「できそこない」という意味もあります。

그 사람 술먹고 나니까 완전히 개차반이더구만.
あの人は酒を飲むとどうしようもないんですよ。

まわりにこういう人っていませんか?

犬の糞といえばこんなことわざがありますね。

●개 눈에는 똥만 보인다.
何かに熱中しているとそれしか見えなくなってしまうという…。
要するに,横が見えなくなってしまうオタク状態ですね。
しかし,犬と糞の取り合わせってちょっと汚らしいですね。

もう一つおまけです。

●개가 똥을 마다한다.
마다한다というのは「拒む」とか「断る」という意味です。

그 사람은 진급을 마다하고 회사를 그만두었다.
その人は昇進を断って会社を辞めた。

この개가 똥을 마다한다(犬が糞を拒む)というのは,大好物であるのにそれを「いやだ」と断るときに使う言い回しです。

●개같이 벌어서 정승같이 산다.
イヌのように稼いで大臣のように暮らす。

정승というのは漢字では「政丞」と書きます。
昔の宰相,今で言うところの大臣です。
この意味は,卑しい仕事でも,それを厭わずに金を儲けて正しく有用に使うことをいいます。

정승と개が入ったことわざはほかにも정승 날 때 강아지 난다.というのがあります。
これは「大臣が生まれるときに子犬も生まれる」,つまり偉い人が生まれると偉くない人も生まれるという意味です。

●개 꼬락서니 미워서 낙지 산다.
犬が憎くて犬の嫌いな蛸を買う。
これはいやなものに対してわざと嫌がらせをすることです。

꼬락서니というのはあまりよくない言葉ですが「ツラ」または「格好」という意味です。그게 무슨 꼬락서니냐!といったら「何というザマだ」ということです。

イヌに関することわざはまだたくさんあります。
よく試験に出るようなものをいくつか見てみましょう。

●개도 먹을 때는 아니 때린다.
イヌであってもえさを食べているときには,頭をたたいたりせずに静かにしておくのに,ましておいしく食事をしている人を叱ったり,たたいたりしてはいけない。

●닭 쫓던 개 지붕만 쳐다본다.
イヌが追いかけていた鶏が屋根の家に上がってしまい,残念そうに見上げるという意で,せっかくやってきたことが無駄になり,どうすることもできなくて悔しいこと。

●서당 개 삼 년이면 풍월을 한다.
門前の小僧,習わぬ経を読む。韓国では寺子屋のイヌが三年もすれば風月を詠むという。

●개똥이 무서워서 피하나 더러워서 피하지.
イヌの糞が恐くて避けるのではなくて,汚いから避けるのだ。けんかしたとき(自分の正当性を主張するときなど)に使う。

●겨 묻은 개 똥 묻은 개를 흉본다(나무란다).
糠が付いたイヌが,糞が付いたイヌをとがめる。自分の欠点を棚に上げて,他人の欠点ばかりを悪く言うこと。目くそ,鼻くそを笑う。

●개 발에 편자.
イヌの足に蹄鉄。身につけているものが体格に釣り合わないときのたとえ。

さて。ここから今日の本題に入りましょう。
「日本の保険はイヌの保険」って何でしょうか?
ちょっと私の嫌な思い出を話しましょう。

私は1980年代に韓国・延世大学大学院で公衆衛生学(공중위생학)を勉強しました。
しかし当時の大学院の授業は,まるでアメリカにいるようでした。

教科書はほとんどがアメリカの本を複写して製本しなおした海賊版(해적판)を使用していました。

教室で飛び交う用語も英語とのチャンポンで慣れるのに苦労しました。
たとえば「潰瘍」は韓国語で궤양と言うのですが,気取って얼써と言っています。これが英語のulcerの韓国式発音なんですね。

휠체어が「車椅子」だと分かるには時間がかかりました。

病院内では,産婦人科を오비지와이 (OBGY), 形成外科を피에스 (PS), 脳神経外科を에느에스 (NS)とかっこよく略号で呼びあっています。

それぞれobstetrics and gynecology, plastic surgery, neuro-surgeryの頭文字を取ったものです。

この英語式韓国語が分からないと授業についていけません。
韓国なのだから,韓国語で授業が受けられると思った私は甘かったのです。

担当の若造の教授が「日本の医学部は,英語で授業しないとは遅れてますねぇ」と私を見ながら誇らしげに言ったことが頭に焼き付いて離れません。

ことあるごとに民族意識丸出しのこの若い授業の件でももう1つ,今でも忘れないイヤーな思い出があります。

公衆保健学の授業で,日本の医療保険制度について聞かれたときに,つい“국민개보험제도입니다’(国民皆保険制度です)”と言ってしまいました。
それを聞いたこの教授は,皮肉にも「日本国民はイヌの保険 (개보험)に入っているんですか」と言って周りの学生を笑わせました。

韓国語では전국민보험제도 (全國民保險制度) と言わなければならないんですね。



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