上級韓国語 - ちょんげぐりの世界

韓国語の勉強もそろそろビジネスクラスへ乗り換えましょう。上級韓国語をめざして,古狸案先生の授業は随時更新中です。

척지다とは? 辞書に載っていない言葉(おもしろ語彙の世界)

2023-12-21 | 言葉の使い方
人生には,悲しみや不幸が溢れています。そんな中で,他人と仲たがいすることもあるでしょう。お互いに恨みや憎しみを抱いて反目し合うことを척지다と言います。国立国語院の우리말샘には,“서로 원한을 품어 반목하게 되다.”という意味が載っています。

척지다が元々「互いに怨みを抱いて反目するようになる」という意味で使われていたわけではありません。まず척の意味から考えてみましょう。척は漢字で書くと「隻」です。

この「隻」は「一対の片方」つまり「片割れ」を指します。鳥は常に2羽で1雙と数えます。この雙は双の旧字体で「つがい」を表します。ですから隻は,雙の半分,つまり「鳥1羽」を表します。よって,男女・雌雄・左右など2つがペアになっているものの,片方だけを数える数え方に用いられるようになりました。

しかし,척지다の척はこのような意味ではありません。この척は非常に特殊な意味を持っているのです。それは「朝鮮時代の訴訟事件の被告」です。척지다の척が「被告」という意味を持つというのは,驚くべきことです。

昔も今も民事訴訟は,訴訟を起こした원고(原告)と,訴訟を起こされた피고(被告)の間で争われます。つまり,訴訟において原告と被告は,一対となります原告から見れば,一対の片割れは被告になります。そのことから척〈隻〉が「被告」の意味になったのです。

척という単語は,おもに지다と組み合わさって使われます。“친구와 나는 사소한 문제로 척이 지고 말았다.”といえば,「友達と私はささいな問題で仲たがいした」,“우리는 이성 문제로 척을 지게 되었다.” といえば,「私たちは異性の問題でけんかした」という意味になります。

‘척이 지다’は「訴訟に巻き込まれて誰かと被告関係になる」という意味であり,‘척을 지다’は「訴訟に巻き込まれて誰と被告関係を結ぶ」という意味になります。척지다は,‘척이 지다’,‘척을 지다’から主格の-이と目的格の-을が脱落して短くなった形です。

このように,誰かと「被告」関係になると,人間関係が断絶するだけでなく,お互いに憎み,恨む間柄になります。このような点が強調されて,척지다に「互いに怨みを抱いて反目する」という意味が生まれたのです。簡単にいうと「仲違いする」「反目する」という意味になります。

具体的な例としては,次のような使い方があります。
このように,척지다は日常会話でよく使われる表現です。
・친구와 척졌다. (友達と仲たがいした)
・남편과 척졌다. (夫と反目した)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ニュース翻訳 累積赤字14億... | トップ | 上級者用の助詞 -(이)ㄴ즉, ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

言葉の使い方」カテゴリの最新記事