里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

小正月の行事「団子刺し」

2021年01月15日 | 暮らし

小正月には「団子刺し」をするのが習わしです。
この辺りでは1月14日から15日が小正月で、「鳥追い」に続いて行われるのが「団子刺し」。
文字通り団子の木に団子を刺して飾ります。
これが団子の木。


ミズキ(水木)のことです。放っておけば高木になります。
この辺りではミズキとは言わず皆が団子の木と言います。
小正月に団子刺しに用いる木なので、そう呼ばれます。
これはまだ幼木。


ミズキは枝がすっと伸び肌がなめらかで赤みを帯びる美しい木です。全体のバランスが良く扱いやすい。枝先も団子が刺しやすく、なかなか代替えできる木はありません。


私の仕事は、専ら団子の木すなわちミズキを切ってやるのが主な役割。


「団子刺し」は、ミズキの枝先に紅白や緑の団子を刺し、さらに鯛や宝船などの飾り物をぶら下げて神棚や部屋に飾ります。


五穀豊穣や家内安全・家内繁栄などを祈願するものです。
これは助っ人が作ってくれたもの。

昔の団子刺しを思えば誠に慎ましやかなものです。


私が幼少の頃は大変な行事でした。木まるごと使って沢山の団子を刺したものです。特に大黒柱には一番大きな木を括り付け、部屋中いっぱい紅白の花が咲き乱れるようになりました。
小正月は女の正月とも言われます。当時、団子刺しは、数少ない華やかな楽しい行事だったのでしょう。
当時はまだ居間に囲炉裏がありました。
団子も米粉を練って作るのではなく、餅をついたものでした。団子の数が膨大なので臼で餅をつき、それを小さくして団子の木に刺したのです。
また、15日は夜明け前に起こされ、「暁(あかつき)団子」というものを食べさせられました。
囲炉裏に掛けた大きな鍋に薄い小豆粥に団子が入ったようなもので、あまりおいしいものとは思いませんでした。半世紀以上も前のことで、記憶も朧気です。
昔は本当に色んな正月行事がありました。次第に姿を消していった風習も多い。