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里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

干し柿づくり'24~揉みも終え仕上がり順調

2024年12月10日 | 干し柿づくり

干し柿は、硫黄燻蒸し干し始めて今日で20日。


今年の蜂屋柿は我が家では10年に一度あるかどうかと言う大玉揃い。
400g超えの特大玉も多く、上手に干せれば中身も見栄えも上々のはずです。
しかし、大玉になるほど乾燥に時間が掛かり失敗するリスクも大きい。
今年は大部分を横吊りにしています。


今は生産者の多くが横吊り方式で主流になっています。
風の通りが良く満遍なく乾きやすいので、特に大玉では安心感があります。


気温が高くなるのが一番怖い。一時20℃近くになった日もありましたが、12月になり気温が下がり冬らしい気候に。
オレンジ色の良い色合いになってきました。


乾いた寒風の吹く日もあり、想定した以上に乾燥が進み仕上がってきました。


大玉のため遅れると思っていたので少々嬉しい誤算と言ったところ。
ここまで無事乗り切れればほぼ大丈夫と思いますが、湿気が戻ることもあり安心は出来ません。
想定外だったのは外部からの侵入者があったこと。
窓や入り口扉などは全て開放していましたが、10日目頃に一番下に吊していた柿10個ほどがやられました。
干し柿では初めての経験です。そのやり口からハクビシンかアライグマの仕業と思われます。
直ちに開放部をネットで覆いました。風通しにはマイナスながらやむを得ません。


思いのほか乾燥が進んだとはいえ湿気の残っているものもあるのでもう少しこの状態を保ちます。
硫黄燻蒸をしているものの温度湿度がぶり返すとまだカビの心配はあります。
一方、何時までも空気に晒し続けると固くなってきます。大玉の柿は乾燥の加減が難しい。
管理としては、干し始めて10日から2週間目くらいのところで干し柿の腹を揉む作業を行っています。


当地では「芯切り」と言う昔ながらのやり方。全て助っ人がやってくれました。
蜂屋柿には種があり、種の周りが芯状になるため揉んで軟らかくするものです。
そして、揉むことで干し柿に刺激が加えられるため自然に白粉が吹き出てきます。
しかし、いま当地方の生産者はこのような作業はしないようです。
白粉を吹かせない「あんぽ柿」として出荷するため刺激を与えるのはよくないのでしょう。
我が家では「あんぽ柿」から白粉を吹かせた「ころ柿」まで進めて愉しみます。
まだ従来からの縦吊り方式が少しあります。


昨年、一昨年は中玉、小玉を縦吊りにしていますが、今年はこれも殆ど大玉です。
こちらもいい色合いになっています。
縦吊りにすると、縄に当たっている部分が次第に食い込みます。今年は大玉だけになおさらです。
そのため縦吊りの場合は揉み以外に「玉回し」の作業が数回必要になります。


「玉回し」は干し柿を少し回転させ縄をずらし食い込みを和らげるのです。
手前の干し柿を玉回ししました。


横吊りの場合は縄に当たらないので玉回しは必要ありません。
すでに渋は抜け、甘味も増し十分に食べられます。
試食用に取ってみます。


しかし、まだ中身はトロトロ状の熟し柿から脱した状態で干し柿としては未完成。


大玉が多いことを考慮すると「あんぽ柿」が出来上がるまでにはあと1週間から10日必要です。
昨年は小玉が多く500個近くありましたが、今年は1個で小玉2個分ありそうなものが多数。


干し柿づくり'24~硫黄燻蒸(ロッカー式)し吊す(横吊り)

2024年11月21日 | 干し柿づくり

前日皮剥きした柿をひもに通し硫黄燻蒸、そして吊しました。
本来なら1日で終わらせるべき一連の作業ですが、我が家では難しくなり2日がかりで行っています。
今年は助っ人が二人と余裕。大玉揃いで数が少なく効率よく行えます。
昨年から硫黄燻蒸のやり方を変えました。
以前はパイプ枠をブルーシートで覆って密閉し硫黄燻蒸していました。
それを木箱を用いたロッカー式にしました。昔は専用の木箱を用いていたのでそれの小型版と言ったところ。
但し、木箱と言っても古い洋服ダンスを再利用したものです。
たまたま洋服ダンスを処分することにしたため硫黄燻蒸に利用するアイディアが浮かびました。
そのため都合よく柿を吊せるよう加工や調整を加えて塩ビパイプの枠をはめ込みました。


このパイプは出し入れが容易なので綺麗に掃除できます。
昨年、実際にやってみると想定以上にスムーズで密閉度も高く楽に出来ました。
これが前日剥いた柿。


作業場の2階に運びます。


竹を割って手作りした簡単な道具です


これに柿を並べてひもに通します。


今年は軒並み大玉なので出来るだけ横吊りを多くすることにしました。
昔は1本のひもに20個が標準でしたが、重く大変です。今、生産者の多くは10個になっています。
当初、特大玉は重いので12個にするつもりでしたが、横吊りはひもが少し長く効率が悪い。
そこで、今年は標準を14、5個にすることにしました。一部16個もあります。
ひもに通した後は硫黄燻蒸用ロッカーのパイプに吊します。かなり重い。


全部で27連になりました。
昨年は29連で18個や20個もあったのでほぼ500個ありました。
今年は380個くらいですが、重量では昨年以上は間違いありません。
ロッカーに吊し終えたところで硫黄燻蒸です。
これが使用する硫黄粉。目安は容積1㎥当たり15~30g。


我が家では、小さな鍋に炭火をおこし、硫黄粉を燻します。


炭火に硫黄粉を投入したら素早く扉を密閉します。
ブルーシートで覆いをしていた時と比べると、これが非常に楽です。
効果も確実なことが昨年で実証済み。
硫黄燻蒸はカビを防ぎ酸化を抑制して綺麗に仕上げる上で欠かせません。
硫黄燻蒸しないとカビるリスクもさることながら黒い干し柿になり贈答品になりません。
硫黄はすぐに空中に拡散し無害です。
硫黄燻蒸は密閉した中で硫黄粉を燻せばよいわけで、色んなやり方が考えられます。少量ならコンテナでも可能。
密閉時間は30分程度で十分とされますが、ゆっくり休憩し1時間弱放置しました。
密閉していた扉を解放すれば硫黄燻蒸は終了です。


炭火に投入した硫黄粉は完全に燃え切っていたので効果も確実です。
硫黄燻蒸する前は柿の表面が酸化し僅かに黒ずんでいましたが、綺麗になっており漂白効果が確認できます。
次に吊します。
今年は殆どが大玉だったので、仕掛けを施し23連は横吊りにしました。


特大玉を上手く干すのは容易でありません。横吊りの方がひもに当たることなく満遍なく乾燥できます。


今では生産者の多くは横吊りがメインになっています。
全部横吊りは出来ず、4連は縦吊りになりました。


縦吊りはひもの跡が付くので、後に玉回しを何度かする必要があります。
今年のような大玉揃いは我が家では10年に一度あるかと言ったところです。
大玉は上手に干せれば食べ応え十分、見栄えもしますが、乾燥に時間が掛かり失敗するリスクも大きくなります。
気温が大きく関係します。何年か前、連日気温が高くなり当地方一円でカビが発生し問題になったことがありました。
ここにきてようやく気温も下がってきたようです。乾いた寒風が吹いてくれることを期待。


これまで例年500個程度の干し柿を作ってきました。
そろそろ300個くらいに減らそうと思っていたところ、今年は380個ほどになりました。
今年は成りが少ない分軒並み大玉、重量では例年の500個相当以上でしょう。


干し柿づくり'24~皮を剥く(大玉揃い)

2024年11月20日 | 干し柿づくり

今年の干し柿用「蜂屋柿」は裏年に当たり成りは少ない。
しかし、一昨年のような大不作ではなく、ほどほどに成っており大きい。
昨年のように成りすぎて小さいよりは遙かによい状況です。
例年500個程度の干し柿を作ってきましたが、老体の身故300個くらいで十分と思っていたところでした。
助っ人2人が穫ってくれたのは有り難い。とは言え昨年より嵩がありそう。
段ボールで山盛り7箱ほどで、見るからに大きい。


小さい柿ではモチベーションも上がらないというものですが、これならやる気が出ます。


大多数が300g級以上の大玉、このような400g超級の特大玉も次々と出てきます。




昨年は中玉主体で、特大玉はありませんでした。
今年は小玉は殆どなく、右から特大玉、大玉、中玉。大玉率が9割を超えているようです。


大玉の比率が高い分、数的には昨年より大分少なく400個くらい、重量では今年の方がずっと重いと踏みました。
贈答品を作るには好条件です。但し上手く干せればですが。
皮剥きは例年どおりのやり方です。
年一度の文化財級道具の出番です。
小生の幼少期から使われていた木製ピーラーとでも言うべき皮取り器とナイフ。


黒光りしているのは柿渋によるもので汚れている訳ではありません。
柿渋の防錆効果で錆も殆ど付かないため軽く研ぐだけで十分です。
例年と変わらないので省略してもよいのですが、一応やり方の要領を記しておきます。
「蜂屋柿」は大型の円錐形なのでナイフだけでは上手く剥けません。仕上がりも悪い。
それにしても大きい。軒並みこのような大玉。昨年は感じられなかった手応えです。


まずは当地で通称肩回しと言われるもの。
ナイフの背の先を柿の軸にあて、ヘタの周りの皮を剥きます。


軸をテコにし一回しし、皮と一緒にヘタを取り除きます。
剥く時は、ナイフは動かさずに柿の方を回転させる要領です。
さらに、肩の部分をナイフで1回しか2回しします。
大玉では2回ししないと後の作業がやりにくい。


慣れないとナイフを動かすことになりがちですが、スピードが違い仕上がりもよくありません。
機械剥きを見ても柿の方を回転させており、同じ道理です。
次に皮取り。
皮取り器は利き手の親指と人差し指で鉛筆を持つような感じで持ちます。


中指、薬指、小指を柿に添え、柿をテコにして皮取り器を動かします。
同時に柿を持った手も左右に動かしながら先端まで一気に剥く要領です。


薄く細く剥ければ仕上がりが綺麗です。途中で止ったり太く厚く剥いてしまうと仕上がりがよくありません。
へらを持つようにしたのでは一気には剥けません。
今年は殆どが大玉なので、大小区別はしないで剥けます。発泡スチロール1箱だけ出来上がり。


今年も昼食後から殆ど休みなしで剥き続けたものの大幅な残業となりました。
数を数える余裕はありませんが、吊す時に何れハッキリします。
これほどの大玉揃いは近年なく、我が家では10年に一度あるかと言ったところでしょう。
但し、軟らか過ぎるものが多く、1割くらいは使えませんでした。
これが翌早朝のもの。


通常は皮剥きから吊すまでを一連の作業として終わらせるのが本来のやり方です。
今、我が家ではそれが難しいため、翌日に硫黄燻蒸し吊すような段取りにしています。
小生が何故皮剥きの作業をかくのごとくやれるかについてはこれまでも記しています。
かつて我が家には柿園があり干し柿も生産していました。
干し柿を作る時期は正に猫の手も借りたい状況で子供も手伝うのが当たり前でした。
小学校高学年ともなれば当然のごとく剥き手の一人に数えられていたのです。
柿剥きは流れ作業になっており、前述のいわゆる肩回しは大人の男子、皮取りは女性と子供でした。
ですから小生も専ら皮取りが役目で、通算すれば何万と言う数の柿を剥いているはずです。
長じては長く皮剥き作業は中断していましたが、手順や要領は体に染みついているため再開しても何の苦もなく出来る訳です。


今年の干し柿用「蜂屋柿」は成りは少ないが大きい

2024年11月13日 | 干し柿づくり

今年の干し柿用の「蜂屋柿」は成りは少ないものの大きくなっています。
一昨年は近来まれに見る大不作、昨年は一転大豊作でした。
両極端な年が続きました。隔年結果の順で行くと今年は裏年に当たります。
その通りになっていますが、一昨年のようなことはなくほどほどの成りです。


昔、我が家には7、80aの柿園がありました。多くは50年余り前に伐採され、田んぼや畑に変わりました。
今残っている柿の木はその名残の数本です。
もともと柿は隔年結果しやすい。まして殆ど放任ですから当然です。
昨年は小振りの柿が有り余るほど成り、困りました。
ほどほどに成れば十分で、大玉なら有り難い。
柿の木によっても成り方は一様ではなく、この木は例年隔年結果が出にくい木です。


少ないながら成っています。軒並み大玉のようです。


こちらの木は大木になり、扱いにくくなりました。


昔は木によじ登り鋏竹で隅々まで穫りましたが、今は下から穫れるものだけを穫ります。
こちらもほどほどの成り。


何れも大きい。


こちらはやや北向きの木。成りは良くありません。


成りが悪い分特大玉のようです。400g級もありそう。


こちらもやや北向きで、例年色付きが遅い。


今年は成りも色付きもまずまず。玉も大きくなっています。


この木は自宅のすぐ近くにある蜂屋柿。


昨年は鈴成りでしたが、今年は僅かの成りで、それも熟し柿になりほぼ落下。
成っているのはわずか1個。
近隣の蜂屋柿もほぼ同様の傾向です。
例年500個程度の干し柿を目安にしてきましたが、減らそうと考えていました。
昨年もそう思いながら小振りな柿が成り込んだため、結局例年どおりになりました。
老体の身には負担が大きい。今年は数が少なく大玉傾向なので良い機会だと思っています。
今年は300g越えの大玉が多くなりそうなので300個くらいあれば十分間に合います。
色付きから言うとほぼ出来上がっていますが、気温がもう少し下がらないと干すのが不安。
1週間後くらいに剥くことにしました。


干し柿づくり'23~3月の干し柿

2024年03月10日 | 干し柿づくり

干し柿は、干し始めから4ヵ月近くが経ちます。
ころ柿が出来上がってからでも2ヵ月以上過ぎましたが、まだ残っています。
昨年の今頃はすでに終わっていました。蜂屋柿が大不作だったからです。
今頃まで残っているのは例年のごとくでごく普通。昨年の方があまりないことでした。
一昨年のように4月になって食していることも珍しくありません。
1月半ば過ぎには縄から外しポリ袋に集約。数が少なくなってからは冷蔵庫で保管していました。
空気に晒したまま放置すると硬くなるので、簡便な方法で保存しています。
これが最後のポリ袋入りです。殆ど小玉の干し柿です。


白粉がすっかり回り地肌が殆ど見えないほどになっています。
タッパーに入れて保管していた干し柿はすでになくなりました。
これ以外に残っている干し柿は冷凍している干し柿です。
より長期に同じ状態を保とうとするなら冷凍するのが一番確実な方法です。ラップに包み冷凍すればなお確実。
一部を取り出してみます。
これは年内の「あんぽ柿」の状態で冷凍している干し柿。


一つ出してみます。


全く変わらない状態になっています。
冷凍と言っても、干し柿は水分が少ないため家庭用の冷蔵庫ではカチンカチンにはならず弾力があります。
こちらは年明け後白粉が回り始めた「ころ柿」の状態で冷凍している干し柿。


白粉の回りも硬さもそのままの状態で留まっています。


このように冷凍にすれば何時でも好みの干し柿を取り出し食することが出来ます。
これは、いつも茶菓子として出ている干し柿。


白粉は全面に真っ白に回っています。
1個取ってみます。


小玉のため大分硬くなりました。大玉のころ柿とは大分違います。
割いてみます。


ねっとりとしたヨウカン状。ボリューム感には欠けますが、小生にはこのくらいが丁度。
比較のため、これが年内「あんぽ柿」を割いてみたときのもの。

これは年明け「ころ柿」を割いてみたときのもの。


違いがよく分ります。
残り少なくなってきた干し柿をもう少しの間楽しみます。
昔は硬くなった干し柿をよく天ぷらにしたものでした。小生はあまり好みませんでしたが、懐かしく思い出されます。