川天使空間

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『東北まつり物語』みちのく童話会編著 装画・ふるやまたく 挿画・おしのともこ

2024年07月08日 04時43分54秒 | 創作・本の紹介
私たちみちのく童話会が企画から編集まで関わった『東北6つの物語』。
『東北まつり物語』をご紹介します。

青森ねぶた祭り『ねぶた流しの夜』もえぎ桃

 青森育ちなのに一度もねぶた祭りを見たことがないこころ。
 三年生のとき、幼なじみの爽太からねぶたに誘われたのに、コロナで二年間中止に。
 六年生になってやっとねぶたが再開した時は、こんどは家族がコロナ感染で行けず。
 けれど、夢で見たねぶたの海上運行は、この世のものとは思えない美しさで。 
 ハネトの衣装を着た爽太とお囃子を感じながら、こころはおもいっきり跳ねた。

 爽太が同じ夢を見ていたって、こんな状況だとあるかもと、すっと納得できる。
 お腹をゆるがすようなお囃子とハネトの踊りが、身体に伝わってくるような物語だ。

福島わらじ祭り『わっしょい!』堀米薫

 五年生の卓也は春に東京から福島にひっこしてきた。
 福島には、大学生時代に東京の卓也の家で一緒に暮らしたイトコの梨花姉ちゃんがいることが救いだった。
 一緒に福島わらじ祭りに行こうと梨花姉ちゃんに誘われ、練習に行くと、
 クラスメイトだけどあまり目立たない桃香ちゃんがいた。
 しかし、どうして梨花ねえちゃんは卓也をわらじまつりに誘ったんだろう……

 梨花ねえちゃんは震災の時に卓也と同じ五年生で、福島ではマスクをしなければならなかった。
 桃の花も梨の花も、みんな涙を流しているように見えたという。
 けれど、あの震災の五ヶ月後に「福島を元気にするんだ」とわらじ祭りが開かれた。
 桃香ちゃんやみんなと、わっしょいわっしょいとさけびながら踊る卓也にぐっときます。

仙台七夕まつり『ぼくらの七夕さん』佐々木ひとみ

 お作法教室をやっているおばあちゃんから、「仙台七夕まつり見学ツアー」に送り出された四年生の翔太。
 お姉ちゃんと見たアーケード街の大きな七夕飾りは、まつりの主役の吹き流し。
 案内係の麻美さんが取り出した古い写真には、吹き流しの上につく「くす玉」がなかった。
 その写真に写った白い帽子の男の子は、連れて来られて面白くない今の翔太と同じ顔をしていた……

 卓也がタイムスリップしたようなふしぎな路地で、にっと笑って「やる!」と折鶴をくれた男の子。
 写真の中にいたその子はひいおじいちゃんで、おばあちゃんは伝説の七夕職人と言われた人だったなんて。
 伊達政宗公の頃から続く仙台の行事「七夕」。
 昔から七夕行事や七夕の竹飾りを「七夕さん」と呼んで大切にしてきた仙台の方の気持ちが伝わってくる。 

山形花笠まつり『五年一組花笠隊』井嶋敦子

 東京から山形に転校してきた羽奈は、運動会の花笠踊りでつまずいた。
 「へたくそ」と言った一年生の小次郎は、クラスでただひとりの友だち・あぐりのイトコだった。
 小次郎の母の龍子さんが、幼なじみで羽奈の担任・早坂先生にかけあい、
「五年一組花笠隊」として、山形花笠まつりにエントリーすることに。
 でも、花笠を持って踊るのはむずかしく、羽奈はクラスメイトの名前も覚えられない……

 龍子さんが花笠踊りの意味を解説する文章は、山形県花笠協議会の方のご意見をいただいた。
 直しは大変だったけれど、そのおかげか、国土社が今年の山形花笠まつりの協賛をさせていただくことに。
 山形県花笠協議会の方々、おおぎやなぎさま、国土社編集のSさまに感謝です。
 (しかし、自分の作品の書評は難しい……)

秋田竿燈まつり『おばけ提灯』おおぎやなぎちか

 家でも学校でも目立たない光瑠の家は、かなりの竿燈好き一家。
 四年生になって小学校の竿燈クラブに入ったが、失敗してばかり。
 練習用の提灯はぼろぼろに紙がさけ、おばけが口を開けたようになっている。
 ケケケ、ケタケタ。お化け提灯はいつも光瑠を笑っている……

 「消えてもいいもんなんて、ねえ」秋田弁でおばけ提灯が言う。
 「いっつも、おめのごと、はげましてたべ」と。
 お堀に灯りや映る広小路でやってた頃の古い写真、ああ、懐かしいなと思った。
 私も昔にタイムスリップしたような気持ちになりました。

盛岡さんさ踊り『さんさの夏がやってくる』ちばるりこ

 香里の小学校では六年生だけがさんさ踊りに参加できる。
 デビューのための練習でベテランの邦子さんの踊りに感銘を受ける。
 三ツ石神社に行き、さんさ踊りの起源
(鬼の退散を喜んだ里人たちが三ツ石のまわりを「さんささんさ」と踊った)を知る香里。
 夏休みにコロナクラスターが出て六年生の参加者が激減し、このままじゃ不参加かもと……

 香里が取った行動は、上の学年の子たちを踊りに誘うことだった。
 コロナ禍で踊りが中止になり参加できなかった中一、中二の子が参加するなんて。
 さんさのかけ声「サッコラ〜」は「幸呼来」って、いいな。

巻末のおまけページの写真、きれいです。






互いに読み合ってはげましあい完成させたアンソロジー。
改めて読むと、ああ、いいなと、心から思います。
発売は7月10日。
多くの方々のお目に触れますように!

昨日はずっと雨が続いて、書いたり本を読んだり。
今週末はこんな天気じゃありませんように。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)
コメント (2)
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