川天使空間

work, write, and fish! __ >゜)))彡  

『東北おいしい物語』みちのく童話会編著 装画・ふるやまたく 挿画・おしのともこ

2024年07月09日 04時56分50秒 | 創作・本の紹介
『東北6つの物語』の2巻目、『東北おいしい物語』をご紹介します。

山形の芋煮『はじめての芋煮会』野泉マヤ

 埼玉に住む四年生の由菜は、ママの実家がある山形にやってきた。
 ママが楽しみにしていた芋煮会は、米沢市松川の河川敷でかまどづくりから始まる。
 芋煮会メンバーはみんな地元の人で、由菜だけが浮いていた。
 同じ四年生の光希とマッチで火起こししようとするが、由菜はマッチのすり方もわからない……
 
 こんにゃくを手でちぎるって、芋煮に必須(と山形生まれの夫氏に教わった)。
 「ほんのり甘いあめ色の汁の中に、牛肉、ネギ、赤茶色にそまった里芋とこんにゃく。
 光希があふあふしながら里芋を口に入れた」
 描写がすばらしく、芋煮が恋しくなりました。

青森の海鮮『チームじょっぱり』おおぎやなぎちか

 幼なじみの沙耶と修哉は小さい頃から意地っ張り=じょっぱりと言われてきた。
 両親がやっているレストランが忙しすぎて、沙耶は最近家族旅行したことがない。
 修哉の姉、大学生の葵ちゃんに連れられて、沙耶と修哉は八戸にやってきた。
 八戸のちょっと暗い市場で沙耶は、3-4歳頃にこの市場に来たことを思い出す……

 葵ちゃんの先輩・やすっちさんがやっているお店の海鮮、美味しそう。
 じゅわっとホタテのエキスが口の中に広がる焼きホタテ。
 せんべい汁に貝焼きに、海の香りがただよってきそう。
 大学卒業したらこのお店で働くと宣言した葵ちゃんふくめて、チームじょっぱりだなんて、いいな。
 
秋田のきりたんぽ鍋『戦うキリタンポ鍋』井嶋敦子

 四年生の伊織と勇太は、ジュニアサッカーチームのライバル同士。
 秋休みにチームの家族含めてのなべっこは、キリタンポ鍋と決まった。
 勇太のじいちゃんは、断固としてキリタンポ鍋に糸こんにゃくを入れない。
 糸こんにゃく好きの伊織のママは糸こんがなければキリタンポ鍋じゃないと。 
 どちらのキリタンポ鍋が美味しいか競争することになって……  

 読んだうちの看護師さんが「サッカー愛が溢れていますね」と。
 夫氏も断固として糸こんを入れない派。
 私は美味しければどっちでもいいけどな(笑)。
 そんなちょっとゆるい戦いを書きました。

仙台の牛タン・笹かま『おとなボタン』岩崎まさえ

 夜中に起きて、ダイニングキッチンのドアに手をかけた四年生のトモキ。
 ドアの横に「おとな」と書かれた丸い白いボタンがついていた。
 ボタンを押して入ったテーブルの上には、大きな笹かまぼこ。
 母さん父さんの真似をしてワサビをつけたら「すげぇ、うまっ!」。
 「あれはおとなの味がわかるボタンなんだ」父さんがささやいた……

 学級新聞に「おとなの味」を書こうと思い、毎夜おとなボタンをさがすが、ない。
 家族で牛タンを食べに行き、牛タンと笹かまについて書いたトモキの記事、最高。
 父さんも昔見た気がするというおとなボタン、ふしぎで楽しいな。

盛岡の三大麺『冷麺 じゃじゃ麺 わんこそば』ちばるりこ

 みんなにデンって呼ばれている五年生の伝(つたえ)の家は、老舗のそば屋。
 高校生の兄ちゃんに連れられ焼肉屋に行き、特辛の冷麺をはじめて食べた。
 辛い、辛い、うまい。辛い、辛い、うまい。日を追うごとに思い出す味。
 じゃじゃ麺の店ではショウガ・ニンニク・ラー油とお酢をかけて食べた。
 じゃじゃ麺を食べたあと、そば屋の二階でやっているわんこそばのわんこ勝負に出ろと言われたデンは……

 どれも大盛りでわんこそば87杯も食べるって、デンって何者?
 じゃじゃ麺の店で仲良くなった花音ちゃんも日本そばを上品に食べた。 
 読んだだけで、冷麺もじゃじゃ麺もわんこそばも日本そばも、みんな食べたくなる罪な作品です。

福島のお米『手のひらサイズのしあわせ』吉田桃子

 十二歳の頃、震災後に企画された福島ホームステイに親に内緒で参加した東京生まれ東京育ちのゆかり。 
 参加者はゆかりと真里菜ちゃんたち地元の子合わせて4人だけ。
 ホームステイを知った家庭内別居状態の両親の元から、
「福島のものは食べちゃダメ」とレトルト食品などが宅配便で送られてきた。
 つらいはずなのに元気に見える真里菜ちゃんは、「もう、涙は枯れちゃったからねえ」と言う。
 結局福島のものを食べられなかったが、ゆかりは、おいしい空気の中で育ったお米を食べたかった。
 帰りの新幹線の中で、真里菜ちゃんからの紙袋を開けると……

 シンプルな真っ白なおにぎりに、
 「福島の自然を、丸ごといただいているんだ。福島の持つ元気を分けてもらっているんだ」
 「こんどは私が福島のひとを助けたい」と「おにぎり屋」を始めるゆかり。
 てのひらサイズの幸せに、うるっときた。

巻末のおまけページでは、スタッフの堀米薫氏が解説。



東北で米作りがさかんな理由、なんてわかりやすい。



読んだ方々がきっと食べたくなるような物語ばかり。
おいしいものを食べるために東北にいらっしゃるのも悪くないかも。
物語を読んで、ぜひ東北へ!

昨日は溶連菌感染症や喘息発作の患者さんが多くて。
私も外来で喘息の咳が出る始末。
この梅雨空が開けるまで喘息の人はこんな状態が続くのかな。
今夜はみちのく童話会のスタッフミーティング。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする