片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

東京モーターショーの足元は?

2013-11-26 16:37:26 | 自動車関連

東京モーターショーは、連日大にぎわいです。そこで一言。

過去2回の東京モーターショーは、09年はリーマン・ショック後、
11年は大震災後で、盛り上がりに欠けました。
米ビッグ・スリーはもとより、欧米メーカーの参加も極端に少なくなり、
まるで灯が消えたような状態でした。
実際、あんなさびれたイベントは見たことがないというほど、
惨憺たる状態でしたよ。
90年代初頭の超にぎやかなモーターショーを知っている身としてはね。

しかし、今回のモーターショーは、
ようやく国内市場も世界市場も活気づき、
自動車メーカーの業績も回復中の開催とあって、
各社、久し振りに力が入っています。

報道公開日だった20日には、
トヨタ社長で自工会会長の豊田章男さんが、
ホンダのブースを訪れ、自ら二輪車にまたがって見せる場面もありました。
率先して、場を盛り上げようとしているのが、
痛いほど伝わってきました。
業界をあげて一生懸命な様子が伺えましたよね。

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※東京モーターショー会場の様子

報道されているように、今回のモーターショーが掲げたテーマは、
「世界にまだない未来を競え。」です。その言葉通り、
FCV(燃料電池車)やEV(電気自動車)などの環境技術、
自動運転の技術など、夢のある未来の技術が、たくさん発信されています。

さて、モーターショーの盛り上がりは別として、
自動車業界の足元はどうなんでしょうか。
二輪車でいえば、自工会の二輪特別委員会は、
2020年に国内二輪車販売の「100万台復活」を目指しています。
ちなみに、昨年の国内販売台数は、44万2407台です。
ピークの1982年約328万台が、ウソのようです。
人口減少が進む国内で、市場を2倍にするのは、
たやすいことではありませんね。

四輪は、ピークの90年には約777万台あった国内販売が、
リーマン・ショック後は約400万台にまで落ち、
やっと12年に約536万台(登録車は約339万台)にまで回復しました。
ちなみに、国内生産台数は、8社合計で約943万台です。
回復したとはいえ、残念ながらメーカーは、やっとこそっとこの状態です。
現在の雇用を維持するためには、トヨタは国内で300万台、
ホンダ、日産は100万台の生産を確保する覚悟だといっています。
現状は、トヨタが約349万台、ホンダが約103万台、
日産が約115万台ですから、まあ、ギリギリですよね。

今後、消費増税の影響は、少なからず出るのは間違いありませんし、
いま元気な軽自動車も、軽自動車税の増税問題がくすぶっています。
国内市場の活性化は、やはり、簡単ではありません。

東京モーターショーの盛り上がりに、
水を差すつもりは、まったくありません。
ただ、国内市場の活性化には、未来の技術に夢をもちつつも、
環境技術は日本が世界一などとおごることなく、
直近の足元の課題を一つひとつ解決していく。
とにかく、自動車メーカーは、
ゆめゆめ油断はないと思いますが、地味な取り組みが欠かせない。
世界は広いですからね。


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