風の宝石箱

日々想うことを感じたまま 大切にしまっておきたい

優しいおじいさん

2009年02月03日 | ひとりごと
「おじいさん」といっても、私の祖父ではない。
病院の待合室で初めて見かけた名前も知らない「おじいさん」だ。
孫でもない人から「おじいさん」なんて呼ばれるのは、気分は良くないだろうなぁ~~~。
私だって「おばさん」と、呼ばれたら..........ムカッとする・・・・・・
日本語で、もっと良い呼び方はないのかなぁ?


今日も待ち時間を持て余していた私は、その時は「口腔外科」の前でウロウロしていた。
診察室から看護師さんが出てきて、おじいさんと何やら話をして、また診察室へ戻っていった。

少しして、さっきの看護師さんが小柄なおばあさんを連れて診察室から出てきた。
そのおばあさんは、手を口の中へ入れて、「痛いよぉ」とか「どうすんの、こんなの」とか不満を言っている。
おじいさんが立ち上がって、看護師さんと話をしている間も、おばあさんは「もうやだよ 帰えろうよ」とか言っていた。
痴呆なんだと分かった。

待合室にいる他の患者さん達は、雑誌を読んでいたり、おしゃべりをしていて、全く気にならない様子だ。

私は何だか気になって、そのおばあさんと、おじいさん、看護師さんを見ていた。
おばあさんの様子をみては、「お口に手を入れてはいけませんよ」とか「もう、治ったから痛くないでしょう」とか看護師さんが言う。
おじいさんも小さな子をなだめる様に、「もう少ししたら帰ろうね」と優しく声を掛けたりする。
そうやって、おじいさんに構ってもらえると、おばあさんの様子も少し落ち着いた。

辺りを見回すおばあさんと私の目が合った。ニコッと愛想振ってみた。
そしたら、おばあさんは頷くように何度か首を動かした。

おじいさんは看護師さんとの話が終わって、おばあさんに上着を着せている。
大きいボタンを全て掛け終わるのを黙って見守るおじいさん。
次に白いマスクとニットの帽子被せて、おばあさんの支度は出来たようだ。
おじいさん自身も上着を羽織って、おばあさんの手を取って会計の方へ歩き出した。
その時、おばあさんが私に向かって、「じゃぁね またね」と2度言った。
私も「またね」と返事をしておばあさんに軽く手を振った。
おじいさんは私に向かって会釈をしてくれた。

優しいおじいさんだなぁと思った。