「この人なんて 指一本失ってないじゃない!」
そう言われ返す言葉が無かった。
相手は中学生の女の子だ。
その子は右腕を切断した。
私に向かって言ったわけではない。
泣きじゃくって、わめき散らして、出た言葉のひとつだった。
付き添っていた母親だって、さぞかし辛いだろうと思った。
けれど、一言も声を掛けてあげられなかった。
私は「怪我人」だ。「病人」じゃない。って、ずーっと思ってきた。
だけど、注射を打たれるたびに、だんだん病人らしくなっていく。
その子のキツイ一言で、しょげてしまった。
もしも、面と向かって
「あなたなんて、指一本失ってないじゃない」
と言われたら、
「おかげさまで」
と言えるだろうか。
そう言われ返す言葉が無かった。
相手は中学生の女の子だ。
その子は右腕を切断した。
私に向かって言ったわけではない。
泣きじゃくって、わめき散らして、出た言葉のひとつだった。
付き添っていた母親だって、さぞかし辛いだろうと思った。
けれど、一言も声を掛けてあげられなかった。
私は「怪我人」だ。「病人」じゃない。って、ずーっと思ってきた。
だけど、注射を打たれるたびに、だんだん病人らしくなっていく。
その子のキツイ一言で、しょげてしまった。
もしも、面と向かって
「あなたなんて、指一本失ってないじゃない」
と言われたら、
「おかげさまで」
と言えるだろうか。