こんにちは、24期生の小林です。
今回は、私の現在のライフワークである「ラーメン」について書きたいと思います。特にラーメンにおけるイノベーションに焦点を当てます。イノベーションと言えば、ソニーのウォークマンやアップルのiPhoneなど、世の中に大きな衝撃を与えた製品が思い浮かびます。そのため、「ラーメンにイノベーション」という表現は少々大袈裟に感じられるかもしれません。しかし、私はラーメンにも多くのイノベーションが起こっていると考えています。特にラーメン業界で長い間多くの人々を虜にしている「家系ラーメン」は、ラーメン界における大きなイノベーションの一つだと個人的に考えています。
世の中には多くの種類のラーメンが存在し、その味も千差万別です。その中でも「家系ラーメン」がここまで世の中に浸透したのは、イノベーションのマネジメントの上手さにあると思います。これはブランディングのイメージに近いのですが、今まで世の中に無かったラーメンを作り出すことをイノベーションとした場合、このイノベーションを世の中にどう浸透させ、人々の心を掴むのか、そして掴んだ心をずっと離さないようにするにはどうすれば良いのか、という点がイノベーションのマネジメントだと考えています。
家系ラーメンの起源とされる「吉村家」は、イノベーションのマネジメントの仕方が非常に優れていたと思います。通常、ラーメン店が店舗数を増やす際にはフランチャイズ化が思い浮かびますが、「吉村家」は自分のところで長年修行させ、認められた人にのみ「吉村家直系店舗」の看板を与え、暖簾分けしていくスタイルを取っています。これにより、家系ラーメンは一貫した品質とブランドイメージを保ち、多くのファンを獲得しています。さらに、麺の硬さ、味の濃さ、油の量など、顧客の嗜好を取り入れつつも、基礎となる味をしっかりと守ることで、他のラーメン店との差別化を図っています。
個人的な好みで言えば、「家系ラーメン」より美味しいと感じる名店はいくつもあります。しかし、ほとんどの名店が「家系ラーメン」のように世に浸透していません。理由はいくつかあると思いますが、その一つとして、品質の維持の難しさがあると思います。私は日課のようにラーメンを食べていた時期があり、名店で修行されて独立された店舗にも多く訪れたのですが、ほとんどの店舗では創業店とは悪い意味で大きくかけ離れたレベルのラーメンが提供されています。一昔前に醤油ラーメンの名店で修行されていた方に話を聞く機会があり、そこでおっしゃっていたのは、ラーメンのスープの作りかたは教えてもらえるが、ベースとなる醤油だれのレシピは誰も教えてもらうことが出来ないため、独立した後開業しても、似たような風味にはなるが、どこか違うと感じるようなラーメンになってしまうということでした。おそらく、創業店が自身の価値を維持するために、そのような方針で弟子を教育しているのだと思いますが、そのようなやり方では、世間に深く浸透するようなブランドは育たないのではないかと思います。「家系ラーメン」においては、起源である「吉村家」が徹底した品質とブランドイメージを保つことに力を入れることで、直系店舗はもちろんのこと、直系店舗ではない人たちも高い品質のラーメンを提供することが出来、多くの人々を虜にする「家系ラーメン」を生み出すことが出来たのではないでしょうか。
競争の激しいラーメン業界ももちろんですが、多くの業界においてイノベーションをマネジメントしていく力が、企業存続の大きな鍵になるような気がします。
フランチャイズビジネスも成功しているところは不易なるものを明確に定義し、広めているんでしょうね。この吉村家でいう、基礎となる味を、どの事業者でも見つけられるような診断士になりたいものです。
確かに「家系」の出現はラーメン界のイノベーションだったかも知れません。それまではラーメンを〇〇系と呼ぶ人はいませんでしたし。
イノベーションを生み出すだけでなく、事業として定着させるまでがマネジメント、これを仕組み化できた企業は無双ですね。
徒弟制度・のれん制度のイノベーションなのですね。
どこで食べても同じスープ、麺、具材であるのが人気の秘訣であり、そこには経営戦略としてイノベーションマネジメントが係わっているのですね。
二郎系も増えていますが、経営戦略的に家系との違いについて今後調べてみます。