中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

中国経済失速の危機との報道・・・冷めた見方が必要です。

2012-01-18 00:03:50 | 中国
上海3日目の夜です。3日続けてアルコール漬けにはなりましたが、何とか修正して今日は早めにホテルに戻りました。この2日間でも、日系企業の現地法人の責任者の方々と情報交換を続けて、一部の情報に過ぎないとは言え、ビジネスの温度感みたいなものをご教授いただきました。

たまに見る日本のネットの記事などでは、「中国経済が失速、世界の危機」的な書き方をしていますが、少なくともここ上海の空気と、現場の方の見方からは、鵜呑みにしてはいけない内容だと断言できます。まずは、失速して8%の成長率をどう見るかですが、昨年前半くらいまでは、放っておくと15%くらいいきそうな経済の勢いがあったのは事実で、それと比べると見劣りするかも知れません。日本の著名な学者でさえ、中国のバブルが弾けると平気で述べていますが、上海万博が終わるとバブルが弾けると書いた専門家は全員後悔していることでしょう。

実際、バブルが弾ける要素もいくらでもあり、誰も住んでないのに値上がりを続ける不動産、日本人には手が届かなくなりそうな上海の億ションなどを見ていると、確かにこのまま続くわけがないと分析するのは正しいでしょう。が、経営ボードに匹敵する中国政府のトップは、そんなことはお見通しで、金融の引き締め、公共料金の価格統制など、すでに打つべき手を打っていると見るのが正しいでしょう。その影響で、本来、もっと伸びると踏んでいた業界は、一気に数字が落ち込むわけですが、これ以上の急激なバブルを弾けさせないための調整経済とも言えます。自動車も、最高級車などは飛ぶように売れていますし、欧米の落ち込みで輸出産業は影響を受けますが、その分、自国では駄目だと中国に投資を向ける世界のお金は、引き続き流入するでしょう。実際、日本の市場は駄目だと思い、中小、ベンチャーまでもがアジアの市場を目指そうとなっているのではないですか?

以前にも述べたように、中国人みなが真面目に働いているわけではなく、国家と言う営業マンが世界中から投資マネーをかき集め、一部の人が驚くほどの恩恵を受けて発展している側面もあり、決して健全な経済成長ではないとは思います。が、日本の記事が書き立てる前に、問題点だけは同じ政権の中で以前から検討されていて、やりすぎなくらいの規制なども含めて、バブルを最小限に抑える策は講じているのです。

別の見方では、今年の政権交代を前にして、一旦締め付けるだけ締め付け、新政権以降に、成長の角度を再度つけるためとの政治的な思惑もあるようですが、一部超資本主義の勢力の裏切りがなければ、当面の中国は難題を抱えながらも成長を続けると見るのがまっとうではないかと私は思います。ただし、そこで外資系企業にチャンスがあるかは別の話ですが、悲観的になって二の足を踏んでいるうちに、韓国や欧米企業に寝取られてしまうリスクもあるわけで、企業の経営者はこの先も難しい舵取りが必要になることだけは間違いないですね。