中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

中国人にとっての、「法律」「常識」「マナー」の感覚。

2012-01-19 20:53:52 | 中国
北京に着きました。最近は上海と北京を往復することが多くなりましたが、国内線には外国人も乗っているものの、ほとんどが中国人です。飛行機の機内では、基本的には携帯電話の電源はオフ、パソコンなどの電子機器は離着陸時は切らなければなりません。また、空港に機材が降り立っても、飛行機の扉が空くまでは、携帯電話の電源は入れないようにとアナウンスがあります。

が、中国の国内線でよく見かけるのは、出発間際まで電話をしていて、そのままポケットに・・・明らかに電源を切った様子がありません。さらに離着陸時にも関わらず、i-Padらしき電子機器をひたすら操作している人もいますし、飛行機のタイヤが地面に着いた瞬間から、携帯電話での会話があちこちで聞こえてきます。キャビンアテンダントも特段気にした様子もなく、実際に誰がどこで迷惑したわけでもないまま、短いフライトは終わります。

ビジネスに限らず、生活面でも、中国の法律、条令はどこまで守られているのか、疑問に思うことばかりです。以前に、非常勤スタッフの給与の件で、税金を払わなくていい月収800元以内の条件だったはずの彼女に、仕事が増えたものですから、2倍近くのお仕事を頼むことにしました。税金のこともありますので、私が、「免税の範囲とか超えちゃっうけど、逆にもっと頑張ろうね!」と言ったら、「税金?そんなの払いません!私の母親の名義を増やして二人で割ればいいじゃないですか?」と言われました。冗談じゃない!と逆に説教をしようとしたら、彼女の捨て台詞としては、「何の努力もせずに税金を払う経営者は頭が悪い!」とのこと。つまり、抜け道考えて、いかに節約するか、それこそが優秀な経営者と言わんばかりでした。結局、彼女は去っていただきました。

コンプライアンスなる片仮名が日本でも浸透していますが、日本の大企業の不祥事を見ていると、日本も中国も五十歩百歩と言えますが、少なくとも法律に向き合う前提が日本人とは異なります。法律の場合は、まだ罰金、罰則と言う目先の利益、利害に影響があるものですから、その存在は意識した上で対処していると思われますが、常識においては、誰にとっての常識か、日本人の考える常識がまったく意味をなさないことも多く、ましてやマナーなどは、守って何の得になるか理解しないことには、その存在さえ無意味なのかも知れません。

中国人にマナー教育をする日本企業が増えていますが、それを実践すると自分にお金が振り戻ってくるくらいの現金なことを理解してもらうか、同じ中国人でも、その人が生まれ育った風土、境遇などを理解した上で、個別に対応しないと、「日本企業で働く時は、とりあえず、何でもまず謝っておけばいい!」と言ったマニュアル対応的な結果にしかならないこともあります。気遣いなる日本語にフィットする中国語が見つからず悩んでいましたが、国が違う、歴史が違う、一人一人生きてきた背景が違うわけですから、存在しない言葉もきっとあるのでしょう。