池田小事件から20年 元死刑囚と接した弁護人と面会者の苦悩 2021/6/8

2021-06-08 | 死刑/重刑/生命犯

池田小事件20年
悲劇二度と…元死刑囚と接した弁護人と面会者の苦悩
 2021/6/7 18:45小松 大騎小川 恵理子 
 児童8人が犠牲となった平成13年6月の大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)の児童殺傷事件から8日で20年。宅間守元死刑囚=16年9月執行、当時(40)=の元主任弁護人は謝罪の言葉を引き出そうと試み、面会を重ねた公認心理師は罪の意識と向き合わせようとしたが、ゆがんだ思考の持ち主は一筋縄ではいかなかった。悲劇を繰り返さないために、社会ができることは何か。自問自答を繰り返した2人が、それぞれの立場から提言する。

ゆがんだ思考
 「戦う弁護士なんていらんねん。早く楽になりたいだけ。死刑にしてくれ」。元死刑囚の主任弁護人を務めた戸谷(とだに)茂樹弁護士(大阪弁護士会)は初めての接見でこう告げられた。「ゆがんでしまっているな」という印象を持ったという。
 極悪人を弁護する必要はない-。そんな手紙や電話が毎日のように事務所に届いた。目指したのは「謝罪を引き出す」「事件の真相を明らかにする」という異例の弁護活動だった。
 「不条理な世の中に復讐(ふくしゅう)したかった」と話す元死刑囚に対し、戸谷氏は「なぜ復讐の対象が子供だったのか」と繰り返し尋ねた。だが、元死刑囚は最後までそれに答えず、謝罪の言葉も口にしなかった。そして16年9月、死刑が執行された。戸谷氏は「事件と向き合わせることができなかった」といまも悔やむ。
 弁護を通じ「刑事罰や治療では根本的な解決につながらない人間もいる」と感じた戸谷氏。だからこそ悲劇を繰り返さないため、人格形成が重要だと語る。
 「生まれながらの犯罪者はいない。理想論だが、ゆがんだ人間を生まない教育や家庭環境をいかにして築くか、だ」

措置入院の限界
 15年8月の死刑判決以降、元死刑囚と面会を続けた公認心理師、長谷川博一氏は初めて面会した際、「どうせお前も自分のことを嫌うんだろ」と投げやりな言葉をぶつけられたことを覚えている。拘置所に何度も足を運んだのは「罪の意識を自覚してほしい」との思いから。「内容に納得はできないが、何を言いたいのかを理解しようとした」。死刑執行前まで面会を続けたが、元死刑囚が罪の重さを理解したとまでは思えなかった。
 元死刑囚が繰り返し語ったのは事件の2年あまり前の措置入院のことだった。当時は重大事件を起こした精神障害者が不起訴や無罪などになった場合に、精神保健福祉法に基づき都道府県などが強制入院させる措置入院が行われていた。元死刑囚は判決で精神疾患ではなく人格障害と認定されたが、長谷川氏は「このときに適切な治療がなされていれば、事件に至っていなかった可能性もある」と考える。
 28年7月、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷される事件が起きた。事件で死刑が確定した植松聖(さとし)死刑囚も犯行前に措置入院していた。長谷川氏は池田小事件の教訓も念頭に、「措置入院から出てきた後のことが考えられていない。措置入院のプロセスにいる医師や行政、司法などの担当者が横断的に退院後の対応を考えるべきだ」と指摘している。(小松大騎、小川恵理子)

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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〈来栖の独白 2021.6.8. Tues〉
>「戦う弁護士なんていらんねん。早く楽になりたいだけ。死刑にしてくれ」。
 これ以上の「絶望」は、無いだろう。被害者と遺族への思いも然りながら、この「絶望」を私は考えないではいられない。宅間氏が、おのが犯罪にのたうち回っている。
 私事だが、今になっても故勝田清孝死刑囚のことでわからないことが多い。清孝死刑囚は、被告人時代に書いた手記に「生きていたいのです」と語っている。8名もの命を奪えばその罪科の故に死を願うのではないかと思うのだが、勝田死刑囚は「生きていたい」と語った。
 わからない。人間とはわからない生きものということか。

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大阪教育大付属池田小学校児童殺傷事件 宅間守 『殺人者はいかに誕生したか』長谷川博一著 

  

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公認心理師と臨床心理士の違い
 公認心理師と臨床心理士の違いについて、明確に述べることは難しいと考えられます。公認心理師は、2017年に公認心理師法が施行されたことから、2018年からできることになっている新しい心理学系の唯一の国家資格です。ですので、公認心理師が今後どのようになっていくかは、実際に将来になってからでなければわかりません。
 とは言え、現時点で公認心理師と臨床心理士の法律上・カリキュラム上の違いについては述べることができますので、そのあたりの似ているところや違いについてご紹介したいと思います。

 「公認心理師と臨床心理士の仕事は、どのように違うのだろう?」と疑問に思われる方も多いと思いますが2018年度に初めて国家試験が開催された「公認心理師制度」はまだ始まったばかりです。
 前述のように、従来から臨床心理士として勤務する方の多くが公認心理師資格を取得し公認心理師と臨床心理士の業務の違いを明確に区別することは現状困難です。
 また、公認心理師も臨床心理士もいずれも5領域といわれる[医療・教育・産業・福祉・司法]という複雑な領域にまたがって働くことのできる資格で業務独占はなされていないことから、公認心理師と臨床心理士のいずれかにしてはいけない技術というものは存在しません。
 公認心理師は、法律上「心理査定(アセスメント)」「心理面接(カウンセリング)」「関係者への面接」「心の健康に関する教育・情報提供活動」の4つが業務として定められています。それに対する違いとして臨床心理士は「臨床心理学的査定(アセスメント)」「臨床心理学的面接(カウンセリング)」「地域援助」「研究(臨床心理学)」の4つが業務として定められています。
 しかし、今後は「公認心理師資格を持っていないと出来ないこと」が多く出現する可能性が見込まれます。その一例として、医療機関での勤務があります。しばらくの間、診療報酬上は公認心理師資格を持たないで心理職として勤務していた者も、公認心理師としてみなすという<みなし規定>が取り決められました。
 この<みなし規定>は「公認心理師が一定程度養成されるまで」の措置であるため今後医療でカウンセラーとして働きたい場合、公認心理師を取得していることが求められることが見込まれます。

公認心理師と臨床心理士のカリキュラム上の違い
 臨床心理士が、修士課程の2年間のカリキュラムで養成されるのに対し公認心理師は学士課程の心理学のカリキュラムを必須とし実務経験や修士課程での訓練で受験資格が得られるようになっています。
 臨床心理士を取得するためには修士課程に進学し、大学院に通いながら修士論文を執筆するなどの研究者としての能力を高めることが期待されます。
また、公認心理師は基本的に大学の4年間と大学院修士課程の2年間を合わせた最低6年の間心理学を学ぶようにカリキュラムが作られています。
 その背景として、公認心理師はもともと臨床心理士の団体だけでなく心理学諸学会連合と呼ばれる「臨床」以外の心理学の専門家による連合、また精神科医の団体の話し合いにより成立した資格です。そのため、公認心理師カリキュラムでは臨床心理学にあまり偏りすぎないように、できるだけ万遍なく心理学や医学(精神医学を含む)を学べるように作られています。
 ということから、公認心理師は心理学全体に関わる(臨床だけではない)心理学の専門家として担うことが期待されています。 
 公認心理師と臨床心理士の違いを明確に述べることは難しいものの、このような法律上やカリキュラム上からその違いを垣間見ることができるのかもしれません。

 ◎上記事は[LEC東京リーガルマインド]からの転載・引用です
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