時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

dele ディリー 3

2020-06-30 | 読書
『dele.LIFE(ディーリー・ドット・ライフ)』とは
あらかじめ登録しておくと
依頼人の死後
パソコンやスマホに遺る
デジタル記録を内密に抹消する業務を請け負う会社

坂上圭司   『dele.LIFE』社長 プログラマー deleのアプリ開発者
       原因不明の難病により下半身の麻痺が進行し 車いす生活を送っている   

真柴祐太郎  『dele.LIFE』元従業員  
       依頼人の死亡確認や所在がわからない依頼人のパソコン
       スマホの在り処を探す実行部門を担当していた
       現在、遺品整理業務を兼ねたリサイクルショップ従業員
       祖母が遺した木造一軒家に祖母の飼い猫・タマサブロウ(通称タマさん)と共に暮らしている  

坂上舞    圭司の姉・正統派弁護士 亡父・坂上真一から受け継いだ
       「坂上法律事務所(現在 7人の弁護士と20人以上のスタッフを抱える)」の代表
       主に富裕層をメインとした個人向けの業務をしている
       因みに「dele.LIFE」は
       この事務所の地下にあり業務提携もしていて
       坂上法律事務所の存在が会社の信用保証となっている



『Return Journey/リターン・ジャーニー』
古舘のリサイクルショップで働き始めて三ヶ月
遺品整理の仕事を終え
根津の自宅に戻った真柴祐太郎は
坂上舞の訪問を受けた

ケイはここには着てないよね?

かつての雇い主
舞の弟・圭司が姿を消した
祐太郎は
以前仕事でしりあった
不登校の中学2年生
堂本ナナミと共に
圭司の行方を追う

祐太郎とナナ 舞は
圭司が残したとと思われる
事務所のPCのロック解除に成功
日本の官公庁・行政機関が絡んだ
資金流出(年間二十億円以上)の
証拠データをみつけました
次に
祐太朗らは
資金洗浄先となっている
『エフフルート』柳井進に接触
資金の送金先である
デジタル界に棲む化け物
サイバーセキュリティに関して
世界でも指折りのエンジニア
夏目直こと
通称‘三つ目(ミツメ)’の存在を
知ることとなりました

いったいこれまでどれほどの国益が損なわれたか
せめて先進国にふさわしいサイバーセキュリティ環境を整備すること
それは本来 日本にとって最優先でやりべき国家事業なんだ
ミツメはそのために政府に囲い込まれた

じゃあ 樋口健也が社長を務める
『SECPAT』から『エフフルート』に流れている金は…

政府がミツメに対して支払っている正当な報酬だよ
いや 正当どころか格安だ
ミツメならそれより高い金を出す国家も企業もある
日本国民は ミツメがその程度の報酬で
日本に雇われてくれていることに感謝するべきなんだよ


何だか
話しがとてつもなく
ワールドワイド
壮大なスケールの話しなるんだ!?
と思いきや…

へ!?

噴火寸前の火山が
突然活動止めたみたいな
超大型台風が
突然消滅したみたいな
幕切れ

言論の場はマスメディア主体からソーシャルメディア主体に移りつつある
誰も経験のしたことのない時代がくる
私はその時代をケイと一緒に眺めてみたい

その時代を眺める俺を観察したいだけだろうが

待ってるよ ケイが望むなら彼らとはすぐ縁を切る
その気になったら『dele.LIFE』のサイトを閉鎖して
それを合図にしよう 迎えに行く

俺も待ってるよ『dele.LIFE』は畳まない
今の夏目直が嫌になったらいつでも依頼してくれ
死後 俺が責任持って夏目直を削除してやるよ


σ(^_^;)
ミツメは
『dele.LIFE』を設立当時の
圭司とパートナーでした

巻き込んで悪かった
何が目的だった?
俺は一言 (夏目に)文句が言いたかっただけだ
そのために こんな大げさなことを?
それに 一度伝えたかった
何を?
俺(圭司)が見てるってこと
見てるって ん? ミツメに?
ミツメ か
うん デジタル世界に棲む化け物だって 柳井が
化け物をつくるのは 本人の超人的な才能でもなければ
強大な権力による圧力でもない
あ― それじゃ 何?
孤独だよ
放っておくと (夏目が)本当に化け物になる気がしてな


(夏目が)都市伝説のような神格化された存在に
なってしまうのを
何としても阻止したかった
お前は独りじゃない
孤独な人間なんかじゃない
自分はいつもおまえ(夏目)を見てる

そう伝えるためだけに
喧嘩うったのね…

σ(^_^;)
ある意味
圭司も化け物です

圭司は
祐太郎が自分にとって
境界線を越えないためのストッパーであるように
夏目にとって自分が最後のストッパーであろうと
しているようです


『Stand Alone/スタンド・アローン』
真柴祐太郎にとって真柴祐太郎は情報ではない
それは正しい
でも
坂上圭司にとって真柴祐太郎は情報
ケイの前で君は君と言う情報を発信する
有機的な装置として存在する
   (『Return Journey/リターン・ジャーニー』157頁抜粋)

『dele.LIFE』に復職して2日目
モグラが目を覚ます音がした

依頼人はフキタカツヤ 47歳
72時間 パソコンが捜査されなかったとき
信号がくるように設定してある
死亡確認を取れ


サイトの依頼画面には
『蕗田克也』の文字と
緊急連絡先として携帯の番号が記されていた
祐太郎はスマホをスピーカー通話にすると
緊急連絡先の番号に電話を掛けた

もしもし
こちら蕗田さんの番号で間違いないでしょうか
ええ そうです
ああ 私 真柴というものですが そちら蕗田さんでしょうか
え? ああ ええ そうです 蕗田です
蕗田ユイの父です
真柴さんは…学校の方でしょうか?
あ はあ
副校長先生にはお話しさせて頂いたはずですが
葬儀については家族だけで済ませますので
生徒のみなさんにはそうお知らせください


今回の依頼人は
蕗田克也ではなく娘の唯
明豊中学校2年の女の子でした

唯が克也のカードを拝借し
父親名義で契約したようだ
『dele.LIFE』は
未成年者の依頼は受けないこともあり
家族に説明した上
受け取ったお金を返金すると言う
圭司に対し
親に黙ってクレジットカードを使ってでも
削除して欲しかった唯の真意が気になる祐太郎

中学生は何かあったら周囲の人に相談します
お金を使って誰かに仕事を依頼したりしない
でも唯さんはあなたたちを頼った
周囲に頼れる人がいなかったか
周囲に相談できない問題を抱えていたかどちらかです
何より唯さんの気持ちを優先すうべき
と迫る堂本ナナミ
ってナナミ
いつから『dele.LIFE』の社員?
学校は?
新学期迎えたから3年よね?

彼女がどんな問題を抱えていたか調べてみる
調べてどうする?
調べてみなと分からないよ
ただ データをどうするにせよ
彼女がどんな思いで俺たちに削除依頼をしてきたのか
それは知るべきだと思う
削除依頼データはみせない
返金と説明は少し待つ その間に
親が娘のパソコンをチェックしてしまったときには諦めろ


祐太郎はナナミは
明豊中学の校門で
偶然
唯の1年2年と
クラス担任だった
マツナガ
学校新聞部員の山下海羽から
話を聞きます
誰にでも優しい子だった
絶対人の悪口を言わない子だった
みんなから好かれていた
唯が書く記事は
読んだ後
取材された人を
自然と応援したくなる
気持ちにさせる
力があった

その一方で
永井茉莉から
一時
唯の取材に対する
否定的なコメントを書き込む
裏SNSサイトの存在があったと
保存していた画面を
見せらせます

内容から
これを書けるのは
あの時
現場にいた自分(茉莉)と海羽しかいない
だから
私は書いてない!
だからこれを書いたのは海羽


σ(^_^;)
この後
ナナミは海羽に電話をかけ
裏サイトの話をしますが

唯のことを悪く書いた書き込み
私か茉莉か
どちらかにしか書き込めない内容だった
私(海羽)じゃないから
茉莉が書いたんだと思う


茉莉も海羽も
自分が書いたものではないと
唯にハッキリ伝えている
これに対し唯は
わかってる あたりまえだよって
唯は笑ったと言う


σ(^_^;)
ってことは
唯自身が書いた!?

もしあの書き込みや掲示板が自殺の理由だとするなら
唯さんが削除依頼したデータが何なのか
想像がつかない…


っとここでタイムアップ
唯の父・蕗田克也から
坂上法律事務所に連絡が入り
唯の依頼がバレてしまいます
この後
圭司 祐太郎 ナナミは
蕗田家へ

経緯を説明した上で
サイド契約を結びなおし
唯の依頼通りデータを破棄しては?
と言う圭司の申し出を拒否した
唯の両親・克也とキヨミ
このあと
両親と圭司・祐太郎・ナナミは
パソコンのロックを解除
削除を依頼されていた
ファイルを開きます

あーごめんね マロちゃん 熱かったですかー?
でも大丈夫ですねー マロちゃん 強い子 強い子
だった六十度でゆよー マロちゃん頑張れー
汚いものはキレイキレイしなきゃですねー


濃い水蒸気の中で犬の悲鳴とシャワーの水音
そして
楽し気な唯の甲高い笑い声が…

259頁~
蕗田家の内情が明らかにされ
唯の心の叫びを代弁するかの如く
ナナミちゃんが思いをぶちまけます
とどめの言葉を発する間際
圭司がそれと止め
三人は蕗田家を後にします

唯さんは聞ける人だった
聞ける人だった唯さんに
みんな 勝手なことを言っていた
唯さんはきっともう
何も聞きたくなかったんですね

唯さんのこと山下海羽さんにも話します
あの二人 やっぱり放っておくわけにはいかないです
今すぐ仲良くはできなくても
いつか 二人で唯さんの思い出を語り合えるくらいには
関係を修復しておきたいんです

それはうちの仕事じゃない
うちの仕事はもう終わった

ええ だから これは私の仕事なんです
お世話になりました
私 中学生に戻ります

ナナミちゃんのためには
その方が委員だろうけど 何かちょっと 寂しいな

私たちが目指す方向は たぶん一緒です

え?方向?

他人の前で 人は自分と言う情報を発信する有機的な装置として存在する
ミツメが
そんなようなことを言ったの覚えてますか?
あなた(祐太郎)は即座に否定してけど
私はそんなの当たり前だって思ってたんです
今 ここに戻ってくる間 ずっと考えてました
もし唯さんの学校に私がいたら
同じクラスだったら 同じ新聞部にいたら
でも変わってなかったと思います
蕗田唯さんという装置は
情報を発信してはいなかった
だから もし私が隣にいても
唯さんはやっぱり 死んでいたと思います
でもあなた(祐太郎)が隣にいたら
唯さんは死ななかったと思う 
あなたなら 唯さんの思惑なんかにお構いなく
ずかずかと中に入っていっただろうから
パスワードをしらなくてもプロトコルが違っても
きっと唯さんと通じ合えた
だから私もやってみます
あなたのようにはできなくても
私がいるべき場所で 目を凝らし 耳を澄ませてみます
私たちが ただの有機的な装置じゃないことを
証明するために


圭司は祐太郎を
暴力的なクラッカーだと言う
パスワードもプロトコルもお構いなしに
堂本ナナミの中に入って彼女を変えたと言う
方や祐太郎は
この件にこだわるナナミのために
圭司が自分の主義をねじ曲げて
削除データを見たんじゃないかと思う
その上で誰にも見せないという
唯の意思を尊重すべきだと判断したんじゃなか
もしデータを見るべき人がいるとしたら
それはナナミだと考えた
ナナミなら唯の最後の悲鳴を
正しいメッセージを変換して受け取ることができるから
と思う

σ(^_^;)
少なくとも
両親が事実を知ったことで
唯の心は救われたと思いたい
ナナミが
不条理な世界と向き合おうと
思ってくれて良かった

真柴祐太郎の存在は
日本を世界を救う
そんなパワーを持った
稀有な存在のような気がする!

文面の一部を原作より抜粋しています

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