時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

イングリッシュサムライ

2010-01-13 | 舞台/役者
今年の初舞台観劇
『イングリッシュサムライ 按針/ANJIN』

海外の演出家&脚本(日本人共同)による作品です

ストーリーや
人物の相互関係については
一番下の画像をクリックして下さい



3時間20分 休憩20分
ヨーロッパvsジャポネーズ
俳優達のガチンコ対決
台詞は
英語と日本語が半々

字幕のプレートも舞台上段&左右に設置
英語と日本語が目まぐるしく表示されます

語学に堪能な方は問題ありませんが
からっきしのジャパニーズ
からっきしの外人さんには
結構しんどいです
字幕を読もうとすると
舞台が全然視界に入りません
舞台を見ると
何言ってんだか解りません
字幕を目で追いながら
舞台も視界に入るように
プレートを配置するべきでしょうね(可能な限り)



藤原竜也さん演ずるドミニコや
イエズス会の宣教師が
異国語を日本語に通訳する場面ですが
同時通訳状態になるため
英語と日本語が
舞台でごちゃ混ぜに発せられます
聖徳太子並みの聴力を
持ち合わせていれば別ですが
聞き分け出来ません!

例えば
ドミニクの立ち位置が舞台の中央部
しかも台詞が客席ではなく
舞台斜め後方に向って発せられている
(客席に殆ど背を向けている状態)ため
声が籠って余計に何言ってんだか解りません



その上
同じ役者が秒刻みで
英語と日本語の台詞を発するので
こちらも必死です
疲れました

異なる言語体系を用い
舞台を演出するという試みの難しさを感じました

ですが
見ごたえのある作品ですよ
良品だと思います



三浦按針ことウィリアム・アダムスが
愛すべきイギリスと日本の国の間で悩み
イギリス人として日本人として苦悩する姿
良く描かれていたと思います

日本人でありながら
異教徒の神に傾倒し宣教師の道を選んだドミニコが
徳川対豊臣の最後の戦いを前にして
神の教えと武士道の狭間で悩む姿も
良く描かれていたと思います

豊臣家が滅び
徳川の時世が確立する中
按針は
生きるために自らの宗教を放棄
一方
己の中に流れる武士の血を捨てきれず
クロスを刀に持ち替えて戦場に向った
北條氏の末裔・ドミニクですが
最後は
異教徒として
磔にされてしまいます
この二人の対比の描き方も見ものです



また
広い視野と見聞力を備え
世界を見据えていた徳川家康でしたが
彼の死後
徳川一族により
二百有余年の長きに渡り
国が閉ざされることになるとは…

人生の皮肉を感じます

徳川vs豊臣
スペインvsイギリス
旧vs新興キリスト教
相反するモノ同士の対立が絡みに絡み
やがて淘汰されていく…

淘汰の
その先に在るものはとは…

磔にされたドミニクの前で
打ちひしがれる
イングリッシュサムライこと
三浦按針の
心に去来したものとは
何だったのでしょう


            

孤高の人徳川家康が
唯一心を許した人物・三浦按針
国を言葉を越え
あらゆる概念を飛び越え
共に在り続けた二人

その姿勢
その精神性
小生もかくありたい


藤原くん…細過ぎ


画像は
「@ぴあ電子チケットぴあ」より借用致しました