梶の「趣楽独言」

陶芸・家庭菜園・ダンス・碁・蕎麦打ちなど趣味三昧に生きる老人の独り言

初めての陶芸(40)梶の陶芸語録の解説

2008年01月15日 | 陶芸講座
 先週の土曜日は円柱または円壷作りの成形作業でした。今回が最後の講座ですので、出来るだけ基本的な事柄は身につけていただければと思います。紐作りでの成形は湯呑みから5回目の講座です。その間素焼き時窯出し時などで紐作りの練習を行ないました。既に基本的な事項をマスターした方もおりますが、悪い癖が付いている方もおります。この最後の講座で出来る限り、間違っているやり方を直すよう心がけて下さい。習い事の基本は先輩の技術を盗む事です。盗む事とは先輩の行っている動作を観察し、自分の行っている動作との違いを見つけることです。そしてその方法を試し、よければ自分の技術として取り入れることです。ただ難しいのは先輩の技術を盗むと云っても自分のレベルがある程度高まっていないと、又は自分の技術的な問題意識と一致しないとその技術が理解できない事です。しかし、先輩の技術を見て、それを記憶しておけば、自分が有る時にそのレベルに達し、悩んだ時に、その技術の本質が理解でき、自分の問題点の解決になります。陶芸の道も奥は深いです。一歩一歩焦らず、自分の技術を高めるよう、自分に目標を与えて下さい。この進歩は半年、一年と云う単位で考えればと思います。昨年5月に私の陶芸講座に入った貴方達は粘土に恐る恐る触っていました。皆さんはこの一年ほどで格段に進歩しました。陶芸に関しては大分色々な技術を会得しました。その面では自身を持ってよいと思います。
 基本的なことで云いますと昨年の5月13日の初めての陶芸(6)梶の陶芸語録や今年の1月9日の初めての陶芸(39)円柱または円壷作り・成形の梶の陶芸語録で記載しましたことが重要です。この語録はこれから陶芸を行なう皆さんに陶芸を行な上で基本的な事は何かを知ってもらい、講座のポイントを理解する一助になればと書いたものです。講座ではこの語録に書いた事を実際に皆さんに作品として作るものを変えながら行っていただいたのです。第一回目の湯呑み作りで、紐作りの基本は殆ど全て教えましたと私が話しました。陶芸の語録ですのでそれに日工会展などの公募展作品を制作する過程で私が感じた事も付け加えました。5月13日の時にはまだ初めたばかりで何がなにやら分からなかったと思いますが、今は違うと思います。この語録に沿って解説したいと思います。
  ①粘土は異性に触るように優しく扱え。
    これに関しては紐を作る時の粘土に触る感じ等よくできるようになりました。

  ②ゆっくりと時間を掛け、丁寧に作れ。
    これは講座は2時間ほどと云う時間的な制約があり、講座では言葉で話すだけで、実際に皆さんに経験してもらう事が出来ませんでした。一例ですが成形時に紐を積みますが、綺麗な円柱を作り、形を作るまでに紐を積んだ時間の10倍ほどの時間を掛け、成形をする。これは生涯大学の先生の言葉ですが、それぐらい丁寧に作りこむことが重要です。特に形を仕上げる時の微調整は自分が納得するまで、時間が許すまで行なう事です。既にこの丁寧に作る事は多くの方々が実際に実行しているように感じます。家で作った作品からもその事が感じられます。
  ③失敗を恐れるな。そこから色々な事が分かる。
    一例ですが湯呑みを軽く作るには腰の部分を削る事ですが、失敗し底に穴を空けるのを恐れていては、何時までたっても削る技法が掴めません。失敗する事により、色々な事が分かるのです。
  ④成形は粘土の硬さが成形をし易い硬さになるまで、待て。
    粘土が柔らかいと成形していても、形が上手く出来ません。粘土が有る硬さになった時にヘラやコテで粘土を整形していると粘土が手の平に馴染み、自分の思いどうりの成形が出来る硬さがあります。その粘土の硬さの感触を掴んで下さい。
  ⑤粘土が乾くのを注意せよ。
    粘土は成形時どんどん乾燥しますので、自分が成形し易いように粘土の硬さを管理する事が重要です。必要ならば霧吹きで粘土に霧を吹いて下さい。また、手の平の熱で粘土が乾きますので、紐を作る時、粘土を締める時など手の平で粘土を触る時には濡れ雑巾でこまめに手の平を拭いてください。
  ⑥ロクロで道具を使う時には脇を締めよ。
    ロクロで道具を使う時にはロクロの回転による粘土の抵抗で道具の位置が動きます。それを防がないとロクロを使った円形の成形が出来ません。その為には脇を締め、道具の位置が動かないようにする事が重要です。場合によっては空いているもう一方の手で道具を軽く押さえて下さい。粘土にあなた自身が負けては駄目です。
  ⑦ロクロで作業する手の位置は同一場所。手を動かさず、ロクロを回転させろ。
    ロクロを使うと云うことはロクロが回転しているのですから、一例ですが円の底を作る時の粘土を叩くなど作業する場合万遍なく一周行なうには、作業場所を一定の位置にしていればよいのです。まだ、手が色々な所に動く方がおりますが、その癖を早く直して下さい。
  ⑧作業時の姿勢に気を付けろ。目線は手や道具の真上。
    粘土を積む、粘土を締めるなど作業をする時の姿勢が重要です。粘土の円柱が高くなると、座っていては上手く作業できません。自分が一番よい作業姿勢になるように、考えて作業して下さい。また目線も重要です。どの様な姿勢で、目線は何処に置くか、ここが重要です。一般的には道具、作業位置を真上から見るような姿勢、目線です。姿勢には気をつけて、作業がし易い位置を掴んで下さい。まだ、不自然な作業姿勢で作業を行っている方が見受けられます。姿勢は無理の無い自然な姿勢がよいのです。へんに体をねじったりしているのは悪い姿勢です。注意して早く直して下さい。
  ⑨作品が良くしてくれと泣いている。その声を聞け。
    私が作品を作っている時に感じることです。最後の仕上げなど止めたくなる時に、作品に呼び戻され、そこから再挑戦するとこがあります。
  ⑩各工程で品質を作り込め。前工程の不備は次工程の初めに直せ。最後まで諦めるな。
    これは品質管理の基本ですので、工場に勤務した事が有る方はよく聞いた言葉と思います。制作している各工程、各作業で、品質を高める事が重要です。特に成形の後の削りで苦労した点は次回の成形で作り込む事が重要です。その事が貴方の技術力を高めるのです。前工程の不備は次工程の初めで必ず修正してください。出戻りが遅くなればなるほど修正には多くの労力が掛かります。急げば回れです。
  ⑪成形時、作品を離れて眺めよ。全体の形を常に調整せよ。
    成形時形を仕上げる時には、近くで作品を見ながら作業をしていたのでは、作品の微妙な狂いが分かりません。こまめに少し離れて作品を見て、形の狂いを修正する事が重要です。これもこまめに何回も時間を掛け、修正すれば楽なのですが、削りの段階で修正しようとすると、多くの労力が掛かります。最悪修正不可能な時もあります。。
  ⑫作品と向き合い、自分で納得が行くまで、制作せよ。
    ⑨と同じと思います。全ての作品の制作をこのようには出来ませんが、公募展などに応募する時は重要です。しかし、普段の作品でも有る程度自分が許す時間の範囲で、自分が納得するまで制作することは重要です。
  ⑬作品のオーラは自分のエネルギーをどれだけ作品に与えたかである。
    原気呼吸法を行っている私が感じている事です。17日から生涯大学の陶芸展に日工会展に入選した「秋華」を展示しますが、この写真を日工会展に応募する前に工和会の勉強会に持って行き、千葉県美術会の会長の鈴木先生に批評していただいた時の事です。「只綺麗な作品では公募展は入選しません。その作品が何を人々に訴えるかが重要です。」でした。私はそれは作品の発するオーラであり、そしてそれは自分のエネルギーをどれだけ作品に注ぎ込めるかであるとその時に感じました。
  ⑭削りに時間を掛ければ、どんな作品でも見栄えがよくなる。
    削りに時間を掛け、作品が訴える形を作り出せば、どの様な形の作品でも、見栄えはよくなります。一例ですが、凸凹のある作品でなく、その作品が持つ線が綺麗に表現されている作品は、見る人の心を打ちます。この面では皆さん大分努力をするようになったと思います。それが、前会長、前々会長が皆さんの今まで作った作品を見た時の評価に繋がって居ると思います。

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