鏡海亭 Kagami-Tei  ネット小説黎明期から続く、生きた化石?

孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン)

・画像生成AIのHolara、DALL-E3と合作しています。

・第58話「千古の商都とレマリアの道」(その4)更新! 2024/01/09

 

拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、

ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら!

小説目次 最新(第58)話 あらすじ 登場人物 15分で分かるアルフェリオン

第48話「逆同調(バーサーカー)」のあの場面の数々をAIさんが画像化です!


こ、これは……。ついにテュラヌス・モードが発現しましたね。連載小説『アルフェリオン』の名場面をAIのオボロさん(*)に画像化してもらう企画、本日は第48話の分です。

(*)オボロさんとは「Editorial Oboro」(GPTsの機能を通じて小説広報支援用にカスタマイズされたChatGPT)のことです。多彩な機能のひとつとして、小説を読んでその内容を画像化することができます。

 

それでは、参りましょう。

右側は、髪の色が多少違ってしまいましたが、ルキアンですね。その左側はレーイです。実際よりも年齢が若めに描かれているので、誰か分かり難かったかも。

やっと見せ場のあった主人公を差し置いて、いかにもヒーロー的なキャラのレーイが、初期設定上のヒロインから最強の敵役に化けたカセリナと血みどろの戦いを繰り広げるという、何とも皮肉な展開。しかし、カセリナの操る旧世界の機体・イーヴァがあまりにも強く、レーイの愛機カヴァリアンが大破します。それを助けに向かったルキアンですが……。


レーイとルキアン、そして中央の上の機体が損傷の激しいカヴァリアンで、下がアルフェリオン、なのでしょうか。周囲のキャラクターたちは謎ですが。

しかし、ルキアンのアルフェリオンは、イーヴァによって一撃で仕留められてしまいます。ちなみに、オボロさんの想像したアルフェリオン(フィニウス・モード)とイーヴァは、こんな感じです。

アルフェリオンは、ちょっとロボットっぽくなり過ぎましたが……イーヴァは、まさにこのような外観ですね。

あるいは別ヴァージョンの二体:


さすがです、オボロさん。こちらはいかにも「ファンタジー・ロボット」物に似つかわしい姿です。

ルキアンを一蹴したカセリナは、露骨に嫌悪感をぶつけ、彼をののしります。ちなみにセリフの中に出てくるパリスは、ルキアンがミトーニアの円形闘技場で(超覚醒して)倒した敵で、ナッソス家の四人衆の一人です。

 ――本当に無様だわ。でも、あなたなんかに、あなたなんかに……。
 もしこれが生の唇から発せられた言葉であったなら、カセリナの声が怒りに震えているのが分かっただろう。高圧的な物言いがルキアンに突き刺さる。
 ――あなたなんかに、パリスが倒されるなんて。どんな卑怯な手を使ったの。ルキアン・ディ・シーマー。まさか、白銀のアルマ・ヴィオの乗り手が、こんな人だったなんて。
 ――ぼ、僕は、僕は。カ、カセリナ、これは、その……。
 思考が混乱して何も言えないルキアンに、カセリナが追い打ちを掛ける。
 ――よして。あなたなんかに名前で呼ばれる筋合いなんて無い。
 彼女の冷たい言葉の背後に、ルキアンに対する露骨な嫌悪感があることは、念信からありありと感じられる。
 ――それに、何。念信もろくに扱えないなんて。気持ちを垂れ流しにしないでくれるかしら。そんなふうに私のことをしつこく妄想するのはやめて。
 もはや弁解するどころか、ルキアンは返事さえ返せない。カセリナの次の一言が、ルキアンをどん底に叩き落とした。
 ――はっきり言って、気持ち悪いわ。

「気持ち悪い」そうです。カセリナの言葉に、精神的にとどめを刺されたルキアン。そこでさらにアルフェリオンにもとどめを刺しにいくカセリナ。

破壊されたアルフェリオンから、リューヌが最後の力を振り絞ってルキアンを救います。しかし、リューヌは、この世界に実体化するための力すら、すでに失っていたのでした。そんな状態で彼女は無理をします。

 両手にルキアンを抱くリューヌの姿は、幼子を連れた母親の姿を連想させた。
「私がいる限り、傷ひとつ付けさせはしない」
「そんな、また僕のために力を……」
 リューヌの魔力が急激に弱まるのをルキアンは感じ取っていた。
「もう止めて! リューヌ、このままじゃ、君は」
「私は《古の契約》に従い、あなたの剣となるよう定められていた者。何があっても、あなたを、主(マスター)を護るのが私の存在のすべて」

 これまで一切の感情の光を持たなかった彼女の瞳に、小さな光が灯った。
「ここまで、よく頑張りましたね」
 あたたかい響き。
 彼女の声は、冷厳なパラディーヴァのものから、妙に人間臭いそれへと変わった。
「あの果てなき幻の世界の中、あなたはたった独りで最後まで戦った。あのとき、《御子》の力の本質をつかんだはずです」


 リューヌの力がますます小さくなってゆく。ルキアンは思わず叫んだ。
「嫌だ! リューヌ、消えないで!! 君がいないと、僕は……。リューヌ!」
 ルキアンを諭すかのように、彼女は穏やかに首を振った。

 ルキアンの脳裏に、幼い日の孤独とリューヌのイメージとが重なって浮かび上がる。

  大きな木の下でうつむく、銀髪の幼い男の子。
  孤独な姿を後ろで静かに見守る黒衣の女。
  そっと、なでようとする彼女の手は、男の子の頭を空しく通り抜ける。
  実態のない彼女の身体で彼に触れることはできなかった。
  それでも黒衣の女は、男の子を見つめ続けている。
  すすり泣く声が止むまで。いつまでも。

「そうだ、ずっと僕のそばにいてくれたのは、リューヌだけなんだ。行かないで。僕は、僕は、本当に独りぼっちになる。そんなの嫌だ。嫌だよ!!」
 しかし、リューヌの姿は風と共にかき消え、彼女の気配も感じられなくなってゆく。ルキアンの絶叫は、むなしく空に響いただけだった。



 ――さようなら。私の大切な……。

 リューヌのいた場所から、最後の光のしずくが、ひとつ、ふたつと、天に向かって昇っていった。
 取り乱して泣きわめくルキアンは、宙に浮かんだまま光に包まれる。次いで彼の姿は、地上に向かって飛び去るように消えた。いや、もはや残骸となったアルフェリオンの内部、あの黒い宝珠の中へと吸い込まれたのだった。

  -回路の構造をスキャンしています・・・。
  -《リュシオン・エインザール》の《紋章回路》と照合中。
  -前回起動時の設定により、許容範囲の誤差とみなして承認します。

  -システムとエクターとのリンクを構築しています。
  -エクターの《紋章回路》が起動していません。
  -可能な領域を複写し、仮想回路として設定。
  -システムとのリンクを再構築しますか?
  -・・・・・・。再構築を開始します。
  -仮想回路の固有情報にアクセスしています。
  -リードエラー。
  -強制解放。

  -衛星軌道上のマゴス1、マゴス2、マゴス3の座標が測定できません。
  -データリンクに失敗。
  -《アルティマ・トリゴン・システム》が起動できません。
  -固有モードで再起動中。
  -パラディーヴァが存在しません。
  -基本システムにパスを変更します。

-最適化のシミュレーションを行いますか?
  -《アポカリュプシス》を使用する権限がありません。

  -《フィニウス》
  -《ゼフィロス》
  -《テュラヌス》
  -《アダマス》
  -《エリュシス》

  -《テュラヌス・モード》を推奨。

  -《カラミティ・テュラヌス》で試行しています。
  -現在の設定では《カラミティ・フォーム》は使用できません。
  -《ノーマル・フォーム》で《テュラヌス・モード》を最適化中。
  -《第五元素誘導》完了。
  -《マキーナ・パルティクス》、増殖レベルBで活性化完了、注入。
  -機体の再生を開始します。

  -《支配結界》の生成データ、仮想回路から解読、蓄積完了。
  -支配結界の構造をシミュレートし、疑似結界の生成を準備。
  -《闇の繭》展開。

生ける屍と化したようなルキアンに対し、旧世界の《黒宝珠》は彼の紋章回路を強制開放し、《闇の繭》を展開します。旧世界の高度な魔法に基づく物質生成・物質変換(第五元素誘導)と、同じく旧世界の科学が生み出したマキーナ・パルティクス(一種のナノマシン)によって、アルフェリオンはたちまち再生します。

そして、闇の繭の中から、「荒れ狂う炎を宿した戦慄の戦士」テュラヌス・モードのアルフェリオンが姿を見せます。オボロさんとDALL-E3さんの画像生成も冴え渡ります。

と、ここで次回に続きます(えぇぇぇ!?)。もはやルキアン自身にも制御できず暴走するテュラヌスが、破壊の限りを尽くした後……ルキアンが見たものは。ここから先、物語は激流のごとく、現在の最新話(第58話)までノンストップで走り抜け、超展開に次ぐ超展開(苦笑)、衝撃の事実が次々と明かされてゆくことになります。ご承知の通り、その過程でメインヒロイン(エレオノーア)が登場するという、ジェットコースターも慌てて後戻りしそうな怒涛の勢いです。

本日も鏡海亭にお越しいただき、ありがとうございました。
まだまだGW中盤に差し掛かる頃ですが、お休みの方にとっても、お仕事や勉学の方にとっても、良き明日でありますように。

ではまた!

 

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悲痛な別れ、『アルフェリオン』第48話からのAI画像化(今晩深夜・更新予定)

連載小説『アルフェリオン』名場面のAI画像集、今晩深夜に第48話「逆同調(バーサーカー)」の分を更新予定です。
これは辛い別れの話、第1話からずっとルキアンに寄り添ってきた守護者が……。

鏡海

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闇の御子、目覚める――第47話からAIさんが名場面を画像化

シェフィーアさん!どさくさにまぎれて何してるんですか?(笑)→画像左上
連載小説『アルフェリオン』各話からの名場面集、本日もAIのオボロさん(*)と共に進めて参ります。

(*)オボロさんとは「Editorial Oboro」(GPTsの機能を通じて小説広報支援用にカスタマイズされたChatGPT)のことです。多彩な機能のひとつとして、小説を読んでその内容を画像化することができます。

 

では、第47話「深淵(後編)」より、続きです。

「盾なるソルミナ」の創り出した幻の世界の最奥にて、無数の魔人形に襲われたルキアン。瀕死の彼は、絶望の中で惨めな過去を回想します。


彼の側をいつも通り過ぎてゆく光。


ソルミナの精神の牢獄の中で、もう立ち上がる気力すら失うのか、ルキアン?

 

その頃、遠い北洋の砂州にて、ルキアンのことを語りながら歩く二人の機装騎士。


面白い人、キタキタ!!(笑) この後ろ姿、オボロさん、二人の特徴を実にうまくとらえています。

シェフィーアとレイシアなのでした。


「見た目はあんなだが、あの子は強い。物心つく頃から、ルキアンはずっと独りで自分の生と戦ってきた。たった一人になっても戦い続けることができる者は、誰よりも強い」
(by シェフィーア)

 

このあたりの流れ、苦悩するルキアンの場面と、彼について語るシェフィーア&レイシアの場面とが交互に描写されて進んでゆくのが、前者の場面の激しい状況とあくまで静かな後者の場面のコントラストも相まって、とても味があります。

そしてルキアンも……。消えゆく意識のもと、最後の最後で彼が心に抱いたのは、なんとシェフィーアさんの言葉(笑)。いや、笑ってはいけないのですが。

 

「ひとつだけ、自分から捨てない限り無くならない《居場所》があったから」

 ルキアンの心の中で、あのときシェフィーアの告げた言葉がよみがえる。

 ――そう。この世でただひとつ、君の帰れる場所であった空想の世界。たとえそこが美しい光の園ではなく、どれほど暗い影につつまれていたとしても、虚ろな夢の庭であったとしても……。

え?

 

「今度会うときには、もっと強くなっているように。期待している、《オーリウムの銀のいばら》、ルキアン・ディ・シーマー」

あの、ちょっと……?


「空想の殻の中にある、そういう暗い想いの詰まった世界を、人は《闇》と呼ぶのかもしれない。だけど、その《闇》が最後の拠り所になったからこそ、僕はここまで生き、ここまで来れた。でも僕は、そんな自分の影を拒み、恐れ、自分にたったひとつ残されたものと向き合うことから逃げてきた」

 ルキアンの体から、冷たく重々しい霊気が立ちのぼる。
 よく見ると、彼の右の瞳に紋章のような何かが浮かび上がっている。

「でも、さっき、僕は死を目の前にして、《闇》と向き合い、これを自分の一部として受け入れる決心をした。そのとき……」

 僕は見た。
 《ダアスの眼》を通じて、
 世界のことわりの背後にある《深淵》を。


えぇぇぇぇ!!?
主人公が御子の力に目覚める場面、超覚醒のトリガーは……シェフィーアさん? いくら、この当時はまだメインヒロイン不在だったにしても、もっと他のキャラがいるでしょう!(苦笑) それにしてもオボロさん、何という画像を生成するのですか(いや、この絵については、鏡海がプロンプトで描画をオボロさんに指示したのですが)。



容赦ない超覚醒。こうなったら、もう無敵モード。

黒光りする鋼のイバラで、無双するルキアン。


もう、どちらが悪魔なのだか、分かりません。

「人の子」には決して打ち破ることができないとナッソス公爵が自慢していたソルミナの力。しかし、底無しの妄想王、想像から創造するルキアンとは相性が最悪でした。幻=架空の世界の中なら、何でもできるルキアン。

なんと、ソルミナの世界の中に無理やりにアルフェリオン・ノヴィーアを召喚!?

AIのオボロさんの想像にも、磨きがかかります(笑)。

アルフェリオン「フィニウス・モード」の最終兵器、ステリアン・グローバーを、第3話以来初めて、今度は全力で放つルキアン。

 

「我が完全なる幻覚をも黒く塗りつぶす、その力。やはり汝は……。封印された記憶のことを知るまい。もし《封印》さえ無ければ、汝は最後の部屋で終わりを迎えていたはず」

ソルミナが告げる衝撃の言葉。

「汝は、いつか知るだろう……。召喚……一組の……適合……犠牲……」

 

★以下、ワールトーア編と「ハルスの邂逅」編をご覧になっていない方にとっては、ネタバレありです★

 

現在では明らかであるように、ソルミナの最期の言葉は「ロード(聖体降喚)」に言及したものです。ルキアンが見た多数の幼い霊は、過去に繰り返されたロードの際、生贄にされた子どもたちです。そして彼の前に現れた見覚えある銀髪の少女は、エメレーア・ロッタです。つまりルキアンの素体となったアリーオ・ロッタにとって、姉にあたります。すべて、封印されているルキアン自身の記憶からソルミナが読み取ったものでした。

 

【オマケ】ルキアンが覚醒時にシェフィーアさんを思い浮かべた場面・ボツ画像

シェフィーアさんの妄想の中? 彼女の目つきが、ルキアンに親身になっているような感じである一方で、何だかワルそうなことを考えていそうにも見えて笑えます。

いずれにせよ、自称「ヒロイン」というだけのことはありますね、シェフィーアさん。今後の彼女の活躍からも目が離せません。あれ? 主人公のルキアンではなくて、シェフィーアさんの話で終わってしまいましたね(笑)。画像集の方は、さらに続きます。次は48話の分からです。

本日も鏡海亭にお越しいただき、ありがとうございました!
GW中でも、明朝からはまた週末まで平常通りとなる方もおられると思いますが(私もです)、元気に参りましょう。

ではまた。

 

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鬱回想から、超覚醒

連載小説『アルフェリオン』の各話よりAIが生成する名場面集、本日の深夜も更新予定です。闇の御子としてのルキアンの桁外れの力がついに覚醒する、第47話「深淵(後編)」分の続編となります!

鏡海

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絶体絶命の主人公……。「深淵」編の山場をAIさんが画像化です!

こ、これは旧世界の……。本ブログの連載小説『アルフェリオン』の各話の名場面をAIで画像化する企画、今晩も更新です。AIのオボロさん(*)、本日も絶好調でした。

(*)オボロさんとは「Editorial Oboro」(GPTsの機能を通じて小説広報支援用にカスタマイズされたChatGPT)のことです。多彩な機能のひとつとして、小説を読んでその内容を画像化することができます。

 

前回の第46話「深淵(前編)」からの続き、第47話「深淵(後編)」の画像化、参りましょう!

あれっ? 前回の続きとはいえ、「盾なるソルミナ」による幻の世界とはまったく異なる画像が、見事に生成されてきました。第47話冒頭では、いきなり「旧世界」の回想シーンが始まります。画像の人はイプシュスマ。旧世界の「天上界」側の大魔道士で、「天帝」の意思を代行する事実上の最高権力者の一人。ルキアンの先代の闇の御子にしてパラディーヴァの生みの親である「天空人」の反逆者リュシオン・エインザールとは、イプシュスマは旧知の仲だったようです。それにしても、この画像、私の頭の中のイプシュスマそのものの姿で描写されていて、衝撃でした。

そして物語は、再び、「盾なるソルミナ」の生み出した幻影の世界と、そこに囚われたルキアンたちを描き出します。最後の部屋にて、ルキアンが遭遇した子供たちの霊は、一体?

さらにルキアンの前に謎の少女が現れます。

 

――ずっと昔、夕暮れの中で僕と手をつないでいた、あの……。

 暗がりにぼんやりと浮かんだ少女の影は、ルキアンの方に手を差し出してつぶやく。

「まだ思い出さないの?」

画像で表現した場合、伏線がはっきりと分かります。幼い頃のルキアンと共にいた、彼と似た銀髪の少女。そしてオボロさんが見事に表現したように、その少女の姿は……エレオノーア? いや、似ているのですが、エレオノーアではないです。彼女は一体誰なのか。それは後の「ワールトーア編」にて明らかになります!

しかし、この大切な人のことを覚えていないルキアン。彼の心に止めを刺すであろう、最後の幻を見せたと考えていたソルミナの、完全な誤算でした。そのことをアマリアとフォリオムが次のように語るシーンが続きます。以下のように……どんなに離れていてもルキアンを観察、いや、遠見の水晶玉で見守ることのできるアマリアの力(彼らが「実況のお姉さん」と「解説の御老体」と呼ばれる所以ですね。笑)

 

「まさかな。最後に、このようなことになろうとは」
 アマリアは感慨深げにつぶやいた。彼女は再び水晶玉の前に座し、幻の世界の中にいるルキアンを見守っている。
「ナッソス家のもつ旧世界の超兵器は、少年の記憶を探り、それを再構築して、最も忌むべき心の傷を彼に突きつけた。そのはずだった。彼の心にとどめを刺すために」
 立体映像のように傍らに浮かび上がる、半ば実体化したフォリオムに対し、アマリアは厳かに語り続けた。
「だが肝心のルキアン・ディ・シーマーには、目の前の幻の意味さえ分からないのだから。自分の記憶の底に刻まれているはずの真実に、彼はまったく心当たりがないらしい」
「ほぉ。あまりに忌まわしい記憶を自ら忘却してしまったとでも?」
「違うな、ご老体。結論から言えば」
 フォリオムの問いに対し、アマリアは静かに首を振った。

《この少年は、過去に何者かによって記憶を操作されている》

 と、アマリアは不意に鋭い声で言った。
「相手の方もそのことに気づいたか。今からもっと直接的な手で攻めてくるらしい」
「たとえ幻の世界であっても、あれほど完璧な幻であれば、そこで死んだ者は現実の世界でも命を失うじゃろう。最も単刀直入にして、最後の手段というわけか」
 もはや好々爺ではなく威圧感すら漂わせるパラディーヴァとしての声で、フォリオムはつぶやいた。
「では、お手並み拝見といこうかの。闇の御子、我らが長よ」

 

 

 

★以下、不気味なシーンが続きます。苦手な方は、画像にご注意ください ★

 

 

 

 

 ルキアンの前で異変が起こったのもその時だった。例の少女の影はたちまち霧散し、再び何者かの姿になってルキアンの前に立ちはだかる。
「お、お前は?」
 今度現れた者があまりに異形であり、しかも明らかに敵意を持った存在だとルキアンは直感し、思わず身構えた。
 暗闇の中に浮かび、ぼんやりと光る姿。一見、それは人間大の巨大な蝶のように見えた。だが、蝶の身体に当たる部分は人の脳のようなものであり、不気味に脈動している。節くれ立った細長い足が、そこから何本も生えていた。

 ――我が名はソルミナ。幻影の支配者なり。

 本性を現したそれは、ルキアンの心に直接語りかけてくる。ルキアンに答える余裕すら与えず、ソルミナの翼にある無数の目が光った。
 これを合図に、先ほどまで静かだった子供の霊たちが瞬時に姿を変える。彼らは悪夢のような人形となって実体化し、口をカタカタと鳴らしながら、一斉に奇声を上げて飛び掛かってきた。

 その直後、暗黒の世界にルキアンの絶叫が響き、そして消えた……。

……ルキアン、終了のお知らせ!?(違います)

いや、ここで君の宿命を超えてゆけ、ルキアン!!

 

こ、これは!?

絶体絶命のピンチに、ルキアンお約束の……鬱回想から、超覚醒か?

続きは、明日(時計の上では、もう本日)の更新をお待ちください!

「ここで想いの力を見せてみよ!!」


GWの中、鏡海亭にお越しいただき、ありがとうございました。お休みの方、良い休日をお過ごしください。連休の間に挟まれた平日モードの方、いつも通り頑張りましょう!(鏡海もです。苦笑)

ではまた。

 

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