
「菖蒲」 アンジェイ ワイダ監督 ポーランド ××
ポーランドを代表する作家イヴァシュキヴィチの短編小説を映画化しました。しかし撮影の途中で主役のクリスティナ ヤンダの夫で監督の盟友でもあった撮影監督のエドヴァルトが急死したため、映画の内容も大きく変わりました。冒頭でクリスティナは夫を亡くしたことについての自身の気持ちを独白します。その後、映画の撮影場面となります。映画の中では、クリスティナの役は「余命いくばくのマルタ」を演じます。マルタは戦争で二人の息子を亡くしていました。そして、川辺の船着き場で魅力的な青年と出会います。俳優の独白と劇中劇、その上なんと映画のメイキング場面まで入って複雑ですが、新しい試みとして興味ある作品となりました。ワイダ監督は86歳ですがまだまだチャレンジャーですね。
クリスティナの周囲は「死」ばかりで、この作品のテーマは「生はとても簡単に死に転じる」です。「明日死ぬかのように今日を生きろ」というガンジーの言葉を彷彿とさせる秀作です。
タバコは大問題です。まず冒頭、クリスティナがベッドから起きるといきなりタバコに火をつけ独白の間ずっと喫煙しています(×)。実は夫は肺のガンで亡くなっているのです。ポーランドの国民は「タバコを吸うとガンになる。」ということを知らされていないのでしょうか。劇中の映画の中でも若者たちの多くが喫煙していました(×)。劇中のマルタの病気も肺の病です。ちなみに劇中のマルタは喫煙しません。
いずれにしても、「明日の空の向こうに」とポーランドの作品が続きましたが、2本ともタバコの扱いが残念な作品でした。ポーランドには行きたくないですね。