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無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

希望の国

2012-10-30 | 2015以前の映画評


「希望の国」 園子温監督 ××

 暴力とハダカの鬼才園監督が原発事故後の家族を描いています。福島の事故後、同じような地震から長島県の原発も爆発します。それまで息子夫婦とともに認知症の妻智恵子(大谷直子)を世話しながら畜産業をしていた小野一家ですが、チェルノブイリ事故をきっかけに原発について勉強していた父親泰彦(夏八木勲)は息子夫婦に避難を勧めます。庭の中に20キロ圏の杭が撃たれ、杭の向こう側の隣人は有無を言わさず避難させられてしまいます。息子の洋一(村上淳)は残ろうとしますが説得され妻(神楽坂恵)とともに避難します。妊娠していることがわかると妻は防護服を着ておなかの子を守ろうとしますが周囲の目は冷たく、夫は避難した先で就職した工務店の仲間からからかいの対象になったりもするのでした。
 福島事故後、実際に起きたいくつかのできごとをひとつにまとめた展開になっています。「希望の国」というよりは「希望のない国」の姿です。それでも人は何かに希望を見つけて生きなければいけないのではないのでしょうか。それが「愛」であるならば泰彦と智恵子のラストは納得できません。飼っていた牛たちを引き連れ夫婦で「希望の国」をめざしてほしかったです。
 ただ、今までの園監督の作品の中では最も評価できる作品です。
 それだけに村役場の職員の喫煙(×)と工務店の職人たちの喫煙が(×)残念です。タバコにもポロニウムという放射性物質が入っていて常習喫煙者はタバコだけでもかなり内部被ばくしています。演出上どうしてもタバコが必要と言う場面でもなかっただけにとても残念です。


タケヤネの里

2012-10-30 | 2015以前の映画評


「タケヤネの里」 青原さとし監督 × ☆

 伝統の「竹皮編み」の工芸師となった知人の前島美江さんを、青原監督が群馬県高崎市の工房を訪ねるところからこのドキュメンタリーは始まります。「竹皮編み」の材料となる竹の皮はカシロダケといって福岡県八女市星野村の一部地域にしかありません。前島とともに材料集めに出かけ、それをきっかけにかつてさまざまなものに活用されていた竹の皮を追い求め、京都、東京の職人たちを紹介していきます。江戸時代から続いていた広域での流通の歴史も伝えています。竹の利用がグラスファイバー素材などに代わって荒れるばかりの竹林(タケヤネという)を前島の呼びかけで全国からボランティアが集まって手入れをし、皮を集めています。また、ある地域ではボランティアを海外にも呼びかけ、外国人も竹藪の手入れに参加しています。
 竹皮と言うとせいぜいちまきの皮などしか思い浮かびませんが、高級な素材として舞妓さんの履物や雪駄、茶道用具などにも使われていることを知り感動しました。しかし、どの作品もそれらを引き継ぐ職人さんたちがこれからも育っていくのかが心配です。このような環境負荷の少ない素材はこれからも生かしていきたいものです。
 なお、この映画の上映がきっかけとなって地元の人々が「タケヤネ」を守ろうと動き出したそうです。映画の力ですね。
 タバコは残念なことに、インタビューを受けている地元の自然保護関係のアドバイザーと言う人が喫煙しながら答えていました。(×)